変身サイボーグ

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変身サイボーグ(へんしんサイボーグ)は、1970年代に株式会社タカラ(現:タカラトミー)より発売されていた、男児向けの12インチサイズの着せ替え人形アクションフィギュアシリーズである。

後継商品のアンドロイドAもこの項で詳述する。

誕生

1964年から世界的にヒット商品となっていた米ハズブロ社のG.I.ジョーは、1970年(昭和45年)に、日本でハズブロ社と提携したタカラによって、ニューG.I.ジョーにリニューアルされた。軍装が中心だったラインナップにスポーツウェアなどのバリエーションを加えるなか、1971年(昭和46年)10月より、当時人気の特撮ヒーローの衣装を加えた正義の味方、と称されるバリエーションが加わった。

当時の日本はテレビ番組『仮面ライダー』を発端とする空前の「変身ブーム」の真っただ中にあり、正義の味方シリーズはその便乗商品的な位置付けである。ただし、超合金のように番組に固定しない商品展開が可能であり、ラインナップも豊富だった[注釈 1]。発売当時にタカラ第三事業課課長を務めていた奥出信行は、版権元を回って発売ライセンスの許諾を得るとすぐに開発を始め、番組が旬なうちに発売していたと述べている[1]

また素体となったニューG.I.ジョーは全身の関節が自由に動くので、様々な衣装を着せて遊べるといったG.I.ジョーのプレイバリューを引き継ぎながらも、手軽に変身願望を満たす商品として人気が出た。1972年(昭和47年)7月からは、より変身に重点をおいた変身サイボーグという新たなブランドに分けられ、着脱できる手足と豊富な別売りパーツにより、腕に武器をつけたり、乗り物に組み替えるといった遊びにより差別化を図った。

1972年にはおもちゃグランプリ金賞を取った。

特徴

ニューG.I.ジョーの素体を全身クリア素材に置き換え、胸と頭部にメッキの機械部品を仕込んだ変身サイボーグは、手足を外せる機構を最大限に生かして、手足と換装可能なアタッチメントを用意するなど、サイボーグという特徴を活かしていた。初期の素体は足が大きかったが、着脱を容易にするため足が小さくなるなど、改良が行なわれ、ヒット商品となった。

対象年齢は小学2年生をメインターゲットとしており、ソフトビニール人形よりも年齢層を高く設定しているため、『変身セット』ではそれまでの玩具商品よりもリアルな造形となった[1]

クリアボディのヒーローというコンセプトは後のミクロマンへと継承された[1]

ストーリー設定

1998年、自然保護官・片貝健一は宇宙の侵略者・キングワルダー1世の襲撃に合い、妻と弟、そしてペットのジャガーと共に瀕死の重傷を負ってしまう。そして、1999年1月1日、健一は父の手によって「変身サイボーグ1号」として生まれ変わり、地球の平和のためにワルダーに立ち向かう。そして弟とジャガーも、その戦いに加わるのであった。なお、夫人はサイボーグ化途中のため戦いには加わってない(商品化はされていない)

1974年にはこの詳細なストーリーが、週刊少年チャンピオンに広告兼用として毎週1ページ連載された。

なお、この物語は変身サイボーグの設定路線変更後の物であり、発売当初の設定とは大幅に異なる。大きな違いは{変身サイボーグは、女性を含んだ複数員の部隊}であった。

主な商品

変身サイボーグ1号

片貝健一の生まれ変わった姿。単体での発売と、武器セットの一部を両腕に付属させた物と{ニュー正義の味方}として変身セットを最初から着せた物の発売があった。変身セット等の衣装は単品販売され、購入後のプレイバリューも高い。

  • 初期型:体内メカが成型色のままのタイプ。一般にグレーと呼ばれる。メカ頭部の目や足の大きさが後の製品と異なる。
  • 中期型:体内メカがメッキ仕様。金と銀の2種類が存在。メカ部分は腹部で色が異なる。
  • 後期型:体内メカのメッキが青みがかっている。中期型も継続して同時に販売されていた。

