在留カード

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在留カード(ざいりゅうカード)とは、法務大臣中長期在留者に交付するICカードである。中長期在留者とは、原則90日以上の在留期間が決定された外国人である。

在留カードの制度の開始

在留カードの制度は、2009年(平成21年)に公布され、2012年(平成24年)7月9日に施行された出入国管理及び難民認定法の改正法で定められた、外国人に対する入国管理制度である[1]。同制度の導入により、従来の外国人登録制度に基づいた外国人登録証明書は廃止された。

従来の外国人登録制度では、各地方自治体が外国人登録証明書を発行していたため、入国管理を所掌する法務省入国管理局との連携が不十分で、不法滞在者にも外国人登録証明書が発行される事態があった。このような事態を防ぐために、在留外国人を一元的に入国管理局が管理できる在留カードの制度が始まったのである。

この在留カードの制度により、入国管理局が在留外国人の状況をこれまで以上に正確に把握できるようになるため、在留外国人の在留期間の上限をこれまでの3年から最長5年とすることや、出国の日から1年以内に再入国する場合の再入国許可手続を原則として不要とするみなし再入国許可制度が導入された。

これにより、適法に在留する外国人の利便性が向上し、券面を書き換えた偽造在留カードとの判別も容易になった[2]。また、この制度の開始により在留外国人も日本人と同じように住民基本台帳で管理されるようになり、住所変更の際には、役所にて転入転出の際に届出が必要になる。

中華民国籍の外国人の国籍・地域表記欄については、従来の外国人登録証明書では「中国」だったものが、台北駐日経済文化代表処などの働きかけを受けて、在留カードでは「台湾」表記に変更された[3]。なお、福建省など、地理的区分では台湾と見做されない省に本籍がある場合も、一律で台湾表記となる。

なお、この外国人に対する入国管理制度の開始により、特別永住者には、従来の外国人登録制度下における外国人登録証明書に代わって、特別永住者証明書が発行される。

中長期在留者

「中長期在留者」とは、以下のいずれにもあてはまらない人である。

  1. 「3月」以下の在留期間が決定された人
  2. 短期滞在」の在留資格が決定された人
  3. 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
  4. 1から3の外国人に準じるものとして法務省令で定める人[4]
  5. 特別永住者[5]
  6. 在留資格を有しない人 [6]

中長期在留者には、在留カードの携帯・提示義務が生じる(法23条)。ただし、本来日本国に在留する16歳以上の外国人は常に旅券を携帯する義務があるが、中長期在留者が在留カードを携帯している場合には、旅券の携帯義務が免除される。在留カードを故意に携帯しなかった者は、20万円以下の罰金に処される(法75条の3)。ただし、16歳未満の外国人にはこの義務がない(法23条5項)。

在留カードの記載事項等

出入国管理及び難民認定法19条の4に定める在留カードの記載事項は以下の通り。

  1. 氏名、生年月日、性別及び国籍の属する国又は第2条第5号ロに規定する地域[7]
  2. 住居地(本邦における主たる住居の所在地をいう。以下同じ。)
  3. 在留資格、在留期間及び在留期間の満了の日
  4. 許可の種類及び年月日
  5. 在留カードの番号、交付年月日及び有効期間の満了の日
  6. 就労制限の有無
  7. 第19条第2項の規定による許可を受けているときは、その旨[8]
  8. 中長期在留者の写真

脚注

  1. ^ 平成21年 入管法改正について、法務省、2009年。
  2. ^ 日本に在留する外国人の皆さんへ2012年7月9日(月)から新しい在留管理制度がスタート!、法務省、2012年。
  3. ^ 新しい日本の在留カード、国籍欄に「台湾」と表記される喜び サーチナ 2012年7月12日
  4. ^ 法務省令には、「特定活動」の在留資格が決定された、亜東関係協会の本邦の事務所(駐日台北経済文化代表事務所、同横浜支所、同那覇支所、同札幌支所、台北経済文化大阪事務所及び同福岡支所)若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族が定められている。
  5. ^ 特別永住者には、在留カードに代わって「特別永住者証明書」(在留カードと同じ形状、ほぼ同じデザイン)が交付される。
  6. ^ 外国人登録制度においては、不法滞在者についても登録の対象となっていた。しかし、新しい在留管理制度においては対象とならない。
  7. ^ この「地域」とは具体的には、台湾ヨルダン川西岸地区ガザ地区である(出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの地域を定める政令)。
  8. ^ 出入国管理及び難民認定法19条2項「法務大臣は、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者から、法務省令で定める手続により、当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動の遂行を阻害しない範囲内で当該活動に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行うことを希望する旨の申請があつた場合において、相当と認めるときは、これを許可することができる。この場合において、法務大臣は、当該許可に必要な条件を付することができる。」。

関連項目

外部リンク