与作

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与作
楽曲
発祥日本
出版1978年[1]
形式歌謡曲
作曲者七澤公典
作詞者七澤公典
言語日本語

与作」(よさく)は、1978年に発表された日本の歌謡曲。最初の歌手は弦哲也。その後北島三郎千昌夫などの歌手によるシングルが発売されている。

概要[編集]

七澤公典が作詞・作曲し、NHKの音楽番組『あなたのメロディー』に応募した作品である[2]。七澤は1976年(昭和51年)、ジャズギタリストを目指して渡米したが、日本人が本当のジャズ奏者になるのは無理だと悟り、帰国したところであった。渡米の反動から、日本的なものを志向して作ったのが「与作」である[3]。「与作」は一度は却下されたが、改良を重ねて再提出され、番組では弦哲也が歌唱し、年間最優秀作品に選ばれた[4]。弦の他に北島三郎、千昌夫らがシングルを発表。原曲に少しアレンジを加えた北島のバージョンが最もヒットした[5]。競作で発売されたレコードの累計売上は60万枚に達した[6]

北島は、折しも1978年1月から放送開始された『暴れん坊将軍』出演で注目された時期ということもあり、本作は久々のヒットとなった、これで歌手としても人気が再燃し、以来今日まで続く大物歌手としてその名を轟かせることになった。『NHK紅白歌合戦』では、1978年(第29回)・翌1979年(第30回)と、2年連続で歌唱披露している。1999年、『速報!歌の大辞テン』で「与作」がランクインした際、北島はインタビューで、「千くんや五木くんも歌ってますけど、彼らのは(与作ではなく)『駄作』でした」と冗談を交えて答えている。

NHKで全国的に発表されたことに加え、民謡に近いシンプルな歌詞やメロディーによって年齢層を超えた人気を得て、ロングヒットとなった(1979年のオリコン年間ランキングは第75位)。子供にも浸透したことを示す例として、エポック社家庭用ゲーム機であるカセットビジョンのソフトウェアとして『きこりの与作』が1981年に発売され、ゲーム中で『与作』のメロディーが使われる(「ヘイヘイホー」の部分)などしたことが挙げられる。なお、『きこりの与作』はSNKが開発し、1979年に発売したアーケードゲーム『与作』の移植版である。

バラクーダにより、歌詞を英訳し、曲をディスコ調にアレンジした「ヘイ!ミスターヨサク」も発表された。

後年にも、本作は様々な形で使用、あるいはカバーされている。

収録曲[編集]

与作
北島三郎シングル
リリース
録音 1978年
ジャンル 演歌
時間
レーベル 日本クラウン
チャート最高順位
  • 25位(オリコン
  • 1979年度年間75位(オリコン)
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与作
千昌夫シングル
リリース
録音 1978年
ジャンル 演歌
時間
レーベル ミノルフォン
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北島三郎盤(日本クラウン、CW-1720)[編集]

北島版は歌詞の終盤、「与作」を連呼する部分の直前に原曲にない楽句が挿入されている[11]

  1. 与作
    • 作詞・作曲:七澤公典/編曲:池多孝春
  2. 風の峠
    • 作詞:南沢純三/作曲:関野幾生/編曲:福田正

千昌夫盤(ミノルフォン、KA-1144)[編集]

  1. 与作
    • 作詞・作曲:七澤公典/編曲:薗広昭
  2. 雪ん娘峠

その他のカバー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 弦哲也公式サイトのBIOGRAPHYより
  2. ^ 七澤友一郎(公典)「音楽は神の愛を伝える―『与作』誕生秘話」『聴いて幸せになる本』〈タチバナでかもじ新書〉、たちばな出版、1997年。ISBN 4-88692-707-6
  3. ^ 雑喉潤 『いつも歌謡曲があった―百年の日本人の歌―』新潮社、1983年、130ページ。ISBN 4-10-346601-4
  4. ^ “サブちゃんに背中押され 弦哲也 歌手から転身、作曲で大輪”. 東京新聞 (朝刊). (2015年4月7日). オリジナルの2015年4月18日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20150418115929/http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2015040702000165.html 2015年5月4日閲覧。 
  5. ^ 長田暁二「望郷の念を込め 下味に米国のカントリー」『歌謡曲おもしろこぼれ話』〈現代教養文庫 1649〉、社会思想社、2002年、270-271ページ。
  6. ^ サンデー毎日』1980年3月23日号、103頁。
  7. ^ 写ルンですスーパースリム ギンギラギン+与作、東京コピーライターズクラブ(TCC) - 2019年7月9日閲覧。
  8. ^ 広告批評』1997年6月号、99頁。NDLJP:1852925/51
  9. ^ 桑田佳祐、過去に行われた『ひとり紅白歌合戦』から全3回分の名場面を凝縮したスペシャル映像を公開 M-ON Press 2019年6月7日配信、2019年6月7日閲覧
  10. ^ BiSHがソフトバンクCMで「与作」カバー、錦鯉・長谷川も初登場で元気に「はーい!」
  11. ^ 牧「歌のあるばむ 与作 昭和52年 昔の日本人を刻み込む」『読売新聞』昭和57年(1982年)4月18日付26面。

外部リンク[編集]