ヨーダ

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ヨーダ
Yoda
スター・ウォーズシリーズのキャラクター
ファイル:Wax Museum Plus (6344780979) Yoda and Anakin - Star Wars (cropped).jpg
ヨーダ(左)とアナキン・スカイウォーカー(右)の人形
初登場帝国の逆襲』(1980年
フランク・オズ
トム・ケイン(アニメ版)
プロファイル
性別 男性
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ヨーダYoda)は、アメリカSF映画『スター・ウォーズ』シリーズに登場する架空の人物(エイリアン)である。性別は男性。

概要

身長わずか66cmの生ける伝説と称されるジェダイ・マスター。「マスター・オブ・ジ・オーダー(ジェダイ評議会の長)」とジェダイ・オーダーの指導者である「グランド・マスター」を兼任しており、その権威の前では、同じ「マスター・オブ・ジ・オーダー」であった、ジェダイ・マスターのメイス・ウィンドゥでさえ、ヨーダに意見を伺う一評議員の立場に過ぎなかった[1]。 短い白髪と皺とを蓄えた緑色の肌に、質素な衣服と杖を持った小柄な老人の姿をしている。銀河系最高の剣士として知られ、とりわけ脚力は格段に発達しており、戦闘に於いては、ライトセーバーを手に縦横無尽に跳ね回る体術(フォームIV「アタール/アタロ(Ataru)」)を駆使する。その実力はジェダイの中でも屈指のものであり、卓越したライトセーバーの技術と、その強力なフォースにより史上最強と讃えられ、かつての弟子であるドゥークー伯爵や宿敵ダース・シディアスら強大なシスとも互角に肩を並べる程である。このフォースを操る術は晩年になっても殆ど衰えず、大型の戦闘機を持ち上げて動かしてもいる。

種族に関しては『エピソード1』でジェダイ評議員の一人として登場していたヤドルという女性のジェダイ・マスターがヨーダと同じ種族である事しか知られておらず、彼らの出身地及び種族名は今の所、公式には明かされていない。

劇中では高齢により衰えた体力をカバーする為に、フォースを自らに対して用いることでアクロバティックな動作を可能としている。また体が非常に小さい為、ライトセイバーも小型サイズである。なお色は緑。

ただし、ヨーダ級のジェダイ・マスターは、最早ライトセーバーを使わずとも十分に戦闘可能であるといわれている。実際、ドゥークー伯爵との決闘の時、ヨーダは約数十年振りにライトセーバーを握ったとされている。

およそ9世紀にも亘る永い生涯の内、約800年以上をフォースの導き手として後進の育成に努め、主に年少のパダワン(弟子)の指導に携わっていた。更にジェダイ評議会の最長老として、誰よりも深い洞察力を以て、多くのジェダイ達をあるべき方向へと導いた。

主な弟子に、ルーク・スカイウォーカー、ドゥークー伯爵(ダース・ティラナス)、メイス・ウィンドゥ、キ=アディ=ムンディらがいる他、オビ=ワン・ケノービは直接の師弟関係は無いものの、実質的には直弟子同様の扱いを受けている。

銀河共和国末期、古の予言にある「選ばれし者」の可能性を秘めた少年アナキン・スカイウォーカーと初めて対面した時ヨーダは、この少年がジェダイの修行を始めるには余りにも年を取り過ぎているという判断を下す。ヨーダにはアナキンの曇った未来が十分に予見出来ず、彼を訓練するには大変大きな危険が伴うと判断したのである。しかし、ナブーの戦いに於けるアナキンの活躍を知った評議会は後に彼の訓練に賛成し、ヨーダも他の評議員の総意に押されて止む無く以前の判断を撤回した。結果として、この判断は銀河の歴史を闇が覆い尽す暗黒の時代へと変えてしまうこととなった。

銀河の平和と秩序の維持に生涯の殆どを捧げたヨーダだったが、彼を以てさえしても、シスの暗黒卿、ダース・シディアス(パルパティーン元老院最高議長)の野望を阻止することは出来なかった。パルパティーンの正体がシスであることさえ、完全には見抜けなかったのである。ダース・ヴェイダーとなったアナキン・スカイウォーカーとクローン・トルーパーの反乱によって多くのジェダイが非業の死を遂げる中、チューバッカらの助けによって難を逃れたヨーダは、今や銀河皇帝となったシディアスに一騎打ちを挑む。一進一退の激しい攻防が続くが、次第に地の利を無くし勝ち目が無いと悟ったヨーダは、ベイル・プレスター・オーガナの助けで辛くも逃げ延びるが、シディアスとヴェイダーによるジェダイ狩りから逃れる為に、薄暗い未開のジャングルの広がる惑星ダゴバの湿地帯で隠遁生活を送ることを余儀なくされた。そして、皇帝パルパティーンによるジェダイ抹殺のもたらした混乱の中で、ヨーダに関する資料や記録の殆どが失われてしまった。やがて帝国に反旗を翻すべき時が訪れるまで、僅かに生き残ったジェダイ達はその時代の到来を待つこととなる。またその間に、ヨーダとオビ=ワンは既にこの世を去っていたクワイ=ガン・ジンから、新たなフォースの術を学ぶのであった。『エピソード3』のラストシーンではヨーダはクワイ=ガン・ジンと交信しており、小説版では「君のアプレンティス(弟子)になる」という台詞がある。

