京阪8000系電車
京阪8000系電車(0番台) | |
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京阪8000系8008F 新塗色 (2008年7月21日 野江駅) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業兵庫工場 |
主要諸元 | |
編成 | 8両編成 |
軌間 | 1,435 |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 110 |
設計最高速度 | 120 |
起動加速度 | 2.5 |
減速度(常用) | 4.0 |
減速度(非常) | 4.5 |
全長 | 先頭車18,900mm・中間車18,700 |
全幅 | 2,780 |
全高 | 4,155 |
車体 |
アルミニウム合金 普通鋼(8800形) |
台車 |
ダイレクトマウント空気ばね台車 電動車・ダブルデッカー車 川崎重工業KW-88・KW-88B 軸梁式 付随車 住友金属工業FS517D SUミンデン式 |
主電動機出力 | 175kw |
駆動方式 | 中空軸たわみ板継手平行カルダン方式 |
歯車比 | 5.25 |
編成出力 | 2800Kw |
制御装置 | 界磁位相制御方式 |
制動装置 | 回生ブレーキ優先全電気指令式電磁直通ブレーキ HRDA-1 |
保安装置 | 京阪形ATS |
京阪8000系電車(けいはん8000けいでんしゃ)は、1989年(平成元年)に登場した京阪電気鉄道の特急形車両。
当初は鴨東線の開業時の特急用車両の増備分として投入されたが、その後も追加で投入されて初代3000系を置き換えていった。1997年(平成9年)から1998年(平成10年)にかけて、2階建車両も製造されて、各編成に組み込まれた。かつては、車内にテレビを設置した車両(テレビカー)も連結されていたが、後述の2011年の車内リニューアルの際にテレビは撤去された。
2008年には、8両のみ残っていた初代3000系が8000系に編入されて30番台となったが、本項では、製造当初より8000系として落成した0番台について記述し、出町柳寄り先頭車の車両番号+F(Formation=編成の略)を編成名として表記する。
投入の経緯
当初、本系列は、1989年の鴨東線の開業に伴う特急用車両の所要本数の増加分と3000系に存在していた6両編成を7両編成に統一するために必要となった中間車のみを投入する計画で、まず7両編成1本と中間車5両が製造された。3000系に組み込む中間車の車両番号を、製造順ではなく8552・8554・8564・8566・8568として竣工させたのは、組み込み先の3000系の車両番号に合わせていたためである。
運用開始すると、特急停車駅で新型車両に乗車するために待つ乗客が非常に多くなったことから、当時の会社首脳陣が3000系の総置き換えを推進したという逸話が残っている[1][2]。その後、この計画は変更されて3000系は1編成のみ残され、1995年(平成7年)にはリニューアル工事とともに2階建車両(ダブルデッカー)が改造で組み込まれた[3]。
1993年(平成5年)までの間に新造が進められ、順次3000系を置き換えていき、本系列は7両編成10本(70両)となった。3000系に組み込まれていた8000系中間車は、新造された8000系に組み込まれている。そして、先に3000系で試験的に組み込まれていた2階建車両(ダブルデッカー)を本系列にも増結することになり(8800形)、1997年から1998年にかけて、1年で5両ずつ計10両が新製され、後述のテレビカーの隣の出町柳寄りから4両目(淀屋橋寄りから5両目)に順次組み込まれ、8両編成10本(80両)となっている。
特急専用車両としては6代目である[4]。また、京阪の特急専用車としては初めて新造当初からの固定編成形式である[5]。
履歴
- 1989年(平成元年)
- 8月5日:8001-8101-8501-8751-8551-8151-8051、竣工。
- 9月20日:8552・8554・8564・8566、竣工。
- 9月22日:8568、竣工。
- 9月27日:8552・8554・8564・8566・8568、3000系に組み込まれ運用開始。
- 10月5日:8001F、運用開始。
- 1990年(平成2年)
