ポケットモンスター (架空の生物)

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ポケットモンスター、略してポケモンは、『ポケットモンスター』シリーズに登場する「架空の生物」の総称である。

日本語での正式名称は「ポケットモンスター」であるが、ゲーム内においても「ポケモン」という通称が一般的であり、欧米では「Pokémon」の名称が正式名称として扱われていることから、この記事では以後「ポケモン」の名称を用いて説明する。

来歴

1996年に発売されたゲームボーイ用のソフトである『ポケットモンスター 赤・緑』で最初の151種類が登場して以来、新作が発表されるたびにその総数は増加している(世界観上は「それまで未発見だったポケモンが新発見されている」)。『金・銀』が発売された1999年には100種類、『ルビー・サファイア』が発売された2002年には135種類、『ダイヤモンド・パール』が発売された2006年には107種類、『ブラック・ホワイト』が発売された2010年には156種類、『X・Y』が発売された2013年には72種類、『サン・ムーン』が発売された2016年には81種類、『ウルトラサン・ウルトラムーン』が発売された2017年には5種類、『Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』が発売された2018年には2種類、『ソード・シールド』が発売された2019年には89種類が「発見」され、現在898種類[1]のポケモンの存在が確認されている。

一度でもポケモンとしてメディアに登場した種族が、次作以降で「無かったこと」にされた例は現在までに一度もない[2]。外伝作品ではすべての種族が登場しない場合もあるが、それは「その地方では見つからない」等の理由であり、世界に存在しないというわけではない。

メインのRPGシリーズにおいては、『ウルトラサン・ウルトラムーン』までは発売時点でのすべてのポケモンが必ずデータとして設定されていた。ただし、実際にすべて出現させるためには通信プレイが必要である。『ソード・シールド』以降は開発期間等の関係からその地方の図鑑に登録されているポケモン以外はデータとして設定されず[3]Pokémon HOMEからの転送も出来なくなった。

概要

非常に種類が多く、それぞれが個性的な特徴を持ち、世界や相互との関係がある程度明確に設定されているポケモンという「架空の生物」はキャラクターとしても魅力的である。本来のゲームにおいてポケモンがコレクションの対象とされていることもあり、ポケモンを題材としたキャラクターグッズは非常に早い時期から存在している。

一般的な「キャラクター」と比較して珍しい点は、それぞれのポケモンの名前は固有のキャラクターの名称ではなく、「種族」の名称だということと、進化論に対立する思想を背景にしたある種の決定論である。例えばディズニーにおける「ミッキーマウス」は固有の性格を持ち、世界に1人しかいないという設定のキャラクターであるが、ポケモンにおける「ピカチュウ」はその世界に何十、何百万匹も存在し、性格や個性などもそれぞれ異なる。なお、ゲームではポケモンに固有の名前(ニックネーム)を付けることができ、アニメや漫画でもニックネームを付けられたポケモンが登場することがある。 「進化」のキャンセルは、ゲームの攻略本やアニメでも言及されている。ただし、一部の例外を除けば、進化の方向性は個体に依存せず定まっており、抵抗する明確な理由も無い。なお、進歩史観とは無関係である。

ポケモンたちは全て空想上の生物として描かれているが、大部分は現実に存在するものに由来して作られている。命名がその典型的な例であり、実在する動植物や概念であったり、英語を始めとする他の言語を捩ったりしたものが多い。サワムラーエビワラー等、実在の人物をモデルにしていると思われるものも存在する。

ポケモンのデザインゲームフリークに所属する複数のスタッフたちによって行われるが、具体的に誰がどのポケモンをデザインしたのかはインタビューなどで部分的に明かされるのみである。最終的にゲームソフトのパッケージや攻略本などで用いられる「公式イラスト」の中心人物は杉森建である。なお、杉森以外のデザイナーもカードゲーム等の派生作品では直接イラストを手がけることがある。

設定

ポケモンというキャラクターについて明確に統一された公式設定のようなものはほとんどなく、異なるメディア間(例えばゲームやアニメ)はもとより、(スタッフなどが違う)同じメディア間の旧作と新作の間ですら、矛盾が見られる。

