ランダムハウス

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ランダムハウス
Random House LLC
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニューヨーク(世界本部)
設立 1927年
業種 情報・通信業
事業内容 印刷、出版業
代表者 マークス・ドール
売上高 21億4200万ユーロ(2012年度)[1]
従業員数 5712人(2012年度)[1]
主要株主 ペンギン・ランダムハウス
関係する人物 ベネット・サーフ、ドナルド・S・クロッパー
外部リンク www.randomhouse.com
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ランダムハウス(Random House)は、アメリカ合衆国に所在する大手出版社である。

歴史[編集]

創業から1940年代[編集]

ランダムハウスの創業者の一人、ベネット・サーフは出版社ボニ・アンド・リヴライト英語版で副社長をしていた。1925年、ベネット・カーフとドナルド・S・クロッパー英語版はボニ・アンド・リヴライト社からモダン・ライブラリー英語版を買収し、独立して事業を開始した。1927年、社名を変更し、ランダムハウスを設立した。名前の由来は「本題を離れてランダムに本をちょっとだけ出版するつもりと仲間内で言っていた」ことである。現在も使われている会社のロゴはこの時、友人のロックウェル・ケントが作成したものである。最初に出版されたのはヴォルテールの『カンディード』とハーマン・メルヴィルの『白鯨』の再版本である。この挿絵はケントが描いた[2]

1930年代、現代文学児童書の出版を行った。この頃から「ペーパーバック革命」と呼ばれる出版ブームが起きていた。1934年、発禁処分を受けたジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を出版し名をはせた。その後、トルーマン・カポーティ(『ティファニーで朝食を』や『冷血』の作者)やユージン・オニールノーベル文学賞受賞)、ジョン・オハラ英語版ジェームズ・ミッチェナーなど、人気作家の著書を次々と出版した[3]

1940年代、辞書出版に参入した。最初に出版されたのは「American College Dictionary」(1947年)である。その後、「Random House Dictionary of the English Language」大辞典(1966年)を出版した。後に日本語版として『小学館ランダムハウス英和大辞典』が出版された。現在は「Random House Webster's College Dictionary」を出版している。またカナダにも進出した(1944年)[4]

1950年年代から1970年代[編集]

1959年、上場。1965年、ベネット・サーフは引退し、会社はRCAに売却された。1960年代以降、有力な出版社を次々と買収し、拡大路線に入った。アルフレッド・エー・クノッフ(1960年)やパンテオン・ブックス(1961年)、バランタイン・ブックス(1973年)などである。

1980年代から2000年代[編集]

1980年、アドバンス・パブリケーションに売却された。一方でイギリスに進出した(1987年)。またフォーセット・ブックス(1982年)やビラード・ブックス(1983年)、タイムズ・ブックス(1984年)、フォーダーズ・トラベルガイド(1986年)、クラウン・パブリッシング・グループ(1988年)などの出版社の買収も続け、企業規模は拡大した。

1998年、ドイツのメディア・コングロマリットベルテルスマンに売却された。ベルテルスマンの所有するバンタム・ブックスやダブルデイと合流し、企業規模はさらに拡大した。また世界中に進出した。2003年には「ランダムハウス講談社」(後の武田ランダムハウスジャパン[5])が設立された。

2010年代[編集]

電子書籍の台頭によりビジネスが変化する中、ランダムハウスはイギリスピアソン傘下でやはり大手の一角であるペンギン・ブックスとの合併を発表[6]。2013年、ペンギン・ランダムハウスを設立した。

組織[編集]

世界16カ国に進出し[2]、各国ごとに子会社がある。子会社は傘下のインプリントをいくつかのグループに分けて統括している。

アメリカ合衆国[編集]

ランダムハウス・パブリッシング・グループ[編集]

クラウン・パブリッシング・グループ[編集]

クノッフ・ダブルデイ・パブリッシング・グループ[編集]

ランダムハウス・チルドレンズ・ブックス[編集]

世界最大の英語児童書の出版グループ。ドクター・スース『キャット・イン・ザ・ハット』『いじわるグリンチのクリスマス』やルース・スタイルス・ガネット『エルマーのぼうけん』など[2]

  • ゴールデンブックス - 絵本の出版社。
  • プリンストン・レビュー - 受験参考書の出版。

RHデジタルパブリッシング・グループ[編集]

関連文献[編集]

  • ベネット・サーフ『アト・ランダム ランダム・ハウス物語』 木下秀夫訳、早川書房、1980年

脚注[編集]

  1. ^ a b Annual Results 2012” (PDF). ベルテルスマン. 2014年12月20日閲覧。
  2. ^ a b c d Our Publishers”. ランダムハウス. 2014年12月20日閲覧。
  3. ^ BENNET ALFRED CERF”. コロンビア大学. 2010年2月14日閲覧。
  4. ^ Random House Inc.”. fundinguniverse.com (2005年2月10日). 2010年2月14日閲覧。
  5. ^ 2010年、代表取締役によるMBOで独立。社名には残したがランダムハウスと資本関係は消滅した。
  6. ^ 米ランダムハウスと英ペンギン合併、出版最大手に”. 日本経済新聞電子版 (2012年10月29日). 2014年12月20日閲覧。
  7. ^ 大原けい (2005年2月10日). “ランダムハウス ニューヨーク”. ランダムハウス講談社. 2005年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月14日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]