マンハイム-シュトゥットガルト高速線

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マンハイム-シュトゥットガルト高速線
基本情報
起点 マンハイム
終点 シュトゥットガルト
路線諸元
路線距離 98.8 km
軌間 1,435 mm (標準軌)
線路数 複線
電化方式 交流15kV・16.7Hz
架空電車線方式
最大勾配 12.5パーミル
最小曲線半径 5,100 m
最高速度 280 km/h
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路線行程
途中区間に設けられた渡り線

マンハイム-シュトゥットガルト高速線(マンハイム-シュトゥットガルトこうそくせん、ドイツ語: Schnellfahrstrecke Mannheim–Stuttgart)はドイツバーデン=ヴュルテンベルク州の都市マンハイムと同州の州都シュトゥットガルトを結ぶ高速鉄道路線で、路線長99kmである。1991年5月9日に公式に開業し、同年6月2日よりICEが営業運転を開始した。同時期にハノーファー-ヴュルツブルク高速線も開業している。マンハイム-シュトゥットガルト高速線内には15箇所のトンネル区間、90箇所の橋梁区間が含まれ、当時45億ドイツマルクの建設費が費やされた。

計画[編集]

停車場・施設・接続路線
STR+r KRZu STR+r
M-S線、リート西部線M-M線
KRWg+l KRWgr STR
BHF BHF BHF
0.0 マンハイム中央駅
DST DST DST
1.1 Mannheim Hbf Ost (Bft)
KRZr+l ABZgr STR
ライン線 シュヴェツィンゲン方面
STR2u STR3 ABZgl
マンハイム-フランクフルト・アム・マイン線
STR+1 STR+4u STR
Containerbahnhofbrücke (1100 m)
STR STR STRl
ライン谷線 ハイデルベルク方面
KRZo ABZql STRq
操車場連結線
ÜST
5.1 マンハイム・プフィングストベルク (Üst)
tSTRa
プフィングストベルクトンネル (5380 m)
tSTRl tSTR+r
アウトバーン6号線
tKRZ
ライン線
tSTRe
ÜST
11.5 Schwetzingen Brühler Weg (Üst)
TUNNEL1
Kreuzungsbauwerk Schwetzingen (126 m), A 6
KRZo
旧ハイデルベルク - シュパイアー線
SKRZ-Au
アウトバーン61号線
STR STR+1
ライン線 シュヴェツィンゲン方面
DST BHF
20.9 ホッケンハイム
STR HST
ノイルースハイム
STR STR2
ライン線 カールスルーエ方面
ÜST
27.7 オーバーハウゼン (Üst)
BST
31.7 ヴァークホイゼル・ザールバッハ (Abzw)
STR+l ABZgr
ザールバッハ三角線
ABZ3+gl KRZo STRr+1
ライン線 グラーベン=ノイドルフ方面
ÜST
34.7 ヴァークホイゼル・ルースハルト (Üst)
TUNNEL2
Tunnel B 36 (65 m)
ÜST
40.5 フォルスト (Üst)
tSTRa
Forstフォルストトンネル (1726 m)
tSKRZ-A
アウトバーン5号線
tSTRe
ABZq+r KRZo ABZq+l
ライン谷線、カツバッハ線
STRl ABZg+lr STRr
Bruchsal Rollenberg (Abzw)
tSTRa
ロレンベルクトンネル (3303 m)
tÜST
ブルクサール・アイゼンフト (Üst)
tSTRe
hKRZWae
Talbrücke Oberbruch (264 m)
TUNNEL1
アルテンベルクトンネル (220 m)
tSTRa
ノイエンベルクトンネル (761 m)
tSTRe
hSTRa
Talbrücke Frauenwald (704 m)
hSTRe
TUNNEL1
ジモンスヴァインガルテントンネル (420 m)
DST
55.5 クライヒタール
hSTRa
Talbrücke Bauerbach (748 m)
hKRZ
クライヒガウ線
hSTRe
hSTRa
Talbrücke Zigeunergraben (660 m)
hSTRe
tSTRa
ヴィルフェンベルクトンネル (1006 m)
tSTRe
tSTRa
フロイデンシュタイントンネル (6824 m)
tÜST
フロイデンシュタイン (Üst)
tSTRe
ÜST
69.7 シュテルネンフェルス・メッタータール (Üst)
tSTRa
ブルクベルクトンネル (1115 m)
tSTRe
TUNNEL1
ザウブッケルトンネル (403 m)
xABZq+r eKRZ
旧西部線
STRl ABZg+r
西部線 ミュールアッカー方面
eKRZo
旧ファイヒンゲン市内線
BHF
78.5 ファイヒンゲン (エンツ)
ABZgl
西部線 ビーティクハイム=ビシンゲン方面
tSTRa
マルクシュタイントンネル (2782 m)
tSTRe
hSTRa@g
Enztalbrücke (1044 m)
hSTRe@f
eÜST
83.5 Vaihingen Enztal (Üst bis 2010)
tSTRa
プールフェルディンゲントンネル (1878 m)
tSTRe
STRo
Glemstalbrücke (348 m)
ÜST
89.0 マルクトグロェニンゲン・グレムス (Üst)
tSTRa
Tunnel Langes Feld (4632 m)
tSKRZ-A
アウトバーン81号線
etABZgl
Kornwestheim Rbf (Abzw, 未成線)
tÜST
96.0 Stuttgart Langes Feld (Üst)
tBST
Stuttgart-Zuffenhausen Em (Abzw/Bft)
tABZgl tSTR+r
Tunnel Langes Feld II (677 m)
tSTRe tSTR
Ende Tunnel Langes Feld I
ABZgl tKRZ
シュスター線 ウンターテュルクハイム方面
ABZg+l tKRZ
フランケン線 ビーティクハイム=ビシンゲン方面
STR tSTRe
Ende Tunnel Langes Feld II
ABZg+l STRr
ABZg+r
シュヴァルツヴァルト線
SBHF
シュトゥットガルト・ツゥフェンハウゼン
ABZgr
Industriebahn Feuerbach
LSTR
フランケン線参考
KBHFe
シュトゥットガルト中央駅

