三菱鉛筆

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三菱鉛筆株式会社
MITSUBISHI PENCIL CO., LTD.
本社
種類 株式会社
市場情報
略称 菱鉛筆
本社所在地 日本の旗 日本
140-8537
東京都品川区東大井5丁目23番37号
設立 1925年大正14年)4月17日
業種 その他製品
法人番号 6010701009457 ウィキデータを編集
事業内容 鉛筆、シャープペンシル、シャープ替芯、油性・水性ボールペン、油性・水性サインペン等の筆記具、乾電池、OA用紙、ファイル等のOA関連商品、またシャープナー、セロハンテープ、筆入れ、消しゴム、修正用品等の机上用品、並びに化粧品、印章関連商品、精密機械器具、炭素材製品その他の製造及び仕入販売
代表者 代表取締役数原英一郎
資本金 44億97百万円
売上高 単体408億円、連結505億円
2012年12月期)
純資産 単体398億円、連結511億円
(2012年12月)
総資産 単体558億円、連結700億円
(2012年12月)
従業員数 単体541人、連結2,710人
(2012年12月)
決算期 12月31日
関係する人物 近藤賢二(元・眞崎大和鉛筆社長、次女が嫁いだ高島家を通じて岩崎家と姻戚関係で結ばれる)
数原三郎(元社長、近藤家及び岩崎家と間接的な姻戚関係がある)
数原洋二(元社長、三郎の次男で英一郎の父)
外部リンク 三菱鉛筆株式会社 公式サイト (日本語)
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三菱鉛筆株式会社(みつびしえんぴつ)は、日本文房具メーカーである。鉛筆シャープペンシルボールペンサインペンなどを製造・販売する。

類似する名称・コーポレートマークの三菱グループとは無関係の企業である[1][2](詳細は#三菱の名称及びスリーダイヤを参照)。

歴史

1887年(明治20年)に、眞崎仁六が「眞崎鉛筆製造所」(まさきえんぴつせいぞうじょ)を東京市四谷区内藤新宿1(現在の新宿区四谷)にて創業。その後、1918年(大正7年)に横浜市神奈川町(現在の横浜市神奈川区)に色鉛筆製造元である「大和鉛筆」が誕生し、両者が合併して「眞崎大和鉛筆」とした。

1901年(明治34年)に、国産初の量産型鉛筆3種類(『局用鉛筆』)を、当時の逓信省(後の郵政省、現:総務省日本郵政NTTグループ)への納品に成功。これを記念して、1903年(明治36年)に、「3種」や創業者の家紋「三鱗(みつうろこ)」などを表す意味で、赤い三つのひし形を模した「三菱」をロゴマークとして商標登録した(登録番号18865)。なお、三菱グループが商標登録を行ったのは1914年(大正3年)のことである。

1952年(昭和27年)には、正式に社名を「三菱鉛筆」と変更し、現在に至る。

1985年(昭和60年)には、これまでに培った開発力やノウハウを活かし、化粧品事業として株式会社ユニコスモを設立し、ペンタイプの化粧品を開発・販売、OEMを行なっている。

三菱の名称及びスリーダイヤ

「三菱」の名称とスリーダイヤは、1901年に逓信省への『局用鉛筆』が納品されたことに際して、1903年に商標として登録されたものである[1]。これは三菱財閥(現在の三菱グループ)よりも10年早く登録されている[1]

戦後財閥解体では、GHQですら三菱財閥の系列と勘違いし商標の使用禁止を迫ったのに対し当時の経営陣が財閥とは関係ない旨を再三反論し、GHQを退けた。その際「商標が『非財閥』であることを社告で公告し、製品にも明記する」という条件が付けられたため、当時の製品には、「NON財閥」「非財閥」と財閥三菱とは関わりない旨が記載されていた[3]

