勾当台公園

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勾当台公園
勾当台通側から見た勾当台公園「いこいのゾーン」。奥のビルは、宮城県庁舎およびドコモ東北ビル2007年5月)
分類 都市公園 > 基幹公園 > 住区基幹公園 > 近隣公園
所在地
宮城県仙台市青葉区本町3丁目9から8、および、国分町3丁目7
座標 北緯38度16分0.8秒 東経140度52分18.8秒 / 北緯38.266889度 東経140.871889度 / 38.266889; 140.871889座標: 北緯38度16分0.8秒 東経140度52分18.8秒 / 北緯38.266889度 東経140.871889度 / 38.266889; 140.871889
面積 2.6 ha
設計者 東京ランドスケープ研究所
設備・遊具 野外音楽堂、多目的広場、非常時ヘリコプター離着陸場、キオスク園芸店、地下鉄出入口
噴水、彫像、ベンチ、水飲み場、植栽、照明灯
駐車場 勾当台公園地下駐車場 など
バリアフリー バリアフリー公衆トイレ
アクセス 仙台市地下鉄南北線勾当台公園駅直結
東日本旅客鉄道仙台駅西口より徒歩15分
告示 1956年昭和31年)
備考 市民広場でのイベント開催日数は、土日を中心に例年200日以上[1]
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宮城県庁舎最上階の展望ホールから南側の眺望(2009年7月)。写真右下に勾当台公園の「いこいのゾーン」と「にぎわいのゾーン」が写っている。
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勾当台公園(こうとうだいこうえん)は、宮城県仙台市青葉区本町および国分町にある都市公園である。周辺には宮城県庁仙台市役所・国の出先機関などの公的機関と、公共事業関連の企業が集積している。

歴史[編集]

「勾当台」の名称は、仙台藩藩祖伊達政宗が寵愛した盲目狂歌師・花村勾当の屋敷があったこと、また、広瀬川河岸段丘により、江戸時代仙台城城下町の中心部(芭蕉の辻)側から見て園内の一部がやや高台になっていることに由来する[2]。「勾当台」は現在「こうとうだい」と読むが、江戸時代には「こどのでえ」と読んだ(仙台弁#仙台弁の地名・固有名詞参照)。

江戸時代の1761年宝暦11年)、藩校養賢堂」が当地に移転してその後も拡張を続けたため、当地は仙台藩の学問の中心地となった。また、仙台城の鬼門を守る定禅寺もあり[† 1]定禅寺通の名の由来となった。

明治時代になると、1871年明治4年)の廃藩置県で藩の庇護が無くなった養賢堂諸施設の建物および跡地は、仙台県庁舎(県名変更で後に初代宮城県庁舎)、宮城師範学校、宮城書籍館(現・宮城県図書館)、商品陳列所、宮城県警察部諸施設、度量衡検査所仙台区役所(市制施行後は仙台市役所)等に転用された。また、同様に藩の庇護が無くなり、廃仏毀釈の影響もあって1873年(明治6年)に廃寺となった定禅寺の跡地は、仙台鎮台病院(→仙台衛戍病院→仙台陸軍病院と改称)になった。このように当地は、明治維新により公的機関の集積地へと一変する。

1945年昭和20年)7月10日仙台空襲により、当地にあった建物はほとんど焼き尽くされた。戦後復興期1946年(昭和21年)に当地を公園として整備する都市計画が決定[3]。宮城県図書館が度量衡検査所跡地に移転・新築された他は、ほとんどが公園として整備され、都市公園法が公布された1956年(昭和31年)に勾当台公園として開園(後に宮城県図書館は園外に移転)。仙台市地下鉄南北線の開業に合わせて勾当台通が付け替えになると、1989年平成元年)の仙台市の市制100周年および政令指定都市移行に合わせて当園もリニューアルされ、全国都市緑化フェア'89グリーンフェアせんだい」の第二会場として再開園した。

現在の勾当台公園には、仙台市役所・宮城県庁・定禅寺通・勾当台通・東二番丁通などが隣接する。市役所の噴水を含む庭園や、宮城県庁の植栽、定禅寺通などの並木道に囲まれた勾当台公園は、「杜の都・仙台」を代表する都市空間を形作っている。また、定禅寺通等と並んで、仙台市都心部における都市イベントの開催地となることが多く、仙台の重要な集客装置の1つともなっている。

