メタバース
メタバース (Metaverse) とは、コンピューターによって生み出されてインターネット上に存在する仮想世界のことである。3次元コンピュータグラフィックス (3DCG) 技術によって3次元の立体空間として表現されるものが多い。語源は、SF作家のニール・スティーヴンスンが自著『スノウ・クラッシュ』の中で使用したメタ (meta) とユニバース (universe) の合成語。
似た言葉にアバターチャットやバーチャルリアリティやサイバースペースがあり、広範な意味ではこれらに含まれると言えるが、五感へのフィードバック、現実にはない空間全てを含むか、といった点から区別される。
MMORPGと違い、背景の物語、決められた目的、倒すべき敵等は存在せず、利用者同士の交流や商業活動、学術的な研究を主目的に活用されているものが多い。
概要
従来のウェブサイトは一般に紙媒体を模した、2次元をベースとしたコンテンツを提供してきたが、これを3DCGで構成された3次元の立体的な仮想空間へと拡張した発展形がメタバースと考えるむきもある。例えばSecond Lifeでは2010年11月に、ウェブブラウザを用いてメタバースにアクセスする環境のテストが行なわれた。
利用者はアバターと呼ばれる自分の分身を介してメタバースの空間に入り、探索したり、他の利用者とチャットするといった交流を図る事が出来る。仮想世界内の仮想通貨を用いた買い物や、サービス内で商品を制作して販売する経済活動が出来たり、ユーザー自らが作ったゲームなどの、さまざまなコンテンツを楽しむことができるサービスも存在する。
現在は、メタバースを構築するためのサーバーソフトのオープンソース化が進展しつつあり、OpenSimulator(オープン・シム)といった、個人のパソコンをサーバとして動作させコンテンツを提供できる環境が登場している。(公式のゲームサーバエミュレータと考えることも出来る。)野村総合研究所などの分析によれば、これによって仮想世界の構築が容易になり、通常のウェブブラウザで容易にアクセスできるようにれば、ユーザーのニーズに応じた複数のメタバースが誕生し、「マルチバース」の時代が来ると予想されている[1]。
現存のサービス
メタバースに近いサービスとしては以下のものがある。
日本国外
- Habbo(2000年、Sulake)
- Second Life(2003年4月、リンデン・ラボ)
- MILU(2008年1月、グレイトフルデイズ)
- Lively(2008年7月、Google)
- Blue Mars(2009年6月、Avatar Reality)
日本国内
- 東京0区[1](2007年、SBI Robo) - 「再検討」としてサービス開始には至らなかった。
- ViZiMO[2](2007年7月、マイクロビジョン)
- スプリューム[3](2007年7月、株式会社スプリューム)
- はてなワールド[4](2007年12月[2]、はてな) - 2010年6月18日をもってサービス終了[3]。
- インターネットアドベンチャー(2008年3月、セガ)- 2009年7月31日をもってサービス終了[4]。
- ダレットワールド[5](2008年4月、ダレット) - サービス終了。
- meet-me(2008年4月、株式会社ココア)
- GAZOO METAPOLIS(2008年4月、トヨタ自動車)
- ai sp@ce(2008年9月、株式会社ドワンゴ) - 2011年6月30日をもってサービス終了
- PlayStation Home(2008年12月、ソニー・コンピュータエンタテインメント) - 2015年3月末をもってサービス終了。
- Synthe(2009年7月、株式会社ホビーストック) - 2010年2月26日をもってサービス終了
脚注
- ^ 3次元仮想世界の市場はメタバースからマルチバースへ、NRIが予測
- ^ “「はてなワールド」限定公開、仮想3D空間でキャラが会話”. @IT. (2007年12月13日) 2015年1月9日閲覧。
- ^ はてな (2010年5月18日). “はてなワールド終了のお知らせ”. 2015年1月9日閲覧。
- ^ “セガ,3Dインターネットサービス「インターネットアドベンチャー〔iA〕」のサービス休止を発表”. 4Gamer.net. (2009年5月29日) 2015年1月9日閲覧。