入浴剤

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入浴剤(にゅうよくざい)は、入浴の際に風呂の浴槽内の湯の中に投入する物質のこと。固体のもの、粉末のもの、液体のものがある。

入浴剤は大きく分けて、「天然の植物漢方薬」、「温泉成分を取り出したもの」、「無機塩類化合物」の3種類存在する。またこれらを組み合わせた入浴剤も存在する。

日本においては、法令上化粧品(浴用化粧品)、医薬部外品医薬品のいずれかとして扱われている。市販される製品の多くは医薬部外品に該当する[1]

由来

植物・漢方薬に由来するもの

入浴剤の歴史としては最も古い。薬草などを体の治療目的で風呂に投入して入浴が行われていた。特に、漢方薬と薬草を組み合わせたものは、薬湯などと称され、江戸時代には皮膚病の治療目的で処方されていた。

日本では、端午の節句菖蒲湯冬至の際に柚子を入れる柚子湯など、健康を願う風習として植物などを風呂に入れている。

大子温泉のりんご湯のように、温泉地の名物として、植物を風呂に入れる場合も存在する。

温泉成分に由来するもの

湯の花が代表的である。湯の花を風呂に投入することで、遠方の人でも温泉の効能を味わうことができる。温泉地の土産としても一般的である。湯の花として流通している物には、湯畑などを用いて温泉水から採集されたものと、別府の明礬温泉にある湯の花小屋で青粘土から析出させた明礬成分のものとがある。単体の硫黄もしくは金属の硫化物を含む湯の花は風呂釜を傷めるため、利用の際には事前に確認をする必要がある。草津温泉白老温泉などでは、温泉を加工して液体の入浴剤を製造する業者も存在している。特に草津温泉の入浴剤は、投入後風呂が白濁することから一部の温泉地で用いられ、温泉偽装問題発生のきっかけを作ったとされる。

また、放射能泉と同様の効能を目的としたもので、「ラジウム鉱石」(実際にはモナズ石などを含む鉱石類を砂状に加工したもの)を製品化したものが販売されている。これらは湯に投入する事により、放射能泉と同様の効果が得られるといわれる。湯の花と異なり、繰り返して使用が可能なのも特徴である。ただし、価格は数万円台と高価であり、銭湯スーパー銭湯健康ランドなどの業務用が大半である。

特定の温泉の成分を再現していることを謳い「温泉の素」の名で販売されている入浴剤がある。

無機塩類化合物に由来するもの

日本国内における最も一般的な入浴剤であり、昭和初期に登場した。登場した当初、多くの人は銭湯に通っていて自宅の風呂を持っていなかったため、入浴剤としてだけではなく洗顔料としても宣伝されていた。

戦後、各家庭に風呂が普及するにつれ、その種類も急速に増えていった。酵素を配合したもの、炭酸ガスを配合したものをはじめ、や温泉を色のモチーフとした入浴剤など、多種多様なものがある。

家庭向けに出回っている粉末タイプの入浴剤の主な成分は、硫酸ナトリウム炭酸水素ナトリウムであるが、硫酸カルシウム炭酸カルシウム・酸化チタンを含めることで、白濁させたり肌になめらかな感触を与えたりする効果のある商品もある。炭酸ナトリウムを配合した製品は、湯に溶かした際二酸化炭素を発生し泡立つ。そのほか保温効果や健康を増進する目的で、酵素や植物エキスを配合したものが多数発売されている。

一部の製品はよく知られた温泉の名称を使っているが、その名称はあくまでイメージ的なものであり、成分とは関係がない(入浴剤のパッケージなどにも『温泉の湯を再現したものではない』などと但し書きされている)。入浴剤で温泉を再現すると成分に含まれる硫黄により風呂釜を傷めてしまうため、ほとんど使用不可能である。また製品の中には、主成分に関しては全く同じで着色料と香料だけを変化させているものもある。その色や香りも製品に使われている温泉とは全く無関係である。

無機塩類化合物に由来する入浴剤は、個人で作ることもできる。硫酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムの粉末を入手し、エッセンシャルオイルなどを自分好みに調合することでオリジナルの入浴剤が出来る。

入浴剤に使われるもの

手作りで作るものや原材料として添加される物としては以下がある。

出典

関連項目

外部リンク