児童買春

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児童買春(じどうばいしゅん)とは、性的好奇心を満たす目的で金銭を対償を供与して児童性交渉を持つことである。児童買春にあたる年齢は国によって違いがあり、スイスなどでは 16歳から売春が合法となる。そのため諸外国との比較も困難なケースも存在する。

東南アジア

児童買春のうち、まず問題となった行為は、先進国男性(社会的・経済的に高い地位にある者も多く含まれる。)が低開発国に赴いて児童の売春行為の相手方となることである。売春者となるべき児童らを標的とした略取誘拐監禁人身売買が横行したためである。

ユネスコは組織を挙げて廃絶を目指し、フィリピンなどでは、児童買春を行った外国人男性に厳罰を科し始めた。

日本においても、そのような児童買春旅行に多くの日本人男性が参加していたことが分かって問題となった。また、欧米東アジアなどでは、児童買春をするのが日本人男性ばかりであるかのような偏向報道がなされることがあり、別の問題を生み出している(実際には最も多いのはアメリカ合衆国国籍者[1] )。なお日本の児童買春・児童ポルノ禁止法は、第10条の規定によって海外で児童買春を行った場合も国外犯として処罰がなされる。

アジアでの児童買春逮捕者(2007)[2]

  • タイ
    • ドイツ人 4
    • イタリア人 3
    • オーストラリアもしくはイギリス人 2
    • アメリカ人 1
  • カンボジア
    • アメリカ人4
    • ドイツ人3
    • ベルギー人1
    • スイス人1
  • フィリピン
    • アメリカ人3
    • 中国人2
    • 韓国人1
    • インド人1
    • オーストラリア人1

日本

法規制

日本では児童買春が絡む児童との性行為については児童福祉法淫行条例によって処罰されていたが、児童買春が「年少者の健全な性道徳を破壊する」という観点から、法規制を加える必要があるとの世論が高まった。それにより、1999年に児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童買春・児童ポルノ禁止法)が成立・施行された。同法第2条第2項では、児童買春について「児童、周旋者又は保護者若くは支配者に対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若くは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう)を触り、若くは児童に自己の性器等を触らせることをいう)をすること」と定義している。同法によれば、2005年4月現在、児童買春をした者は5年以下の懲役若くは500万円以下の罰金に処せられ、又はその両方を併科される。これは、人身事故、即ち業務上過失傷害罪(日本の刑法211条1項)よりも重い刑である。

児童への処罰説

現行の日本の法律は、専ら児童買春等に係わる成人を処罰するという観点からなされている。しかし、現在では児童自身が組織ぐるみで成人を誘って売春を行うケースが増加していることを受けて、積極的に児童買春等に勧誘した児童についても処罰の対象とすべきではないか、という見解が刑法学者の前田雅英が示している。児童自らが積極的に売春の相手方を勧誘して売春行為を行っておきながら、発覚しても『被害者』という立場になり処罰されないのであれば、売春の『供給側』となる児童の意識は全く改善されず(特に15歳~16歳以上の児童に、この傾向が顕著である)、現状の運用では問題は解決しないという意見である。現行法では、売春の相手方を自らの意思で勧誘した児童を罰する規定は売春防止法第5条に規定された公衆の目にふれるような方法での売春勧誘(ポン引き)を除いて存在しない。言い換えれば、18歳未満であれば公衆の目にふれるような方法で売春勧誘をしない限り、売春行為そのものを行っても処罰されない。

日本の現状では、17歳という年齢で(児童自らの意思で)売春を行えば被害者として扱われ、買春側「のみ」が厳重に処罰される[3]。また、16歳の少女が姉の免許証を持ち出して年齢を偽って、自らの意思でアダルトビデオに出演した場合でも『被害者』として扱われ、罰則をうける事もなく、摘発されたのは製作に携わった側のみである[4]

これらに対して、保護の対象となる児童が同時に加害者ともなるというのは法理論として矛盾しているとの生田勝義の批判がある[5]

関連項目

脚注

  1. ^ http://childwise.net/uploads/Child%20Sex%20Tourism%20Review.pdf
  2. ^ 2007 ASEAN CHILD-SEX TOURISM REVIEW
  3. ^ たとえ児童の側が『18歳以上である』と年齢を偽って売春行為を行っていた場合でも
  4. ^ [1]
  5. ^ 生田勝義刑罰の一般的抑止力と刑法理論 ──批判的一考察──」P38

外部リンク