信長のシェフ
信長のシェフ | |
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ジャンル | 料理・グルメ漫画、歴史漫画 |
漫画 | |
原作・原案など | 西村ミツル |
作画 | 梶川卓郎 |
出版社 | 芳文社 |
掲載誌 | 週刊漫画TIMES |
レーベル | 芳文社コミックス |
発表期間 | 2011年 - 連載中 |
巻数 | 既刊14巻(2015年11月16日現在) |
テンプレート - ノート | |
ポータル | 漫画 |
『信長のシェフ』(のぶながのシェフ)は、西村ミツル・梶川卓郎による日本の漫画。およびそれを実写ドラマ化した作品。漫画は芳文社『週刊漫画TIMES』にて、2011年3月18日号から不定期連載中である。なお10巻までは西村ミツル原作・梶川卓郎作画であったが、11巻以降は梶川卓郎が全て担当しており、西村ミツルは11・12巻のみ料理監修を行い。その後は手を退いている。
ストーリー
- 第一巻
- 料理人ケンは、永禄11年(1568年)の戦国時代にタイムスリップし記憶を失っていた。間者と思われ斬り殺されそうになり、川へ飛び込んで逃げた瀕死のケンを助けたのは、夏という女性の刀鍛冶であった。
- 自分自身については過去はおろか、本名すら思い出せないケンであったが、料理の技法や料理に関連する記憶だけは残っていた。まだ蒲焼[注釈 1]しか調理法が無いウナギを開いて白焼きにする[注釈 2]、「カモ焼きまんじゅう(実はライスバーガー)」を売り出し、京の都で評判になったケンを、織田信長は自分の料理頭に取り立てた。
- 宣教師・ルイス・フロイスを故郷の味でもてなすなどして、信長の下で実力を発揮していくケン。だが伊勢・北畠家討伐に同行したケンは、戦の現実を見ることとなる。
- 第二巻
- 伊勢・北畠家との和睦の席で、信長はケンに料理を供するように命じる。その料理を食した北畠具教は、材料も調理法も想像できないケンの料理から、信長との圧倒的な力の差、文化の差を思い知らされ、屈服することとなる。
- 信長はケンに将軍・足利義昭に料理を供するように命じる。ケンの料理の味に魅せられた義昭は、ケンを自分の料理人に取り立てようとするが、信長に阻止される。全ては義昭に釘を刺すための、信長の策であった。
- 永禄12年(1569年)の新年の宴席にて、来客の急増をバイキング形式でしのいだケンは、旧来の信長の料理人たちの協力と信頼を得ることになる。またこの宴席の後、ケンは信長の正妻・帰蝶に気に入られる。
- 4月、ケンは越前の名物を料理として足利義昭に供する。それを義昭が食することは、朝倉攻めを義昭が承諾したことを意味した。かくして信長は、越前に出兵する。
- 第三巻
- 信長の朝倉攻めは、浅井長政の裏切りにより失敗する。信長はケンの強運に賭け、退却に同行させる。
- ケンの料理は、同盟者・徳川家康をつなぎとめるため、また浅井方の掘秀村を寝返らせるための工作にと、活用される。
- 元亀元年(1570年)6月、信長は浅井氏の北近江攻略へと出兵する。ケンは間者・楓とともに小谷城へと潜入する。そこで信長の妹で浅井長政の妻・お市の方が、浅井氏に殉じる覚悟を確認するも、ケンは浅井方に捕らえられてしまう。
- 第四巻
- ケンは浅井長政に処刑されようとしたが、偏食の娘・茶々に「お子様ランチ」を作り、これを茶々が好んで食べたことで助命される。お市の方の好意により、ケンは小谷城を脱出する。
- 6月28日の姉川の合戦において、戦況は浅井・朝倉連合優位で推移する。だが信長の命令により、ケンの「料理の匂いを嗅がせて、興奮した敵兵を正気に戻す」という作戦により、織田・徳川連合は逆転勝利する、
- 第五巻
- ケンは鉄砲の買い付けに堺に向かう森可成に同行することとなる。そこでポルトガル人の「パオン」を再現するという条件を果たして、堺の商人との商談を成功させる。
- 信長が浅井氏の息の根を止めなかったことを好機ととらえた三好三人衆が、反信長の旗をかかげ挙兵。その三好党に本願寺も加勢し、挙兵する。その影には、本願寺門主に情報を提供する、西洋の菓子を作る女性の存在があった。
- さらに比叡山も、反信長の旗をかかげ挙兵。近江・宇佐山城の森可成は、3千対3万の圧倒的不利な状況に追いやられた。可成はケンに兵たちに料理をふるまうように指示し、決死の覚悟を促す。
- 第六巻
- 元亀元年(1570年)9月19日、森可成は討ち死。圧倒的に不利な状況を打開するため、信長は本願寺との和睦を決意し、足利義昭に仲介を依頼。その条件は、帝の目の前での料理勝負であった。
- 料理勝負は菓子と決定。ケンは噂の本願寺の女性料理人と勝負する。信長の思惑通りに、帝は料理勝負に引き分けの判定を下し、期限付きで本願寺との和睦が成立する。
- ケンは配下の料理人たちと、商人を装って朝倉の陣中に潜入。そこで彼らの故郷・越前の雑煮を売る。故郷の味で里心を刺激された兵たちは動揺し、朝倉は撤兵を決意。ここに信長は窮地を脱する。
- 第七巻
- ケンは信長に、松永久秀を饗応する料理を出し、その腹をさぐることを命じられる。ケンは松永久秀という人物を知らなかった。
- 信長の間者・楓は、ケンによる特訓で西洋菓子の基礎を身につけ、今井宗久の仲介で本願寺へと潜入。本願寺の西洋菓子の料理人・ようこの助手となる。
- 信長は比叡山の焼き討ちを決意。森可成という支柱を無くした家臣たちは、信長の心中をはかりかね、動揺する。だがケンを介して信長の心中を悟った家臣たちは信長に従い、焼き討ちが実行された。だが実際の比叡山は僧は誰ひとりおらず、無人の寺に放火しただけだが、信長の行為は比叡山の僧を虐殺したかのごとく風評として広まる。
- 第八巻
- 元亀三年(1572年)、信長は顕如と対面。ほころびかけた本願寺との和睦を結び直す。だがその席で信長は、ようこが作ったナツメグを大量に入れられたマカロンによって、中毒で倒れるも、ケンによって何とか一命をとりとめる。
- 松永久秀は三好と手を組み、信長に謀叛をおこす。それに呼応して武田信玄も西上を決意。信長の背後にいる料理人の存在を知った信玄は、秋山信友にケンの暗殺を命じる。だがケンの料理の才を知った信友は、ケンを甲斐に連れ帰る。そこでケンは、信玄の病を治すための料理を作るように命じられる。
- 第九巻
- 自らの死期を悟った信玄は、あくまで信長に忠誠を誓いながら、それでもなお自分の身体を労る料理を作るケンに感服し、逃がしてやることにする。
- ケンは徳川家康の陣中へと逃げのびる。三方ヶ原の戦いでの敗北を食い止められなかったケンだが、敗戦にうちひしがれる家康を料理で元気づける。
- かくしてケンは信長の元に帰参するが、信玄との約束により、武田方の事情は一切信長には語らなかった。
- 第十巻
- 元亀四年(1573年)、信長の命によるケンのスッポン料理(義昭が独断で改元した元号「元亀」と掛けてあった)に激怒した足利義昭は挙兵。だが信長は兼ねてより岡部又右衛門指揮の下で建造させていた大型船を用いた迅速な行動で逆に義昭勢を包囲。ここに室町幕府は滅亡する。
- さらにはケンによる料理・菓子などの贅を尽くした歓待で権大納言・山科言継を籠絡し、信長は朝廷を動かして「元亀」から「天正」への改元をなしとげる。改元の流れを食い止められなかった本願寺は、間者の存在を疑う。
- 天正元年、ここに信長は、浅井・朝倉の殲滅を決意。一方で本願寺は朝倉への使者に、あえて楓を同行させる。
- 第十一巻
- 楓が信長の間者と発覚し、下間頼廉によって捕らえられる。だが楓のもたらした情報により、信長は朝倉をわずか八日で殲滅する。
- 一方で信長はケンを遣わして、浅井長政に翻意を促すが、あくまで浅井は抵抗を選択。信長は浅井氏を滅ぼすも、ケンの進言と木下藤吉郎秀吉の活躍によって、お市と娘たちは救出される。
- 楓を捕らえた本願寺は、ケンを使者として申し開きをするように、信長に通達する。信長はあえてこの誘いに乗り、ケンと明智光秀を使者として派遣する。
- 第十二巻
- ケンは、ようこから自分の身元についての情報を得る。そして「西洋料理を封じること」を条件として、楓の身柄を本願寺から貰い受ける。
