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(く、英語:phrase)とは、あるいは統語論的に分析した際の単位となるもので、機能的にと等価であるが複数の語からなるものをいう。

概要

英語などでは、文に相当する単位(主語述語動詞)を含む節とは明確に区別できるが、日本語では必ずしも明確ではない。国語文法では節に近いものを句と呼ぶ場合もある。

たとえば "the house at the end of the street"(1) は句であって、名詞と同じように機能する。さらにこれは "at the end of the street"(2) という句を含み、これは "the house" を修飾する形容詞と同じように機能する。句(2)は形容詞 "white" で置き換えて、 "the white house" という句に変えることができる。またさらに句(2)は名詞のように機能する句 "the end of the street"(3) を含む。これはたとえば "the cross-roads" で置き換えて "the house at the cross-roads" という句にできる。日本語の場合も、語順の違いなどはあるがほぼ同じように分析できる。

種類

句は、それを文のほかの部分につなぐ語を含み、これを主要部または主辞 (head) という。英語では主要部は句の最初の単語であることが多い。日本語では普通最後の単語が主要部になる。句はその主要部のタイプによって分類できる。すなわち句はその主要部に由来する統語的性質を有する統語的構造である。

  • 前置詞句 (prepositional phrase: PP)
前置詞を主要部とする(in love, over the rainbow など)。日本語など後置詞助詞)をもつ言語では代わりに後置詞句(postpositional phrase: PP)となる。両方合わせて接置詞句ともいう。
  • 名詞句 (noun phrase: NP)
名詞を主要部とする句である(the black cat, a cat on the mat など)。
  • 動詞句 (verb phrase: VP)
動詞を主要部とする(eat cheese, jump up and down など、動詞に目的語補語副詞をつけたもの)。
  • 形容詞句 (adjectival phrase: AP)
形容詞を主要部とし、名詞句を修飾する(full of toys など)。日本語でこれに対応するのは連体詞句である。
  • 副詞句 (adverbial phrase: AdvP)
副詞を主要部とし、動詞句を修飾する(very carefully など)。

たとえば "the house at the end of the street" は名詞句である。その主要部は "house" で、句の統語的性格はその主要部に由来する。またこの句は前置詞句 "at the end of the street" を含み、これは修飾語として機能する。"at the end of the street" は他の修飾語、たとえば "white" に置き換えて "the white house" とすることができる。さらに前置詞句 "of the street" は "end" の補語として働く。いずれの句にも主要部があり統語的性格を決定する。

英語の動詞句と前置詞句に関しては、句への区切りが紛らわしいことがある。たとえば "at his house" はそれだけでは「彼の家で(に)」という意味の前置詞句になる。"drop in at his house"「彼の家に立ち寄る」は動詞句 "drop in" と前置詞句 "at his house" に分けられ、意味的にも「彼の家に」と「立ち寄る」の合成である。ところが "look at his house"「彼の家を見る」は同様に動詞 "look" と前置詞句 "at his house" に分けると意味が不明になる。また "at his house" を他の前置詞句 "in front of his house" に置き換えても意味をなさない。すなわち "look at" で動詞句(句動詞)としなければならない。

また、形式的には句のようにみえるが意味論的には合成語とした方がよいものもある。たとえば "women's magazines" は名詞句の形をしているが、独自の意味を持つ語彙素(女たちの所持している雑誌ではなく、一般の女性のための雑誌)である。

日本語では文の単位として文節が用いられるが、文節と句との区切りは必ずしも一致しない。たとえば「私の手紙を読みました」は、文節としては「私の-手紙を-読みました」と区切られるが、句としては名詞句「私の手紙」という区切り方が必要である。

関連事項