- 9月19日:8002-8102-8502-8752-8152-8052、竣工。8552を組み入れて同月21日より運用開始。
- 10月3日:8003-8103-8503-8753-8153-8053、竣工。8568を8553に改番して組み入れて同月5日より運用開始。
- 12月22日:8004-8104-8504-8754-8154-8054、竣工。8554を組み入れて同月28日より運用開始。この編成より廃車になった3000系のモーターなどの部品を流用。
- 1991年(平成3年)
- 6月27日:8005-8105-8505-8755-8155-8055、竣工。8566を8555に改番して組み入れて同月29日より運用開始。
- 7月11日:8006-8106-8506-8756-8156-8056、竣工。8564を8556に改番して組み入れて同月13日より運用開始。
- 1992年(平成4年)
- 7月30日:8007F、7連で竣工。翌31日より運用開始。
- 8月1日:8750形テレビカーで衛星放送の放送を開始。
- 8月13日:8008F、7連で竣工。翌14日より運用開始。
- 1993年(平成5年)
- 7月27日:8009F7連、竣工。翌28日より運用開始。この編成から各車両に車椅子スペースが設置された。
- 8月11日:8010F7連、竣工。翌12日より運用開始。
- 1997年(平成9年)
- 9月3日:ダブルデッカー車8801が竣工、同月11日より8001Fに組み込まれて運用開始。
- 9月10日:8802竣工、翌11日より8002Fに組み込まれて運用開始。
- 9月19日:8803竣工、同月23日より8003Fに組み込まれ運用開始。
- 9月22日:8804竣工、同月23日より8004Fに組み込まれ運用開始。
- 9月30日:8805竣工、翌10月1日より8005Fに組み込まれて運用開始。
- 1998年(平成10年)
- 4月9日:8806竣工、翌10日より8006Fに組み込まれ運用開始。
- 4月14日:8807竣工、翌15日より8007Fに組み込まれ運用開始。
- 4月17日:8808竣工、翌10日より8008Fに組み込まれ運用開始。
- 4月22日:8809竣工、翌23日より8009Fに組み込まれ運用開始。
- 4月28日:8810竣工、翌29日より8010Fに組み入れられて運用開始。ダブルデッカー車組み込みによる8両編成化が完了。
- 2004年(平成16年)6月30日:8009Fに「海老蔵号」ラッピングされ貸切運転(天満橋駅から香里園駅へ)。
- 2005年(平成17年)
- 1月15日:8008F 義経号ラッピング、同年11月16日まで。
- 2月2日:8009F 静号ラッピング、同年12月18日まで。
- 2月3日:8006F 弁慶号ラッピング、同年12月20日まで。
- 4月1日:8005F KUZUHA MALL号ラッピング、2006年5月28日まで。
- 2006年(平成18年)10月6日:8750形のブラウン管テレビを液晶32型テレビへ更新開始[6]。併せて「地上デジタル放送の受信」に切り替えられたためにBSアンテナの撤去が開始される。
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)
- 3月5日:8005F、新塗色化。8805のみ内装の意匠も変更。
- 4月1日:公衆電話ルームの使用を中止。その後順次撤去され、座席が増設された[8]。
- 2010年(平成22年)
- 3月19日:8010F、新塗色化。併せて初めての車内リニューアル、テレビカー廃止(以下、リニューアルの項目を参照)。28日に一般営業運転に入った。
- 9月1日:9月30日までの期間限定で8000系全編成に京阪特急60周年「記念ヘッドマーク」を掲出[9]。
- 9月2日:この日限りで8001Fがリニューアルの為入場。8000系0番台の旧塗装編成が消滅。
- 2011年(平成23年)
- 3月1日:8001F、新塗装化。併せて車内リニューアル、テレビ撤去。これにて全編成新塗装化完了。
- 2012年(平成24年)
- 7月:8000系0番台のリニューアル全編成完了。これにて0番台からはテレビカー全廃[10]。
車体・機器
構体は6000系と同様にアルミ合金大型押出型材を使用した。ただし、後に製造された2階建車両(8800形)は普通鋼製車体である。メーカーは川崎重工業車両カンパニーである。