変身セット

全45種。ニューG.I.ジョー時代のものは含めない。

通常版(スタンダード版)の本体はナイロン製だがDX版は布地を使用している[1]。ウルトラマンタロウでは合皮を使用している[1]

マジンガーZやマッハバロンなど一部のロボット物はソフトビニールで形成されていた。



  • 超人セット(タカラオリジナル変身セット)
    • バードマン
    • ビートルマン
    • フィッシュマン
  • NEW超人セット(タカラオリジナル変身セット)
    • アポロイドZ
    • シャインX
    • ロックバロンS

変身サイボーグ1号 サイボーグセット

サイボーグセットという商品名で、複数の武器がブリスターパッケージに入った全5種[2]存在。ソフビ成型のはめ込み式武器であり、チェーンソーやドリル、レーザーガンなど多数存在している。

  • 武器セット1〜5

基地

アタッシュケース型の秘密基地兼収納ボックスとして発売。

  • ステーションCX-1 単三電池で光る回転(手動)型のライト

 枠部分にサイボーグライダー用武器セットを取り付ける事ができる。

指令マシン

小型の携帯レコードプレーヤーで、ミニレコードを再生可能。ミニレコードは別売りもあり、いくつかのセットが販売されている。

ただし、設定が路線変更前のものであるため、女性サイボーグ等も登場する指令レコードなどがある。

サイボーグライダー

サイボーグという設定を最大限に活かし、変身サイボーグ1号の手足を換装しバイクに変形させるという商品。 1974年に発売。サイボーグ素体が1000円〜1200円なのに対し、フルセットが5500円という高額商品であった。

  • オートバイセット:オートバイへの変身セット。人形は別売。
  • オートバイ変身セット(未発売):上記オートバイをサイドカー付・たんけん車・ミニバイクへ変身させるパーツセット。発売予定とされてパンフレットなどに長い間記載されていたが、サイドカーセットなどが単品発売されると消えた。
  • サイドカーセット:サイドカー部分のみ。
  • たんけん車セット:少年サイボーグ用の単体3輪ビークル。サイボーグ素体を用いない。
  • ミニバイクセット:単体のビークル。少年サイボーグが乗る2輪バイク。
  • フルセット:上記各セットの後に発売された。素体とオートバイパーツとサイドカー等のパーツセット。組み立て方により、オートバイ・サイドカー付・たんけん車・ミニバイクに変身できる。
  • 武器セット:オートバイなどに取り付ける専用武器。クリア成型でミサイル発射などの可動ギミック付き。付属のアタッチメントを使えば、サイボーグ1号の腕に付けることもできる。

少年サイボーグ

健一の弟、健吾がサイボーグ化された姿。商品としては、変身サイボーグ1号より一回り小さく、サイボーグライダーに搭乗可能など小サイズを活かした商品。ダウンサイジングの結果、正義の味方スーツを着用できず、衣装はオリジナルのものが展開され、手足のコネクタも小型化されたために専用の武器セットが販売され、正義の味方への変身よりもサイボーグとしての変身が主眼に置かれた。1973年(昭和48年)5月発売。バリエーションは内部メカが銀・金・青みがかった銀の3種。

少年サイボーグの変身セット

小型化されたスーツにソフビ造型のマスク・プロテクター・ブーツなどのセット。オリジナル商品であり、変身サイボーグ1号と互換性は無い。

  • プラズマA(エース)
  • スカイライダーX(エックス)
  • サイクロイドZ(ゼット)
  • スペーシーX1
  • スペーシーX2
  • スペーシーX3

少年サイボーグの武器セット

少年サイボーグ専用。変身サイボーグ1号の武器がソフビ成型なのに対し、これはメッキ塗装のプラ成型で、精密さで勝り可動部分が多いが、メッキなどの耐久性は低かった。

  • ジェットブーツ
  • メガトンボール
  • ウルトラカッター
  • シーホープV

サイボーグジャガー

健吾が可愛がっていた豹の子ジャガーがサイボーグ化された姿[2]。金・銀・青みがかった銀の3種類存在し、1974年3月に発売。玩具は後にテレビアニメ『鎧伝サムライトルーパー』の白炎王(びゃくえんおう)に流用された。