それから約20年後、ヨーダがどのようにして長く孤独な隠遁生活を送っていたのかは全く分かっていない。だが、彼の役目はまだ終わりではなかった。アナキンの才能を受け継いだ息子、ルークが遙々ヨーダを訪ねて来たのだ。ヨーダは生涯の最後の務めとして、ルークをジェダイとして鍛えることを決意する。しかしルークは余り彼の助言を聞こうとはせず、それどころか危機に陥る仲間を助けようとして、ヨーダの制止も聞かずに修行を中断して飛び出してしまう。その後重い病によって衰弱し切ったヨーダは、最後の弟子に全ての事実を打ち明けると、自ら肉体を消滅させ、静かに900年の永い生涯を終えた。

旧ジェダイ・オーダーの時代には、一貫して荘厳にして厳格であったのに対し、隠棲の後の彼は長い孤独や自責の念からか、幾分、角の取れた性格になっている。それ故、ジェダイの素質を見極める為に自らルークを試した際には、終始滑稽な道化を演じ切って見せるなど、オーダー時代には見せなかった意外な一面も見せている。晩年には咳き込む場面が増え、自身も悟っていた通りに病で没するも、死してなお霊体となりルークを後押しし続けた。

やがてエンドアの戦いでルークはベイダーに打ち勝ち、父を改心させることに成功する。善の心を取り戻したアナキンは遂にパルパティーンを滅ぼし、ここに「選ばれし者」の予言を成就させた。この戦いの祝賀会の最中、ルークは自分を見守るヨーダとオビ=ワン、そしてアナキンの霊体を垣間見るのであった。

また、『エピソード7』に当たる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』では、主人公レイがルークのライトセーバーに触れ、フォースと干渉してフラッシュバックを体感する際に、ルーク・スカイウォーカー、ヨーダ、オビ=ワン・ケノービといった3人のジェダイの騎士の声が挿入されている。これらの声はそれぞれの演者であるマーク・ハミルフランク・オズアレック・ギネス及びユアン・マクレガーら本人が演じた声である。ルークの声は『エピソード5』にて衝撃の事実を知った際に叫んだ時の声で、ヨーダの声はフランク・オズにより新たに録音もされたが最終的に『エピソード5』での台詞を使用したとのこと。また、オビ=ワンの声「Rey.... These are your first steps.(レイ…これが君にとっての最初の1歩だ)」は、音声加工技術により実現したオビ=ワンを演じた新旧役者の夢の共演となっている。「Rey....」と語りかける部分は、故人であるアレック・ギネスの旧作の未使用シーンでの台詞の一部「Afraid(アフレイド)」を分解することで「Rey....」と語りかける台詞へと加工し、残りの「These are your first steps.」はユアン・マクレガーによって新たに録音された声となる[2]。当初は、3DCGアニメシリーズ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』などでオビ=ワンの声優を務めたジェームズ・アーノルド・テイラーによって収録が行われていた。

劇中でヨーダの言う台詞「Try not, Do or do not. There is no try.“やってみる”ではない、“やる”か“やらぬ”かだ。試しなどいらぬ。)」は有名であり、多くの作品に引用されている他、イギリスの雑誌「short List」が選んだ「名作映画の名台詞100選」の1位に選ばれている。

ヨーダのモデル

ヨーダのモデルについてはデザインをしたスチュアート・フリーボーンが、自分自身を基にして目をアルベルト・アインシュタインとミックスしたとDVD-BOX「STAR WARS TRILOGY」の特典ディスクで証言している。

また、黒澤明監督の代表作、「姿三四郎」のさいづち和尚とよく似た部分が多いこともよく指摘されている[3]

実在人物モデル説・および「ヨーダ」の名前に関して

名前の由来に関しては諸説あるが、明確な答えは公式には提示されていない。

溝口健二監督の中期から後期の脚本を手がけた大阪芸術大学元映像学科長の依田義賢であるという説は有名である。論拠としては、ルーカスが溝口健二監督のファンであり、ルーカスからヨーダのぬいぐるみが依田義賢に届けられたという話があること、ルーカスは「あなたの耳は面白い形をしている」と依田教授に言ったこと、取材時に「ヨーダのモデルはあなたですか?」の問いに依田教授が笑って答えを返さなかったこと、などが挙げられている。