リニューアル前とリニューアル中の勾当台公園
1975年度(昭和50年度)撮影の国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
写真中央に勾当台通クランク解消前の勾当台公園(後に当園「にぎわいのゾーン」の一部および「いこいのゾーン」となる)が写っている。
その他、写真左上に仙台市役所、その下に駐車場(後に当園「にぎわいのゾーン」の市民広場となる)、中央上に高層ビル化前の宮城県庁舎、写真右下の錦町公園内には1998年(平成10年)まで存在した仙台市レジャーセンター、その左上に同1975年新築移転して改称したばかりのホテル仙台プラザなどが写っている。なお、当写真は仙台市電の営業最終年度に撮影されており、定禅寺通の勾当台通より東側の併用軌道区間には現在のような街路樹が植栽された中央分離帯が無い。
1984年度(昭和59年度)撮影の国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
当園では、仙台市地下鉄南北線の建設に伴う勾当台通のクランク解消工事が行われている。
なお、仙台市電廃止により、県庁市役所前駅も廃止されている。

園内構成[編集]

いこいのゾーン[編集]

仙台上町段丘面から見下ろした「いこいのゾーン」(2007年5月)

住所は青葉区本町3丁目9-2(北緯38度16分0.8秒 東経140度52分18.8秒 / 北緯38.266889度 東経140.871889度 / 38.266889; 140.871889 (いこいのゾーン))。旧来からの勾当台公園の区域で、ヒマラヤシーダーで四方が囲まれていた[† 2][† 3]1986年(昭和61年)に勾当台通(旧・国道4号・旧・国道48号)の付け替えに伴い、敷地西側が道路になったため、現在西側にヒマラヤシーダーはなく、勾当台通に開けた形になっている。

敷地は平行四辺形をしており、辺とほぼ平行に南北に河岸段丘段丘崖が通っている[† 4][† 5]。宮城県庁寄りの東側が一段高い仙台上町段丘、勾当台通寄りの西側が一段低い仙台中町段丘となっており、両者の間の段丘崖は、段差を利用した滝噴水や階段、および植栽になっている。また、段丘崖下に沿って四ツ谷用水復元水路が流れる。

仙台上町段丘上
仙台中町段丘上

歴史のゾーン[編集]

養賢堂を転用した(初代)宮城県庁舎の1881年明治14年)当時の様子。絵の左下を斜めに通る勾当台通と庁舎との間が現在「歴史のゾーン」になっている。

住所は青葉区本町3丁目8(北緯38度16分5.5秒 東経140度52分14.1秒 / 北緯38.268194度 東経140.870583度 / 38.268194; 140.870583 (歴史のゾーン))。表小路の東に続く坂道[† 6]を挟んで「いこいのゾーン」の北側にあり、勾当台通を挟んで西側には仙台市役所北一番丁を挟んで北側には青葉区役所がある。江戸時代には、仙台藩藩校養賢堂」(明治時代に初代・宮城県庁舎として使用)があった。

敷地は南北に長い不正形で、勾当台公園の3つのゾーンの中で最も狭い。仙台中町段丘面にあり、東側の現在の宮城県議会議事堂および宮城県庁舎がある仙台上町段丘との間に、その境界ともなる段丘崖が南北に通っている。段丘崖下に沿って四ツ谷用水復元水路が流れる。

にぎわいのゾーン[編集]

住所は青葉区国分町3丁目7(北緯38度16分0.6秒 東経140度52分14.2秒 / 北緯38.266833度 東経140.870611度 / 38.266833; 140.870611 (にぎわいのゾーン))。勾当台通を挟んで「いこいのゾーン」の西側にあり、表小路[† 7]を挟んで北側には仙台市役所がある。敷地はL字型をしており、付け替え前の勾当台通の部分が、南北に細長く定禅寺通まで延びて円形公園などが設置され、市役所前の部分に市民広場がある[† 8]。以前の勾当台公園の西端に当たる円形公園の東側には、当時から植えられていたヒマラヤシーダーが数本残る。市民広場の地には、江戸時代には養賢堂の施設があり、廃藩置県後に県会議事堂が設置されたりしたが、従前には平面駐車場として利用されていた[† 9]。市民広場となった現在は、地下に駐車場および駐輪場が設置されており、車の出入庫口は西側、二輪車および人の出入口は南側にある。市民広場完成の際、広場中央に設置された街灯は後に撤去され、2003年(平成15年)12月1日からヘリコプター緊急離着陸場として運用されている[4][† 10]

このゾーンにある市民広場は、仙台市都心部で開かれる都市イベントの開催地として、一番町定禅寺通と共に利用が多く、仙台の代表的な屋外集客装置となっている。なお、市民広場を会場とするイベントでは、一般に「勾当台公園市民広場」と案内されるが、仙台市主催イベントの場合は「仙台市役所前市民広場」と案内される。

