反対俥

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反対俥」(はんたいぐるま)は古典落語の演目の一つ。上方では「いらち俥」という演目名で演じられ桂文屋の作とされる。主な演者に8代目橘家圓蔵桂雀三郎などがいる。

あらすじ

男が終電の時間までに上野駅に行きたいと思い、車屋[1]を探していると、ちょうどいいところに一人の車屋が見つかる。しかし、この車屋、人力車は酷くオンボロで先頭の提灯は近くの稲荷神社から盗んだものであり、おまけに車屋自身もついさっきまで心臓病で入院しており、医者の制止も聞かずに治療費のために働いているといういつ死んでもおかしくないようなやつであったため、目的地まで行けないばかりか、乗車代だけをムダに取られてしまう。

タチの悪い半病人から解放されたはいいが、終電の時間が迫っているためより速い車屋を探す必要が出てきたところへ今度は捻り鉢巻を締めた見るからに速そうな車屋が捕まったため、今度は男はこの車屋の世話になる。しかしこの車屋、曲がったことが嫌いだからとどんな障害物があっても直進するため、男はぶつからないように車から何度もジャンプする羽目になる。そんなこんなで着いたはいいが、目的地はとっくに通り過ぎいつの間にか仙台まで来てしまっていた。男が目的地は上野駅だと伝えるとこれまでにないような速さで戻ってはくれたが。当然終電の汽車はもう出てしまっていた。男が文句を言うと車屋は「大丈夫です、始発には間に合いますから」と言うのであった。

噺家に求められる体力

この噺は、2人目の車屋のくだりで何度もジャンプをしなければならないため、体力の衰えた噺家には出来ず、演者が若い時にしか出来ない噺である。しかし、この噺には前座レベルでは表現するのが難しい描写があるため、演じることができる噺家もかなり限られているのも現実である。

注釈

  1. ^ 人力車を引いて客を目的地まで連れて行く仕事で、現代で言うところのタクシーのことをさす。