主電動機は東洋電機製造製直流複巻式TDK-8161A (175kW×4) である。
駆動方式は中空軸たわみ板継手平行カルダンが採用された。
制御装置は東洋製のACRF-H8175-792A界磁位相制御、回生ブレーキおよび定速制御機能付きである。定速制御は時速45km以上であれば任意に設定が可能。また、定速制御操作を容易にするために京阪で初めて主幹制御器(マスコン)をワンハンドル式とした。そのため、営業開始前の1989年8月から10月にかけて昼間に寝屋川車庫 - 天満橋駅間で京阪線に所属するすべての運転士を対象に訓練運転が行われた。ワンハンドルマスコンは、ノッチは力行側がOff/1/2/-:減速/N:定速/+:加速、ブレーキ側はB1/B2/B3/B4/B5/B6/B7/キー抜取/非常ブレーキである。ただし、定速制御という特殊な目的のため、本系列(0番台)と更新後の30番台以外の一般車両に関してはマスコンハンドルとブレーキ設定器を分離したツーハンドル式が引き続き採用されている[11]。
- ブレーキはHRDA-1 回生ブレーキ優先電気指令式ブレーキ。付随車の空気ブレーキを効かせないで[12]付随車の運動エネルギーまでも回生ブレーキで電気に換える遅れ込め制御を採用している[13]。これには空気ブレーキ時に車輪に押し当てる制輪子が摩耗するのを減らすなどのメリットもある。
- 台車は、動力車が軸梁式KW-88(川崎重工製)、付随車がSUミンデン式FS-517C(住友金属工業製)であったが、1993年以降、FS-517C台車を新造された6000系・7200系・9000系の付随車へ振り替え、FS-517Dに交換している。
- 床下の継電器箱は東芝製である。
車内
本系列は、初代3000系のイメージを残しつつ、より近代的にアレンジされている。例えば、大きな客室窓(熱線吸収ガラス)の日除けには無機質なロール式カーテンではなく横引きカーテンが取り付けられている。また、運転席の遮光幕は運転席の後部のみ、運転席スイッチで自動で昇降する[14]。ただし、客室から運転室へのドア部の遮光幕は運転士が手で閉める。遮光幕は、客室寄りが黒、運転室寄りが緑色となっている。
自動音声放送
自動放送装置を搭載しており、2008年10月19日の中之島線開業に伴うダイヤ改正時より優等列車において使用しており、英語アナウンスによる情報提供も実施している。ただし、次駅での接続列車などについては肉声で案内される。また、扉開時の案内も7200系以降の車両と同様に従来より少し低いトーンの自動放送である(これに合わせて戸閉予告ブザー音も30番台を含めて同じく7200系以降のものに変更されている)。
なお、2003年9月6日のダイヤ改正以前にも男声(大伴英嗣)による自動放送を使用していたが、その改正により特急の停車駅が増加したため装置のROM容量の限界を超えてしまい、新装置への交換には費用がかかるとのことでその使用を停止し車掌の肉声による案内放送を行っていた[15]。なお朝方に運転される列車では、出だしの「京阪電車をご利用下さいまして、ありがとうございます。」が「おはようございます。」に差し替えられる。さらに、補助椅子を使用している場合は扉が開く前の放送「左(右)側の扉をあけます。ご注意ください」の後、「なお、出入口が混雑致しますので、補助いすをご使用のお客さまは、一度、お立ちくださいますようお願いいたします」という放送が流れる。
座席
座席は転換クロスシート[16]。初代3000系とは異なり、車端部や扉横を含めたすべての座席の転換が可能になっている(ただし、2階建車両の一部座席は固定式)。平屋車両はバケットタイプの転換クロスシートで、登場時は座席表地はブラウン系とピンク系の2色があり、ダブルデッカーを除いて1両おきに色が異なっていた。編成によってパターンが異なり、両先頭車がブラウン系の編成とピンク色の編成の両方があった。また、当初は段モケットで、独特の座り心地であったが後に順次段のない表地に変更された。ただし、初期車は後述のリニューアルで新モケットに張り替えられるまで登場時のままであった。ダブルデッカーの8800形は背もたれの上部が直角になるシートで、青系の色である。2008年以降に塗装変更された車両はシート表地が全車黒色・枕カバーが赤(優先座席はオレンジ)に変更された。全車空気圧による自動転換装置を備えており、ターミナル駅で一斉に座席の向きを変える光景が見られる。
補助椅子
