リアル・スティール

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リアル・スティール
Real Steel
監督 ショーン・レヴィ
脚本 ジョン・ゲイティンズ
原案 ダン・ギルロイ
ジェレミー・レヴェン
原作 リチャード・マシスン
『四角い墓場』
製作 ショーン・レヴィ
スーザン・モントフォード
ドン・マーフィ
ロバート・ゼメキス
製作総指揮 ダン・リン
ジョシュ・マクラグレン
メアリー・マクラグレン
ジャック・ラプケ
スティーヴン・スピルバーグ
スティーヴ・スターキー
出演者 ヒュー・ジャックマン
音楽 ダニー・エルフマン
撮影 マウロ・フィオーレ
編集 ディーン・ジマーマン
製作会社 タッチストーン・ピクチャーズ
ドリームワークス
リライアンス・エンターテインメント
21ラップス・エンターテインメント
マウントフォード・マーフィ・プロダクションズ
配給 アメリカ合衆国の旗 ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
パラマウント・ジャパン
日本の旗 ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
パラマウント・ジャパン
公開 アメリカ合衆国の旗 2011年10月7日
日本の旗 2011年12月9日
上映時間 127分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $110,000,000[1]
興行収入 $295,468,508[2]
日本の旗 14.7億円[3]
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リアル・スティール』(原題: Real Steel、チラシ・前売券・プログラム等の日本語ロゴは「リアル」と「スティール」の2段書きで「・」なし)は、ショーン・レヴィ監督、ヒュー・ジャックマン主演による2011年のアメリカ合衆国SFアクション映画である。リチャード・マシスンの短編小説「四角い墓場」(原題: Steel)を原作としている。

ストーリー[編集]

2020年。人間のボクシングに代わり、より暴力的な「ロボット格闘技」が人気を博していた。人間のボクシングが廃れたことで、将来を有望視されていたプロボクサーのチャーリー・ケントンも、今では中古の「プレイヤーボット」として知られるロボットを使ってプロモーターとして生計を立てていた。

ある日、昔捨てた妻が亡くなったという連絡が入る。残された息子のマックスの養育権について、妻の姉であるデブラとマーヴィン夫妻と話し合いをすることとなるが、夫妻が金持ちであることに気づいたチャーリーは、借金を返すためにマーヴィンに10万ドルで息子を渡すと持ちかける。マーヴィンは「旅行に行く3ヶ月の間、マックスを預かってもらう」という条件付きで承諾した。

しばらくして、チャーリーのもとにマックスがやってくる。前金の5万ドルを手にしたチャーリーは以前破壊された「アンブッシュ」の代わりに、中古の「ノイジーボーイ」を購入。マックスはチャーリーの幼なじみであるベイリーの元に居候することになる。金で売られたことに気づいたマックスはチャーリーを嫌っていたが、ロボットとゲーム好きな彼は無理やり試合についていく。「ミダス」との試合は最初は優勢だったが、結局負けてしまい、ノイジーボーイもスクラップになってしまう。

またもロボットを失ったチャーリーは、スクラップ置き場に忍び込み金になりそうな物を捜す。途中マックスは泥に埋もれたロボットを発見し持ち帰る。そのロボット「アトム」は一世代前のロボットで、動きを真似するシャドー機能が付いた練習用だった。チャーリーは試合には使えないと判断するが、マックスは場末の試合に出場を決めた。

初めての試合に苦戦を強いられるマックスとアトムだったが、チャーリーの的確な指示によって初勝利を収める。チャーリーがプロボクサーであることを知ったマックスはシャドー機能を使ってチャーリーの動きをアトムに学習させることを思いつく。同じく、チャーリーもアトムがマックスのダンスを真似ているのを見て、試合前のパフォーマンスに使えると思いついた。

すると、アトムの試合前のダンスや、人間のようなテクニカルな戦い方が評判を呼び、次々と試合のオファーが舞い込み、WRB興行主の目に止まり、大舞台での試合が実現。そして強敵「ニューヨークとロサンゼルス・ツインシティーズ」を倒したマックスは、天才プログラマーのマシドが設計したロシアの現チャンピオン「ゼウス」に挑戦状を突きつける。

