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上方から入ってきた光の道筋が、散乱によって見えている様子。(米国のアンテロープ・キャニオンにて)

(ひかり)とは、基本的には、人間の視覚)を刺激して明るさを感じさせるもの(こと)のこと[1]である。なお、光が、人間の目に入る直線経路は複数とりうることを2穴のピンホールを用いた実験によってシャイネルが確認している。(出典の表現を若干変更している)。 (シャイネル試験)[2]  現代の自然科学の分野では、光を「可視光線」と、異なった名称で呼ぶことも行われている。つまり「光」は電磁波の一種と位置付けつつ説明されており、同分野では「光」という言葉で赤外線紫外線まで含めて指していることも多い。

光は宗教や、哲学自然科学物理などの考察の対象とされている。

宗教や哲学での説明

光は様々な思想や宗教において、超越的存在者の属性を示すものとされた。

古くから宗教に光は登場しており、より具体的には太陽と結びつけられることも多かった。古代エジプトの神、アメンラーなどはその一例である(太陽神も参照可)。

プラトンの有名な「洞窟の比喩」では、光の源である太陽と最高原理「善のイデア」とを結びつけている。

新プラトン主義では、光に強弱や濃淡があることから、世界の多様性を説明しようとしており、哲学神秘主義が融合している。例えばプロティノスは「一者」「叡智(ヌース)」「」の3原理から世界を説明し、「一者」は、それ自体把握され得ないものであり光そのもの、「叡智(ヌース)」は「一者」を映し出しているものであり太陽であり、「魂」は「叡智」を受けて輝くもので月や星であるとし、光の比喩で世界の説明を論理化した。この新プラトン主義は魔術ヘルメス主義グノーシス主義にまで影響を及ぼした、とも言われている。

新約聖書』ではイエスにより「私は、世にいる間、世の光である」(ヨハネ福音書 9:5)と語られる。またイエスは弟子と群集に対して「あなたたちは世の光である」(地の塩、世の光)と語る。ディオニュシオス・アレオパギテースにおいては、父なる神が光源であり、光がイエスであり、イエスは天上界のイデアを明かし、人々の魂を照らすのであり、光による照明が人に認識を与えるのだとされた。この思想はキリスト教世界の思想に様々な形で影響を与えた。

グノーシス主義では光と闇の二元的対立によって世界を説明した。

仏教では、光は、菩薩などの智慧慈悲を象徴するものとされる。

自然科学での説明

光は波動粒子の二重性を持つとされ、波動であることを強調する場合は「光波」、粒子であることを強調する場合は「光子」と呼ばれる。光源や観測者の速度にかかわらず「相対速度が変化しない」という特徴を持つ。

光の波動性

波動としての光を光波と呼び、反射屈折回折などの現象を起こす。ヤングの実験(1805年)により光の波動説として証明され、その後マクスウェルらにより光波は電磁波であることが示された。厳密にはマクスウェルの方程式で記述されるベクトル波であり偏光を持つが、波動光学では簡略化のためにスカラー波として扱うことが多い。

光の粒子性

粒子(量子)としての光を光子(光量子)という。光子は電磁場量子化によって現れる量子の1つで、電磁相互作用を媒介する。ニュートンの光の粒子説によって唱えられた。現在の光子の概念はアインシュタインによって提唱された。

  • - 光のエネルギーは振動数 に比例する
  • - 光の運動量波長 に反比例する

このため波長の小さいX線などにおいて、光の粒子性は特に顕著となる。

粒子説と波動説

「光は粒子か波か?」

この問題は、かつてよく議論された。何故なら、光が波でなければ説明がつかない現象(たとえば光の干渉分光など)と、光が粒子でなければ説明のつかない現象(光電効果など)が、どちらも明確に確認できたからである。

この問題は、20世紀前半から後半にかけて「量子力学」という学問分野が確立していく中で、「光は粒子でもありでもある。粒子と波の両方の性質を併せ持つ、量子というものである」という事が確かめられ、決着がついた。この量子の持つ特異な性質のことを指して、「光は〈粒子性〉と〈波動性〉を併せ持つ」と表現することがある。

現在では呼び方として、光の粒子性に重点を置く場合は「光子」、波動性に重点を置く場合には「光波」、光が粒子と波の二面性を持った量子である、という点に重点をおく場合は光量子と言う。

光の性質

性質としては上記の通り粒子性と波動性があり屈折・(全)反射・干渉(ホログラフィ)・回折・偏光 (LPL・CPL) などの

  • 光は、通常、直進する。(エウクレイデスの光の直進の法則)
  • 凸凹の無い平面鏡に当たった光は、鏡に当たったときと同じ角度で反射する。 (エウクレイデスの光の反射の法則)
  • 屈折率の異なる物質の境界面で光の速度が変化する。その結果、境界面への入射角が直角でない場合には、光の進路が変化する。(屈折
  • 光の屈折の際は、スネルの法則が成立する。
  • 光の強さは、光源からの距離の2乗に反比例する。(ケプラーの光の逆2乗の法則
  • 光速は、光源の運動状態に関わらず、不変である。 - 光速度不変の原理
  • 光は質量がゼロである。従って物質ではない。

主な物質との関係ではフォトニクスと呼ばれ大別してPhoto光化学光物理などの分子場理論)とOpto光学などの放射場理論)と呼び方が異なる。

光物理機能としては

  • 励起エネルギー移動
  • 化学発光
  • 電界発光 (EL)

光化学機能としては

  • フォトレジスト
  • 光触媒
  • 光エネルギー変換

光波機能としては

  • 光ファイバー
  • 近接場光学
  • コヒーレント分光

などがある。

光の種類

光の理論のタイム・テーブル

出典、注

  1. ^ 出典 - 広辞苑、大辞林
  2. ^ 小川鼎三 他4名編集『医学大辞典』 南山堂、1975年、657頁

関連項目

外部リンク

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