この他に、一般車(テレビカーを含む)は各ドア付近、ダブルデッカー車は各ドア付近(階段とドアが接する部分を除く)と1階席の各階段下に補助椅子が収納されている[17]。補助椅子にはロック機構が付いており、通常上りは京橋駅以降、下りは中書島駅以降でのみ使用できる[18]。補助椅子がロックされている間は「ただ今補助いすは使えません」の表示が出る。通常は使用可能区間に入るとロックが開錠され、「ご案内いたします。ただ今から補助椅子が使用できますので、ご利用ください。」という放送があり、英語でも同じ内容の放送がある。混雑が予想される場合は開錠されず、車掌の肉声でその旨が車内放送される。なお、混雑が解消されれば、枚方市駅や樟葉駅といった途中駅からでもロックが開錠されることがある。この場合でも補助椅子使用可の旨を告げる自動放送がある。また、特急・快速特急以外の種別で運用される場合は補助椅子は使用できない。
新塗色への変更に伴い、他の座席と同様の表地に交換された。
初代3000系(後の8000系30番台)では1箇所につき1人掛けを2席設置していたが、本系列では2人掛けの一体型に変更されている。
2003年9月6日のダイヤ改正で特急停車駅に枚方市駅・樟葉駅が追加された当初は、2週間ほど両駅停車の特急での補助椅子ロックの開錠がなかった。
車内広告
京阪特急の伝統にならい、車内には一切広告が掲出されない[19]。連結面側の壁には沿線の名所・旧跡の絵画が飾られている。
テレビカー
- 就役開始から2012年6月まで、8750形[20]は、京阪特急の伝統である「テレビカー」として、車内にテレビが設置されていた。
- テレビ受像機の更新時期を迎えた車両から、登場時の21型ブラウン管テレビから32インチ液晶ハイビジョンテレビに順次取り替えられ、2007年7月までに完了した。
- 液晶ハイビジョンテレビに取り替えられた編成は、屋根上に地上デジタル放送用ダイバーシティ式の無指向性・広帯域UHFポールアンテナが2本設置されている[21]。
- 地上デジタルを受信できることにより、以前より美しく、途切れにくい映像とともに、一部の番組では本来聴覚障害者向けの日本語字幕を表示することが可能となり、スピーカーのスイッチ[22]が入っていなくてもより楽しく番組を視聴できるようになった。
- 以前は屋根上に2方向に向けたVHFアンテナに加え、走行中に方向が随時変化することに対応できる、自動追尾機能を持ったBSアナログアンテナを搭載しており、衛星放送も受信することができた[23]。しかし、機器の老朽化に伴い、地上デジタル放送受信設備に更新した車両から順次撤去された。
- テレビは出町柳寄り車端部上部に1台のみ設置されているため、テレビカーは終点で座席を次の進行方向に自動転換させず、常に出町柳方向を向いていた[24]。
- 2011年7月24日正午までは、地下区間に漏洩同軸ケーブルを敷設しているため、地下に入って映像が途切れることはなかった。しかし、地下区間で受信できたのは従来の地上アナログ放送であったため、アナログ放送停波からテレビが全廃されるまでの約1年間は、地下区間での放送を中止していた。
- 通常はNHK大阪総合にチャンネルが合わせられていることが多かったが、在阪民放局のスポーツ中継やニュース番組などを放映することもあった。また在阪民放局の一般番組もまれに放映されることがあった。
- テレビが視聴しやすいように、テレビ付近の室内灯はテレビの電源が入ると自動的に消灯する仕様であった。
- テレビ設置箇所の隣にはカード専用公衆電話ルームが設置されていた。なお、送受信はテレビ・鉄道無線・公衆電話とも空間波方式だが、公衆電話の送受信には漏洩同軸ケーブルの設備が対応していないため、送受信アンテナのある地下駅構内進入時を除いて地下区間内では使用できなかった[25]。2009年4月1日より公衆電話ルームは使用を中止し、順次撤去された[8]。撤去後は座席が増設された。
- 特急以外での運用時はテレビは使用停止となっていた。
- テレビ音声は各座席の壁に埋め込まれたスピーカーから流れる。このスピーカーにはスイッチが付いており、乗客の好みで音声を切ることが可能である[26]。スイッチ付きのスピーカーは3000系でも採用されていた装備である。なお、本系列新造当初はスイッチ付きのスピーカーは採用されず、テレビ音声は天井のスピーカーから車両全体に流していたが、後に3000系と同様のスイッチ付きスピーカーに変更された。なお、テレビ付近の座席[27]にはスピーカーはなく、テレビから直接音声が流れる。