以下はポケモン図鑑をはじめとしたゲーム内の記述やアニメ、関連書籍などから読み取れる設定のうち、大部分の関連作品で統一されているものをまとめたものである。

定義

「ポケモン」と分類される「架空の生物」の定義については明らかではない。「ポケモン」という独自の分類体系が存在するのか、それとも複数の分類体系に渡って「ポケモン」というキャラクターが存在しているのかすら、資料によってまちまちである。

一般的にはモンスターボールへの収納に象徴される、自己を縮小させるという共通の能力を持った生物が「ポケモン」と呼ばれている。また、「ポケモン」はデータに変換することができ、前述のモンスターボールへの収納、ゲーム中のパソコンによる管理やアニメ中の転送などはこの能力により可能である。さらに、進化と呼ばれる変身を起こす個体が極めて多い点も特徴であり、『ダイヤモンド・パール』において、最新の研究ではポケモン全体の90パーセントが進化に関係すると語られている。

作品世界に登場する人間以外の生物がすべてポケモンというわけではない。ポケモンでない草や樹木が普通に生えていたりするなど、我々の世界と同じような動植物も描写されていたり、その存在について触れられていたりする[4][5]。また、きのみやポケルス等、ポケモン以外の架空生物も存在する。さらに、「超能力を持つ少年がポケモンに変わった」というような解説文を持つポケモンもいる。

アニメなどでは、生態系を構成する動物の全てがポケモンであるかのような描写[6][7]がある。なお、劇場版『アルセウス 超克の時空へ』において古代の人々はポケモンのことを「魔獣」と呼称しており、呼び方とその内容が時代とともに変化していった様子を伺わせている。

特徴

高さ、重さ

ポケモン図鑑では、ポケモン1体1体に身長や体重が設定されており、0.1mしかないものから10mを超えるもの、数百グラムしかないものから1トン近くに及ぶものまで、その大きさは千差万別である。ゲーム中では一部の「わざ」に体重の数値が反映されることがあるが、平均身長・体重のようなものらしく「コイキングの大きさを比べる」といった場面もあるため、種族全てにおいてこれらの数値が共通しているわけではない。また、アニメや漫画においてはこれらの数値は必ずしも意識されているわけではなく、様々な大きさや重さで描かれることが多い[8]。また40センチ、20キログラムもあるイシツブテを「丸くて持ちやすい」や「なげてぶつけるイシツブテがっせんができる」など矛盾した設定も見られる[9]

わざ

ポケモンが戦闘や移動において使用する能力は「わざ(技)」として体系付けられている。原則として、戦闘においてポケモンが直接行う行動のすべては「わざ」である。相手に打撃や異常を与えるもの、自分を強化したり傷を癒したりするもの、双方あるいは空間全体に影響を与えるもの等、さまざまな「わざ」が存在している。

Zワザ

『サン・ムーン』から、1回のバトルにつき1人1回しか使えない必殺技「Zワザ」が追加された。Zは「全力(Zenryoku)」の頭文字。

「Zクリスタル」と呼ばれるアイテムをポケモンに持たせ、Zクリスタルのタイプと同じタイプの技をそのポケモンが覚えていれば使用できる。なお、Zワザ発動中は、ポケモンが全身にオーラを纏い、表情も変わる。また、変化技の場合は一部の威力があがる。

  • 例:ゲンガーの技「さいみんじゅつ」のZワザ版「Zさいみんじゅつ」は自分のすばやさも上がる。

一部のポケモンは専用Zワザを持っている。

タイプとわざの相性

すべてのポケモンは「タイプ」と呼ばれる属性を1つか2つ持つ。これらは基本的に、種族によって固定されている(ミノマダムは例外)が、カクレオンロトムのように、「とくせい」や「フォルムチェンジ」等の効果によって一時的に変化することもある。また、カードゲームでは、「δ種(デルタしゅ)」と呼ばれる本来と異なるタイプを持つ特殊体の存在も確認されている。