現在はローマ字表記する際、三菱鉛筆ではハイフンを入れてMITSU-BISHIとした商品[4]と中にハイフンを入れない商品[5]とが存在している。

三菱鉛筆と三菱グループとは文字もロゴマークも同じであるため、混同された上に不買運動を提起されたこともある[6]が、旧三菱財閥系列に属する三菱UFJフィナンシャル・グループ三菱商事三菱重工などの三菱グループとは資本・人材関係が一切ない。眞崎大和鉛筆(三菱鉛筆の前身)の社長を輩出した近藤家及び三菱鉛筆の現オーナー一族となっている数原家と三菱財閥の岩崎家には間接的婚姻関係があるが、それ以上は発展していない。(岩崎家と三菱鉛筆関係者との間の親族・姻戚関係を参照)また本来の創業一族・眞崎家は岩崎家との姻戚関係もない。

ブランド

1958年にロングセラーとなる高級鉛筆「uni(ユニ)」を発売する。この名称・ロゴは製品デザインに関わった秋岡芳夫らによるものであり[7]、現在では企業全体のブランドマークとしても使われている。語源は英語の'unique'(ユニーク、唯一の)にちなむ[1][8]。ボールペン製品では「uni-ball(ユニボール)」の名称も使われる。

日本の鉛筆製造元としてトンボ鉛筆と共に知られる大手であるが、2014年時点では同社売上の約半数をボールペン製品が占め[9]、ボールペン製造元としてもパイロットゼブラと肩を並べる[10][11]。海外市場では北米で支持があり[12]、2010年代には海外売上が同社売上の4割強を占める[9][13]

主な製品

鉛筆

三菱鉛筆
uni-Popular 頭部の塗りこみあり
uni(ユニ)
1958年(昭和33年)発売。製図からデッサンにまで使用できる品質を目指して生み出され、日本での高級鉛筆の先駆けとなった商品。1ダースセットには、プラスチックケース入り(消しゴム付き)と紙ケース入りの2種がある。マークシート仕様もある。発売当初は4H - 4Bの硬度のみで、現在では9H - 6Bの17硬度が発売されている。
GOLD uni
1974年10月に発売。ハイユニの芯を使用してハイユニとユニの間に位置する製品として4種類を発売した。
Hi-uni(ハイユニ)
1966年(昭和41年)発売、uniの上位版。JISで定められた9H - 6B全ての硬度を揃え、「世界最高品質」を目指して開発された。軸の筆記しない端には、樹脂のスペーサーが組み込まれている。現行モデルでは、ここに黄色のポイントが彫り込み塗装されている。発売初期は、このポイントは白色だった。2008年に10H 及び 7B - 10Bが追加され、全22硬度の世界一の硬度幅[14]を持った鉛筆ブランドとなった。単品販売、1ダースセット(硬質ケース入り、紙ケース入りの二種)の他、全22硬度がセットとなった「ハイユニ アートセット」が発売されている。
uni★star(ユニスター)
1975年(昭和50年)発売。uniより安価な商品だが、uniに近い書き味が特徴。1ダースセットはプラスチックケース入りと紙ケース入りがある。
uni-Popular
廉価版のuniで、頭部を塗り込んでいるものといないものがある。
No.2351
赤鉛筆。白字でVERMILIONと刻印されている。
No.5500-50
販売当時は製図用。暗緑色の軸。
No.2800
黒軸の普通鉛筆。
No.8800
贈答用の刻銘鉛筆の素材となっていた若草色の鉛筆。
No.9000
1950年(昭和25年)発売。No.9800と並ぶロングセラー鉛筆。
No.9800
1946年(昭和21年)発売。トンボ鉛筆のNo.8900と共に、世界的なベストセラーで国産鉛筆のスタンダードである。
No.9800EW
木材の端材などのそのままでは使えない材料を使える部分だけ切り出し、ジョイント工法でつなげて普通の長さとしたもの。無塗装(刻印のデザインはNo.9800と同じだが色は緑)で芯はNo.9800と同じ。
筆鉛筆(硬筆書写用鉛筆・10B芯)
群馬県・埼玉県で限定発売されている。