イギリスの映画評論家トニー・レインズは「日本の脚本家・依田義賢が、ヨーダのモデルである」と発言している。レインズは、「依田がサンフランシスコのフィルムアーカイブで講演した際、フランシス・F・コッポラが聴講したのち、依田をルーカスに紹介したのが、依田とルーカスとの出会いである」としている。この件に関しては、ルーカスも認めているとレインズは語っている。つまりこの講演会がルーカスと依田を結び付けたという。この講演会については、依田の実の息子であり現大阪芸術大学芸術学部教養課程主任教授である依田義右も、その事実を認めている。[4]

なお、ルーカス本人は1999年6月2日の来日時の記者会見で糸井重里の発した「ヨーダの元は依田さんですか?」との質問に対して「NO」と明確に否定している[5]

また、ヨダ(Yoda)という姓の日本人女性が「ヨーダ」と間違われ、実名が原則のSNSサイト「Facebook」の登録を拒否されたという事例が発生している[6]

キャラクター制作

スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』の製作は、1979年より始まっていたが、スチュアート・フリーボーンによるデザインのみが決まっていたヨーダを現実化する方策を、ルーカス・フィルムは所持していなかった。この問題の解決にあたったのが、製作者ゲイリー・カーツだが、彼はマペット映画で知られるジム・ヘンソンのもとを訪ね、ヘンソン社に協力を取り付けた。

ジム・ヘンソンは当時、『セサミストリート』、『マペットショー』などのテレビ番組制作に並行して、マペットを使用した本格的なファンタジー映画の製作を準備中で、この製作チームの中から、フランク・オズやウェンディ・ミッドナー、キャスリン・ミュレンを始めとする人形製作チームがルーカス・フィルムの撮影現場に加わり、ヨーダのキャラクターを実現することとなった。ヨーダはラテックスの皮膚を持つリアルな人形キャラクターの原型となったが、これらヘンソン社の造形・操演チームの努力は後に映画『ダーククリスタル』として、結実することとなる。

なおヨーダの声の担当として、多くの候補がオーディションを受けたが、最終的にヨーダを操演した本人であるフランク・オズが担当することとなったことについて、「極めて個性的な声ながら、彼以上にヨーダの本質を捉えている人はいなかった」とゲイリー・カーツが語っている。日本語吹き替えは「エピソード1~3」では永井一郎が演じているが、「エピソード4~6」は度々キャストが変更されている。オリジナル劇場公開時(『エピソード5』のみ)こそ、「エピソード1~3」と同じ永井の吹き替えであったが、現在発売されているDVDでは辻村真人へと変更されている。

CGキャラクターが跋扈した『エピソード1』でも一部を除いてパペットで演じられたが(パペットは一度リテイクされ、NG版はヤドルに流用されている)、『エピソード2』、『3』では遂にヨーダもフルCG化され、サブサーフェイス・スキャタリングという最新のCG技術によって、リアルな肌の表現がなされた。特に『エピソード2』終盤の、従来のヨーダの印象を完全に覆したダイナミックなライトセーバー戦はCGならではの物であった。一方、ライトセーバー戦の相手にとっては難しい演技を要求されるようになったらしく、『エピソード3』でヨーダと対決したパルパティーン役のイアン・マクダーミドは「相手が見えないので非常に難しかった」と語っている。なおエピソード2ラスト近くでヨーダがクローン戦争の始まりを告げるシーンは、ヨーダの表情になかなかルーカスのOKが出ず、ILMのCGスタッフの間では担当者がなかなか家に帰れないという事で「家庭不和製造ショット」と呼ばれていた。2011年に発売されたブルーレイ版では、『エピソード1』のヨーダも全てCGに置き換えられている。

日本語吹き替え

ゲーム

バンダイナムコゲームスから発売された対戦型格闘ゲーム『ソウルキャリバーIV』に操作キャラクターとしてヨーダとダース・ベイダーが特別出演している。デフォルト状態ではヨーダはXBOX360版、ダース・ベイダーはプレイステーション3版のみでしか使用できないが、ダウンロード販売でキャラクターを追加購入することで直接対決が可能となる。

出典

  1. ^ 2015年9月4日発行『Star Wars: Absolutely Everything You Need to Know』日本未翻訳
  2. ^ 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』にオビ=ワンとヨーダがカメオ出演していたことが判明!!”. ガジェット通信 (2015年12月24日). 2016年1月15日閲覧。
  3. ^ 内田樹著 「下流志向」
  4. ^ 轟夕起夫「ヨーダとは何者か? 『悪名』サーガ考」『轟夕起夫の映画あばれ火祭り』河出書房新社、2002年、pp.47-49.
  5. ^ 「GEORGE LUCAS 来日記者会見 '99.06.02/東京・新宿」『GaZO』VOL.4、徳間書店、1999年、p.93
  6. ^ Matthew Moore (2008年8月27日). “Woman called Yoda blocked from Facebook”. Telegraph. http://www.telegraph.co.uk/news/newstopics/howaboutthat/2632170/Woman-called-Yoda-blocked-from-Facebook.html 2010年12月12日閲覧。 

関連項目

外部リンク