住木諭介

リンクを追加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

これはこのページの過去の版です。220.109.38.233 (会話) による 2021年1月1日 (金) 05:00 （個人設定で未設定ならUTC）時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

住木 諭介（すみき ゆすけ、1901年（明治34年）2月10日 - 1974年（昭和49年）9月11日）は、日本の農芸化学者、放射線生物学者、農学博士。理化学研究所抗生物質研究室初代主任研究員、元理化学研究所副理事長、元東京大学農学部学部長、東京大学名誉教授、日本農芸化学会名誉会員。

略歴

新潟県新潟市東堀前通6番町（現 新潟市中央区東堀前通6番町）の旅館「室長（むろちょう）」[注 1]の長男として出生[1][2]。

1919年（大正8年）3月に新潟中学校を卒業、1922年（大正11年）3月に新潟高等学校を卒業、1925年（大正14年）に東京帝国大学農学部農芸化学科を卒業[3]、1929年（昭和4年）に東京帝国大学農学部大学院を修了[注 2]。

1929年（昭和4年）に東京帝国大学農学部農芸化学科（鈴木梅太郎教授）副手に就任[4]、1932年（昭和7年）に東京帝国大学農学部農芸化学科助手に就任、1936年（昭和11年）8月に東京帝国大学農学部農芸化学科助教授に就任。

1938年（昭和13年）に藪田貞治郎とともに稲の馬鹿苗病菌の培養液から植物ホルモンの「ジベレリン」を単離して結晶化させることに成功[5][6]。

1944年（昭和19年）に開始された陸軍軍医学校の抗生物質のペニシリン（碧素）の生産研究に、藪田貞治郎、坂口謹一郎、朝井勇宣、柴田桂太、田宮猛雄、都築正男、石館守三、梅澤純夫、増山元三郎、梅澤濱夫たちと協力[7][8]。

1946年（昭和21年）12月に東京帝国大学農学部農芸化学科農芸化学第四講座[注 3]教授に就任、同年10月に「稲馬鹿苗病菌の生化学的研究」で報公賞を受賞[9]。

1949年（昭和24年）に東京大学農学部農芸化学科農産製造学講座[注 4]教授に就任[注 5]、同年に第1期日本学術会議会員に就任[注 6]、1952年（昭和27年）4月に「抗生物質に関する研究」で日本農学賞を受賞[10]。

1953年（昭和28年）に理化学研究所[注 7]抗生物質研究室初代主任研究員に就任[注 8]、1957年（昭和32年）11月に東京大学農学部学部長に就任[注 9]。

1958年（昭和33年）にいもち病の防除に有効な世界初の農薬用の抗生物質の「ブラストサイジンS」を発見[6][12]。

1960年（昭和35年）6月に「ジベレリンの研究」で第1回藤原賞を受賞[13]、1961年（昭和36年）3月に東京大学を定年退官、東京大学名誉教授の称号を受称、同年4月に第33代日本農芸化学会会長に就任[注 10]。

1962年（昭和37年）10月に理化学研究所副理事長に就任[注 11]、1963年（昭和38年）1月に第4代日本抗生物質学術協議会理事長に就任[注 12]、同年5月に「Blasticidin Sに関する研究」で日本学士院賞を受賞[5][14]。

1965年（昭和40年）9月に植物化学調節研究会初代会長に就任[注 13]、同年11月に日本食品照射研究協議会初代会長に就任、1966年（昭和41年）1月に第8代日本農学会会長に就任[注 14]。

1974年（昭和49年）9月11日午前6時45分に東京大学医学部附属病院で胃癌のため死去[16][17]。

食糧不足の日本の食糧の増産と安定供給のため、新農薬の開発を目指し、理化学研究所に、1962年（昭和37年）から1970年（昭和45年）まで、9年間に9研究室の農薬研究部門を編成した[18]。

日本の抗生物質研究の先駆者で、それまで農薬に使用されていた有機水銀の代わりに、抗生物質を世界で最初に農薬として実用化した[17][19][20]。

親族

著書

  • 『植物ホルモン』河出書房、1943年。
  • 『ペニシリン』産業図書、1946年。
  • 『味の化學』創元社、1948年。
  • 『食品製造要覽』技報堂、1951年。
  • 『抗生物質 上巻』東京大学出版会、1961年。
  • 『抗生物質 下巻』東京大学出版会、1961年。
  • 『抗生物質 補遺 I』東京大学出版会、1970年。
  • 『抗生物質 補遺 II』東京大学出版会、1970年。

