剣ヶ峰

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本項では、剣が峰剣ヶ峰剣ヶ峯、および、剣峰について解説する。

概説

剣ヶ峰
富士山頂である剣ヶ峰
乗鞍岳最高峰である剣ヶ峰(左端)
鳥取県の大山の頂きである剣ヶ峰

剣が峰(けんがみね)は、火山噴火口の周縁が原義であり[1][2][3][4]、特に富士山の山頂を指す名称[1][2][3]であった。日本に複数存在する(山岳で、周囲より高まっている部分。頂き)やの名前としての剣ヶ峰(けんがみね)および剣ヶ峯(けんがみね)は、古くからあった呼称から、あとあと名付けられたものと考えられる。

剣ヶ峰・剣が峰・剣ヶ峯

剣ヶ峰(けんがみね。※剣が峰と書く研究者も多い[5])は、日本に複数存在する(山岳で、周囲より高まっている部分。頂き)やの名前である[6]

異地同名と区別するために、「富士山剣ヶ峰」など「○○剣ヶ峰」という形をとって呼ばれる場合もある。

剣ヶ峰等の一覧

剣が峰

相撲用語

山の「剣が峰」より転じて生まれた相撲用語剣が峰」は、ここを境にして体(たい)が残るか否かで勝敗が分かれる土俵際(どひょうぎわ)の、特に土俵の円周を形成するの一番高い所(上面)の呼称であり[1][2][3][7]、「剣が峰でこらえる」などと用いられる[8][2]

比喩表現

同じく山の「剣が峰」より転じた比喩表現として剣が峰(けんがみね。剣ヶ峰とも書く)があり、「それ以上少しの余裕も無い、ぎりぎりの状態」「絶体絶命」や[2][3]、「成否の決する瀬戸際」[2]という意味を持つ。また、慣用句としては「剣が峰に立つ」あるいは「剣が峰に立たされる」という形になり、「足がかりが無く、もう後の無い状態になる」という意味で使われる[1][2]。これはまさに山の剣ヶ峰に立つことを想定した比喩であり、もう後が無く、いつ墜ちてもおかしくない状態にあって、そこを踏み堪えられるか否かで生死が決まる瀬戸際にあることに基づいた表現である。「首相は剣が峰に立つ思いで厳しい外交局面に臨んだ」、「剣が峰の米国経済(剣が峰に立つ米国経済)」、「浮気がばれて、彼は剣が峰に立たされている」などと用いられる。

剣峰

山の「剣が峰」の意味での剣峰は、日本語では「けんがみね」と読むが、剣峰の名を持つ峰や山は、少なくとも現代では確認できない。 ただ、峠として、新潟県長岡市出雲崎町滝谷を結ぶ剣峰峠(けんがみねとうげ)の名が知られている。

中国語における剣峰は、雲南省景勝地である石林で地名として見ることができる。それは険しく切り立った峰のような形の巨岩であり、そういった形状をした夥しい数の岩群であるが、日本語の「剣ヶ峰」がそうであるように、「剣峰」は石林のものに限った地名でない可能性もある。

脚注

  1. ^ a b c d 広辞苑
  2. ^ a b c d e f g 大辞泉
  3. ^ a b c d 大辞林
  4. ^ "剣""刀"にまつわることば!”. ことばの宝船 - NHKアナウンスルーム(公式ウェブサイト). NHKオンライン (2012年8月6日). 2013年1月27日閲覧。
  5. ^ 研究者による用例
  6. ^ コンサイス日本山名辞典 (1992)、189頁
  7. ^ 小倉伸一著編『スポーツ用語辞典』(初版)三修社、2008年9月6日。ISBN 4-3840-1878-9 ISBN-13 978-4-3840-1878-3{{ISBN2}}のパラメータエラー: 無効なISBNです。 
  8. ^ 大相撲をもっと楽しく”. (公式ウェブサイト). 相撲博物館. 2013年1月27日閲覧。

参考文献

  • 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』(修訂版)三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1