- 改良工事にあわせて順次撤去を進め、2011年度に全廃されることが発表された[28]が、全廃は2012年7月にずれ込んだ。
運用
本系列が運用されるのは、主に特急・快速特急(2008年10月17日まではK特急)運用のうち、駅に掲出されている時刻表で2扉車を表す「II」の表示のある列車である。
- 平日朝ラッシュ時、おおむね7時20分から8時50分までの間に枚方市駅を出発する下り特急は特に混雑が激しいため3扉車での運用に振り替えられ、この時間帯および折り返し運用に当たる列車においては本系列は30番台も含めてすべての運用から外れる。このため、ラッシュ時から日中ダイヤへ切り替わる際の間合いに急行に変わる運用が存在した。
- 早朝・深夜・ラッシュ前後には入・出庫を兼ねて急行・区間急行・準急にも運用される。なお、特急以外の運用時や回送・試運転時は前面の鳩マークの部分(幕式)は無表示に切り替えられる。同年10月19日のダイヤ改正以降は、下り早朝の他に平日ダイヤの夕方2本と22時台の3本が寝屋川車庫への入庫を兼ねて萱島行きの普通または区間急行として運用される他、土曜・休日ダイヤの上り早朝5時から6時台に淀屋橋駅を発車する急行が折り返し出町柳発特急の送り込み運用となるためすべて本系列での運転となる。
- 2008年11月22日から11月30日までの土曜・休日に臨時特急「もみじEXPRESS」が本系列を使用して運転された。ここでは中之島駅 - 出町柳駅間の運転となったため、通常中之島線に入線しない本系列が同線を初めて走行した。この時点で8009Fは新塗色に変更され、この運用には当時新塗色に変更された3編成すべてが充当された。
- 2009年9月14日より、平日に限り間合い運用で中之島線の下りは区間急行、上りは普通列車として1往復する運用が定期で設定された(往復とも萱島発着)。8000系の営業列車での同線入線は臨時列車を除いては初めて。
- 2011年5月28日より、夜間に運転される一部の下り快速急行にも充当されることになった。また送り込み運用となる萱島行き普通は深夜1本を除いて取り止められ、夕ラッシュ時の特急運用にも就くこととなった。
- 2011年のダイヤ改正により樟葉発の急行にも運用されている。なお、その場合は、先頭車両のハトのマークに特急のイラストの場所は黒くなっている。
- 2014年2月頃に、8008F、8009Fの前面灯がそれぞれ違うタイプのLED電球に変更された。ただし8008Fは後に電球に戻されている。その上、8008Fと同じタイプのLED電球を使用していた10000系の一部の編成も同じく電球に戻されている。また、2015年11月の全般検査終了後、8007Fも、8009Fと同じLED電球の前灯に変更されている。
- 2014年からスタートした春秋の特別ダイヤでは、朝9:00~11:00の淀屋橋発の上り快速特急「洛楽」出町柳行き。夕方の出町柳発の下り快速特急の淀屋橋では、定期点検や車両の都合などを除いて、全列車が8000系2ドア車で運転される。ちなみに、特別ダイヤが始まる前の臨時快速特急の運用は、この形式と、8000系30番台(旧3000系)が使用されていた。但しこの編成は2013年3月に廃車されたため、それ以降は臨時快速特急にはこの形式のみが使用されていた(前述通り例外がある)。
- 2016年度に入り、1月後半に全般検査を終えた8001Fのヘッドライトも、これまでの8009F同様にLED化が行われた。また、8002Fと8004Fにも同様の改造が、全検なしで行われた。
リニューアル
最初の編成が落成してから20年が経過することからリニューアルされることが発表された。なお、8000系に編入された旧3000系については、2013年3月末のさよなら運転をもって施工されないまま引退した[28]。
車内
座席モケットの張替え[29]や、車端部(運転席後部を除く)のハイバックロングシート化[30]とつり革の設置などが施工され、バリアフリー対策として車椅子スペースと3000系(2代)に準じたLCD式車内案内表示器が設置された。ロングシート部分の背もたれはクロスシート部分と同等以上の高さを確保しており、1区画ごとにヘッドレストを設けて区切るなど、通勤用車両のロングシートとの差別化が図られている。ロングシート化された部分のカーテンも従来通り横引き式である。また、テレビカーに設置されているテレビ受像機や公衆電話も同時に撤去されることになった[31]。なお、リニューアルにより撤去された座席は伊賀鉄道200系(旧東急電鉄1000系)の2011年度分導入の車両に転用されている。