サイボーグジャガーの変身セット

ソフビ造型で、ジャガーに着せるとさまざまな動物に変身できる着ぐるみパーツ。

  • ヒョウ
  • トラ
  • 黒ヒョウ
  • シェパード
  • 雌ライオン
  • 雄ライオン
  • 雪ヒョウ

サイボーグジャガーのサイボーグセット

ジャガーの手足、顔、尾に取り付けるソフビ成型の武器セット。

  • サイボーグセット1〜4
  1. ミラクルカッター
  2. モビルアイザー
  3. プラズマイザー
  4. ブレーンパワーB

サイボーグジャガーの超獣セット

ソフビ成型の着せ替えパーツ。カットが大きく、サイボーグメカ部分が露出するのが特徴。

  • ドーベルマンJ(ジャック)
  • ドラゴンK(キング)
  • コンドルV(バイオレンス)

サイボーグジャガーの武器セット

追加の武器セット全2種。

  1. ホーベアビーマ
  2. ターボドリライザー

キングワルダー1世

敵役として登場した宇宙よりの侵略者。パンチパーマのような髪型でつりあがった目をした透明な頭部の中にはグロテスクな内部頭部があり、体内パーツも内臓を模すなど悪役らしいデザインだった。カラーは初期は紫、青、黄、だったが、緑が発売されると青が販売終了となり、末期には紫・黄・緑各色がドきつい色(蛍光色?)になった。頭部・内臓の塗り分けにばらつきがあり、変身サイボーグ1号と同じく初期と後期で足のサイズなどが変わっている。

怪人セット

キングワルダーの変身セットはオリジナルであり、怪人セットと呼ばれる。素体としては変身サイボーグ1号と同じサイズなので、変身セットも着用可能。

  • ドクロキング
  • サタンキング
  • 植物怪人[注釈 2]

キングワルダー用サイボーグセット

ソフビ造型だが生物兵器的なアレンジがされており、設定もバラエティ豊富であった。武器が5つ入ったブリスターパッケージで全4種[注釈 3]

  • 放射能銃 人間をドロドロに溶解したり、怪獣に変えたりする。
  • ギロチンカッター 鉄板でも切り裂く。
  • 脱水銃 生物の水分を一瞬で消し去る。
  • 火炎銃 4つの口から炎を噴き出して焼き殺す。
  • 笑い銃 毒ガスで笑い死にさせる。


  • 分解銃 なんでもバラバラにしてしまう。
  • 鉄の爪 つかまると絶対動けない。
  • 化石銃 生物を化石にしてしまう。
  • 音叉銃 超音波で動物を自由に操る。
  • クレージーガン 相手を狂わせる。


  • 記憶喪失銃 記憶を全部消してしまう。
  • 毒ガス銃 各種の毒ガスを発射する。
  • 麻酔銃 ゾウでも一瞬で眠らせる。
  • 殺人ドリル どんな固い物でもコナゴナにする。
  • ピラニア銃 相手を骨にする。


  • 蒸発銃 3万度の高熱を発射し一瞬で蒸発させる。
  • アメーバー銃 生物を自由に操れる。
  • 死神銃 怪光線で死神にうなされて狂い死ぬ。
  • 吸血銃 相手の血を吸い、吸血鬼にする。
  • 催眠銃 4つの目でにらんで催眠術をかけて、相手を思いどおりに操る。

イメージソング

テイチクレコードから竹尾智晴が歌うイメージソング「変身サイボーグ一号(B面はヘンシンマーチ)」(作詞:高見映 作曲・編曲:越部信義)が発売された。

アンドロイドA

アンドロイドA(エース)とは1974年末から発売された変身サイボーグの後継シリーズ。テレビ媒体から独立したシリーズとして再構成されたタカラSFランドというブランドの1つとして発売。変身サイボーグ1号と同等スケールのスモーククリアーのボディで、胸部が開き、内臓メカが頭、手、足とともに脱着可能となった。このパーツの交換により、A〜超人〜ロボットに変化する。変身よりメカの合体遊びに主眼をおいた商品だった。変身サイボーグほどの人気は出ず、後にこのタカラSFランドはミクロマンにシフトする。