市民広場(北緯38度16分1.2秒 東経140度52分12.3秒 / 北緯38.267000度 東経140.870083度 / 38.267000; 140.870083 (市民広場)
  • ステージ(車椅子用スロープあり)
  • 広場(石畳。非常時ヘリポート
  • 勾当台公園地下駐車場(7:30~22:30。245台収容。100/20[7]
  • 勾当台公園地下駐輪場(24時間。自転車:50円/日、バイク:100円/日[8]
  • 勾当台路上自転車等駐車場(24時間。2時間まで無料、以降有料[9]
円形広場(北緯38度15分59.3秒 東経140度52分14.9秒 / 北緯38.266472度 東経140.870806度 / 38.266472; 140.870806 (円形広場)

LIVE+RALLY PARK[編集]

公共空間活用の国家戦略特区に指定されている仙台市が[10]、「東北の魅力を発信するモデル事業」の一環として、東北全体の交流人口の拡大や活性化を図ることを目的に、2018年(平成30年)3月17日、翌年1月中旬までの暫定プロジェクトとして、園内にLIVE+RALLY PARK(ライブラリーパーク)を開設した[11]

LIVE+RALLY PARKは、園内の一部エリア約1300平方メートルに、木造平屋のカフェ兼展示スペースとベンチ、テーブルを設置[12]。様々なイベントやワークショップを展開してきた。市ではイベントを主催した東北の各自治体等から好評の声が多数寄せられたことを踏まえ、同年12月、隣接するグリーンハウス勾当台に後継施設を常設する方針を明らかにした。LIVE+RALLY PARKは、2019年(平成31年)1月13日で営業を終了したが、市では同年3月に新たな運営事業者を公募し、同年8月の仙台七夕まつりをめどに、東北の食のアンテナショップと位置付ける後継施設をオープンさせたいとしている[13][14]

主な恒例イベント[編集]

定禅寺ストリートジャズフェスティバル in 仙台の勾当台公園「いこいのゾーン」噴水脇ステージの様子(2009年9月)
ハイウェイフェスタとうほく2014の会場(にぎわいのゾーン市民広場)入口(2014年8月)

※ 人数は、主催者発表の観客数(勾当台公園以外の観客数も含む場合は▽) ※ 音楽ステージが設けられる場合は★

祭り[編集]

音楽系イベント[編集]

テレビ局のイベント[編集]

公共団体主催のイベント[編集]

  • 国土交通省「道路フェア」
  • 経済産業省「ワク!ワク!!エネルギーふれあいタウン」
  • 環境省3R推進東北大会inせんだい」(仙台市「エコフェスタ」と同時開催)
宮城県
秋田県
山形県
  • 山形市「山形ふれあいマーケット」(年10回)
  • 東根市「果樹王国ひがしねフェスティバル ~ さくらんぼ種飛ばし 仙台グランプリ」
  • 尾花沢市「尾花沢の観光と物産市 in 仙台市勾当台公園」
  • 村山市「仙台村山交流フェスティバル『秋の味覚まつり』」(春は別の場所で開催)
  • 高畠町「伊達家のふるさと観光物産市」
  • 朝日町「山形県朝日町りんごキャンペーン」
福島県
北海道
  • 道南諸都市「函館・みなみ北海道グルメパークin仙台」(震災の影響で2012年(平成24年) - [21]
県際

各種団体のイベント[編集]

スポーツ系イベント[編集]

アクセス[編集]

地図

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 現在、定禅寺の敷地の大部分は、国の仙台合同庁舎および第二合同庁舎、そして、宮城県警察庁舎前の宮城県庁駐車場となっており、勾当台公園の園内となっている部分は参道と敷地の一部のみ。
  2. ^ [1]昭和40年代の勾当台公園と宮城県庁せんだいメディアテーク)… 上空から北向きに撮影
  3. ^ 1975年頃の勾当台公園と定禅寺通(せんだいメディアテーク)… 西向きに撮影
  4. ^ 終戦後の勾当台公園と宮城県庁(せんだいメディアテーク)… 仙台空襲によって樹木が焼失した園内を北向きに撮影。宮城県庁の旧庁舎がのる仙台上町段丘と、手前左側の一段低い仙台中町段丘。
  5. ^ 昭和30年代の勾当台公園(せんだいメディアテーク)… 南東向きに撮影。現在の滝噴水と階段になる前の段丘崖の植栽
  6. ^ 仙台市道青葉1176号・勾当台通外記丁線
  7. ^ 仙台市道青葉1173号・表小路線
  8. ^ 市民広場設置前の周囲の様子(1954年5月頃)(せんだいメディアテーク)(仙台市役所から東一番丁方向を見た写真。手前の更地が後の市民広場。勾当台通は付け替えられる前で、後に円形広場になる場所にあるクランク仙台市電が走る。なお、東一番丁に面する高いビルは、増床前の仙台三越
  9. ^ 市民広場が平面駐車場だった頃(せんだいメディアテーク)(手前の噴水は、現在の仙台市役所庁舎の前庭)
  10. ^ 2015年現在は運用についての記事は削除されており、仙台市の2014年(平成26年)8月1日付「消防ヘリコプター及び離着陸場等の概要・飛行場外離着陸場適地一覧表」[5]、及び宮城県の2013年(平成25年)8月6日付「防災ヘリコプター場外離着陸場の一覧表・飛行場外離着陸場」には掲載されていない[6]