また、車内妻面に掲出される車両番号・落成年次・製造メーカー(川崎重工業の英語略称「Kawasaki」)・禁煙ピクトグラム・号車番号表示は、新3000系同様に1枚のシールにまとめている。
リニューアル編成1本目となる8010Fは2010年3月28日から営業運転に復帰した[32](前日の27日は展示会と臨時特急で運用)。
塗色
本系列の従来の車体塗色は、上が黄色、下が赤色のツートンカラーであったが、2010年までにすべての編成の塗色が変更されることとなり[33]、2008年6月28日に第1陣となる8008Fが出場した[34]。主な内容は次の通りである。
- 上下を逆転させ、上が赤色、下が黄色となり、間に金色の帯を入れた。
- 車両番号表記書体の変更。
- 2階建車の車体に飾られていた時代祭行列のラッピングが廃止され、車体中央に「ELEGANT SALOON」のロゴが記載された。また、「テレビカー」のロゴも左に四角囲みで「TV」、右下に「テレビカー」のロゴに変更された。
- 座席表地なども変更されている(8005Fの2階建車のみ、座席が3000系に似たものに変更された)。貫通扉の上の空白部分には、「ELEGANT SALOON 8000 SERIES DOUBLE DECKER」の文字が小さく記載されている。その部分と貫通扉は、黄色で半円を、残りは黒で塗色されている。先に新塗色に変更された8008F・8006F・8009Fでは、このような更新はされていない。8005F以降に塗色変更された8002F・8003Fは2階建車のリニューアルは施工されずに出場した。
- トップナンバーの8001編成のみ、在来塗色のまま車両番号ならびにKマーク、側面社紋のステッカー化を行っていたが、2010年9月2日夜の普通萱島行きでの運用を最後に在来塗色での運用を終えた[9]。2011年3月1日をもって8001編成もリニューアル工事を受け、当系列(30番台を除く)の新塗色化は完了した。
新塗装化実施日
(テレビは2012年7月までに全車両撤去済み)
- 2008年6月30日:8008F(併せて座席モケット更新、2011年5月21日に車内リニューアル・テレビ撤去施工)
- 2008年9月29日:8006F(併せて座席モケット更新)
- 2008年11月18日:8009F(併せて座席モケット更新)
- 2009年2月12日:8005F(併せて座席モケット更新、2階建車は試作的要素を兼ねた車内内装簡易リニューアル施工)
- 2009年7月1日:8002F(併せて座席モケット更新)
- 2009年9月30日:8003F(併せて座席モケット更新)
- 2010年3月19日:8010F(同時に車内リニューアル・テレビ撤去施工)
- 2010年7月7日:8004F(同時に車内リニューアル・テレビ撤去施工)
- 2010年12月28日:8007F(同時に車内リニューアル・テレビ撤去施工)
- 2011年3月1日:8001F(同時に車内リニューアル・テレビ撤去施工)
京阪特急プレミアムカー(仮) 導入計画
2015年9月30日、京阪は2017年を目処に本系列の6号車を大規模改造し、有料の指定席車を導入すると発表した[35]。
ラッピング
- 2005年1月からNHK大河ドラマ『義経』のPRとして8006Fが「弁慶」として2月3日より、8008Fが「義経」として1月15日より、8009Fが「静」として2月2日より運行され、それぞれイメージしたラッピングを施していたが、『義経』の放送期間中のみの運行であったため、「義経」は11月16日、「静」は12月18日、「弁慶」は同月20日をもって運転を終了した。なお、NHK大河ドラマ『義経』のPRも兼ねて1月15日から12月25日までの土曜・休日に淀屋橋9:00・9:30・10:00発の3本の特急が「鞍馬連絡特急」として運転され、本系列のラッピング編成3本は上記時間帯に特急に用いられる運用を中心に充当されていた。
- 2005年4月から8005Fに『KUZUHA MALL』のラッピングが施されたが、2006年5月下旬に運転を終了した。
- 2014年12月からは8010Fが「きかんしゃトーマス」のラッピングが施され12月21日の臨時急行中之島発枚方市行きから営業運転に入った。ラッピングは2016年3月までの予定。
