レスティゴーシュ級駆逐艦
レスティゴーシュ級駆逐艦 | |
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基本情報 | |
艦種 | 護衛駆逐艦 |
就役期間 | 1958年 - 1997年 |
前級 | サン・ローラン級駆逐艦 |
次級 | マッケンジー級駆逐艦 |
その他 | #諸元表を参照 |
レスティゴーシュ級駆逐艦(英語: Restigouche-class destroyer)は、カナダ海軍が運用していた駆逐艦。対潜任務重視の護衛駆逐艦として建造されたが、のちに一部の艦は艦対艦ミサイルを搭載した汎用艦に改装された。
概要
本級は、先行して開発されたサン・ローラン級をもとに若干の改設計を加えたものである。サン・ローラン級はのちにヘリコプター駆逐艦として改装されたのに対して、本級は護衛駆逐艦としての進化を選ぶこととなった。また、本級のうち、のちにペルシャ湾岸に派遣されることとなった2隻は、ハープーン 艦対艦ミサイルの搭載など大規模な改修を受けている。
サン・ローラン級は本来、14隻という多数が建造される計画であったが、設計と建造は遅延した。カナダ海軍はこれを受けて、サン・ローラン級の建造を7隻で中止し、後期建造艦の7隻については、イギリス製の新しい高射砲であるヴィッカースMk.6 3インチ連装砲を搭載した改型とすることとした。ヴィッカースMk.6 3インチ連装砲[1]は70口径長であり、50口径長であるアメリカ製のMk.33 3インチ連装砲よりも発射速度は遅いが、長射程であった。本級は、サン・ローラン級が装備していた2基のMk.33 3インチ連装砲のうち、艦首のものをヴィッカースMk.6 3インチ連装砲に変更して建造された。また、サン・ローラン級での運用実績をもとに、上部構造物などにも改良が加えられている。
1960年代初頭、サン・ローラン級は艦後部に航空設備を設置する大規模な改修を受けて、ヘリコプター駆逐艦として生まれ変わった。しかしながら、このような小型の艦で哨戒ヘリコプターを運用することには前例がなく、十分な効果を得られる保証はなかった。このことから、本級はヘリコプター搭載改修を受けることはなく、代わりに、IRE (Improved RESTIGOUCHE)改修によりアスロックSUMの搭載などを行い、従来の護衛駆逐艦としての性能を向上させることとなった。また、1970年代後半には、さらにDELEX (Destroyer Life Extension Project)改修と呼ばれる近代化改修が実施され、ADLIPS(Automatic Data Link Plotting System) 戦術情報処理装置およびリンク 11を搭載した。
また、1990年から1991年にかけて、湾岸戦争の直前より行なわれたフリクション作戦に参加するために派遣された「レスティゴーシュ」(257)および「テラ・ノヴァ」(259)の2隻は、これに合わせて汎用艦としての改修を受けた。この改修により、アスロック発射機やリンボー対潜臼砲が撤去され、かわってハープーン SSMの4連装発射筒が2基搭載された。また、防空力強化のため、ジャベリン 携帯型艦対空ミサイルやファランクス CIWSを搭載したほか、近距離で舟艇に対処するため、ブローニングM2 12.7mm重機関銃が随所に設置された。
なお、本級の1隻である「クートニー」(258)は、1969年に右舷のギア・ボックスが爆発するという事故を起こし、9名の死者を出した。これは、カナダ海軍が平時に経験した事故としては最悪のものである。
本級のうちの3隻は1974年に予備役に編入された。のこる4隻は運用を継続したが、後継となるハリファックス級フリゲートの就役開始に伴い、1994年から1997年までに全艦が退役した。
諸元表
新規建造時 | IRE/DELEX改修後 | 湾岸派遣艦(257, 259) | |
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排水量 | 満載: 2,800 t | 満載: 2,900 t | |
全長 | 111.6 m | 113.1 m | |
全幅 | 12.8 m | ||
吃水 | 4.27 m | ||
機関 | バブコック・アンド・ウィルコックス・ボイラー×2基 | ||
イングリッシュ・エレクトリック蒸気タービン×2基 (計30,000 shp) | |||