ポケモンの使う「わざ」と、その対象の「タイプ」には相性がある。現時点で多くの作品において適用されているタイプ相性は以下の通りである。『金・銀』では「あく」と「はがね」が、『X・Y』では「フェアリー」が追加された。現在は表の通りに落ち着いている。カードゲームをはじめとした関連作品では簡略化されることもあるが、全体としてこの相性表に近い雰囲気を持っている。

ポケモンXD』におけるリライブホール、『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズにおけるグミの好みなど、戦闘に関係のない部分でもこれらの相性が関わる場面がある。

ゲーム版では、これらのタイプの相性による効果の違い以外に、出すわざのタイプとポケモンそのもののタイプが同じ場合には威力が増加する。また個々の特性や先に使われた技の影響によってもダメージが増減するが、攻撃が外れた場合やどちらか1つのタイプでも「効果がない」だった場合、効果のない攻撃系変化技を受けた場合はその攻撃はなかったことにされ、ダメージも受けない。また、「効果がない」の反対は「効果バツグン」であることが多い。

左が攻撃側の「わざ」のタイプ、上が防御側のポケモンのタイプ。

タイプ相性表
攻撃を受ける側
ノーマル ほのお みず でんき くさ こおり エスパー かくとう どく じめん ひこう むし いわ ゴースト ドラゴン あく はがね フェアリー
攻撃をする側
ノーマル ×
ほのお
みず
でんき ×
くさ
こおり
エスパー ×
かくとう ×
どく ×
じめん ×
ひこう
むし
いわ
ゴースト ×
ドラゴン ×
あく
はがね
フェアリー
効果バツグン
効果普通
効果今ひとつ
× 効果がない

×(効果はない)」となっているのは、ゲーム本編では能力などに関係なくダメージを与えることはできない(但し、補助技の使用によって変わることもある)が、すべての作品でそう設定されているわけではない。カードゲームでは「抵抗力」でダメージが一定量減るだけであるし、そもそも本編で無効のはずのタイプに抵抗力すら持たない(場合によっては弱点を持つ)こともある。

ドラゴン同士やゴースト同士はお互いバツグンなため、技の掛け合いになることもある。ただ、チルタリスのようにメガシンカでこの殴り合いから抜け出すことができるポケモンもいる[10]

『サン・ムーン』では一度でも戦った相手のみ技の相性がそれぞれ色付きで、「こうかばつぐん」「こうかあり」「いまひとつ」「こうかなし」と表示されるようになった。

アニメや漫画においては、「無効」とされる設定であっても技が効く場合や、ゲーム同様「無効」とされながらも、不利な相性をなんらかの要因で克服する描写もある。アニメ第5話で見られるようなタケシの繰り出すイワークイシツブテをピカチュウの電気攻撃で倒すといった描写はその典型と言える。

進化

ポケモンという種族が持つ特徴のうち、印象的なものの一つが進化である。一定の条件を満たしたポケモンが何らかの刺激により、その姿形、時には性質をも瞬間的に変化させる。

ただしポケモンの進化は、同一個体の変化であるため[要出典]生物学上の進化の定義にはあてはまらず、生物学的には変態に相当する現象である[11]。実際、「幼虫→蛹→成虫」という昆虫の変態を模した進化を遂げるポケモンも存在するが、種によっては「魚類→竜」「ネズミ→ウサギ」といったように、現実の生物に当てはめられないような変化を遂げる場合もある。野生では、進化後のポケモンの本来進化するレベルより低い個体で生息している場合もあるため、進化前のポケモンが進化後のポケモンの幼生である、というわけでもないようである。またイーブイの進化の場合、不安定な自身の遺伝子が外的要因を受けて変異し起こるという、生物学上の適応突然変異に相当する現象であり、現実における進化に酷似した例も確認されている。

