内閣安全保障室

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内閣安全保障・危機管理室(ないかくあんぜんほしょう・ききかんりしつ)は、内閣官房組織令(政令)の規定に基づき、日本の内閣官房に設置されていた内部組織の一つである。

概要

前身は国防会議に設置された国防会議事務局である。類似の業務を担う部署として内閣総理大臣官房(総理府大臣官房)にも安全保障室が置かれ、警察防衛官僚出身者が両室の室長を兼務した。

両室とも1998年(平成10年)4月9日に名称の「安全保障」の部分を「安全保障・危機管理」に改めた。中央省庁再編に伴い2001年(平成13年)1月5日限りで廃止となり、その事務は新設された内閣官房副長官補、危機管理審議官以下の担当職員に引き継がれた。ただし、組織的な正式呼称がなくなり不便なため、マスコミ報道等では当該担当者集団の総称として「安全保障・危機管理室」を使ったり、担当職員は名刺に「旧安危」と便宜的に表記することがあった[1]

2014年(平成26年)1月7日に、国家の安全保障を一元的に掌る国家安全保障局が内閣官房に発足し、内閣官房副長官補が国家安全保障局の局次長を兼任することになり、内閣安全保障・危機管理室の組織廃止後も便宜的に使われていた「安全保障・危機管理室」や「旧安危」に代わり、新たに「事態対処・危機管理室」の名称が使われるようになった。

内閣官房と総理府の二つの安全保障室

両室の違いは、「国の安全」に関して、前者が閣議案件となるような国家的事項(他省庁の上に立った統一的な施策)を担当するのに対し、後者は省庁間の事務レベルの連絡調整と企画立案を担当するという点にあった。実際には室長以下多くの職員が両室の官職の併任発令を受けていた。

なお、内閣官房副長官に準ずるレベルの高官として内閣危機管理監が1998年4月1日に新設されたが、総理府への権限がなかったため前者のみその管理に服した。

内閣官房内閣安全保障室(内閣官房内閣安全保障・危機管理室)

  1. 閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整に関する事務のうち、次に掲げるものに関すること。
    1. イ 主として国の安全に係る事項
    2. ロ 国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処
  2. 安全保障会議に関すること。
  3. 内閣危機管理監の事務の整理に関すること。

内閣総理大臣官房安全保障室(内閣総理大臣官房安全保障・危機管理室)

  1. 各行政機関の事務の連絡に関する事務のうち次に掲げるものに関すること。
    1. イ 主として国の安全に係る事項
    2. ロ 国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処
  2. 他の行政機関の所掌に属しない事務のうち前号イ及びロに掲げるものに関するものを調査し、企画し、及び立案すること。

沿革

  • 1986年(昭和61年)7月1日 - 内閣官房組織令と総理府本府組織令の一部改正により、内閣官房の内部組織として「内閣安全保障室」が、内閣総理大臣官房の内部組織として「安全保障室」がそれぞれ設置される。
  • 1998年(平成10年)4月1日 - 内閣法の一部改正により、内閣官房に内閣危機管理監が新設される。
  • 1998年(平成10年)4月9日 - 内閣危機管理監の設置に合わせて内閣官房組織令と総理府本府組織令が一部改正され、両室はそれぞれ「内閣安全保障・危機管理室」、「安全保障・危機管理室」と改称される。併せて前者に危機管理総括審議官(定数1人)が新設される。
  • 2001年(平成13年)1月6日 - 中央省庁再編により両室は前日限りで廃止となり、新設された内閣官房副長官補3人のうちの1人が長官・副長官の指揮の下で安全保障・危機管理担当として事務を行うこととなる(国防以外の危機管理に関する部分については内閣危機管理監の指揮も受ける)。またこれを補佐する職として従前の危機管理総括審議官を廃して危機管理審議官(定数1人)が設置される。

歴代室長等

内閣官房の内閣安全保障・危機管理室の廃止後も同様の職責を負った内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)の一覧も、国家安全保障局発足時まで便宜的に記す。