編書

  • 『新農薬研究施設』南江堂、1966年。

校閲書

  • 『農產物利用學』谷田澤道彦[著]、経営評論社、1950年。

論文

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 1955年（昭和30年）10月1日の新潟大火で焼失して新潟県新潟市上大川前通5番町（現 新潟市中央区上大川前通5番町）に移転。
  2. ^ 1932年（昭和7年）6月に東京帝国大学から農学博士号を取得。
  3. ^ 1954年（昭和29年）に有機化学講座に改称。
  4. ^ 1954年（昭和29年）に農産物利用学講座に改称。
  5. ^ 1953年（昭和28年）から1956年（昭和31年）まで農芸化学第四講座（1954年（昭和29年）から有機化学講座）を兼任。
  6. ^ 1951年（昭和26年）に退任。
  7. ^ 1948年（昭和23年）3月1日から1958年（昭和33年）10月20日までは「科学研究所」。
  8. ^ 東京大学農学部農芸化学科教授および東京大学応用微生物研究所教授を兼任[4][11]、1962年（昭和37年）10月に退任。
  9. ^ 1960年（昭和35年）11月に退任。
  10. ^ 1963年（昭和38年）3月に退任。
  11. ^ 1970年（昭和45年）6月に退任。
  12. ^ 1970年（昭和45年）5月に退任。
  13. ^ 1974年（昭和49年）9月11日に死去するまで在任[15]。
  14. ^ 1969年（昭和44年）12月に退任。

出典

  1. ^ 『新潟県大百科事典 別巻』232頁。『新潟県大百科事典』復刻デスク版、1060頁。
  2. ^ 『日本釀造協會雜誌』第70巻第7号、484頁。
  3. ^ 『日本釀造協會雜誌』第69巻第10号、659頁。
  4. ^ a b 『Discussion Paper No. 50』27頁。
  5. ^ a b 専攻・専修のなりたち | 東京大学大学院農学生命科学研究科 応用生命化学専攻／応用生命工学専攻
  6. ^ a b 『日本人名大辞典』1027頁。『日本大百科全書 13 すけ－せん』186頁。
  7. ^ 『化学と生物』第22巻第9号、568頁。『化学と生物』第22巻第9号、601-602頁。
  8. ^ 『年次学術大会講演要旨集』第24巻、811頁。
  9. ^ 「報公賞」歴代授賞者および授賞の業績 (PDF) - 服部報公会
  10. ^ 日本農学賞受賞者 日本農学会
  11. ^ 『Discussion Paper No. 50』62頁。『高分子』第6巻第9号、453頁。
  12. ^ 『20世紀日本人名事典 あ〜せ』1384頁。
  13. ^ 藤原賞受賞者 藤原科学財団
  14. ^ 恩賜賞・日本学士院賞・日本学士院エジンバラ公賞授賞一覧 | 日本学士院
  15. ^ 『植物の化学調節』第9巻第2号。
  16. ^ 『THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS』第27巻第5号、705頁。
  17. ^ a b 『新潟日報』1974年9月12日付夕刊、7面。
  18. ^ 『Discussion Paper No. 50』30-31頁。『理研精神八十八年』第II編第3章、208-216頁。
  19. ^ 『Discussion Paper No. 50』31頁。『化学と生物』第13巻第6号、376頁。
  20. ^ 住木・梅澤記念賞 - 日本感染症医薬品協会

参考文献

関連文献

外部リンク

学職
先代
森高次郎 		日本農芸化学会会長
第33代：1961年 - 1963年 		次代
片桐英郎
先代
小島三郎 		日本抗生物質学術協議会理事長
第4代：1963年 - 1970年 		次代
梅澤濱夫
先代
設立 		植物化学調節研究会会長
初代：1965年 - 1974年 		次代
塚本洋太郎
先代
設立 		日本食品照射研究協議会会長
初代：1965年 - 197?年 		次代
小原哲二郎
先代
平塚英吉 		日本農学会会長
第8代：1966年 - 1969年 		次代
越智勇一
「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=住木諭介&oldid=81130119」から取得