ところがその帰り道、以前チャーリーが借金を踏み倒したリッキーが現れ、袋叩きにされた挙句賞金を奪われてしまう。マックスを大事に思うようになっていたチャーリーは、残りの5万ドルの受け取りも拒否し、マックスの身の安全のため夫妻の元へと帰した。しかし、ベイリーに励まされたチャーリーは、デブラに頼みマックスと共に試合に出場する。

そして遂に試合が始まるが、力の差は圧倒的で常にゼウスの優勢で進み、アトムは幾度も倒され、遂には音声入力機能が故障し動けなくなってしまう。最後の手段として、シャドー機能を使ってチャーリーが直接動かして戦いに挑む。猛攻に転じたアトムはファイナルラウンドまで戦い抜いた。

結果、試合は僅差でゼウスの勝利となったが、誰もがアトムの戦いぶりを称えた。かつてボクサーとしての道を閉ざされたチャーリーは、アトムを通してボクサーとしての栄光と、マックスとの家族の絆を手に入れたのだった。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹き替え

製作[編集]

撮影中のレヴィ監督とジャックマン(2010年7月)

リチャード・マシスンが1956年に発表した短編小説『四角い墓場』を原作とし、それを基にダン・ギルロイが執筆した脚本を2005年にドリームワークスが85万ドルで購入した[4]。製作はタッチストーン・ピクチャーズドリームワークス、21ラップス・エンターテインメント、マウントフォード・マーフィ・プロダクションズが担当する[5]。オリジナル脚本はダン・ギルロイが執筆し、2005年(別の情報源では2003年[6])にドリームワークスが85万ドルで購入した[4]。本プロジェクトは2008年にパラマウント映画から分社したドリームワークスが引き継いだ17本のうちの1本である[4]。当初、ピーター・バーグが監督する予定だったが2009年中頃にプロジェクトから外れ[6]、9月にショーン・レヴィの参加が報じられた[7]。11月、ヒュー・ジャックマンが900万ドルの出演料で参加が決まった[8]。同月、ドリームワークスのスティーヴン・スピルバーグとステイシー・スナイダーがプロジェクトに青信号を出した[4]。レス・ボームとジェレミー・レヴェンがギルロイの脚本に手を付けたが、2009年にジョン・ゲイティンズが新たなドラフトに取り掛かった[6]。レヴィがプロジェクトに参加したとき、彼はゲイティンズに脚本を改訂させ、働いた[9]

本作の製作費は1億1000万ドルである[1]。レヴィはステート・フェアと、ノスタリジアが滲み、映画の父と息子の物語のための暖かいトーンを作る「昔ながらのアメリカーナ」のある映画にすることを選んだ[10]。撮影は2010年6月に始まり[11]、2010年10月15日に完了した[12]。ロケ地はミシガン州デトロイト[13]ルネサンス・センター、コボ・アリーナ、 デトロイト消防本部、インガム郡裁判所、旧ベルアイル動物園、ハイランドパーク・フォード・プラントである[14]

映画スタッフたちは人間の俳優と共に登場する19台のアニマトロニクス・ロボットを組立てた。ロボットが戦う場面のために、モーションキャプチャ技術が使用された。元ボクサーのシュガー・レイ・レナードがアドバイザーを務めた[10]

マーケティング[編集]

ドリームワークスは2010年12月に予告編第1弾[15]、2011年5月に第2弾が公開された[16]。通常の予告編やポスターでの宣伝に加え、ドリームワークスはイギリスの宣伝会社のファイブ33に巨大なディスプレイの設置を依頼した[17]。また、ヴァージン・アメリカともコラボレーションした[18]。9月19日、ジャックマンは宣伝のためにスポーツ・エンターテインメント番組『WWE・ロウ』に出演した[19]

公開[編集]

シドニー・プレミアでのジャックマン(2011年9月)

2011年9月6日にパリのLe Grand Rexでワールド・プレミアが行われた[20]。アメリカ合衆国では2011年10月2日にロサンゼルスのギブソン・アンフィシアターでプレミア上映された[21]。オーストラリアでは2011年10月6日[22]、アメリカ合衆国とカナダでは翌10月7日に一般公開されていた。北米公開は当初2011年11月18日を予定していたが[11]、『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part1』との競合を避けるために10月7日に変更された[23]。アメリカ合衆国とカナダではIMAX劇場270スクリーンを含む3440館で公開された[24]

