回文数
回文数(かいぶんすう)とは、なんらかの位取り記数法(n進法)で数を記した際、たとえば十進法において14641のように逆から数字を並べても同じ数になる数である。同様の言葉遊びである回文にちなむ名前である。
回文数は、趣味の数学の分野ではよく研究の対象になる。代表的なものとしては、ある性質を持った回文数を求めることがある。以下のようなものがよく知られている。
バックミンスター・フラーは著書の中で、回文数を「シャハラザード数」とも呼んでいる。これは、『1001夜物語』(1001も回文数である)のヒロインの名にちなんでいる。
定義
任意の整数 n > 0 は、b 進法(ただし、b ≧ 2)の位取り記数法により k + 1 桁の数字として以下の式で一意的に表すことができる。
- ただし、任意の i に対し 0 ≦ ai < b, ak ≠ 0
n が回文数になるのは、任意の i に対して ai = ak−i が成り立つときである。また、0は何進法においても回文数である。
十進法における回文数
すべての1桁の数は回文数である。即ち、1桁の回文数は以下の10個である。
2桁の回文数は以下の9個である。
3桁の回文数は90個ある。
- 101, 111, 121, 131, 141, 151, 161, 171, 181, 191, … 909, 919, 929, 939, 949, 959, 969, 979, 989, 999
4桁の回文数は90個ある。
- 1001, 1111, 1221, 1331, 1441, 1551, 1661, 1771, 1881, 1991, ..., 9009, 9119, 9229, 9339, 9449, 9559, 9669, 9779, 9889, 9999
主な回文数の個数
最大桁数 | 1桁 | 2桁 | 3桁 | 4桁 | 5桁 | 6桁 | 7桁 | 8桁 | 9桁 | 10桁 |
総数 | 10 | 19 | 109 | 199 | 1099 | 1999 | 10999 | 19999 | 109999 | 199999 |
偶数 | 5 | 9 | 49 | 89 | 489 | 889 | 4889 | 8889 | 48889 | 88889 |
奇数 | 5 | 10 | 60 | 110 | 610 | 1110 | 6110 | 11110 | 61110 | 111110 |
平方数 | 3 | 6 | 13 | 14 | 19 | |||||
素数 | 4 | 5 | 20 | 113 | 781 | 5953 | ||||
平方数を約数として持たない数 | 6 | 12 | 67 | 120 | 675 | |||||
平方数を約数として持つ数(μ(n)=0) | 3 | 6 | 41 | 78 | 423 | |||||
素数の平方 | 2 | 3 | 5 | |||||||
偶数個の素数の積(μ(n)=1) | 2 | 6 | 35 | 56 | 324 | |||||
奇数個の素数の積(μ(n)=-1) | 5 | 7 | 33 | 65 | 352 | |||||
2つの素数の積 | 3 | 7 | 36 | 50 | 269 | |||||
3つの素数の積 | 1 | 4 | 26 | 58 | 295 | |||||
カーマイケル数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1以上 | ||||
約数の和(σ(n))も回文数になる | 6 | 10 | 47 | 114 | 688 |
十進法以外
ここまでの節で扱ったものは全て十進法における回文数であるが、十進法以外でも任意の位取り記数法において回文数は存在する。例えば二進法の回文数は
0, 1, 11, 101, 111, 1001, 1111, 10001, 10101, 11011, 11111, 100001, …
となる。メルセンヌ数やフェルマー数は、二進法における回文数に含まれる。
多くの場合、十進法での回文数は他の記数法においては回文数にはならないし、他の記数法での回文数は十進法では回文数にならない。例えば十進法の16461は、十六進法では404Dとなる。
しかし、複数の記数法において回文数になる数も存在する。例えば十進法における105は、四進法(1221)・八進法(151)・十四進法(77)・二十進法(55)・三十四進法(33)で回文数となる。また、十進法における1991は十六進法(7C7)でも回文数となる。
任意の数字 n は、b進法(ただし、b≧n+1 又は b=n-1)において回文数となる。2≦b≦n-2 であるすべてのb進法において n が回文数にならないとき、n をstrictly non-palindromic number と呼ぶ。
十八進法において、7の累乗のいくつかは回文数になる。
73 = 111 74 = 777 76 = 12321 79 = 1367631
すべての記数法において、回文数は無限に存在する。例えば、
- 1, 11, 101, 1001, 10001, …
- 1, 11, 111, 1111, 11111, …
などは回文数である。