マカダミア

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マカダミア
マカダミアの果実
保全状況評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ヤマモガシ目 Proteales
: ヤマモガシ科 Proteaceae
: マカダミア属 Macadamia
: マカダミア・インテグリフォリア M. integrifolia
学名
Macadamia integrifolia
Maiden & Betche
和名
マカダミア
英名
Macadamia nut
Bauple nut
Queensland nut
Nut oak
マカダミアの実とナッツ
マカダミアの花
マカダミアナッツ(生)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 3,004 kJ (718 kcal)
13.82 g
糖類 4.57 g
食物繊維 8.6 g
75.77 g
飽和脂肪酸 12.061 g
一価不飽和 58.877 g
多価不飽和 1.502 g
7.91 g
トリプトファン 0.067 g
トレオニン 0.37 g
イソロイシン 0.314 g
ロイシン 0.602 g
リシン 0.018 g
メチオニン 0.023 g
シスチン 0.006 g
フェニルアラニン 0.665 g
チロシン 0.511 g
バリン 0.363 g
アルギニン 1.402 g
ヒスチジン 0.195 g
アラニン 0.388 g
アスパラギン酸 1.099 g
グルタミン酸 2.267 g
グリシン 0.454 g
プロリン 0.468 g
セリン 0.419 g
ビタミン
チアミン (B1)
(104%)
1.195 mg
リボフラビン (B2)
(14%)
0.162 mg
ナイアシン (B3)
(16%)
2.473 mg
パントテン酸 (B5)
(15%)
0.758 mg
ビタミンB6
(21%)
0.275 mg
葉酸 (B9)
(3%)
11 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
ビタミンC
(1%)
1.2 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(4%)
0.54 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
5 mg
カリウム
(8%)
368 mg
カルシウム
(9%)
85 mg
マグネシウム
(37%)
130 mg
リン
(27%)
188 mg
鉄分
(28%)
3.69 mg
亜鉛
(14%)
1.3 mg
(38%)
0.756 mg
マンガン
(197%)
4.131 mg
セレン
(5%)
3.6 µg
他の成分
水分 1.36 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
(100g中)の主な脂肪酸の種類[1]
項目 分量 (g)
脂肪 75.77
飽和脂肪酸 12.061
一価不飽和脂肪酸 58.877
16:1(パルミトレイン酸 12.981
18:1(オレイン酸 43.755
22:1 0.233
24:1(ネルボン酸 0.018
多価不飽和脂肪酸 1.502
18:2(リノール酸 1.296
18:3(α-リノレン酸 0.206

マカダミア(学名: Macadamia integrifolia)とはヤマモガシ科の常緑樹である。直径2 cmほどの殻果ナッツ)はマカダミアナッツ(クイーンズランドナッツ)と呼ばれ、食用となる。

マカデミアと呼ばれることもある。原産地はオーストラリア。近年、主生産地のハワイおよび英語での一般的な発音はマカデイミアに近い。マカデミアという名称は、これを命名したドイツ出身のオーストラリア植物学者フェルディナント・フォン・ミュラー)が友人のスコットランド出身のオーストラリア化学者ジョン・マカダム英語版)の名前を学名(ラテン語風)にしたものである[2][注釈 1]

マカダミアナッツ[編集]

歯ごたえはもろめでややしっとりとしており、味は淡白。パーム油と食塩で味付けしたり、チョコレートで包んだり、砕いてクッキーケーキの材料の一部とする。また、マカダミアナッツを圧搾して採った油は食材として使われるほか、アロマセラピーで希釈油やマッサージオイルとしても用いられている。

100 g中の脂質は76.8 gだがコレステロールを含まず、オレイン酸パルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸が83 %を占める。

含有脂質率が高いため、主生産地のハワイ州では砕いたマカダミアナッツを非常用の照明に使う場合も稀にある。

栽培の歴史[編集]

原産はオーストラリアクイーンズランド州先住民族アボリジニの間ではブッシュ・タッカーとして、好んで食されていた。

1858年には最初の農園が作られ[3]1892年ハワイ王国に持ち込まれて同地での商業栽培の歴史が始まった。原種は甘味や脂肪分に乏しかったので1921年ハワイ大学で商業生産を目指した品種改良の研究が始まり、20年に及ぶ努力の果てに商品化が成功した。また、この間にハワイ州政府がマカダミアナッツ農園に免税の措置などを講じた結果、1950年代末までに作付け面積でパイナップルコーヒーサトウキビなどを抜いて1位となり、ハワイの代表的な農産品としての基盤が確立された。オーストラリア大陸原産の植物は栽培化が進んでおらず、マカダミアナッツは栽培植物となった希少例である[4]

上記と同時期には日系アメリカ人のマモル・タキタニがマカダミアナッツとチョコレートの相性が良いことに注目し、ナッツをチョコレートで包んだものを製品化してみると爆発的な人気を呼んだ。これが、2014年現在もマカダミアナッツ製品で最も消費量が多いハワイアンホスト社製のチョコレートである。

マカダミアナッツの生産量は世界でおよそ2万トンである。そのほとんどはオーストラリア産とハワイ産が占めており、ハワイ島マウイ島カウアイ島などに大農園がある。ハワイの代表的な特産品の1つとして1970年代以降は不動の地位を保っており、缶や瓶詰めにされた塩味のナッツやナッツをチョコレートで包んだマカダミアナッツチョコレートは土産物として人気が高い[5]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 米国で広く用いられる「メリアム=ウェブスター大学辞典, 11th Edition」 (2003/2009) などにある、マカダム舗装法を発明したことで知られているスコットランド人技術者であるジョン・ラウドン・マカダム英語版から名づけられているという説は誤り。

出典[編集]

  1. ^ NDL/FNIC Food Composition Database Home Page
  2. ^ 「ナッツの歴史」p125 ケン・アルバーラ著 田口未和訳 原書房 2016年8月27日第1刷
  3. ^ 「ナッツの歴史」p126 ケン・アルバーラ著 田口未和訳 原書房 2016年8月27日第1刷
  4. ^ 「世界の食用植物文化図鑑」p245 バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント著 山本紀夫監訳 柊風舎 2010年1月20日第1刷
  5. ^ 「ナッツの歴史」p127 ケン・アルバーラ著 田口未和訳 原書房 2016年8月27日第1刷

外部リンク[編集]