スクリュープロペラ×2軸 | |||
速力 | 28 kt | ||
乗員 | 249名 | 214名 | |
兵装 | ヴィッカースMk.6 3インチ連装砲 ×1 | ||
Mk.33 3インチ連装砲 ×1 | - | ボフォース 40mm単装機関砲 ×2 | |
ファランクス 20mmCIWS ×1 | |||
ブローニングM2 12.7mm重機関銃 ×6 | |||
Mk.10 リンボー対潜迫撃砲 ×2 | Mk.10 リンボー対潜迫撃砲 ×1 | ジャベリン近接防空ミサイル | |
Mk.112 アスロックSUM 8連装発射機 ×1 | ハープーン SSM 4連装発射筒 ×2 | ||
Mk.2短魚雷落射機×2 | Mk.32 3連装短魚雷発射管 ×2 | ||
C4I | CIC設置、音声リンクのみ | ADLIPS 戦術情報処理装置 + リンク 11 | |
レーダー | AN/SPS-12 対空捜索用 | SPS-502 対空捜索用 | |
AN/SPS-10B 対水上捜索用 | AN/SPS-10D 対水上捜索用 | ||
AN/SPG-48 砲FCS用×1 | SPG-515 砲FCS用×1 | ||
スペリーMk.2 航法用 | スペリーMk.127E 航法用 | ||
ソナー | AN/SQS-10/11(捜索) | SQS-505 複合(船底装備+可変深度) | |
162型(SQS-501; 目標識別) | |||
170型(SQS-502; 攻撃) | |||
FCS | Mk.69 砲FCS | ||
電子戦 | DAU HF/DF装置 | CANEWS 統合電子戦装置 | |
- | AN/ULQ-6 ECM装置 | ||
- | ALR-74 脅威警報機 |
同型艦
艦番号 | 艦名 | 建造所 | 起工 | 進水 | 就役 | 退役 |
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DDE 235 | シャウディエレ HMCS Chaudiere |
ビッカース モントリオール |
1953年7月30日 | 1957年11月13日 | 1959年11月14日 | 1974年5月23日 |
DDE 236 | ガティノー HMCS Gatineau |
ハリファックス造船 ハリファックス |
1953年7月30日 | 1957年11月13日 | 1959年11月14日 | 1996年5月24日 |
DDE 256 | セント・クロイス HMCS St. Croix |
デイビー造船所 レヴィ |
1953年4月30日 | 1957年6月3日 | 1959年2月17日 | 1974年11月15日 |
DDE 257 | レスティゴーシュ HMCS Restigouche |
ビッカース モントリオール |
1953年7月17日 | 1954年11月22日 | 1958年6月7日 | 1994年8月31日 |
DDE 258 | クートニー HMCS Kootenay |
バラード造船所 ノースバンクーバー |
1952年8月21日 | 1954年6月15日 | 1959年3月7日 | 1995年11月18日 |
DDE 259 | テラ・ノヴァ HMCS Terra Nova |
ビクトリア機械廠 ビクトリア |
1953年6月11日 | 1955年6月21日 | 1959年6月6日 | 1997年7月11日 |
DDE 260 | コロンビア HMCS Columbia |
バラード造船所 ノースバンクーバー |
1952年6月11日 | 1956年11月1日 | 1959年11月7日 | 1974年2月18日 |
参考文献
- Sandy McClearn (2008年). “RESTIGOUCHE Class (DDE) destroyer escort” (HTML) (英語). 2009年10月12日閲覧。
関連項目
- ウィキメディア・コモンズには、レスティゴーシュ級駆逐艦に関するカテゴリがあります。
- ホイットビィ級フリゲート - イギリス海軍のフリゲート。本級のベースとなった。
- サン・ローラン級駆逐艦 - 本級に先行して建造された護衛駆逐艦。のちにヘリコプター駆逐艦として改装された。
- アナポリス級駆逐艦 - 本級と同様にサン・ローラン級を元に建造された駆逐艦。