国道23号

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一般国道
国道23号標識
国道23号
地図
地図
総延長 244.8 km
実延長 244.8 km
現道 213.8 km
制定年 1952年昭和27年)
起点 愛知県豊橋市
西八町交差点(北緯34度46分3.7秒 東経137度23分25.8秒 / 北緯34.767694度 東経137.390500度 / 34.767694; 137.390500 (西八町交差点)
主な
経由都市
愛知県蒲郡市安城市刈谷市
名古屋市
三重県桑名市四日市市津市
松阪市
終点 三重県伊勢市
伊勢神宮内宮前(北緯34度27分35.2秒 東経136度43分19.8秒 / 北緯34.459778度 東経136.722167度 / 34.459778; 136.722167 (伊勢神宮内宮前)
接続する
主な道路
記法
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路
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国道23号起点
愛知県豊橋市 西八町交差点
国道23号終点
三重県伊勢市 伊勢神宮内宮前[1]

国道23号(こくどう23ごう)は、愛知県豊橋市から名古屋市を経由して、三重県伊勢市に至る一般国道である[2]

概要

起点の豊橋市から、愛知県西三河地区や尾張地区の西側を通行し、その後、名古屋港伊勢湾に沿うような経路を取り、中京工業地帯の代表的な工業都市である三重県四日市市、三重県の県庁所在地である津市などを経て、終点の伊勢市に所在する伊勢神宮とを結ぶ路線である。三重県では主要都市をほぼ網羅する形で結んでいるため、県内の大動脈の役割を果たす。

起点から四日市市にかけては、国道1号に並行しており、そのバイパスの役目を果たす。このうち、愛知県豊明市以西の区間(名四国道)については並行する国道1号が名古屋・桑名・四日市の各市街地以外は2車線区間(片側1車線)が多く混雑が激しいため、事実上のメインルートとして機能している。一方で豊明市以東は国道1号が全線4車線なのに対し国道23号(名豊道路)は一部区間が未開通で開通区間も暫定2車線区間が多いため、バイパスとしての機能は不十分である。

路線データ

一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 1]に基づく起終点および重要な経過地は次のとおり。

歴史

国道23号の四日市 - 伊勢間は、東海道から日永の追分(現・三重県四日市市追分)で分岐して伊勢神宮へ向かう街道(伊勢街道参宮街道)として、江戸時代から賑わってきた道を継承するものである[6]。その歴史は古く、皇室ゆかりの伊勢神宮へ続く信仰の道でもある[6]。平安時代までは、伊勢神宮に参るのは皇族のみとされてきたが、徐々に伊勢神宮信仰は広がりを見せ、室町時代には一般庶民も参詣するようになった。15世紀ごろには、桑名から日永の18 kmほどの間に関所が60か所も設けられ、通行料を徴収していたという[6]。江戸時代中期になると、庶民の間でお伊勢参りがブームとなり、伊勢街道沿線は経済的にも潤い、各地から情報や物資が集まる一大拠点にもなっていた[7]

明治時代に入るとお伊勢参りのブームは沈静化するが、代わって伊勢神宮は国家神道の聖地に祭り上げられることとなり、1885年明治18年)内務省告示第6号「國道表」にて、国道9号「東京より伊勢宗廟に達する路線」として指定された[7]。さらに国家主義軍国主義が強まった大正時代には、1920年大正9年)施行の旧道路法に基づく路線認定で、国道1号「東京市より神宮に達する路線」となり、名実ともに日本を代表する幹線道路となった[1][8]

昭和時代に勃発した太平洋戦争1945年昭和20年)に終戦を迎えると、これまでの大正国道は廃止され、国道1号は東京 - 大阪間の東海道に譲ることになる[9]。これまで大正国道1号だった道路は、本来の伊勢街道だった区間が切り離されて分離独立し、1952年(昭和27年)12月4日の新道路法に基づく路線指定で、「一級国道23号」(三重県四日市市 - 三重県宇治山田市(現・伊勢市))として指定される[1][9]

1965年(昭和40年)4月1日に、道路法改正によって一級・二級の別がなくなり、すべての路線が一般国道に統合されることになったため「一般国道23号」となった。

愛知県豊橋市 - 三重県四日市市間は、昭和30年代から始まった交通渋滞緩和のために国道1号バイパスとして名豊道路(豊橋 - 豊明間)、名四国道(名四バイパス、豊明 - 四日市間)、鈴鹿バイパス(四日市 - 鈴鹿間)[10]が相次いで建設されたもので、当初は国道1号とされた[11][12]。結局この区間は、1975年(昭和50年)4月1日に一般国道1号バイパスの豊橋市 - 豊明市間を一般国道23号として整備することとなり、豊橋市 - 幸田町の国道247号国道248号、額田郡幸田町 - 西尾市 - 知立市の主要地方道、豊明市 - 四日市市間の名四国道を国道23号に編入し、国道23号は愛知県豊橋市 - 三重県伊勢市となった[11]。その名残として四日市付近の国道23号には、東京からの距離を示すキロポストが立っている[13]