- 西洋料理に代ってインド・東南アジア料理を披露するケンは、香辛料を得るために堺に向かうが、堺の商人たちはポルトガル商人との間に立り利益を得る中国商人に苦労していた。ケンはそこで中華料理を披露し、誠意を示して歓待し、同席したポルトガル商人の信用を得る。
- 天正二年(1574年)、一度は謀叛をおこした松永久秀は、城を差し出すことを条件に信長に詫びを入れる。その久秀の影には、ケンと同じく平成の時代からタイムスリップしてきた松田=果心居士の存在があった。ケンを「葛城」と呼び、信長への繋ぎを頼むがケンに以前の時代の記憶がないと知ると態度を豹変させて去る。
- 第十三巻
- ケンは滝川一益につき従い、武田家を探る使者の一員として派遣される。武田家中のゴタゴタから一時は監禁されるも、ケンの機転で解放される。ケンが作った食事を食べた時の武田勝頼の態度から、ケンは勝頼の並々ならぬ才気を感じ、信長に報告する。そして天正二年(1574年)1月27日、勝頼は東美濃の明智城を陥落させる。一方で武田の脅威を感じた滝川一益は、上杉謙信との同盟継続を信長に進言する。
- ケンの留守中に松田は織田信長に面会し、仕官を申し出るが、この時うかつにも「果心居士」を名乗ってしまう。そして史実通りに「果心居士」は仕官を拒否される。そして松田=果心居士は、「本能寺の変」を起こす人間に取り入る事に目的を変更する。
- ケンは羽柴秀吉につき従い、上杉謙信への使者の一員となる。ここでもケンの機転によって、京都での上杉宛の進物の入手、上杉謙信との同盟継続に成功する。
- 天正二年(1574年)3月28日、ケンの機転と山科言継の取りなしにより、信長は蘭奢待切り取りの勅許を得た。だが、それに先だって松田=果心居士にその事を予言されていた明智光秀は、予言の的中に驚愕する事となる。松田はもうひとつ、光秀が信長を討つ事をも予言していた。
- 第十四巻
- 武田勝頼は徳川方の高天神城を攻略、落城させる。この徳川の窮地に織田は動かず、織田と徳川の間に不穏な空気が流れる。なおかつ松田=果心居士の策謀が、徳川方の不信をさらに煽る。だがケンの料理によって家康は信長の真意を悟り、織田・徳川の亀裂は免れる事となる。一方で自分の策謀の邪魔をされた事から、松田はケンの暗殺を決意する。
- 天正三年四月、武田勝頼は再び三河に侵攻する。信長は岡部とケンに対して、徳川への兵糧米の輸送と、秘密裏の築城を命じる。ケンは地元農民を説得して味方につけるのが自分の任務と悟る。だが地元農民は兵糧米を奪わんと襲いかかり、ケンは捕われてしまう。その背景には松田の陰謀があった。
ドラマ版でのストーリー
この節の加筆が望まれています。 |
登場人物
平成からタイムスリップした人物
- ケン
- 主人公。現代(平成)から戦国時代にタイムスリップした西洋料理(フレンチ)の調理師。ようこ(後述)によれば名は「賢一郎」、松田(後述)によると姓は「葛城」で、京都のホテルで副料理長をしていた[1]。
- 本名をはじめ自身についての記憶は失っているが、日本史の教養(大きな事件、合戦など)や山野草の知識、テーピングなどの応急処置の方法、有機農法など、幅広い知識を持つ。一番知識が深いのは料理、特に西洋料理分野であり、調味料の普及などから自分が過去の時代にきたことを認識した。ただし、森可成の死亡年や松永久秀の存在を覚えていないなど、日本史の細かい知識は無く、信長が濃い味が好みだという、料理界で有名な逸話も知らなかった(徳川家康が鯛の天婦羅が好物であることは知っている)。時々ケンの過去の記憶の断片に謎の光景が出てくる。
- 当時の日本人と比べるとかなり大柄で、鴨居や梁に頭をぶつけている様子がたびたび描かれている。現代日本の男性としてはかなりの長髪を紐で一纏めに括っているが、後述の果心の言によるとおしゃれやポリシーではなく、ただの無精らしい。左の眉尻に傷がある。これは3巻17話において信長の命令に反論した際に負った物。考え込むとき顎に手をやる癖がある。
- 信長の意図をいち早く察するなど頭の回転も早く、信長に命じられた鴨料理対決で勝ち、井上恭之介に代わり信長の料理頭として頭角を現していく。一方で出世欲や物欲は乏しく、また人殺しを厭う性格で、信長からも「あれは腕一本切り落としても毒なぞ盛らん」と言われている。顕如の命令とはいえ、多量のナツメグを盛ったようこには怒りを表した。また信義にも篤く、一時期武田家に拉致され、後に解放された時、信長に武田家の内情を問いただされても、解放された時の約束からきっぱり拒絶している。その一方で時折、相手の心理を徹底的につく戦略的な思考と行動は普段のケンを知る秀吉からも「恐ろしく攻撃的になる」と言われている。ようこからは「誰にでも優しくて、優しすぎて、本当は誰にも興味がないんじゃないかと思うくらい」と言われるほどの朴念仁だった。
- ケンの上司(おそらく料理長)と思われる人物と同時にタイムスリップしたが、その上司は物語冒頭で間者の嫌疑をかけられ、斬り殺されている。その際に他に3人がタイムスリップしてきていると思わせる追手のセリフがある。
- 阿坂城戦で初陣を果たす。その際に装備していた鉄鍋が、敵の矢からケン自身と木下藤吉郎秀吉を救う。
- 足利義昭がうずらの葱焼き照り焼きを食して感服。自分の料理人として迎え入れようとするが、信長が自らの料理人であるといって拒否する。諦めきれずに拉致して強引に勧誘しようとするが、その傲慢な性格に失望、「信長の料理人」を宣言する。
- 姉川の戦いの後、信長から褒美として土地を与えられ、それを元に畑を作る[注釈 3]。夏と一緒に暮らそうと誘うが、保留される。
- 信玄の命を受けた秋山信友に拉致され(実際には殺害命令が下されていた)、武田信玄の下へ連れて行かれるも、自身の信念を曲げず、一時期は病んでいた信玄の料理番として療養に手を貸すことになるが、「己の行為が歴史を改変することになるのか」と悩むようにもなる。
- 武田の西上作戦の際に解放され、徳川家康の庇護を受け、三方ヶ原の戦いを経て信長の下に戻る。小谷城の戦いでは市とその娘たちの救出に尽力した。
- 本願寺に潜入していた楓が捕らわれた際に顕如から使者として指名される。その際に楓の命と引き換えに西洋料理を封じられることになるが、それ以外の世界の料理で腕前を振るい続ける。
- 【ドラマ版での設定】
- 宇佐山城に向かった時に瑤子と再会する。明智光秀から平成の時代に帰れる可能性があることを教えられ、料理勝負の後、夏の計らいで光秀が教えた黄泉の祠に瑤子らとともに向かう。しかし、信長や夏たちのことが気になり平成の時代に帰ることを断念し、瑤子には平成の時代に帰るように勧める。
- ようこ(瑤子)
- ケンと同様に現代社会から戦国時代にタイムスリップした。京都のホテルでパティシエールをしていた女性[2]。ケン同様、この時代の女性と比べると大柄な部類で、楓曰く「ケンと並ぶとちょうど良い」。5巻より登場。
- 石山本願寺の顕如に庇護されており、洋菓子作りの才能に秀でている。またケンと異なり、未来人しか知らない歴史知識を顕如に提供している。ただし歴史知識はケンよりも浅い様子[注釈 4]。
- ケンのことを知っているが、ケンはようこのことを覚えていない。なお、ようことケンの会話を聞いた楓は、2人が恋人同士、もしくは夫婦であったと推察しており、顕如も同様に2人が夫婦関係であったことを推測している。
- 戦国時代にタイムスリップしてきた後に、乱暴されており心的外傷を抱えている。そのため、自分を庇護する顕如には依存に近い感情を持っている。奇跡的に再会したケンが記憶喪失であったこともあり、自らの居場所を守るために顕如の命令を絶対とし、信長と石山本願寺の和睦の際に生ナツメグを使用した菓子を作り、信長を生ナツメグに含まれるエレミシンとミリスチシンの過剰摂取による中毒を利用し陥れようとした。ケンにこのことを叱責されて別れてから毎夜嘆いている様で、楓の前では明るくふるまっているが、目下には泣きはらした跡が残っている。
- 間者であることが発覚して捕らえられた楓の助命を嘆願するが、交換条件として「ケンを本願寺側に引き入れること」を命じられる。
- 松田(後述)のみ、漢字表記の「瑤子」で名前を呼んでいる。
- 【ドラマ版での設定】
