ラガー (ビール)

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ラガードイツ語: Lager)は、下面発酵で醸造されるビールスタイル日本におけるビールの分類では「貯蔵工程で熟成させたビール」のことで「ビールの表示に関する公正競争規約・第4条」によって定義されている[1][2][3]。一般に切れのよい苦みとなめらかでマイルドな味わいを持つ。

解説

原料麦芽を使用し、二糖類(メリビオース)を発酵に利用する[4]サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cereuisiae)という酵母を用い、低温(10℃以下)で熟成させながら比較的長時間の発酵を行う。酵母が最終的に下層に沈み込むため、下面発酵と呼ばれる。なお、1984年にサッカロマイセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)は Sacchromyces cereuisiae として分類され分類学上の差は無くなった[4]

元々は、ドイツバイエルン地方のローカルなビールであった。この地方の水は軟水のため、硬水でなければ酵母が活動しにくいエールビールを作ることは困難だったが、土地の醸造師たちは、軟水でも低温下で活動する酵母の存在に気づき、特殊な製法でビールを醸造するようになった。秋の終わりにビール樽を洞窟の中で氷と共に貯蔵し、翌年の春に取り出すのである。この貯蔵(=ドイツ語で、「ラガー」:Lager。動詞形ならlagern)されたビールをラガービールと呼んだ。19世紀以降、冷却機などの設備が発明されると、瞬く間に世界中に普及し、それまで主流だったエールを凌ぎ、ビールの主流となった。

生産には大規模な設備を必要とされるが、大量に生産することが可能であるため、大資本が生産に参入し、現代では日本を含め世界の大ビールメーカのほとんどがラガービールを生産し、世界のビール生産量の大部分をこれが占める。

ラガーに属するスタイル

  • マイボック(Maibock or helles bock):春に出荷されるボックビールで、ドイツ語で「5月のボック」と言う意味。ヘレスタイプの淡色ビールだがボックのアルコール度をもたせたもの。
  • ドッペルボック(Doppelbock)、ダブルボック(Double Bock):アルコール度の高い(7%–12%)ボックビール。「Salvator」のように製品名の語尾に「-ator」と付けられることが多い。しばしばエール系のバーレーワインと比肩される。
  • アイスボック(Eisbock):ドッペルボックを部分的に凍らせて氷を取り除き濃度を高めたもの。アルコール度数40%を超えるものも知られている。
  • ヴァイツェンボック(Weizenbock):小麦を原料とするボックスタイルのビール。

脚注

外部リンク