列車交換

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列車交換の様子(北野駅)。左側の列車が停車し、右奥の列車の進入を待っている。右奥の列車は右側の線路に進入する
交換駅の配線例
列車運行図表では単線の場合交差の箇所(桃山駅)が列車交換を表す(西日本旅客鉄道奈良線

列車交換(れっしゃこうかん)とは、単線区間の停車場(駅または信号場)において列車同士が行き違い(離合)することである。旅客向けの車内放送などでは「列車の行き違い(行き合い)」などと言い換えがなされる。

概要

単線は複線と異なり2つ以上の列車を走行させるとそのままでは正面衝突してしまうため、途中に2つ以上線路を設置した部分(交換施設)を設け、そこで安全に行き違いを行うことにより、単線でも運行本数を増やすことができる。

単線区間で正面衝突を避けるためには確実に列車交換を行わなければならず、1つの閉塞区間に2つ以上の列車が進入することがないよう確実性・安全性の高い保安装置が必要となる。

交換施設の数が多いほど、その区間における列車の運行頻度を一定まで高めることができる反面、施設の維持管理やそれにかかる費用面では不利であり、また、メリットも複線のそれには及ばず、幹線や大都市近郊など一定以上の需要が確実である区間では複線化に取って代わられる。

一方、用地確保などの問題で複線化を行うことが困難な場合、1 - 2km程度の短い間隔で交換施設を設置し、交換施設の全てで列車交換を行うことによって極限まで本数を増やす路線もある。

乗務員が携帯する時刻表などには、列車の交換を意味する×印を記載している事業者がある[要出典]。これは列車運行図表上で、単線区間において列車交換する場合、ちょうど×印になるためであり、クロスとよばれる。

交換施設

交換施設は単線の途中において部分的に2線以上設けた場所、即ち列車交換を行う場であり、列車交換設備[1]離合設備[2]などとも呼ぶ。旅客扱いの有無によって信号場に分けられるが、このうち駅の場合は交換駅と呼ぶ。

  • (交換駅) - 貨物・旅客扱いのあるもの
  • 信号場 - 貨物・旅客扱いのないもの

保安設備

交換施設は単線区間での閉塞の分け目となるため、大半の交換施設はいくつかの保安設備を有する。設備は閉塞方式自動閉塞方式非自動閉塞方式かによって下記項目のように異なる[要出典]。近年に整備された交換施設では、安全側線などいくつかの設備が省略されていることもある(安全性の高い自動列車制御装置(ATC)の採用などによる)[要出典]

自動閉塞方式・非自動閉塞方式共通

※の設備は省略または他の設備が使用されることがある。

非自動閉塞方式のみ

以下の3つのものは連査閉塞式、連動閉塞式では用いられない。

一線スルー配線

特急などの優等列車が運転される路線の交換施設では、分岐器による急カーブがスピードアップの障害となる。このため、全列車の停車駅などの一部を除き一線スルー化が行われる。

交換駅の棒線化

棒線化された吉浜駅の配線。
以前は島式1面2線だったのを片方1線のみにしたため、ホーム前後でカーブが生じている。

交換施設を持たない駅を棒線駅といい、既存の交換施設を撤去することを棒線化という。かつては自動化や遠隔操作に関わる技術が確立されていなかったため、また、その当時の名残のため、交換施設を持つ各駅毎に係員を配置し、信号操作や進路操作を担当させる必要があった。このため、利用者や列車本数の減少などに伴う合理化を目的として、利用者の少ない駅が棒線化されることがある。ホームが1面1線しかないにもかかわらず、駅の前後の線路に一見不必要な緩く短いS字形(または逆S字形)カーブがある場合は、かつてその場所に分岐器があり、その駅に交換施設があった名残であることが多い。ただし、地形や用地の事情によるなど交換施設とは直接関係ないこともある。一度棒線化された交換施設そのものが復元されることは稀であるが、後年の複線化の際に、跡地や残存していた旧施設の一部が再活用される例はある)[要出典]

その他

西日本旅客鉄道(JR西日本)の米子支社では縁結びで知られる出雲大社への参拝での利用が多い伯備線の乗客からの指摘を受け、単線区間の駅などで列車が通過待ちや交換する際、これまで車掌が車内放送で使ってきた「行き違いのため停車します」というアナウンスを「待ち合わせのため停車します」に改めた[3]

脚注

  1. ^ ほくほく博士(北越急行)に用例あり。
  2. ^ 重大インシデント調査事例 (PDF) (運輸安全委員会)に用例あり。
  3. ^ “「列車放送:「行き違い」から「待ち合わせ」に変更」”. 毎日新聞. (2013年8月27日). オリジナルの2013年9月11日時点におけるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20130911232804/http://mainichi.jp/select/news/20130828k0000m040043000c.html 2014年12月14日閲覧。 

関連項目