- ケンの記憶の断片に現れ、彼が小谷城に捕らわれ牢屋に入れられたときに名前を思い出す。本願寺顕如に明智光秀が信長を討つことを話し、石山本願寺で二条城で砂糖を手に入れるために足利義昭と交渉していた明智光秀に、自らが製作した洋菓子「ペ・ド・ノンヌ」(邦訳すると「尼さんの屁」という意味)を出す。ケンのことを知った後、本能寺に向かったが一足違いで宇佐山城にケンが向かったことを明智光秀に教えられて追いかけていった。ケンと再会するが、彼の記憶がおぼろげなのに愕然とする。宇佐山城を包囲している比叡山の僧兵から注意を挽きつけてケン達を逃がす。料理勝負の後で顕如に見捨てられてしまう。夏の計らいで平成の時代に帰ろうとしたケンと一緒に黄泉の祠に同行するが、なぜか帰っていなかった。
- Part2の撮影期間中、演じている香椎由宇は産休していたため、顕如の命令で料理に多量のナツメグを盛る役回りは、逃亡している間に彼の弟子となったオリジナルキャラクター・香蓮が担っていた。
- 果心居士/松田(かしんこじ/まつだ)
- 本作中では、ケンやようこといっしょに平成から戦国時代にタイムスリップした男、「松田」が、果心居士を名乗っている。史実の(伝説上の)人物と同様の運命を辿っていることが暗示される。
- 平成ではケンやようこと同じ京都のホテルで給仕長[3](支配人[4]/メートル・ド・テル)を務めていた。タイムスリップする前には総支配人待遇での引き抜きの話もあった。ハモの「骨切り」の技法を知っているなど料理の基本もマスターしており、酒類の知識も豊富。
- ケンやようこ同様にタイムスリップの後で夜盗かなにかに襲われたのか、喉元に大きな傷跡がある。放浪中にライターを使用している所を目撃され、妖術だと誤解されて噂になった事が、松永久秀に拾われるきっかけになった。支配人として身につけた人の心中を察する能力と、平成の時代から持込んだ道具(ジッポのオイルライター)を使ったトリックで、伝説上の果心居士の幻術を演出する。その他、自分が知っている歴史の知識を駆使して、松永久秀に進言するなど、陰謀を企てる。
- 過去の世界に流されたという理不尽から自身の安泰と栄達を望んでいる。織田信長に取り入ったケンを羨み、自分を信長に紹介するように懇願するも、ケンが記憶喪失と知ると態度を一変させる。その後、近江の国・坂本を訪れて光秀の娘・玉に近づき、その伝手で得た明智光秀の紹介で信長に引見するが、「戦う者の眼ではない。沼に沈みゆく蛙のように矮小だ」という理由で、伝承の果心居士同様に仕官を拒否される。そのため、本能寺の変を起こす人物に取り入って栄達することに、目的を変更する。武田による徳川攻めを利用して織田・徳川の同盟に亀裂を入れようとするが、ケンに阻止されたことでケンの抹殺を画策するようになる。
- ケンを抹殺するためにその行動を妨害しても「どうせ武田勝頼は織田信長に負ける」と決めつけている。「今(現実に存在する人)」ではなく、歴史で伝えられた「情報」のみで判断する行いは何をやろうとしても失敗するとケンに批判されるが、果心自身が過去の世界に流された事実そのものを認めようとしないため受け入れられない。
- 初老の料理人(ドラマ版では三原)
- ケンらと一緒にタイムスリップしてきた料理人。原作漫画ではコミックス14巻時点では氏名不詳で、ドラマ版のみ名前が設定された。11巻97話にて、ようこの口からケンの身元が明らかになったため、彼はおそらく上司である料理長だったと推測される。記憶を無くしたケンを危険な場面から助けるが、原作では追っ手に斬殺されてしまい、ドラマ版では野盗化した武士に弓矢で射殺されてしまう。
- 望月
- ケンらと一緒にタイムスリップしてきた人物らしいが、14巻時点で未登場。間者と疑われた際、松田と共に逃げたらしいが、ようこから問いただされた松田からは知らぬふりをされている。松田の表情から仲たがいした模様。
戦国時代の架空の人物
- 夏
- ヒロイン。刀鍛冶職人。戦で家族を失い、天涯孤独の身である。刀を作るために真砂を取っていた時に、川上から流れてきたケンを助けた。ケンに好意以上の想いを寄せている。
- ケンが岐阜へと招かれた時に、調理に使う包丁数本を製作する。また、彼の役に立つような調理道具を製作することがある。刀鍛冶を司る女神金屋子神の嫉妬をかわぬよう、未通の身である。普段は男装をしているが、たまに小袖を着ることがある。
- 鍛冶として、信長に招かれ、一時京から岐阜へと住まいを移した。自ら作った槍の穂先を信長に献上する(その穂先は森蘭丸に褒美として与えられる)。
- ケンに一緒に暮らそうと誘われるが、鍛冶屋として大成する夢のため保留する。
- 信玄の命を受けた秋山信友の部下に対峙した時、自らケンの名前を名乗って身代わりになるが[注釈 5]拉致されたところを見かけたケン本人が助けようとしたため、共に甲斐へ連行されてしまう。武田勝頼に気に入られるが、夜伽を命じられた時に抵抗する。武田信玄が京に上洛を宣言するため開いた宴の後、ケンの嘆願により岐阜に帰ることになる。
- 【ドラマ版での設定】
- ケンの料理のアシスタント的存在で、ケンと戦場に同行することが多い。ケンが浅井方に捕らえられた時も救出しようとしたが、楓に阻止される。ケンと宇佐山城に向かった時に瑤子と出会い、ケンと瑤子との関係について悩むことになる。明智光秀がケンに平成の時代に帰れる可能性があることを教えた時、それを近くで聞いてしまう。料理勝負の後で信長にケンと瑤子が平成の時代に帰れるように嘆願する(その際、平成の時代を「たどりつくのが難しい遠い村」と説明している)。
- 楓(かえで)
- 信長軍のくノ一。3巻より登場。敵対する浅井長政、お市の方の元へとケンが信長の命で朝倉方の料理人になり代わって小谷城に潜入した際に監視兼護衛役となる。以後、ケンと行動を共にすることも多い。
- 小谷城に潜入した時に、信長の「借りを返す」との言葉を自分なりに解釈して浅井方の毒殺を実行しようとするなど物騒な考え方の持ち主だが、ケンの反対にあい断念する(そもそも「借りを返す」と言うのも金ヶ崎で逃げるように伝えたお市に対する意趣返しだった)。ケンの正体が露呈したとき脱出して信長にこの次第を報告する。その後、信長の命で(ドラマ版では夏に代わって)再び小谷城に向かい、逃げてきたケンと合流するが、帰る途中で出くわした夜盗によって足を痛める。
- 織田の陣に帰る途上でケンに話した自らの過去の話によると、10年前の戦で両親を殺され、たまたま通りがかった信長に(おそらく兄弟たちと一緒に)救いを求めるが、信長は「戦わぬ者は要らぬ」と拒絶[注釈 6]。その際にひとりだけ信長に強い意志を示し、召し抱えられる。
- 信長の命を絶対とし、任務や情報収集のためには体を売ることも厭わないが、実はケンには密かな思いを抱いている。ケンに洋菓子の作り方を教わり、今井宗久を通じて石山本願寺に潜入。ようこと出会う。ようこからは腕の良い料理助手として信頼を得ており、周囲からも密偵の嫌疑は薄いが、顕如からは密偵であることを疑われている。
- 「元亀」から「天正」への改元に伴う山科言継の調略に伴い、本格的に疑われ始める。浅井・朝倉との戦が再開した際に本願寺の幹部・下間頼廉と朝倉への陣中見舞いを命じられた際に潮時と逃げるが捕らえられる。牢を訪れたようこにケンに関する情報と引き換えに自分を殺すように頼むが断られ、信長の使者としてやってきたケンと光秀からも生きることを求められて腹を決めた。無事に織田に帰参してからは脚の傷を養いながら濃姫付きの菓子職人をしている。
- 武芸に優れるが、下間頼廉が評する所では我流(正式な訓練を受けていない)とのこと。本願寺に潜入するまでは料理は一度もやったことがなく、ケンの料理指導にも苦労することになるが、潜入なって以降は、ようこにセンスが良いと評された。
- 【ドラマ版での設定】
- 初めから登場している。夏を女と見抜いており、戦場から逃げるよう忠告したこともある。ケンを平成の時代に帰すために信長達と共に黄泉の祠に同行し、その途中、顕如が追手に差し向けた僧兵と戦う。
- 井上 恭之介(いのうえ きょうのすけ)
- 織田家に代々仕える料理人の家柄。信長に命じられた鴨料理対決でケンに敗れ、料理頭の座から失脚。信長はケンに井上を斬るよう命じるが、ケンがそれを拒否したため助かる[注釈 7]。