- このラッピングトレインを使って、クリスマスに樟葉発の臨時快速急行中之島行きが運行された。
脚注
- ^ 当時の広報誌で「5カ年計画として、すべての特急を8000系に置き換えていきます。」と発表された。
- ^ 1991年末の駅掲示ポスター(自社広告)では「年末には2本に1本の特急が8000系となります。」と宣伝されていた。
- ^ 詳細は「京阪3000系電車 (初代)#車体改修工事・固定編成化」を参照。
- ^ 1900系の元1810系編入車を除けば5代目、元3000系編入車である8000系30番台車を本系列として扱うと4代目となる。
- ^ 編成が長い、先頭車両の貫通扉は増解結を考慮していない、管理・運用が編成単位。
- ^ 2007年7月20日までに全車の更新を完了。
- ^ 「現行の塗色 - 京阪電鉄の新塗色と中之島線用3000系フォトギャラリー」 asahi.com(朝日新聞社)による。 実際の運用開始は6月28日から。
- ^ a b 『8000系車内電話機の利用を中止します』 K PRESS 3月号「くらしのなかの京阪」より。
- ^ a b 京阪特急が運転開始して60周年を迎えます! (PDF) 2010年8月23日 京阪電気鉄道 報道発表資料
- ^ 京阪テレビカー引退へ 来春記念グッズなど販売 - 京都新聞(2012年7月13日)
- ^ 7200系以降の車両では、1980年代後半以降に関西地区で新規導入された鉄道車両で多数採用されている横軸ツインレバー式となっている。
- ^ 回生失効に備えるために少しだけ効かせてある。
- ^ 回生ブレーキの制動力が不足している時は空気ブレーキで補う。
- ^ 8001Fはデビュー時は自動ではなかったが、1991年に自動に変更された。
- ^ かつては「左(右)側のドアがひらきます。ご注意ください」と男声でアナウンスされていたが、その後女声で「左(右)側の扉をあけます。ご注意ください」とアナウンスされるようになった。
- ^ 扉間の配列は一般車(テレビカーを含む)が9列、2階建車両は1階席が7列(ただし、階段や下記の補助いすの位置の関係で1列分座席配列がずれている)、2階席が8列、車端部(ダブルデッカー車の平屋部を含む)は3列(運転台の後ろは2列)。車椅子スペースのある車両は大阪寄りの山側の車端部の座席が1つ(2人分)少ない(8009F・8010F以外はダブルデッカー車のみ車椅子スペースがある)。
- ^ 補助椅子は階下席の階段下が1人掛けである以外はすべて2人掛け。なお、2階席には補助いすは設けられていない。
- ^ ダブルデッカー車の階下席の補助いすのみロック装置がなく、全区間・全種別・終日使用できる。
- ^ パンフレットには「車内広告は、一切なし。」の記述がある。
- ^ 7両編成時代は4号車、8両編成化後は5号車(出町柳寄りから5両目、淀屋橋寄りから4両目)。
- ^ 過渡期にはブラウン管テレビのまま地上デジタル放送用チューナーを取り付けた車両もあった。
- ^ 各座席の窓側にある。
- ^ ただし、区間によっては電波が遮られる地点も多かった。
- ^ ただし、テレビ視聴時間帯以外。また、手動での座席の淀屋橋方向への転換は可能。
- ^ 旧自動放送ではこのことについても説明していた。
- ^ とくに淀屋橋行きの場合、テレビを視聴するには進行方向と逆に着席することになるため、テレビを視聴せずに前向きに座る乗客が多いからである。
- ^ 車端部のドアとテレビの間の3列。
- ^ a b 「〜京阪特急新時代〜8000系特急用車両が、より豪華に、より機能的に、生まれ変わります」 (PDF) 2009年3月24日、京阪電気鉄道
- ^ クロスシートの座席配置は2+2列のままである。
- ^ 歴代の特急車(一般車と兼用の車両は除く)の中では1900系以来のセミクロスシート車となった。
- ^ 携帯電話(スマートフォン)やモバイル機器の普及に伴い、車内でのテレビ放送やカード式公衆電話の設置の必要性が薄れたためである。
- ^ 開業100周年を迎え新しく生まれ変わった「8000系特急用車両」の一般営業運転を3月28日(日)から開始します! (PDF)
- ^ 「京阪グループ新世紀に向けたブランドコンセプトに基づき京阪線車両のカラーデザインを一新します」 (PDF) 2008年4月15日、京阪電気鉄道
- ^ 運転開始は6月30日から。
- ^ 京阪特急の次代を拓く 2017(平成29)年、 「(仮称)京阪特急プレミアムカー」を導入! (PDF)