出典[編集]

  1. ^ 提案型施設命名権導入重点施設 (PDF) (仙台市)
  2. ^ Sendai, 仙台市役所 City of. “道路の通称として活用する歴史的町名の由来(《勾当台通》)”. 仙台市役所 City of Sendai. 2022年5月13日閲覧。
  3. ^ 建設局主要事業等年表” (PDF). 仙台市 建設局. 2011年5月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月27日閲覧。
  4. ^ 勾当台公園市民広場を非常時のヘリコプター離着陸場に改修”. 仙台市消防局 (2003年11月25日). 2007年8月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月27日閲覧。
  5. ^ 消防ヘリコプター及び離着陸場等の概要” (PDF). 仙台市. 2015年5月27日閲覧。
  6. ^ 防災ヘリコプター場外離着陸場の一覧表”. 宮城県公式ウェブサイト. 2015年5月27日閲覧。
  7. ^ 仙台市勾当台公園地下駐車場・仙台市二日町駐車場のご案内”. くらしのガイド. 仙台市. 2015年5月27日閲覧。
  8. ^ 自転車・バイク・駐輪場”. くらしのガイド. 仙台市. 2015年5月27日閲覧。
  9. ^ 路上駐輪場”. くらしのガイド. 仙台市. 2015年5月27日閲覧。
  10. ^ 『新建築』2018年5月号
  11. ^ “仙台・勾当台公園に「ライブラリーパーク」 東北の魅力発信、交流人口拡大へ”. 仙台経済新聞. (2018年3月20日). https://sendai.keizai.biz/headline/2566/ 2019年1月12日閲覧。 
  12. ^ “東北の新しい魅力発信 仙台・ライブラリーパーク完成”. 河北新報. (2018年3月18日). https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201803/20180318_13047.html 2019年1月12日閲覧。 
  13. ^ “東北発信の拠点、常設へ 仙台・勾当台公園「ライブラリーパーク」食にフォーカスし来夏開設”. 河北新報. (2018年12月19日). https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181219_11005.html 2019年1月12日閲覧。 
  14. ^ “ライブラリーパーク一時閉鎖 仙台市、来年度に新装オープン”. 産経ニュース. (2019年1月9日). https://www.sankei.com/article/20190109-ZHLWAJYQONI7NDRMYKSBHJDMJA/ 2019年1月12日閲覧。 
  15. ^ ハイウェイフェスタとうほく2014 開催レポート”. 2014年12月21日閲覧。
  16. ^ 仙台・勾当台公園で「TBC夏まつり」-ジェロさんやサンドウィッチマンも”. 仙台経済新聞 (2009年6月26日). 2014年12月21日閲覧。
  17. ^ 2013 KHBまつり”. KHB東日本放送. 2014年3月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月20日閲覧。
  18. ^ 仙台放送まつり2015 仙台万博”. 仙台放送. 2015年5月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月27日閲覧。
  19. ^ 地産地消イベント「みやぎまるごとフェス」-勾当台公園などで開催へ(仙台経済新聞 2009年10月13日)
  20. ^ 事務局からのお知らせ 平成14年度(日本筋ジストロフィー協会宮城県支部)
  21. ^ 函館・みなみ北海道グルメパークin仙台 開催のご案内(2010年12月)
  22. ^ 仙台・勾当台公園で旧車ミーティング-50~80年代の名車が集結(仙台経済新聞 2010年4月14日)
  23. ^ 勾当台公園市民広場で「食肉まつり」-県産黒毛和牛など無料振る舞い(仙台経済新聞 2013年6月11日)
  24. ^ 第1回 タイフェスティバル in 仙台(タイフェスティバルズ)
  25. ^ タイフェスティバル in 仙台2014(タイフェスティバルズ)


関連項目[編集]

外部リンク[編集]