- その後、岐阜での宴でケンがバイキング料理を考えていたときは協力を一時拒んでいたが、打算から翻意して協力。宴の後ケンから他の料理人と一緒に感謝され、織田信長からの褒美を譲られる。以後、この時代の料理知識に通じていることからケンから協力や助言を求められ、それに応じるようになった。
- 得意料理は、鶴の肉をナスに詰めた、鶴つぼ。
- 姉川の戦いの後、ケンが信長から褒美として領地を与えられた時には、料理頭に復帰できると一時期待していた。しかしながら武田家に拉致されてケンが一時期不在の際は、信長が気に入る料理を作るために相当な苦労をした様子で、武田に拉致されたケンの帰還をむしろ歓迎していた。
- 【ドラマ版での設定】
- 再び料理頭の座の地位に返り咲こうとしており、そのために秀吉に近づいたこともあった。
- 太一・金三・与助
- 織田家に仕える料理人で、特にケンを慕って師事している若者3人。ソバカスがあるのが太一(たいち)、恰幅が良いのが金三(きんぞう)、3人の中でいちばん身長が高い(それでもケンより頭一つ低い)のが与助(よすけ)。ケンと行動を共にすることが多く、基本的な下拵えを任されるなどケンの信頼も買っているが、うっかりミスも多い。またケンは命の危険がある場合は、3人をあえて岐阜に帰らせることもあった。
- 宋花琳(ソン・ファリン)
- 堺に出入りする明の商人たちを束ねる女性。堺の商人と南蛮人との間を仲介して、巨利を貪る。現状打破のため堺衆から闘茶を挑まれるが、その席において誠実な態度でもてなしたケンの態度に感服した南蛮人が、堺衆との直接の商談を願ったため、思惑が外れることとなる。
- 己の母国を最上と考え、日本人を軽蔑している。だが、ケンの料理や馴染みのない中国茶を本茶含めてすべて利き分けた千宗易には素直に感嘆していた。女性としてはかなり体格が良く長身。
実在の人物・織田家
- 織田信長
- 通説通り、冷酷で残虐だが、同時に革新性を備えており合理的な人物。一度信頼する人物には疑念を抱くことは無いが、裏切られたと知ると激高する。また、寂しがりやであるとお市がケンに語っている。何でも自分で決めないと気が済まない人物であるとのことだが、一方で配下に指示を出す時は全ての事情を明かさず、自分の内心を察して行動するように命じる傾向にある(もっとも間者への対策というやむを得ない事情もある)。ケンに対しては特にその傾向が強く、またケンを信頼すると同時に無理難題をふっかけ、一介の料理人のケンを間者や使者として送り込むこともある。
- 京都で料理人として有名になったケンに興味を抱き、強引な手段で岐阜に連れ帰り、料理人として召し抱える(ドラマ版では、藤吉郎を敵の追手から助け、敵の侍の息の根を止めようとしたときに臆することなくその行為を制したケンに興味を持ち、拘束したという描写)。ケンと料理頭の井上に命懸けの勝負を命じ、勝ったケンを料理頭として召し抱える一方、ケンに井上を斬るように命じるが、ケンはそれを拒否。引き換えとしてさらなる料理を供して、ケンは信長に気に入られる。
- 金ヶ崎の退き口の際は、奇妙な運を持つということで供廻りをケン一人とした。また、成り行きで敵方領民の子供を救おうとするケンを「無駄なことをする」と言いながらも、己の信念に従う姿が自分と似ていると評している[注釈 8]。
- 料理は濃い味付けが好みで、甘党である。
- 小谷城の戦いの後に内輪の宴席において薄濃(はくだみ、漆塗りに金粉を施すこと)にした義景・久政・長政の首級を御肴として白木の台に据え置き、酒宴を催した。実はケンのアイディアにより菓子細工できた偽物で遺骨は市に渡された。
- 本願寺よりケンの西洋料理が封じられる事になっても動じる事は無かったが、内心では不満があったようで、濃姫からそれを見透かされる。
- 【ドラマ版での設定】
- 料理勝負の後で夏の嘆願を受け入れ、ケンを平成の時代に帰すために楓達と共に黄泉の祠に同行する(実は彼も平成の時代に興味があった)。その途中、顕如が追手に差し向けた僧兵と戦う。
- 濃姫
- 信長夫人。ケンに対して厳しく接するが、実はケンの料理を非常に気に入るなど、ツンデレ気味。ケンを信長と似ていると評した。
- ケン曰く、急いで食べることが多い信長に対して、濃姫は料理をゆっくりと味わう、味覚が人並み以上に鋭い繊細な人物とのこと。
- 本作では本名は「帰蝶」である設定であり、この名に因んだ料理をケンが作った。
- 信長が比叡山を焼き討ちにすると命じて家臣達が動揺し、真意を探るように頼まれてケンが悩んでいたときにそれを察して相談に乗る。織田家に嫁いだ頃の思い出を語りケンの迷いを晴らす。
- 森可成
- 作中においては、家臣の中でも特に信長と強い絆を持つ人物として描かれている。槍の名手。記憶を失っているケンに優しい気遣いを見せる父親的存在。ケンと夏の仲に対して気を揉んでいることがある。
- 13年前、信長が斎藤道三の援軍に向かった途中で引き返した際、殿を務めていた。この時に命を救われたことと「おぬしに世界を見せてやろう」との言葉に心酔し、以来忠誠を誓っている。
- 歴史の知識に詳しいケンだが、森可成に関してはいつ死ぬかの知識を持ち合わせておらず、愕然とすることになる。
- 上述の通り、配下に全てを明かさない傾向にある信長の下で、大らかな態度で信長の判断に全てを委ねており、それによって家中の不安・不満を抑える役目を担っており、可成の死は織田家中において大きな打撃であった。
- 原作では秀吉を怒らせるような行動(雑兵に勝手に料理を振る舞う)も笑って許すなど、ケンに対して理解を示す描写が多いが、ドラマ版では金ヶ崎城で信長が浅井の使者を斬ったことにケンが抗議した時、彼を殴って戦の厳しさを説くなど、ケンに対して厳しく接する描写も加えられた。
- 森蘭丸
- 森可成の息子、上に2人の兄、可隆と長可がいる(長兄の可隆は作中の時期に戦死するが、そのこと及び可隆の存在は可成の回想の形で簡潔に触れられるのみである)。性格はやんちゃで感情が激しく口が良くない。反面、心を開くとよく懐き夏の鍛冶場に入り浸って手伝いをしたり、いつも武芸の練習をしたりしている。ケンと夏の仲がなかなか進展しないことに苛立つこともあった。
- 幼いながらも芯が強く、特に父親の可成の死を知らされた際に見せた態度は、ケンを感服させた。
- 木下藤吉郎秀吉→羽柴藤吉郎秀吉
- 農民の出で、織田家中において森可成に次いでケンと関わることになる。当初はケンの料理に「南蛮の匂い」を嗅ぎ取り、南蛮からの間者ではないかと疑い監視していた。しかし監視の最中にその本音を大声でしゃべってしまい、あるいは徳川家康や明智光秀が瞬時に悟ったケンの料理に込めた意図を、ワンテンポ遅れてようやく悟るなど、間が抜けた所があるコミカルな人物。一方で行動派で好戦的な性格の武将として描かれる。直接相対した相手を殺すことはともかく、浅井久政が自刃した際には「人間、死んでは意味が無い」とこぼしていた。
- 北畠を攻めた時に負傷したところをケンに助けられ、その後も窮地を助けられ親しくなる(ドラマ版では、ケンが浅井方に捕らえられた際、自ら救出しようと上申するほど)。
- 信長が比叡山を焼き討ちにすると命じて家臣達が動揺した時、柴田勝家の提案に賛同するが、即座に行動を起こす腰の軽さは他の家臣に呆れられていた。
- 浅井・朝倉との戦いでは、寝返り工作や小谷城攻略にかなりの活躍を見せる。その手柄から近江十二万石の国持大名となり、姓を「羽柴」と改める(改姓についてのいきさつは通説通りだが、作中では手柄を独占したことに対して、柴田・丹羽両将への配慮という設定)。
- 【ドラマ版での設定】
- 敵の追手から逃げていたら仲間と逸れてしまい、空腹のあまり夏の家に押し入り食料を出すよう脅し、そこでケンの宇治丸を用いた料理に感銘を受けるという描写であり、信長とケンの出会いのきっかけを作る描写になっている。
- 柴田勝家
- 長島一向一揆の鎮圧に失敗して信長に叱責される。ケンが出した料理を食べた後、自分が信長の弟の信行側に付いたにもかかわらず許されて家臣になったことや時々信長の心理がわからないこと、森可成との思い出等を語る。
- 信長が比叡山を焼き討ちにすると命じて家臣達が動揺した時、ケンに真意を探らせることを提案する。
- 【ドラマ版での設定】
- Part2から登場している。
- 明智光秀