代数 氏名 在任期間 前職 後職
内閣官房内閣安全保障室長【内閣審議官】
内閣総理大臣官房安全保障室長【総理府事務官】併任
1 佐々淳行 1986.7.1 - 1989.6.30 防衛施設庁長官(1986.6.10退職) 退職
2 依田智治 1989.6.30 - 1990.7.2 防衛庁長官官房
防衛庁参事官
防衛事務次官
3 米山市郎 1990.7.2 - 1991.10.18 防衛庁教育訓練局長
防衛庁参事官
防衛研究所
4 兒玉良雄 1991.10.18 - 1993.6.25 防衛施設庁長官 退職
5 坪井龍文 1993.6.25 - 1995.6.30 防衛研究所長 退職
6 三井康有 1995.6.30 - 1997.7.1 防衛庁長官官房長
防衛庁参事官
退職
7 江間清二 1997.7.1 - 1998.4.8 防衛庁長官官房長
防衛庁参事官
内閣官房内閣安全保障・危機管理室長
内閣総理大臣官房安全保障・危機管理室長
内閣官房内閣安全保障・危機管理室長【内閣審議官】
内閣総理大臣官房安全保障・危機管理室長【総理府事務官】併任
1 江間清二 1998.4.9 - 1998.11.20 内閣官房内閣安全保障室長
内閣総理大臣官房安全保障室長
防衛事務次官
2 伊藤康成 1998.11.20 - 2001.1.4 防衛庁長官官房長代理
防衛庁参事官
防衛庁長官官房付
→2001.1.6防衛施設庁長官
内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)
1 大森敬治 2001.1.6 - 2001.4.26 防衛施設庁長官 退職
→2005.1.28特命全権大使(在オマーン
2 2001.4.26 - 2003.11.19
3 2003.11.19 - 2004.4.1
4 柳澤協二 2004.4.1 - 2005.9.21 防衛研究所長 退職
5 2005.9.21 - 2006.9.26
6 2006.9.26 - 2007.9.26
7 2007.9.26 - 2008.9.24
8 2008.9.25 - 2009.08.11
9 西川徹矢 2009.8.11 - 2009.9.16 防衛省大臣官房長(2007.9.1退職)
→2009.5.1弁護士登録(第一東京弁護士会所属)
退職
→2011.12.1弁護士登録(第一東京弁護士会所属)
10 2009.9.16 - 2010.6.8
11 2010.6.8 - 2011.8.3
12 櫻井修一 2011.8.3 - 2011.9.2 防衛省運用企画局長(2011.8.2退職) 退職
13 2011.9.2 - 2012.12.26
14 2012.12.26 - 2013.7.2
15 髙見澤將林 2013.7.2 - (2014.1.6) 防衛研究所長(2013.7.1退職) 内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長
2014年1月7日の国家安全保障局発足により記載はここまでとする。

歴代国防会議事務局長

代数 氏名 在任期間 前職 後職
国防会議事務局長【総理府事務官】
- 廣岡謙二 1956.7.3 - 1957.7.31 警視総監(1947.6.9退職) (内閣)国防会議事務局長
国防会議事務局長
1 廣岡謙二 1957.8.1 - 1960.12.27 (総理府)国防会議事務局長 退職
→1963.7.12海外移住事業団理事長(となるべき者)
2 北村隆 1960.12.27 - 1967.7.28 防衛研修所長(1957.8.2退職) 退職
3 海原治 1967.7.28 - 1972.12.22 防衛庁長官官房長 退職
4 内海倫 1972.12.22 - 1976.12.10 防衛事務次官(1972.5.23退職) 退職
→1984.2.27人事官人事院総裁
5 久保卓也 1976.12.10 - 1978.11.1 防衛事務次官(1976.7.16退職) 退職
6 伊藤圭一 1978.11.1 - 1984.7.1 防衛庁防衛局長 退職
7 塩田章 1984.7.1 - 1986.6.30 防衛施設庁長官 退職
→1988.3.31地方職員共済組合理事(非常勤)

出典

関連項目