主よ、深き淵よりわれ汝を呼ぶ
『主よ、深き淵よりわれ汝を呼ぶ』(しゅよ、ふかきふちよりわれなんじをよぶ、Aus der Tiefen rufe ich, Herr, zu dir)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの教会カンタータ。BWV131番。聖句は詩篇130篇である。訳はマルティン・ルターによる。同じ聖書箇所に基づくルターのコラールはバッハのカンタータ38番『深き悩みの淵より、われ汝に呼ばわる』でも使われている。
概要[編集]
バッハは1707年の夏から翌1708年の夏までミュールハウゼンの聖ブラジウス教会のオルガニストを務めていた。この教会カンタータは、ミュールハウゼンの聖マリア教会の牧師アイルマーからの依頼で作曲された。
1707年、あるいは1708年に作曲されたため、バッハの最も初期のカンタータの1つと考えられている。
ソプラノ、アルト、テノール、バスの4部混声合唱と、テノールとバスのソロ、オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ1と2、通奏低音によって演奏される。
構成[編集]
1曲目、3曲目、5曲目の歌詞は聖書の御言葉のみ。2曲目と4曲目は聖句とコラールの応答。このコラールはバルトロメウス・リングヴァルト(Bartholomäus Ringwaldt)による。
1曲目 合唱[編集]
オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ1と2、通奏低音
Aus der Tiefen rufe ich, Herr, zu dir. ああ主よ、われふかき淵より汝をよべり
Herr, höre meine Stimme, 主よねがわくはわが声をきき
laß deine Ohren merken 汝の耳を
auf die Stimme meines Flehens! わがねがいの声にかたむけたまえ
深き底を暗示する5度下降音程から始まる。
2曲目 アリア(バス)とコラール(ソプラノ)[編集]
オーボエ、通奏低音
So du willst, Herr, Sünde zurechnen, ヤハよ主よなんじもしもろもろの不義に目をとめたまはば
Herr, wer wird bestehen? 誰かよく立つことをえんや
Denn bei dir ist die Vergebung, されどなんじに赦しあれば
daß man dich fürchte. 人におそれかしこまれ給うべし
バスのアリアが詩篇を歌い、ソプラノがコラールを歌う。
3曲目 合唱[編集]
オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ1と2、通奏低音
Ich harre des Herrn, われ主を待ち望む、
meine Seele harret, わがたましいはまちのぞむ
und ich hoffe auf sein Wort. われはそのみことばによりて望みをいだく
4曲目 アリア(テノール)とコラール(アルト)[編集]
通奏低音
Meine Seele wartet auf den Herrn, わがたましいは衛士があしたを待つにまさり
von einer Morgenwache bis zu der andern. 誠にえじがあしたをまつにまさりて主をまてり
5曲目 合唱[編集]
オーボエ、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ1と2、通奏低音
Israel, hoffe auf den Herrn; イスラエルよ主によりて望みをいだけ
denn bei dem Herrn ist die Gnade そは主にあわれみあり
und viel Erlösung bei ihm. またゆたかなるあがないあり
Und er wird Israel erlösen 主はイスラエルを
aus allen seinen Sünden.そのもろもろのよこしまよりあがないたまわん
2重フーガ。