- 南蛮渡来の眼鏡を愛用する、初老の男。足利義昭との折衝役であり、義昭追放後も京都における差配を信長に任されている。信長の常識外れな数々の行動に驚嘆するも忠臣然とした態度であり、本能寺で信長に叛く運命を知っているケンは慄然とする。
- 本能寺で信長を出迎えた時、ケンの計らいで一緒にきりたんぽ鍋を食べる。戦略的な面で信長を支える秀吉と対照的に政治的な面で信長の補佐を行っている。前述のこともありケンを常識外れな人物であると思いながらも信頼している。また、京の流通に明るく、ケンの依頼で琉球焼酎や、大和の氷室から氷を手配した。
- 信長の家臣の中では特に秀でているものの、信長とケンの感覚にはついていけないと嘆息したこともあった。
- 松田=果心居士に一旦は坂本城への出入りを許し、また信長への面会を斡旋する。しかし自分が信長を討つ事を予言されて、激怒し放逐する。だが松田のもうひとつの予言、信長が蘭奢待の切り取りの勅許を得る事が的中したため、驚愕する事となる。
- 果心の予言に心を乱すが、ケンとの雑談から凡庸なれど忠義と覚悟を持つ自分を認めてくれたのが信長だったことを思い出す。
- 【ドラマ版での設定】
- 原作と違い若く描かれている他、眼鏡を愛用している描写も無い。岐阜城の牢屋に囚われたケンから聞かされた未来の話に興味を持つが、一方で未来が分かってしまうとつまらないと感じている。また、個人的に調査をしてタイムスリップと思われる不思議な現象があることを確信する。二条城で砂糖を手に入れるために足利義昭と交渉していた時、顕如に接触する。石山本願寺に招かれて、瑤子が製作した洋菓子「ペ・ド・ノンヌ」を出され、手を組むようにそそのかれる。本能寺で信長を出迎えた時、ケンの態度ときりたんぽ鍋を食事に出されたことに疑問を感じて、食事の後に刀で脅かす等して詰問する(この時、ケンはその質問に答えることが出来なかった)。その後、洋菓子「ペ・ド・ノンヌ」を出されたことや、それを製作した瑤子の存在をケンに話す。瑤子に宇佐山城にケンが向かったことを教える。ケンに平成の時代に帰れる可能性があることを教えるが、ケンがこの時代に留まったことを知ると、信長とケンが自分の野心に邪魔だと暗に示す。
- 玉
- 光秀の娘で後の細川ガラシャ。天正二年の正月、同じ織田家臣団の一人・細川藤孝の嫡子・忠興との婚約が決まった際に信長に引見した。
- 当時の身分のある女性としては頻繁に外出しており、非常に好奇心旺盛。供廻りも連れずに外出する奔放さに、光秀やお付きの侍女を冷や冷やさせている。当面のパトロンとして果心居士に目を付けられる。
- 岡部又右衛門
- 尾張の宮大工の棟梁。信長の命令で大型船建造の指揮を取った。信長のみならず、ケンからも「(提案した設備を)明日までにお願いします」と無茶ぶりされる苦労人。
実在の人物・他の武家
- 足利義昭
- 作中では、謀略家だが、人の上に立つ器量の無い人物として描かれる。
- ケンが作ったうずらの葱焼き照り焼きを食して感服。自分の料理人として迎え入れようとするが、信長が自らの料理人であるといって拒否される。諦めきれずに夏とケンを拉致して強引に勧誘しようとするが、その傲慢な性格がケンを失望させる。怒りに任せて臣下に斬らせようとするが信長らが現れて失敗する。実はその顛末自体が、信長が義昭に傀儡としての自分の立場をわからせ、釘を刺すための策略だった。
- 将軍である自分をないがしろにする信長に対して、浅井・朝倉を引きこんでの包囲網を展開した。信長の命令でケンがスッポン料理を供したことを切っ掛けに挙兵するが、大安宅船を使った電撃戦によってあっさりと敗北。茶壷櫓に立て篭もり、自身の価値と引き換えに譲歩を引き出そうとするも、ケンの用意した「スッポンのすき焼き」と説得を受けて降伏した。
- 信長と顕如(ケンとようこ)の料理勝負の際、「毒見役になっていれば双方の料理を試食できたのに」と悔しがるなど、コメディリリーフの要素も併せ持つ。
- 【ドラマ版での設定】
- 岐阜での宴で多くの臣下を参加させて困らせようとする、朝倉義景の進言で信長を貶めようとするなど、信長に嫌がらせをする描写が増えている(いずれもケンの機転で阻止された)。
- 松永久秀
- 信長と足利義昭双方に臣従している点では明智光秀と同じだが、裏で反織田勢力と繋がり、義昭の信長包囲網形成にも加担し、武田家への使者役も務めている(信長も察知しているが、本人はとぼけている)。ただし積極的ではなく、どちらに加担すれば良いのか天秤にかけている風である。信長もそれを承知で、あえて利用している。
- 情報収集も精力的に行っており、その情報を高く買う所に流す算段をしている。信長の比叡山焼き討ち、および実際の比叡山がもぬけの空である事実も、いち早くつかんだ。この時は信長の意図を察知し、自らも「信長の悪評を広める」ため行動した(動揺する義昭に対し、あえて前述の事実を伝えなかった)。後に久秀が信長の意図を見抜いたことを知って、光秀は驚愕することになる。
- その後、信長を裏切るも、将軍義昭追放の後、信長を支援する目的の偽りの裏切りとしらを切って、降伏し許される。
- (平成からタイムスリップした人物である)果心居士ともつながりがある様子で、そのことでケンに対しても探りを入れた。
- 北畠具教
- 朝廷から権中納言の位を授かり文化人としての自負があったが、織田信長との和睦の席でケンが作る料理を食べたときに、材料、調理法など何一つ理解が出来なかったことで信長には勝てないと敗北感で打ち拉がれる。
- 浅井長政
- 当初は信長に憧れ心酔するが、信長と言葉や書面を交わすうちに、信長の革新的思考が理解できないようになり、不安に陥ることとなる。その結果、朝倉攻めをきっかけとして信長と敵対することになる。
- ケンが信長の命で朝倉方の料理人になり代わって小谷城に潜入した後に正体が露見した際、一時は彼を捕らえてその首を信長に送ろうとするが、お市の助言で娘の茶々が食べられる肉料理を作ることを条件に助命する。その後も、朝倉義景が撤兵した際、その原因がケンの料理であることを見破り、苦々しく思う。
- 姉川の合戦から3年後、再び開いた織田方との戦に敗れる。お市やケンからも降伏をすすめられたが、自身がお市の情に甘えていたことに気づき妻子を織田方へ帰す。自分は信長の「下」ではなく「隣」にいたかったと最後まで思っていた。自刃する間際、ケンから「自分の娘たちが戦乱を終わらせる礎となる」と聞かされ、「それなら、ここで死んでおくのも悪くない」と納得した上での最後だった。
- お市
- 金ヶ崎城の兄の信長へ鮎を送り長政の行動をそれとなく知らせる(ケンがその真意を察する)[注釈 9]。
- ケンが信長の命で朝倉方の料理人になり代わって小谷城に潜入した際に鮎を使った料理を見て信長のメッセージを読み取るが、長政と一緒に行動するとケンたちに言ったために間者として送り込まれたことが露見する。捕らえられたケンと語り合うが、ケンの話(未来の料理・栄養学の知識)が半分も理解できず、上述の信長と長政のすれ違いについて思い至ることになる。結果、ケンに信長の面影を見て、自らを盾にするように芝居を打って逃がすことになる。
- 姉川の合戦から3年後、再び開いた織田方との戦に際してもケンから伝えられた料理によって降伏してでも生き延びることを長政にすすめるが、「浅井の血を守れ」と娘たちと共に織田方に帰される。
- 茶々
- 浅井長政とお市の娘で肉を食べるのが苦手だった。ケンが作った鮎を使った料理に興味を示す。ケンが料理したハンバーグをメインしたお子様ランチに興味を示し完食する。
- 姉川の合戦から3年後、再び開いた織田方との戦の頃には幼いながらにおしゃまな女の子になっていたが、親と離れ離れになった際には妹の初と共に涙した。合戦集結の後、岐阜で出会った濃姫には「すてき…」と心酔していた。
- 朝倉義景
- 足利義昭と反信長同盟を結び、信長勢を攻める。浅井方とは久政の代から同盟を結んでいる。商人になりすまし陣中に潜入したケンの料理で、兵らが故郷を思い出したため士気が低下し、信長と一時和睦して撤兵。これによって第一次信長包囲網が解体する。
- 3年後。再び開いた織田方との戦に際しても及び腰ながら軍を起こすが、大嶽城が落ちたことで撤退。信長による徹底的な追撃殲滅戦によって追い詰められ、自刃する。