アンドロイドA

  • アンドロイドA :人型のアンドロイド。目のみ着色されている。瞳はブルー。
  • アンドロイドA 超人:超人型のアンドロイドA。銀色の超人ヒーロー的な頭部と銀色のメカが露出した手足となっている。
  • アンドロイドA ロボット:ロボット型のアンドロイドA。メカそのものといったデザインの四角い箱状の頭部と手足だった。

別売として超人・ロボットの、足セット・腕セット・頭部&内臓メカセットを各発売。人型の各パーツも広告で発表されていたが、発売されなかった。

宇宙人

アンドロイドAの敵。新規造型のボディは顔を模した胸部の目が、背中のボタンで光ってるように見えるなどギミックも豊富だった。

  • 宇宙人・O(ゼロス)
  • 宇宙人・Z(ゾーン)
  • 宇宙人・J(ジャグラ)

宇宙人用のUFOおよび、内部コクピットも発売された。

その後のシリーズ

変身サイボーグのボディはその後コンバットジョーに流用され、12インチアクションフィギュアのロングセラー商品として発売され続けた。また復刻ブームに乗り、かつて変身サイボーグで遊んだ世代をターゲットに新商品も開発された。

ネオ変身サイボーグ

タカラがスポンサードしたテレビアニメ『勇者王ガオガイガー』の主人公獅子王ガイがサイボーグであるという設定を活かして、ガイの頭部にクリアのボディを持つ玩具として1997年に発売[3]。劇中のガイは金属装甲を持つサイボーグのため、外装は取り外し式になり、パッケージにはDX変身サイボーグと表記されていた。後に旧作ファン向けにイベント等限定でオリジナル電子頭脳キットが販売された。合わせてキングワルダーやアンドロイドAの宇宙人などが新作ソフトビニール人形として販売されている。これは、中のボディそのものをかつてのようなクリアABS樹脂の造形ではなくソフトビニールで造形したもの。サイボーグそのものもネオ変身サイボーグとして単独商品にもなった。

変身サイボーグ99

ネオ変身サイボーグの後継商品として、新規開発されたボディを持つ商品[3]スペクトルマンへの変身セットを加え新たなシリーズとして1999年に発売。同時にキングワルダー2世もラインナップに加わったが、旧シリーズと体型が変わったうえ、新変身セットのラインナップに人気ヒーローがほとんど加えられず、売れ行きは思ったほど上がらずシリーズは短命に終わった。

キングワルダーJr

2001年に、ファンの声に応える形でタカラは変身サイボーグ99には含まれなかった少年サイボーグを復刻販売。その際に色替え商品として少年サイボーグのボディを用いたキングワルダーJrを新規販売した。

復刻版

2003年に変身サイボーグとキングワルダーを当時の体型で復刻した商品。それらに加えてウルトラマンやマジンガーZなどの人気変身セットをラインナップした。

脚注

注釈

  1. ^ 変身セット』でテレビヒーローを商品化したものは3年間で39種類あり、当時のキャラクターを多数取り扱った[1]
  2. ^ 発売予告広告では植物キングと表記されていた。
  3. ^ 並びは玩具付属カタログの番号順[2]

出典

  1. ^ a b c d e f 五十嵐浩司「ヒット商品の舞台ウラ 第3回 変身サイボーグ1号(タカラ)」『KODANSHA Official File Magazine 仮面ライダー Vol.3 仮面ライダーV3』講談社、2004年8月10日、32頁。ISBN 4-06-367088-0 
  2. ^ a b c 「変身サイボーグをブリスターから解放せよ!!」『白夜ムック Vol.24 フィギュア帝国』白夜書房、1997年6月24日、52-53頁。ISBN 4-89367-527-3 
  3. ^ a b 「CHAPTER1 NEO CYBORG & DOUBLE NINE」『ROMAN ALBUM HYPER MOOK 6 ビクトリー伝説~変身サイボーグ&ミクロマン~タカラオリジナルSF玩具大全集』徳間書店、1999年5月5日、04-12頁。ISBN 4-19-720074-9 

関連項目