消しゴム付き鉛筆

  • 3680
  • 3680
  • 9850
  • 9852
  • ECOWRITER-9950
  • COPYRITE-2000

色鉛筆

ユニカラー
1971年(昭和46年)発売[15]。透明感と鮮やかな発色性を特徴とする美術向け色鉛筆。当初は全60色で、1989年(平成元年)に全72色、1991年に全100色に拡充。2009年(平成21年)にユニ50周年記念の240色セットを限定販売。
ユニ ウォーターカラー
1991年(平成3年)発売。水溶性の美術向け水彩色鉛筆。全60色。
ユニ アーテレーズカラー
1993年(平成5年)発売。消しゴムで消せるデザイン・美術向け色鉛筆。全36色。
ユニ カラードペンシル <ペリシア>
2006年(平成18年)発売。オイルベースで軟らかく濃密な発色を特徴とする美術向け色鉛筆。全36色。
ポンキーペンシル
2011年(平成23年)発売。学童向け紙巻き全芯色鉛筆。ポスカやペリシアの技術を応用。不透明調で、着色紙やガラスなどの非吸収面にも鮮やかに描画できる。全13色。
No.880
普及品の中硬質色鉛筆。芯径3.0mm。全36色(金銀あり)。同一品質の芯を使った製品にNo.850(黄箱)、No.101(孔雀箱)、No.512(1本2色の両頭タイプ)、ほか朱・藍鉛筆がある。No.850は1943年以前に発売[16]
No.890
学童向けに芯を軟らかく調整した中硬質色鉛筆。芯径3.5mm。全24色(金銀あり)。
No.7500(ポリカラー)
スタンダード品の中硬質色鉛筆。芯径3.5mm。全36色(金銀なし)。
No.7600/No.7610(ダーマトグラフ
紙巻き軟質色鉛筆。ガラスなどの非吸収面にも描画できる。No.7610は水で清掃できる水性タイプ。芯径4.4mm。全12色。
No.7700
グラフなどに適する硬質色鉛筆。芯径2.6mm。全12色。2015年(平成27年)「赤」以外の生産を年内で終了するという告知が流れたが、日本アニメーター・演出協会が「日本の商業アニメーション業界にとって非常に大きな問題と認識しています。」とホームページ上で緊急声明を発表。これを受けて「橙色、黄緑、水色」の生産も当面の間、継続することが発表された。