- 徳川家康
- 義昭の年賀挨拶の席で、信長の指示によるケンの御膳を見て、その意味を理解する。また情勢の悪化から部下から反織田勢力に着くように提案されるが、ケンの料理で幼少期の信長との記憶を思い出し、織田軍として武田信玄をはじめとする反織田勢力と戦うことを決意する。幼少の記憶を思い出させてくれたケンを高く評価している。けっこう食い意地も張ってり、平時・有事を問わず織田家を訪れた際にはケンの料理を楽しみにしている。
- 武田から解放されたケンを一時期手元に置くが、三方ヶ原の戦いの後、ケンを信長の下へと帰す。
- 酒井忠次、榊原康政、本多忠勝
- 徳川家四天王と呼ばれる武将(井伊直政は未登場)。いずれも家康を慕う股肱の臣であり、信長よりも家康こそ天下を取る器であると期待している。
- 酒井は四天王筆頭として家康を支えるが、忠勝などの能天気な若手には頭を痛めることが多い。康政は少々毒舌で家康に対しても遠慮のない意見を申すこともある。忠勝は能天気な健啖家だが、食い物の味にはこだわらないところがある。
- 武田信玄
- 義昭の内書(密書)で上洛を促されるが、慎重な態度を取っていた。実は既に病に冒されていた。
- 顕如からの手紙で信長の料理人(ケン)の噂を聞いて配下の秋山信友に暗殺を命じるも、秋山の独断で連行されたケンの料理を認め、手元に置く。
- 当初はケンの料理で体調が回復するが、西上作戦開始後からケンの料理を食べなくなり、再び体調を崩す。自分の命が長くないことを悟り、かつ死後を勝頼に任せることを決意しての、最後の夢としての上洛だった。
- ケンが信長に心服していることを理解し、にもかかわらずケンが自軍に義理を立てていること、自分の健康を気遣っていることに感謝し、餞別の太刀を持たせてケンを逃がす(この太刀は岐阜まで持ち帰っている)。
- 三方ヶ原の戦いの後で亡くなったことが間接的に描写される。
- 武田勝頼
- 信玄の嫡子だが、父親の威光の陰に隠れてかすみがちな自身に劣等感を感じている。ケンと共に甲斐に連行されてきた夏を気に入る。
- ケンに「自ら滝を登らぬただの鯉」と喩えられたことからケンを憎悪するが、同時にその命を賭けた言葉を認め、その時点(西上作戦前)での家督相続を辞退する。また、ケンの懇願を信玄が受け入れたことで夏が岐阜に帰されたことでもケンを憎悪し、三方ヶ原の戦いでは本多忠勝に八つ当たりに近い態度を取った。
- 生まれた時点で武田には不要と母の実家に養子に出され、必要と言って呼び戻し当主に据えたにも関わらず父・信玄に心酔するがゆえに自分を軽視する家臣たちに辟易するも「それが愉しい」と大器への片鱗をみせる。
- 秋山信友
- 信玄の命によりケンを拉致、暗殺しようとする。しかし、史実の信玄がその時期に病に冒されていることを知っていたケンが、食事で病人を治すとして自分の腕を売り込んだため、信友はあえて信玄の命に背き、ケンを丁重に甲斐に迎え入れることとなる。
- 信長の使者として滝川一益やケンらが来訪した際は、監禁されていた彼らを解放した。
- 穴山信君
- 「武田家の事を案じているのは自分だけ」と自負するも、思慮が浅い人物であり、信長からの使者として来訪した滝川一益やケンらを監禁する。
- 上杉謙信
- 信長とは盟約を結んでいたが、比叡山焼き討ち、将軍追放、改元とたて続いた信長の行動に激怒、討伐と京奪還を決意する。しかし信長の使者となったケンによって「京を渡す」と告げられ、大義を封じられた格好となり、しばし討伐を断念し、同盟を継続し、状況を観察する事とする。
実在の人物・本願寺
- 本願寺顕如
- 一向宗(浄土真宗)の総本山・石山本願寺の門跡。作中においては、ようこから信長が長く生きないことを聞かされ、信長との敵対を決意したと描写される。しかし同時に、信長との戦いが長期戦になることを見据えているなど、戦略眼・洞察力を持つ人物としても描かれる。ようこの菓子作りの才を政略として活用し、まだ同様の理由からケンの料理の才を脅威視している。
- 間者として潜り込んでいた楓を捕らえた際には織田方の使者にケンを指名し、交渉の場で本願寺に来ることを要求。断られても朝廷への献上料理のレシピを要求し、ようこにケンを籠絡するよう命じる。結局この企ては失敗するも、ケンの西洋料理を封じることで妥協する。
- 【ドラマ版での設定】
- 瑤子から明智光秀が信長を討つことを聞き出し、二条城で砂糖を手に入れるために足利義昭と交渉していた明智光秀に接触。石山本願寺に招き、瑤子が製作した洋菓子「ペ・ド・ノンヌ」を出して手を組むようにそそのかすが失敗する。信長との料理勝負の後で瑤子を見捨てる。平成の時代に帰ろうとしたケンと同行した信長を、重臣に命じて僧兵に襲わせる。
- 下間頼廉
- 本願寺軍事部門の総帥で、僧侶ながら名だたる武将。長身で体格も良い。ようこや楓に対して、疑惑の目を向ける。後に間者と見抜いた楓を、圧倒的な力量の差で打ち負かし、自害もさせなかった。
- 下間仲孝
- 本願寺の坊官。ようこが楓を庇ったことから、むしろようこの間者の疑惑は晴れたと述べた。
実在の人物・その他
- 津田宗及
- 堺の納屋衆の筆頭的立場にある。
- ケンの信念を貫こうという態度は「嫌いではない」が、そのような態度では長生きできないとケンに忠告する。
- 今井宗久
- 納屋衆のひとりで、かなりの実力者。しかし同時に下衆な性格の人物であり、楓と関係を持っている。足利義昭と三好が手を結んだ可能性を察知するなど、洞察力も持ち合わせている。しかしケンが本願寺が信長の元へ送り込んだ間者ではないかと疑うなど、間違った推測も披露している。
- 信長が堺の納屋衆と交渉した時その使者を斬ったこともあり、織田家が鉄砲や弾薬等を大量に入手することを嫌悪する。織田家による鉄砲や弾薬等の買い付けを承諾する条件として、パオン(パン)の製作を、森可成に同行したケンに要求する。パオン作りに必要な酵母の元となる酒粕を入手できなくなるように妨害するが失敗、製作されたパオンを食べて結果的にケンの料理の腕を認めざるを得なくなる。
- 織田家と顕如と貸しを作るため、楓が石山本願寺に潜入するのに協力する。しかし後に発覚して、多額の金品で許しを請うことになる。その後もケンに貸しを作ろうとして夏に親切にするなど、何かと抜け目ない。
- 千宗易
- 納屋衆のひとり。宗久とは違い人格者として描かれる。ケンの作ったパオンをパアデレ(宣教師)が作った物と同じと評価する。今井宗久の疑念を自ら確かめようとケンに近づき、その際は自ら刀を振るうなど、行動派でもある。
- 石山本願寺で今井宗久と共に招かれた際に洋菓子「ペ・ド・ノンヌ」を出されたことや、それを製作したようこの存在をケンに話す。
- 料理に関して決して志を曲げないケンの態度に感服し、自らの志を曲げて、あえて明の女商人・宋花琳との闘茶に臨む。その際は日本人にとって未知の烏龍茶の種類を全て当ててみせて、完勝する。
- 山科言継
- 朝廷内の実力者で大勢の公家が慕う人物。信長も周りが見えて気骨のある人物と評する。
- 京都の明智光秀邸にて、千宗易を招いての茶会、ケンの創意工夫によるもてなし、信長自身による能という歓待を受け、その裏にこめられた信長の真意を察し、信長の改元要請を受諾する。一方で信長に官位を受けることを勧めるなど、強かさも見せつけた。
- 信長が蘭奢待の切り取りを所望した時は、その信長の心中を察して、帝の譲位(つまり上皇・治天の君となる事)に信長が力を貸す事を引き換え条件として、帝に要求を容れさせる。
- 史実では庶民とも気さくに交わったとされるが、作中においてはケンが面会するにあたって菓子で釣るなどの苦労を強いられており、そこまで気さくな面は見せていない。
- ルイス・フロイス
- 布教が目的でポルトガルから来日した宣教師。信長のもてなしを受け、ケンが作る野菜と棒鱈入りのコンソメ(ドラマ版ではポタージュ)に、故郷のバカリャウやカルドベルデの味を思い出し、感涙する。再会時にはフロイスをもてなすためケンは「パスティス・デ・バカリャウ」(干し鱈のコロッケ)を用意するが、信長の思惑から別目的で使われてしまったため、食べ損なうことになる。
- 狩野永徳
