不老川

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不老川
不老川 2010年6月1日撮影
埼玉県狭山市堀兼、草刈橋付近
水系 一級水系 荒川
種別 一級河川
延長 17.98[1] km
平均流量 -- m³/s
流域面積 56.55[1] km²
水源 東京都瑞穂町狭山池
水源の標高 -- m
河口・合流先 新河岸川埼玉県川越市岸町付近
流域 東京都埼玉県
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不老川(としとらずがわ、ふろうがわ)は、東京都及び埼玉県の主に武蔵野台地上を流れる一級河川荒川水系新河岸川の支流である。霞川残堀川野川に並ぶ古多摩川の名残川の一つ。

地理

東京都西多摩郡瑞穂町狭山池伏流水が水源とされる。そこから北東へ向かって流れ、埼玉県入間市宮寺と藤沢、所沢市林、狭山市入曽(不老川が北入曽と南入曽の境界になっている)と堀兼、川越市今福などを流れ、林川、今福川、久保川などを合わせ、川越市岸町と川越市砂の境界で新河岸川に合流する。流域には河岸段丘が形成されている。

1983年から3年間連続で「日本一汚い川」になるという不名誉な記録を作った時期もあったが、現在ではその汚名を返上している[2]。市民団体や行政により浄化の取り組みが続いており、小魚や水生昆虫カルガモなどが生息する程度まで回復している。狭山市の流域においてはしばしば鯉が泳ぐ姿も確認されている。週末になると釣り人も多い。一方、近隣河川や池沼同様に特定外来生物であるウシガエルの生息・繁殖も確認されるようになり、回復しつつある生態系を保全するためこれを駆除するとともに、オタマジャクシや卵の除去作業も続けられている。

元々の読みは「としとらずがわ」であり、江戸時代に編纂された『新編武蔵風土記稿』では「年不取川」の表記を用いている。近代以降「不老川」の表記となったことから音読みの「ふろうがわ」という読みが広まり、現在、一般化している。この川を示す看板には「ふろうがわ」「FURO RIVER」という読み仮名がふられているものもある[3]

流域自治体

東京都
西多摩郡瑞穂町
埼玉県
入間市所沢市、入間市、狭山市川越市

名称の由来

「としとらず」の由来

渇水により干上がった不老川

雨が少ない冬になると干上がってしまい、太陰暦における年のはじめ(旧正月春節)には水が流れなくなる。このため旧暦正月に全員が1歳ずつ年齢を重ねる数え年の習慣における加齢の際にその姿を現さないため「年とらず川」あるいは「年とらずの川」と呼び習わされている[4]。また、干上がった川の橋の下で一晩を過ごすと、歳をとらないといわれる伝承があり、そのことから、「としとらず」川といわれるようになったともされる[5]。生活雑排水が流れ込むようになると水量が増え干上がることはなくなっていたが、生活雑排水が流れ込まなくなってからは水量が減り、現在一部流域では水が干上がることがある。

年不取(としとらず)川を詠んだ歌

  • 武蔵野や年とらず川に若水を汲程もなく春は来にけり
  • 昔し誰わたり初けん武蔵野の若むらさきの年とらず川

江戸期の随筆より[6]。(詠み人は不詳である。)

橋梁

不老川と新河岸川の合流点

支流

用水路

  • 入曽用水(林川より分水し不老川に合流。廃止)

脚注

  1. ^ a b 荒川水系 新河岸川ブロック河川整備計画(附図)2006年 (PDF) 付図-29 - 埼玉県ホームページ
  2. ^ 第11回日本水大賞市民活動賞「不老川の河川浄化活動」不老川をきれいにする会公益財団法人日本河川協会 2009年6月
  3. ^ 国道254号川越街道)の不老橋など
  4. ^ 大橋方長『武蔵演路 五』(『新編埼玉県史 資料編10』1979年12月、埼玉県、p624所収)
  5. ^ さやまの絵本 不老川の伝説 狭山市
  6. ^ 大田南畝「半日閑話」吉川弘文館(日本随筆大成 巻4)1927年,318頁より。

関連項目

外部リンク