毎年11月に行われる全日本大学駅伝対校選手権大会(熱田神宮西門 - 伊勢神宮内宮前/8区間・106.8 km)はコースのほとんど、実に70 kmを使っており、季節の風物詩になっている。

路線状況

豊橋東バイパス
愛知県豊橋市寺沢町

国道23号は、豊橋市・豊田市・名古屋市・四日市市など伊勢湾岸を周回し、中京工業地帯を結ぶ陸上交通路の大動脈として機能を担っている[13]。また、伊勢湾岸地域の高速自動車国道を除いた国道の中でもっとも交通量のある道路で、産業道路としての役割を果たしている[11]名四国道(名四バイパス)は、高速道路に劣らない規格で作られた2 - 6車線の道路で、昼夜を問わずトラックなどの大型車が多く通行しており、スピードを飛ばしている車が多い[14]。四日市 - 伊勢神宮間は、伊勢街道部分の旧道に代わって中勢バイパスが並走しており、整備が進められている。

距離標(キロポスト)は、豊橋東バイパスと豊橋バイパス豊橋市細谷町(豊橋東IC)から、岡崎バイパスと知立バイパス、名四国道は東京都中央区日本橋から、四日市から伊勢(終点)までは四日市市塩浜・大里町交差点(国道25号交点)からがそれぞれ起点となっており、大里町交差点をオーバーパスする地点でキロポストは「0km」にリセットされ伊勢神宮内宮前の「70.9km」まで続く。これはこの地点を起点としていたころの名残である。

一般国道は、道路法の規定により起点と終点がほかの国道や港湾・空港に接続して交通網を形成することが普通であるが、国道23号では、終点が他の国道とはつながらず伊勢神宮内宮の前で終わるため、全国に459本ある一般国道の中でも非常に珍しい路線となっている[6]。これは道路法第5条の4で、「国際観光上重要な地」と幹線国道を結ぶ道路が国道になりうると規定されているので、国道23号もこの条項に該当するものと解釈されている[注釈 4][13]

バイパス

名四バイパス(名四国道)の道路の通称名の標識
愛知県名古屋市内
名四バイパス竜宮IC付近)
愛知県名古屋市南区七条町
南勢バイパス
三重県伊勢市中村町

通称

重複区間

国道248号との重複
愛知県額田郡幸田町深溝
  • 国道247号(愛知県豊橋市・日色野町交差点 - 蒲郡市・競艇場西交差点)
  • 国道248号(愛知県蒲郡市・競艇場西交差点 - 額田郡幸田町・深溝愛宕山交差点)
  • 国道42号(三重県松阪市・西黒部町1交差点 - 伊勢市・通町IC交差点)

道路施設

橋梁

道の駅

地理

終点、伊勢神宮内宮付近
三重県伊勢市宇治浦田

通過する自治体

交差する道路

バイパスのうち、豊橋市内の豊橋東バイパス豊橋バイパスを除く。それぞれの接続路線については各記事を参照。

愛知県
三重県

ギャラリー

脚注

注釈

  1. ^ 一般国道の路線を指定する政令の最終改正日である2004年3月19日の政令(平成16年3月19日政令第50号)に基づく表記。
  2. ^ 2005年1月1日松阪市・飯南郡飯南町・飯高町・一志郡嬉野町と合併し、新・松阪市が発足。
  3. ^ a b c d e f g 2022年3月31日現在
  4. ^ 一般国道の路線の同様の例では、日光東照宮前を起点とする国道119号国道120号と、国営沖縄記念公園前を起点とする国道449号国道505号がある[13]

出典

  1. ^ a b c 「みちのものがたり 伊勢街道(三重県) 聖域と接続した旧国道1号」朝日新聞2016年6月18日付朝刊、週末be6ページ
  2. ^ 佐藤健太郎 2015, pp. 126–131.
  3. ^ 一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2019年10月26日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況” (XLS). 道路統計年報2023. 国土交通省道路局. 2024年4月2日閲覧。
  5. ^ 一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2012年10月26日閲覧。
  6. ^ a b c d 佐藤健太郎 2015, p. 128.
  7. ^ a b 佐藤健太郎 2015, p. 129.
  8. ^ 佐藤健太郎 2015, pp. 129–130.
  9. ^ a b 佐藤健太郎 2015, p. 130.
  10. ^ 北勢国道事務所 50年のあゆみ一|般国道23号 鈴鹿バイパス北勢国道事務所、平成25年11月発行。2020年4月24日閲覧
  11. ^ a b c 浅井建爾 2015, p. 93.
  12. ^ 佐藤健太郎 2015, pp. 130–131.
  13. ^ a b c d 佐藤健太郎 2015, p. 131.
  14. ^ 佐藤健太郎 2015, pp. 129, 131.
  15. ^ 新規事業採択時評価結果(令和2年度新規事業化箇所)” (PDF). 国土交通省道路局. 2020年4月23日閲覧。

参考文献

  • 浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3 
  • 佐藤健太郎『国道者』新潮社、2015年。ISBN 978-4-10-339731-1 

関連項目

外部リンク