- 京に本拠を置く絵師集団「狩野派」の棟梁。上杉への外交交渉を任された秀吉が進物として彼の作品「洛中洛外図屏風」を求めるが、信長の行状などを理由に拒否する。狩野派の棟梁として上り調子の織田に真っ向から逆らうような真似はしない狡猾さを持つが、数年前に亡くなった足利義輝からの依頼である屏風を没した後にも描きあげた絵に対する真摯さも併せ持っている。
- 本願寺との約条でケンが西洋料理を禁じているのを知りながら、それを注文するが、フランス料理「ピラフ」の原型であるトルコ料理「ピラウ」を供されるという変化球に一本取られて屏風を譲った。
単行本
- 原作:西村ミツル・作画:梶川卓郎 『信長のシェフ』 芳文社〈芳文社コミックス〉、既刊14巻(2015年11月16日現在)
- 2011年8月9日発売 ISBN 978-4-8322-3261-7
- 2011年10月14日発売 ISBN 978-4-8322-3269-3
- 2012年2月16日発売 ISBN 978-4-8322-3283-9
- 2012年6月16日発売 ISBN 978-4-8322-3301-0
- 2012年10月16日発売 ISBN 978-4-8322-3325-6
- 2013年1月16日発売 ISBN 978-4-8322-3338-6
- 2013年6月15日発売 ISBN 978-4-8322-3358-4
- 2013年10月16日発売 ISBN 978-4-8322-3376-8
- 2014年2月15日発売 ISBN 978-4-8322-3392-8
- 2014年7月8日発売 ISBN 978-4-8322-3408-6
- 2014年10月16日発売 ISBN 978-4-8322-3421-5
- 2015年2月16日発売 ISBN 978-4-8322-3439-0
- 2015年7月16日発売 ISBN 978-4-8322-3458-1
- 2015年11月16日発売 ISBN 978-4-8322-3476-5
テレビドラマ
信長のシェフ | |
---|---|
ジャンル |
テレビドラマ 時代劇 |
原作 | 西村ミツル |
脚本 |
深沢正樹 倉持裕(Part1) |
監督 |
兼崎涼介 田村直己 藤岡浩二郎(Part1) 濱龍也(Part1) 猪原達三(Part2) |
出演者 |
玉森裕太 志田未来 及川光博 香椎由宇(Part1) 斉藤由貴(Part2) |
製作 | |
制作 |
テレビ朝日 東映 |
放送 | |
放送国・地域 | 日本 |
Part1 | |
プロデューサー | 大江達樹(テレビ朝日) 島田薫(東映) |
エンディング | Kis-My-Ft2「My Resistance -タシカナモノ-」 |
放送期間 | 2013年1月11日 - 3月15日[注釈 10] |
放送時間 | 金曜日23:15 - 翌0:15 |
放送枠 | 金曜ナイトドラマ |
放送分 | 60分 |
回数 | 9 |
公式サイト | |
Part2 | |
プロデューサー | 大江達樹(テレビ朝日) 島田薫(東映) |
エンディング | Kis-My-Ft2「Another Future」 |
放送期間 | 2014年7月10日 - 9月4日 |
放送時間 | 木曜日19:58 - 20:54 |
放送分 | 56分 |
回数 | 8 |
公式サイト | |
特記事項: 【第1シリーズ】最終話は当初予定より1週繰り下げ、2013年3月15日に放送。 【第2シリーズ】テレビ朝日他一部系列局を除き、20:00飛び乗り。 初回は2時間SP(19:58 - 21:48)放送の上、テレビ朝日他一部地域にて、事前番組『このあと信長のシェフ 初回2時間スペシャル』(19:54 - 19:58)も別途放送。 2014年8月21日は『パンパシ水泳』中継のため休止。 |
ドラマ |
テレビ朝日系で2回にわたりテレビドラマ化。主演は玉森裕太。本項登場人物の節に記載された【ドラマ版での設定】及び、この節の記述は特記無き場合第1シリーズ及び第2シリーズにおける解説。
- 第1シリーズ(Part1)
- 2013年1月11日から3月15日まで毎週金曜日23:15 - 翌0:15に、テレビ朝日系の「金曜ナイトドラマ」(以下略式記載としてこの枠名を“ 金曜ND ”と呼ぶ。)枠で放送された。
- 第2シリーズ(Part2)
- 2014年7月10日から9月4日まで毎週木曜日19:58 - 20:54に、テレビ朝日系にて放送。
2014年2月にドラマ第2シリーズの制作決定と同年7月の放送予定を発表[7]。同年5月にはPart2から登場するレギュラー出演者と、放送枠が第1シリーズにおける深夜帯の「金曜ナイトドラマ」枠からゴールデンタイムに移動する事を発表した[8]。同時間帯は「木曜ミステリー」枠であったが、本作の放送により一旦休止となった。テレビ朝日木曜20時台の時代劇は、1998年10月から12月に放送された『新選組血風録』以来15年ぶりである。
企画・制作
玉森は本作が連続ドラマ単独初主演であり、“ 金曜ND ”枠では初めてとなる時代劇作品である[9]。テレビ朝日系列でのレギュラーでの時代劇はABCとの共同制作『必殺仕事人2009』以来3年6ヶ月ぶり。複雑な戦国時代をカジュアルに描き、時代劇に馴染みのない若者層にも分かりやすい作りで人気を得て、深夜枠ながら平均視聴率10.8%と好調を記録した[10]。だがゴールデンタイムに進出した第2シリーズは初回から全話を通じて視聴率が一桁と伸び悩んだ。
放送・配信
第1シリーズ
最終話は当初2013年3月8日に放送予定であったが、『報道ステーション』が番組内で『2013 ワールドベースボールクラシック2次ラウンド 日本×チャイニーズタイペイ』中継を続けた関係で65分延長(21:54 - 翌0:15)となったことから、翌週の3月15日に放送された。
本放送終了後、テレビ朝日の有料動画配信サービス・テレ朝動画で配信されている[11]。
第2シリーズ
テレビ朝日他一部系列局を除き、20:00飛び乗り。初回は2時間SP(19:58 - 21:48)で放送の上、テレビ朝日他一部地域にて、事前番組『このあと信長のシェフ 初回2時間スペシャル』(19:54 - 19:58)も別途放送。
2014年8月21日は『パンパシ水泳』中継のため休止。
キャスト(全シリーズ共通)
人物説明は原作項目を参照。
キャスト(Part1)
キャスト(Part2)
ゲスト(Part1)
複数話・単話登場の場合は演者名の横の括弧()内に表記。
- 第1話 「平成のシェフが戦国時代にタイムスリップ!?」
- 第2話 「平成のシェフが戦場に! 敵の台所に潜入」
- 第3話 「テリヤキの乱!!将軍VS平成のシェフ」
- 第4話 「家康の裏切り!? 信長の危機を天ぷらで救え!」
- 第5話 「平成のシェフがスパイに!! 信長の妹を暗殺せよ!?」
- 第6話 「姉川の戦いを焼肉で勝利せよ! 最凶の敵登場!!」
- 第7話 「本能寺の変…明智光秀と平成の恋人の陰謀!?」
- 第8話 最終章 「最愛の人死す!別れのディナーはチョコ料理」
- 最終話 「運命の料理対決! 平成に帰れるのか!?」
ゲスト(Part2)
複数話・単話登場の場合は演者名の横の括弧()内に表記。
- 第1話 「平成のフレンチシェフが戦国へ!? 織田信長暗殺を阻止せよ!」
- 第2話 「比叡山焼き討ちの真実…平成グルメが歴史を動かす!?」
- 第3話 「信長のシェフ誘拐される! 武田信玄が平成グルメに激怒!?」
- 第4話 「平成の料理人が武田信玄を毒殺!?」
- 第5話 「さらば武田信玄…最後の晩餐!!」
- 第6話 「家康 最大の危機! 平成のスープで救え」
- 第7話 「最終章! 食わず嫌いグルメで室町幕府を倒せ!!」
- 最終話 「さらば平成のシェフ! 思い出の料理でお市を救え!!」
-
- 茶々(ちゃちゃ) - 遠藤ゆりな
- 初(はつ) - 松田苺
スタッフ
- 原作 - 西村ミツル / 漫画 - 梶川卓郎『信長のシェフ』(週刊漫画TIMES / 芳文社)
- 脚本 - 深沢正樹 / 倉持裕(Part1)
- 音楽 - 池頼広
- 監督 - 兼崎涼介、田村直己 / 藤岡浩二郎、濱龍也(Part1) / 猪原達三(Part2)
- 主題歌
