佐世保基地 (アメリカ海軍)

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佐世保基地(させぼきち)は、長崎県佐世保市にあるアメリカ海軍第7艦隊軍事基地。一般には海上自衛隊の施設も含めて同名称で呼ばれ、区別するときは「米海軍佐世保基地」・「海上自衛隊佐世保基地」のように組織名称を頭につける。

施設群としては中枢である佐世保海軍施設と付随する港湾施設・倉庫群からなる。防衛局ではこれらを「佐世保海軍施設等」などと総称している[1][2]。他の名称としては、駐留部隊名の「佐世保艦隊基地隊」(Commander Fleet Activities Sasebo[1])の略称 CFAS も用いられる。英語表記としてSasebo Naval Baseも用いられる。

概要

佐世保基地は、アメリカ海軍第7艦隊の一部が駐留する基地である。米軍組織上は、佐世保艦隊基地(FAS)と横須賀補給センター(FISCY)佐世保支所の2組織に大別される。土地総面積は 461.1ha (長崎県公式サイト内「米海軍佐世保基地」よりデータ引用)。

配備されている艦艇の一覧は「第7艦隊」を参照。一部の施設は海上自衛隊と共同で使用している。

1950年から1978年まで佐世保駅と赤崎貯油所を結ぶジョスコー線と呼ばれる米軍専用の引き込み線(4.6km)が使用されていたが、現在は佐世保重工業(SSK)敷地内に一部痕跡を残すのみである。

主な配属艦艇

佐世保艦隊基地隊

佐世保艦隊基地(Fleet Activities Sasebo)、すなわち佐世保艦隊基地隊(Command, Fleet Activities Sasebo)が管理・使用する施設には以下のものがある。。

  • FAC5029 佐世保海軍施設(※) 43.0ha
メインベース(Main Base)と通称される。平瀬町一帯に司令部など基地中枢部をはじめ、AFN佐世保局や基地従業員の福利厚生・商業施設などが集約されている。平瀬埠頭には係船桟橋が増設され、海上自衛隊の護衛艦が多数停泊する。市道で南北に分かれており、北部はチェスター・ニミッツ米海軍元帥に由来する通称「ニミッツ・パーク」(Nimitz Park)と呼ばれるグラウンドで、市民に開放される機会が多い。
  • FAC5030 佐世保ドライドック地区(Drydock)(※) 8.3ha
佐世保重工業(SSK)敷地内にあり、第2ドックを占有する。SSKが独自に使用することは禁じられており、米軍または海上自衛隊艦船の艦底洗浄や塗装など比較的軽度の整備を担当する。
  • FAC5033 佐世保弾薬補給所(Maebata Ammo Supply Point; Maebata Ordnance facility) 58.2ha
旧海軍が前畑町一帯に建設した弾薬庫群で、通称「前畑弾薬庫」。天神山の山麓を掘削した地下倉庫で、戦後60年のうちに地上が宅地化されたため、返還運動が継続している。地下トンネルの全容は明らかにされていない。
  • FAC5050 針尾島弾薬集積所(Hario Shima Ammo Storage Area; Hario Shima Ordnance facility) 129.7ha
戦後新たに針尾島北西部の安久ノ浦・牛ノ浦海岸に設置された弾薬庫で、規模も安全性も前畑を遥かにしのぐ。超大型艦艇が停泊する恵比寿湾錨地に近い。前畑弾薬庫の撤去・返還運動に際して、最も有力な代替施設として頻繁に提案されている。
  • FAC5086 立神港区(Tategami peninsula) 13.8ha
立神係船池(インディア・ベイスィン India Basin)一帯を指し、東側の蛇島埠頭を除き、平時はSSKの艤装作業などに対して使用を特認している。蛇島埠頭には揚陸艦ボノム・リシャールまたはハーパーズフェリーのいずれかが常駐していることが多い。SSKとの賃貸契約は非常時に凍結される。911テロ直後は係船池を閉鎖したためSSKは使用できなかった。
  • FAC5117 崎辺小銃射撃場(※)および
  • FAC5118 崎辺海軍補助施設(Sakibe LCAC support facility) 計12.9ha
米軍基地よりも「海上自衛隊の教育隊」の印象が強い。LCACの格納庫が置かれている。
  • FAC5050 針尾住宅地区(Hario Housing Area)(※) 31.7ha
ニクソン時代に市街地の米軍住宅は日本に返還されたが、レーガン時代に基地増強策により改めて米軍用の住宅に必要とされたため、郊外のハウステンボス隣接地に米軍専用の住宅地を造成した。