その他の筆記具

POWER TANK
2001年(平成13年)発売。特殊なリフィルの採用により、上向きに書けるなどの特徴を持つ。その後廉価版も発売された。
JETSTREAM
2006年(平成18年)発売。POWER TANK同様、滑らかな書き味、にじみが殆ど出ない特殊なインクで、POWER TANKよりボディーを量販タイプに近づけた商品で、ヒット商品となった。2007年は「クセになる、なめらかな書き味」をキャッチコピーとし、文具業界では初めてである「Second Life」に参入するなどしている。
取り扱い店は少ないが、αGEL搭載タイプが存在する。2008年から多色タイプと多機能(ボール2色&シャープ)が発売されている。POWERTANK同様にボール直径は0.7mmと1.0mm。スタイルフィット専用リフィルもある。
いくつかのグレードがあり、150円・250円(インクは黒のみ)・400円(多色)・500円(多機能・ボール0.7mmのみ)・1000円(α-gel・インクは黒のみ)がある。インクに変わりは無い。
SIGNO
1994年(平成6年)発売。滑らかに書け、にじみにくい点が特徴。同社の主力商品の1つで、その後もほぼ毎年新色や新機能を持った製品が発売されている。同シリーズのシグノビットはボール直径0.18mmで世界記録をだしている。
PURE MALT
オークの森の木を使った酒樽を再利用して作られた高級品。多機能ペン(全4種)、芯ホルダー、ボールペン(ゲルインク含む全9種)、シャープペンシル(全6種)、ネーム印がある。
BOXY(復刻版)
断面が四角いことが特徴。スーパーカー消しゴムを跳ばして遊ぶノック式のボールペン。
uni α-gel
2003年(平成15年)発売。グリップ部にαGELと呼ばれる衝撃吸収素材を採用し、今までにない感触で話題を呼んだ。その後も様々なタイプが発売されている。
ポスカ
1983年(昭和58年)発売。不透明調で筆記できる水性顔料インクマーカー。水性で裏移りしにくく溶剤の悪臭がない。ガラスやプラスチックにも筆記でき耐水性を持つ。
uni プロッキー (PROCKEY)
1986年(昭和61年)発売。ポスカと同程度の性能を持つ、透明調の水性顔料インクマーカー。一部商品は両端にペン先を有し、インクの詰め替えが出来る。
クルトガ
2008年(平成20年)発売。シャープ芯が紙に触れるたびに、シャープメカについているギアが回転して芯を回るようにした、シャープペンシル。片減りなどが起きず、常に細い字を書ける。2008年5月14日のテレビ東京ワールドビジネスサテライトのコーナー「トレンドたまご」で紹介された。ターゲットは、学生や製図者と公式サイトで語っている。ラバーグリップ付や製図用、さらにディズニーなどのキャラクターを取り入れたモデルも多数存在。
故郷の木持ち
地域限定ボールペン、シャープペンシルのシリーズ。軸素材に各県産の木材を使用している。
スタイルフィット
2009年(平成21年)発売。パイロットコーポレーションのハイテックCコレトや、ぺんてるのSlicciesと同様、本体に専用リフィルをセットして使用する筆記具。
uni SHIFT(シフト)
製図用シャーペンで、商品の名のとあり、軸をひねって、先端を出したり、収納したりする。グリップは、アルミローレット製。芯径は、0,3~0,9の5種類と豊富。

この他にも、シャープペンシル芯ホルダーなど、数々の文具品を製造している。

スポンサー番組(いずれも過去)

テレビ
ラジオ

CM出演者

脚注

  1. ^ a b c d 商標とブランド - 三菱鉛筆
  2. ^ 三菱グループについて - 三菱グループ
  3. ^ 社史編纂室 編『時代を書きすすむ三菱鉛筆100年』三菱鉛筆、1986年、111-112頁。全国書誌番号:87046058 
  4. ^ 事務用鉛筆9800 -三菱鉛筆商品案内
  5. ^ マークシート鉛筆 - 三菱鉛筆商品案内
  6. ^ “「三菱鉛筆」は三菱グループ? 立大・西谷教授の「不買運動」発言に批判殺到”. J-CASTニュース. (2015年9月18日). http://www.j-cast.com/2015/09/18245732.html?p=all 
  7. ^ ニッポン・ロングセラー考 三菱鉛筆ユニ, COMZINE, 2005年4月号, NTTコムウェア.
  8. ^ uniの歴史, 三菱鉛筆, 2015年4月15日閲覧.
  9. ^ a b 財務データ 2014年, 三菱鉛筆.
  10. ^ 鈴木良英, ニッポンの筆記具、「逆風下」で稼ぐ秘訣, 東洋経済, 2013年5月14日, 東洋経済新報社.
  11. ^ ASEAN輸出業者のためのマーケティングガイド 2006年3月<家具・ギフト用品>, 日本アセアンセンター.
  12. ^ 青山直篤, 琴寄辰男, 文具 消えない理由 Part2 広がる世界市場 日本の高機能品、どこまで通用, 朝日新聞GLOBE, 2011年11月20日, 朝日新聞.
  13. ^ 三浦愛美, ペーパーレス時代になぜ三菱鉛筆は最高益か, プレジデント, 2012年6月18日号.
  14. ^ 三菱鉛筆の2008年5月時点の調査による。
  15. ^ 色鉛筆 ユニカラー 12色、36色、60色 - 国立科学博物館産業技術史資料情報センター
  16. ^ 色鉛筆 No.850 12色 - 国立科学博物館産業技術史資料情報センター

関連項目

外部リンク