マンハイム、シュトゥットガルト間のバーデン=ヴュルテンベルク州の2大都市間には1970年より新たな路線が計画されていた。既存の鉄道路線では河川や渓谷に沿っていることから高速列車の運行には不適当であった。1973年にドイツ連邦の運輸計画の一部に含まれ、重量貨物列車と軽量の高速旅客列車の両方が走行出来る規格が要求された。

  • 最大勾配 1.25%(場合によっては2.0%)
  • 最小曲率半径 4,800m~7,000m
  • 最高運転速度 250~300km/h
  • 1km当りの建設費 3,000万~5,000万ドイツマルク
  • 2地点間の直接的な結びつき。

これらの条件を満たすために多くの橋梁やトンネルの建設が必要となった。フォルスタートンネル(Forster tunnel)では全体が地下水面のため新たな脱水技術が求められ、フロオウデンシュタイントンネルでは三畳紀の地層区間を通り、その結果大雨による高価な災害対策が求められた。1974年に最初のマンハイム-シュトゥットガルトルートの計画書が発行された。1975年に連邦運輸大臣による建設認可が下り、1976年に着工された。既に着工されていたが、6,000を超える異議申し立てによりルート変更も行われている。いくつかの工区では建設が完全に滞ることもあった。7地点では住宅地区近くでの開削トンネルの建設に関して反対が起こった。プフィングストベルクトンネルなどの長大トンネルは水源保護地域に宣言されているマンハイム=ライナウ近くの森を通過するなど、環境との調和が課題であった。5~7kmおきに旅客列車や貨物列車の混合運行や保線の為、渡り線が設けられている。1985年まで全体の計画の問題は解決されなかった。

完工[編集]

最初の区間が完成したのは1987年5月31日ライン鉄道との分岐地点であるマンハイムとグラーベン=ノイドルフ間である[1]。最後はフロイデンシュタイントンネル区間の完成で、全線開業の数ヶ月前であった。[2] 営業運転前には2,000回を超える試運転が行われ、高速線内での車内信号や非常ブレーキ等の運転士の習熟が行われた[3]

運行形態[編集]

1991年5月9日より営業運転が開始され、翌月よりICEの運行が開始された。最高運転速度は250km/hで遅延回復の際は280km/hでの運転が認められている。現在は遅れがあるにせよ最高運転速度は250km/hである。マンハイム、シュトゥットガルト間の所要時間は1991年の高速線の開業により90分から44分に短縮された。2007年現在ではさらに短縮されおおむね35~38分である。

現在は以下の系統のICEが運行されている[4][5]

途中、ローレンベルク分岐点からはTGVを含む、ハイデルベルクカールスルーエ方面からのICE及びIC系統も以下のように乗り入れる。

  • IC 30:ハンブルク - ケルン - マインツ - マンハイム - シュトゥットガルト
  • IC/EC 60:(ザルツブルク -) ミュンヘン - シュトゥットガルト - ブルクサール - カールスルーエ (- バーゼルl)
  • IC/EC 62:フランクルフト (マイン) - ハイデルベルク - シュトゥットガルト - ザルツブルク - リンツ/クラーゲンフルト/グラーツ (120分間隔)
  • TGV/ICE 83:(ミュンヘン -) シュトゥットガルト - カールスルーエ - パリ

貨物列車の運行は夜間のみ行われている。

ギャラリー[編集]

参考文献[編集]

  • Joachim Seyferth: Die Neubaustrecken der Deutschen Bundesbahn: Mannheim–Stuttgart, Hannover–Würzburg (Schiene-Buch 1). Josey-Verlag, Wiesbaden 1983, ISBN 3-926669-00-4. (ドイツ語)
  • Knut Reimers und Wilhelm Linkerhägner: Wege in die Zukunft. Neubau- und Ausbaustrecken der DB. Hestra Verlag Darmstadt, 1987, ISBN 3-7771-0200-8. (ドイツ語)
  • Ernst Rudolph: Eisenbahn auf neuen Wegen: Hannover–Würzburg, Mannheim–Stuttgart. Hestra-Verlag, Darmstadt 1989, ISBN 3-7771-0216-4. (ドイツ語)

脚注[編集]

  1. ^ Eisenbahn-Journal Extra 1/2007, Die DB in den 80ern, S. 28; ISBN 978-3-89610-172-3 (ドイツ語)
  2. ^ Meldung Rohbauarbeiten am Freudensteintunnel beendet. In: Die Bundesbahn, Ausgabe 8 1990, S. 823 (ドイツ語)
  3. ^ Konrad-H. Naue, Bringfried Belter: Endspurt für die Neubaustrecken Hannover–Würzburg und Mannheim-Stuttgart. In: Die Bundesbahn, Jahrgang 1990, Heft 10, S. 937–940 (ドイツ語)
  4. ^ ICE運行路線図 2017年度版
  5. ^ EC/IC運行路線図 2017年版

外部リンク[編集]