横須賀補給センター佐世保支所

横須賀補給センター佐世保支所(FISC detachment in Sasebo)は、米海軍の兵站機関であり、佐世保艦隊基地(FAS)内に事務所を置き、以下の3つの貯油施設を管理・運営している。FASから人員・施設などさまざまな支援を受けて活動してはいるが、米軍組織上は「佐世保艦隊基地隊」とは別個の組織である。

  • FAC5032 赤崎貯油所(Akasaki POL Depot; Akasaki Fuel Terminal) 78.5ha
佐世保港西岸、赤崎地区に整備された岸壁と地上・地下燃料タンク群からなる。米軍にとって最重要施設であり、かつて全国の基地に燃料貨物列車を送る起点ターミナルとして機能した。最も水深が深い係船施設で、大型艦艇が接岸のうえ直接給油が可能である。
  • FAC5036 庵崎貯油所(Iorizaki POL Depot)(※) 22.7ha
佐世保港南西に突き出した庵崎に設置された地下燃料タンク。こちらは艦艇に直接給油することはなく、小型給油船を介して給油活動を行う。また自衛隊も使用しており、自衛隊が唯一使用できる港内給油施設となっている。
  • FAC5039 横瀬貯油所(Yokose POL Depot) 61.8ha
米軍基地施設では唯一佐世保市ではなく西海市に位置する地下タンク群。佐世保湾に面した接岸施設から搬出入をするため、奥まった横瀬漁港にはほとんど悪影響がない。崎辺に常駐するLCAC格納庫の移転先として有力視されているが、現状では陸上平坦地がないために埋立工事が必要である。

佐世保湾の制限水域

佐世保湾水域の約83%は米軍の使用を優先する制限水域となっており、自衛隊と共同使用されている。さらに制限水域は以下のように細分化され、民間が制限なく使用できる水域は約17%でしかない。[2]

  • (A)制限水域(8.4%):すべての使用に許可を必要とする区域
  • (B)制限水域(19.3%):航行は自由だが、その他の使用は許可を必要とする区域
  • (C)制限水域(49.8%):潜水のみ許可を必要とする区域
  • (D)制限水域(5.7%):水上機路線権区域
  • 非制限水域(16.8%)

米軍が自衛隊・民間と共同使用している施設・区域

日米地位協定第二条第4項(b)の適用により、米軍は、以下の自衛隊および民間の施設の一部を利用(共同使用)している。

  • 海上自衛隊が提供
    • FAC5029 佐世保海軍施設(倉庫施設等を利用)
    • FAC5117 崎辺小銃射撃場(射撃訓練に利用)
  • 佐世保重工業(SSK)が提供
    • FAC5030 佐世保ドライドック地区(船舶修理等に利用)

日米地位協定第二条第4項(a)の適用により、在日米軍に提供されている施設および区域は、日本国および自衛隊・自治体・民間が一時的に使用することができる。海上自衛隊は、以下の米軍施設・区域を利用しているが、使用優先権は米軍にある。

  • FAC5029 佐世保海軍施設(倉庫施設等を利用)
  • FAC5030 佐世保ドライドック地区(船舶修理)
  • FAC5036 庵崎貯油所(燃料貯蔵)
  • FAC5050 針尾島弾薬集積所(弾薬貯蔵)
  • FAC5086 立神港区(船舶修理)

脚注

  1. ^ 米軍用語では、司令官(Commander)の麾下にある部隊を Command と称する。
  2. ^ 佐世保海上保安部”. 2015年7月12日閲覧。

外部リンク

座標: 北緯33度9分45.9秒 東経129度42分41.2秒 / 北緯33.162750度 東経129.711444度 / 33.162750; 129.711444