評価[編集]

批評家の反応[編集]

Rotten Tomatoesでは、195件のレビューで58%の支持率となり、平均値は10点満点で5.8点となった[25]Metacriticでは34件のレビューで100点満点中56点となった[26]

興行収入[編集]

北アメリカでは公開初日に850万ドル、初週末3日間で2730万ドルを売り上げ、初登場1位となった[27]。また、ジャックマンの祖国のオーストラリアでは初週末に約415万ドルを売り上あげた[28]

音楽[編集]

サウンドトラック[編集]

番号 曲名 アーティスト 長さ
1 Fast Lane Bad Meets Evil 4:12
2 Here's A Little Something For Ya                Beastie Boys 3:09
3 Miss The Misery Foo Fighters 4:32
4 The Enforcer 50 Cent 3:25
5 Make Some Noise The Crystal Method feat. Yelawolf         3:27
6 'Till I Collapse Eminem feat. , Nate Dogg 4:59
7 One Man Army Prodigy, Tom Morello 4:15
8 Give It A Go Timbaland feat. Veronica 4:20
9 The Midas Touch Tom Morello 3:28
10 Why Try Limp Bizkit 2:53
11 Torture Rival Sons 3:37
12 All My Days Alexi Murdoch 4:56
13 Kenton Danny Elfman 1:40