- Part1 - Kis-My-Ft2「My Resistance -タシカナモノ-」(avex trax)
- Part2 - Kis-My-Ft2「Another Future」(avex trax)
- ナレーター - 来宮良子(Part1) / 杉本るみ(Part2)[15]
- 助監督 - 林稔充、平田博志、和田圭一、匂坂力祥
- 撮影 - 日下誠、津田宗幸、林健作
- VFX - キルアフィルム
- かつら - 山崎かつら
- 美粧・結髪 - 東和美粧
- 擬斗 - 清家三彦(東映剣会)
- 和楽 - 中本哲
- 舞踏振付 - 花柳双子
- 料理指導 - 伊藤雄大、毛利英二 / 山内茂、石田充(Part1) / 薬師神陸、木村栄至、渡邊奈佑子(Part2)
- 料理監修・協力 - 辻調理師専門学校
- ゼネラルプロデューサー - 横地郁英(テレビ朝日)
- プロデューサー - 大江達樹(テレビ朝日)、島田薫(東映)
- ラインプロデューサー - 清水圭太郎
- プロデューサー補 - 西原宗実(テレビ朝日)
- 制作 - テレビ朝日、東映
放送日程
Part1(2013年)
各話 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 監督 | 視聴率[10] | |
---|---|---|---|---|---|---|
第1話 | 2013年1月11日 | 平成のシェフが戦国時代にタイムスリップ!? | 深沢正樹 | 兼﨑涼介 | 11.6%[16] | |
第2話 | 1月18日 | 平成のシェフが戦場に! 敵の台所に潜入 | [16] 9.9% | |||
第3話 | 1月25日 | テリヤキの乱!! 将軍VS平成のシェフ | 倉持裕 | 田村直己 | 10.1% | |
第4話 | 2月 | 1日家康の裏切り!? 信長の危機を天ぷらで救え! | 11.3% | |||
第5話 | 2月 | 8日平成のシェフがスパイに!! 信長の妹を暗殺せよ!? | 深沢正樹 | 藤岡浩二郎 | 10.9% | |
第6話 | 2月15日 | 姉川の戦いを焼肉で勝利せよ! 最凶の敵登場!! | 倉持裕 | 10.7% | ||
第7話 | 2月22日 | 本能寺の変…明智光秀と平成の恋人の陰謀!? | 深沢正樹 | 兼﨑涼介 | 11.8%[16] | |
第8話 | 3月 | 1日最終章「最愛の人死す! 別れのディナーはチョコ料理」 | 倉持裕 | 濱龍也 | 10.3% | |
最終話 | 3月15日 | 運命の料理対決! 平成に帰れるのか!? | 深沢正樹 | 兼﨑涼介 | 11.0%[16] | |
平均視聴率 10.8%[16](視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) |
Part2(2014年)
各話 | 放送日 | サブタイトル | 監督 | 視聴率[17] | |
---|---|---|---|---|---|
第1話 | 7月10日 | 平成のフレンチシェフが戦国へ!? 織田信長暗殺を阻止せよ! | 田村直己 | 9.7% | |
第2話 | 7月17日 | 比叡山焼き討ちの真実…平成グルメが歴史を動かす!? | 6.1% | ||
第3話 | 7月24日 | 信長のシェフ誘拐される! 武田信玄が平成グルメに激怒!? | 猪原達三 | 6.9% | |
第4話 | 7月31日 | 平成の料理人が武田信玄を毒殺!? | 7.1% | ||
第5話 | 8月 | 7日さらば武田信玄…最後の晩餐!! | 5.6% | ||
第6話 | 8月14日 | 家康 最大の危機! 平成のスープで救え | 田村直己 | 7.4% | |
第7話 | 8月28日 | 最終章! 食わず嫌いグルメで室町幕府を倒せ!! | 兼﨑涼介 | 6.4% | |
最終話 | 9月 | 4日さらば平成のシェフ! 思い出の料理でお市を救え!! | 6.8% | ||
平均視聴率 7.3%[18](視聴率は関東地区・ビデオリサーチ社調べ) |
原作との相違点
- 第1シリーズ(Part1)
- 夏が来たのは信長に招かれたからではない。
- 第2シリーズ(Part2)
- 原作ではケンは信玄の下から解放された後に遠江の家康の下に向かっているが、テレビドラマでは直接岐阜に帰還している。
テレビ朝日系 金曜ナイトドラマ | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
匿名探偵
(2012.10.12 - 2012.12.7) |
信長のシェフ
(2013.1.11 - 2013.3.15) |
お天気お姉さん
(2013.4.12 - 2013.6.7) |
テレビ朝日系 木曜19:58 - 20:54枠 | ||
信長のシェフ Part 2
(2014.7.10 - 2014.9.4) |
出典
- ^ この事実が明らかになるのは11巻-12巻時点。
- ^ この事実が明らかになるのは11巻時点。
- ^ コミックス12巻第104話より。
- ^ コミックス13巻第109話より。
- ^ Part2 第2話より。
- ^ Part2 第5話より。
- ^ “2014年夏、戦国イチのフレンチシェフが帰ってくる!|信長のシェフ”. テレビ朝日. (2014年2月17日)
- ^ “佐々木希 : 時代劇に初挑戦 玉森主演「信長のシェフ」続編で謎の女料理人に”. 毎日新聞デジタル. (2014-5-143)
- ^ “キスマイ玉森 : 戦国シェフ役で連ドラ単独初主演 信長にミッチー”. 毎日新聞デジタル. (2012年11月14日)
- ^ a b 信長のシェフ Sponichi Annex 芸能、2013年3月18日参照。[リンク切れ]
- ^ 信長のシェフ、テレ朝動画、2013年3月17日参照。
- ^ スポニチ アネックス (2014年7月11日). “テレ朝「信長のシェフ」続編 初回は9・7%、深夜の前作上回れず”. 2014年8月9日閲覧。
- ^ オリコンスタイル (2014年7月16日). “玉森裕太、『信長のシェフ』初“チュー”に緊張”. 2014年7月18日閲覧。
- ^ 中日スポーツ (2014年8月25日). “キスマイ千賀健永 「信長のシェフ」で時代劇デビュー”. 2014年8月29日閲覧。
- ^ ナレーター杉本るみ「信長のシェフ」出演決定 yamadax 2014年6月17日
- ^ a b c d e 第9話と平均の出典。キスマイ玉森裕太主演「信長のシェフ」 最終回11・0% 深夜枠でヒット! スポーツニッポン(2013年3月18日)
- ^ 信長のシェフ Sponichi Annex 芸能、2014年9月7日参照。
- ^ 「発表! 第82回ドラマアカデミー賞」『ザテレビジョン関西版』第20巻46号(2014年11月21日号)、KADOKAWA、10頁。
注釈
- ^ ぶつ切りにして串に刺して焼く調理法で、現代で言うところの蒲焼とは異なる。
- ^ 醤油もまだ日常的に使用されるようになる以前の時代のため、存在していない。
- ^ 本当はいくつかの村を纏めて与えて領主とする話だったが、それは断った。
- ^ 作中では、ようこから「信長は長く生きない」と知らされた顕如は、この情報を元に和睦案に十年と記した。しかし実際の本能寺の変は、この時よりも12年後である。一方でケンは「十数年後」であることは把握している。
- ^ その際秋山信友の部下はケンの顔を知らなかった。
- ^ 信長自身はただ他人に助けを求めるのではなく「自分のことは自分で決めろ」と言う意味合いだった。
- ^ 原作では、ケンの上司と思わしき初老の男に面影が似ていたこともあって、ケンは井上を斬ることができなかったと描写される。それ以降、ケンはたびたび人殺しを厭う発言・行動をしており、それにより信長の怒りを買うこともあった。
- ^ この時の領民・新吾と姉川の合戦で再会した際には、知らぬふりをしながらも放逐することで助命している。
- ^ いわゆる「小豆袋」のエピソードの翻案
- ^ 当初は2013年3月8日に最終話が放送される予定だった。
- ^ ドラマのオリジナルキャラクターで原作のようこに相当。