伊勢春慶
伊勢春慶(いせしゅんけい)は、三重県伊勢市で製造される春慶塗の漆器。現在では茶箱膳、弁当箱、切溜文箱、筆箱などが生産されている。2011年(平成23年)5月現在、伊勢春慶の塗師(ぬし)は2人である[1]。
沿革
起源は室町時代に遡り、伊勢神宮の工匠が御造営の御残材の払い下げを受け、内職として始めたと伝えられている(『宇治山田市史』(昭和4年発行)より)。明治時代、伊勢春慶は内国勧業博覧会など日本国内外の博覧会に数多く出品され、入賞するなど知名度を上げたが、昭和時代に戦争の影響を受け、職人の徴兵や材料確保の困難などにより次第に衰え、一度断絶する。戦後復活したものの、高度経済成長期以降の生活様式の変化やプラスチック製品の登場などで衰退し、再び生産は中断に追い込まれた。
2004年(平成16年)に伊勢春慶の会が発足し、生産が再開される。復活にあたり、伊勢文化舎が雑誌『伊勢人』で取り上げるなどして貢献した[2]。2011年(平成23年)5月現在、若者を中心とした12人が伊勢春慶の技術習得を目指して本業の傍ら修業を積んでいる[1]。同年6月からは修業に専念できる定年退職者を対象とした体験会を実施し、塗師の早期育成を進めている[1]。
特徴
- 木地は檜を使用する。
- 木地固めの際、四隅に組子を施す。
- 箱物の底の隅には“こくそ”と呼ばれる 黒い目留めを施す。
- 食紅や弁柄などで赤く着色する。
- 下塗りに柿渋を多く用いる。
- 春慶漆または朱合漆を施して仕上げる。
関連施設
- 伊勢春慶の会
- 〒516-0021 三重県伊勢市河崎2-25-29 伊勢春慶デザイン工房内(伊勢河崎商人館東隣)
脚注
参考文献
- 渡辺大地「伊勢春慶で第2の人生を 定退者対象 来月体験会 有志ら参加者募集」2011年5月25日。