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ a b Kaufman, Amy (2011年10月6日). “Movie Projector: 'Real Steel' to crush 'Ides of March'”. Los Angeles Times. 2011年10月7日閲覧。
  2. ^ Real Steel”. Box Office Mojo. 2012年4月10日閲覧。
  3. ^ 2012年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
  4. ^ a b c d Siegel, Tatiana; Graser, Marc (2009-11-23). “Hugh Jackman to star in 'Real Steel'”. Variety. https://variety.com/2009/film/markets-festivals/hugh-jackman-to-star-in-real-steel-1118011766/. 
  5. ^ McCarthy, Todd (2011-11-28). “Real Steel: Film Review”. The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-reviews/real-steel-film-review-241741/. 
  6. ^ a b c Fernandez, Jay A.; Kit, Borys (2009年9月15日). “Shawn Levy is new man of 'Steel'”. The Hollywood Reporter. オリジナルの2011年9月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110914192101/http://www.hollywoodreporter.com/news/shawn-levy-man-steel-88898 2011年9月14日閲覧。 
  7. ^ Fleming, Michael (2009-11-15). “Levy in for 'bots of 'Steel'”. Variety. https://variety.com/2009/film/markets-festivals/levy-in-for-bots-of-steel-1118008686/. 
  8. ^ Hollywood's Top 40”. Vanity Fair (2011年3月). 2011年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年10月3日閲覧。
  9. ^ Fleming, Michael (2009-09-30). “Hugh Jackman boxed in for Levy”. Variety. オリジナルの2011年6月29日時点におけるアーカイブ。. https://variety.com/2009/film/markets-festivals/hugh-jackman-boxed-in-for-levy-1118009393/ 2011年9月14日閲覧。. 
  10. ^ a b Breznican, Anthony (2010年6月15日). “In Hugh Jackman's 'Real Steel,' the robot titans go pugilistic”. USA Today. オリジナルの2011年9月14日時点におけるアーカイブ。. https://webcitation.org/61hQDB0Tc?url=http://www.usatoday.com/life/movies/news/2010-06-15-realsteel15_ST_N.htm 2011年9月14日閲覧。 
  11. ^ a b McClintock, Pamela (2010-03-15). “Goyo added to Levy's 'Steel'”. Variety. オリジナルの2011年6月29日時点におけるアーカイブ。. https://variety.com/2010/film/markets-festivals/goyo-added-to-levy-s-steel-1118016494/ 2011年9月14日閲覧。. 
  12. ^ Hinds, Julie (2010-10-15). “Michigan movie clips”. Detroit Free Press: C1. オリジナルの2011年9月14日時点におけるアーカイブ。. http://pqasb.pqarchiver.com/freep/access/2163561081.html?FMT=ABS&date=Oct+15%2C+2010 2011年9月14日閲覧。. . Abstract only: "Filming has concluded here on 'Real Steel,' 'Transformers 3,' 'Scream 4' and many other productions that made metro Detroit and nearby regions seem like Hollywood Midwest for the past few months".
  13. ^ “Hugh Jackman to Film Real Steel in Michigan”. ComingSoon.net. (2010年1月22日). オリジナルの2011年7月23日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110723052134/http://www.comingsoon.net/news/movienews.php?id=62641 2011年2月14日閲覧。  Cited to unavailable Detroit Free Press article, ""Hugh Jackman Coming to Michigan to Star in Big-Budget Sci-Fi Movie", January 22, 2010.
  14. ^ Hinds, Julie (2011年10月1日). “Michigan locations in 'Real Steel'”. Detroit Free Press. オリジナルの2011年10月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111004230150/http://www.freep.com/article/20111002/ENT01/110020460/Michigan-locations-Real-Steel- 2011年10月4日閲覧。 
  15. ^ “Film trailer: 'Real Steel' starring Hugh Jackman”. The Independent. (2010年12月10日). オリジナルの2011年9月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110914220220/http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/films/film-trailer-real-steel-starring-hugh-jackman-2156459.html 2011年9月14日閲覧。 
  16. ^ Breznican, Anthony (2011年5月10日). “'Real Steel' trailer: Hugh Jackman and director Shawn Levy discuss the human element in their robo-boxing movie”. Entertainment Weekly. オリジナルの2011年9月14日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110914220619/http://insidemovies.ew.com/2011/05/10/real-steel-trailer-hugh-jackman/ 2011年9月14日閲覧。 
  17. ^ Graser, Marc (2011-05-26). “Pic promos get physical”. Variety. オリジナルの2011年9月15日時点におけるアーカイブ。. https://variety.com/2011/film/news/pic-promos-get-physical-1118037629/ 2011年9月15日閲覧。. 
  18. ^ Fernandez, Sofia M. (2011-09-23). “Hugh Jackman Unveils 'Real Steel' Airplane”. The Hollywood Reporter. https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/hugh-jackman-unveils-real-steel-239861/. 
  19. ^ Miller, Julie (2011年9月20日). “VIDEO: Hugh Jackman, WWE Stars Spend 6+ Uncomfortable Minutes in the Ring”. Movieline. http://movieline.com/2011/09/video-hugh-jackman-wwe-stars-spend-6-uncomfortable-minutes-in-the-ring.php 2011年9月27日閲覧。 
  20. ^ Staff (2011-09-06). “'Real Steel' Paris Premiere At Le Grand Rex”. Life. https://www.life.com/image/123950673. 
  21. ^ Ford, Rebecca (2011-10-02). “Hugh Jackman, Evangeline Lilly Attend 'Real Steel' Premiere”. The Hollywood Reporter. オリジナルの2011年10月4日時点におけるアーカイブ。. https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/hugh-jackman-evangeline-lilly-real-steel-242978/ 2011年10月4日閲覧。. 
  22. ^ Staff (2011年9月21日). “Jackman a big hit at wrestling show”. Sydney Morning Herald. https://www.smh.com.au/entertainment/movies/jackman-a-big-hit-at-wrestling-show-20110921-1kkm5.html 
  23. ^ McClintock, Pamela (2010-10-13). “DreamWorks' holiday 'War Horse'”. Variety. https://variety.com/2010/film/features/dreamworks-holiday-war-horse-1118025632/. 
  24. ^ Release Schedule”. Box Office Mojo. 2011年10月3日閲覧。
  25. ^ Real Steel (2011)”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2011年12月10日閲覧。
  26. ^ Real Steel: Reviews (2011)”. Metacritic. CNET Networks. 2011年10月9日閲覧。
  27. ^ October 7-9, 2011 Weekend”. 2011年10月18日閲覧。
  28. ^ Real Steel”. 2011年10月14日閲覧。

外部リンク[編集]