多聞院 (所沢市)

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多聞院
毘沙門堂
所在地 埼玉県所沢市中富1501
位置 北緯35度49分52.17秒 東経139度29分21.24秒 / 北緯35.8311583度 東経139.4892333度 / 35.8311583; 139.4892333座標: 北緯35度49分52.17秒 東経139度29分21.24秒 / 北緯35.8311583度 東経139.4892333度 / 35.8311583; 139.4892333
山号 宝塔山[1]
宗旨 新義真言宗[1]
宗派 真言宗豊山派
本尊 大日如来
創建年 1696年(元禄9年)
開山 榮任[1]
正式名 宝塔山吉祥寺多聞院
別称 牡丹の寺
法人番号 7030005003393 ウィキデータを編集
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入口の狛犬と案内板

多聞院(たもんいん)は、埼玉県所沢市中富にある真言宗豊山派寺院である。 山号は宝塔山。寺号は吉祥寺。本尊は大日如来

歴史

元禄9年(1696年)に柳沢吉保(当時川越藩主)が三富新田として上富中富下富村を開村した際、一寺一社の制に基づき、開拓農家の檀家寺として上富に多福寺を、また中富に祈願所鎮守の宮として毘沙門(・多聞院)を創建した[2]。その後同境内に近隣地域より神明社勧請し同地域一帯の産土神として祀り、1868年(明治元年)の神仏分離令によって同院境内の西側は神社神明社)として、東側は寺院としてそれぞれ独立し、今日に至っている。

また近年では、境内に立体曼荼羅をイメージして植え込まれたとされる23種類300株の牡丹が咲く名所としても知られ、通称「牡丹の寺」として親しまれている。

本尊

多聞院本堂の本尊は大日如来、 また毘沙門堂には、かつて武田信玄守り本尊であったとされる黄金の小さな毘沙門天像が本尊として奉られている。 この像は、伝承によれば、像高一寸四分(約4センチメートル)、信玄が生前川中島などの戦に際し戦勝を祈願しの内に納めて戦場に赴いていたと伝えられるもので、天正10年(1582年)の武田家の滅亡後、同家縁の僧を介し 血縁のある柳沢吉保の手に渡り、毘沙門社の本尊として祀ったとされている。

なおこの本尊は12年に一度寅年の5月1日に開帳される(#行事の祈祷時間内のみ開帳、次回は2022年の5月1日)。

境内

狛寅 (吽形
牡丹の花
  • 入口には狛犬が、また毘沙門堂の前には 一般的に神社などに見られる手水舎と 一対の狛犬ではなく狛虎(こまとら, 狛寅)が配置されている。台座部の刻銘によれば像の制作は慶応2年(1866年 寅年)とされ、この虎は細身でしなやかな曲線で彫られ、どちらかといえばチーターにも近い印象の特徴的な像である[3]

また当院の向かって左手西側は 神明社 (所沢市中富) が隣接する。 – 神仏分離以前(#歴史参照)は同一境内であったため今日でもその垣根は低く、たとえば初詣の参拝客などは 同神明社側の鳥居前に行列をつくり、そのまま自然と順路のように社寺両方に参拝する人の流れができる。

境内の花

広く知られる牡丹のほか、山百合泰山木八角蓮蝋梅、などの花が咲く。

文化財

  • 毘沙門堂は、1766年明和3年)に竣工し江戸中期の建築物として所沢市の有形文化財に指定されている[5][6]
  • 虎の絵馬 – (何れも文化財未指定。一般公開はされていない[7]。)

行事

「身がわり寅(とら)」
  • 毎年5月1日には毘沙門天の化身とされる虎に因んで「寅まつり・寅年には大般若経転読会(てんどくえ)」が催される。無病息災を祈願する大法要とされ、この日は境内に団子屋、植木屋などの出店が出たり、地元保存会による囃子なども披露される。
  • また初詣や寅まつりの頃には「身代わり寅」を奉納する人も多く、シーズン終了頃までには堂の欄干部までが小さな黄色でびっしりと埋め尽くされる光景となる。 「身がわり寅(とら)」は、毘沙門天の化身とされる寅に、身に降りかかる災いを託して奉納するというもの。

交通アクセス

周辺

同院前を通る道路は近年 所沢市により「多聞院通り」の道路名標識が設置された。

脚注

  1. ^ a b c 新編武蔵風土記稿 中富村.
  2. ^ 毘沙門天は、元々はバラモン教ヒンドゥー教の神で後に仏教に帰依し天部となったとされているため今日の感覚では寺院に属するが、神仏分離以前には 毘沙門または毘沙門の名称で神社として祀られていた例も多い。
  3. ^ ほかに「狛虎」像のある社寺の例としては、同じく毘沙門天を祀る神楽坂善國寺ほか、日本各地に数例みられる。 commons:Category:Koma-tora 参照。
  4. ^ 鬼の寒念仏 – 大津絵の頁に関連記述あり。
  5. ^ 所沢市の市指定文化財(所沢市公式サイト)
  6. ^ 多聞院毘沙門堂(市指定文化財) 所沢市ホームページ内「写真で見る富岡地区の移り変わり」2008年12月1日
  7. ^ 一般公開はされていないが、2010年(平成22年)に新聞紙面に写真が掲載された。#参考資料「未公開の虎の絵馬」を参照。

参考資料

関連項目

外部リンク