飼育下では一般的に戦闘経験の蓄積や道具の投与、あるいは主人との信頼関係や通信などの刺激、更には特殊な環境での成長などが契機となって進化する。人工的に自分のポケモンの進化を妨害する手法も広く採られている。野生の状態では飼育下では考えられない条件での進化が発生することもあるようだが、詳細は明らかになっていない。『金・銀』では「電波で進化させ凶暴化させる」研究をロケット団が行っており、普通のギャラドス以上に凶暴化したギャラドスが見られる。また、多くの場合は進化先は1種類のポケモンごとに1種類であるが、中には複数の進化先を持つポケモンも存在し、前述のイーブイでは発見されている限り8種類(2017年現在)の進化先がある。

進化をすると全体的に能力が上がり(種族によっては一部の能力が下がるものもいる)、使用可能なわざマシンやひでんマシンの数が増えるが、一方でわざを覚えるまでのレベルが高くなるというデメリットがある。種族によっては進化の前後で覚えるわざが異なるものや、進化することで新しいわざを全く覚えなくなるものもいる。能力値を優先して早めに進化させるのか、わざを優先して進化を遅らせるのかは各個人の考え方の分かれるところである。

ポケモンカードゲームや一部の漫画[12]では一度進化したポケモンが元の姿に「退化」する描写が見られるが、これらは関連作品の中でも極めて異質な表現であり、基本的に進化は不可逆である[13]。そのため、進化をめぐる葛藤が描かれる場面も多い。

フォルムチェンジ

進化とは似て非なるものにフォルムチェンジがある。これは形質が何らかの要因で大きく変化するが、変化の要因が失われると元の姿に戻る、または新たな要因が加わると更に別の姿に変化するというもので、一時的な変化であり可逆の現象である。

作中において初めてこの現象が確認できたのはポワルンとデオキシスで、ポワルンは天候に応じて姿を変え[14]デオキシスはゲームでは特殊な隕石の力で[15]、アニメでは常時任意で形質を一時的に変化させるというある種の変身であるが、ロトムは「機械の中に入れる」という自身の能力を使って行うものでロトム本体には変化がないなど、フォルムチェンジの種類ごとにそのメカニズムが異なっている。

吸収合体

『ブラック2・ホワイト2』ではフォルムチェンジの派生としてさらに異質な吸収合体が発見された。これは現在キュレムネクロズマバドレックスに確認されている現象で、キュレムの場合はレシラムもしくはゼクロムの動きを封じて球状(「ライトストーン」「ダークストーン」というアイテムとして存在する)にして自らの体に取り込み、異形の姿に変化する。ネクロズマの場合はソルガレオもしくはルナアーラを自らの体に取り込み(「ネクロプラスソル」「ネクロプラスルナ」というアイテムとして存在する)、異形の姿に変化する。

バドレックスの場合はブリザポスもしくはレイスポスに騎乗する(「キズナのタヅナ」というアイテムとして存在する)という形であり、キュレムやネクロズマのように一方的に吸収して利用するわけではなく、両者が互い協力しあうという他2体とはまた異なる合体である(ゲーム上のシステムとしては他2体と同じ)。

なお、これらの合体用のアイテムを使う際には対応するポケモンの合体を一度解除しないと再使用できない為、両方のフォルムを同時に所持、使用する事はできない。

アニメ『XY&Z』ではプニちゃん(ジガルデ・コア)がジガルデ・セルを吸収、合体する事で10%、50%フォルムにチェンジする。ただし、これは自身の身体の分体とも言うべきものを合体させている為、他のポケモンを取り込むと言うキュレムとは全く異なる吸収合体である。

ウルトラバースト

吸収合体後のネクロズマのみに見られる更なる変化。ソルガレオもしくはルナアーラを取り込んだ後にその膨大な光の力で光り輝くドラゴンへと変化する。メガシンカ同様、戦闘中のみの変化で戦闘後は元の姿に戻る。また、この状態の時のみ専用Zワザ「天焦がす滅亡の光」を放てる。

メガシンカ

『X・Y』で登場した。これは進化とフォルムチェンジの中間のようなものであり、「メガストーン」という特殊なアイテムを所持しておりかつ戦闘中のみ一時的に進化が起きる現象となっている。メガシンカするには、そのポケモンに対応した専用のメガストーンと、ポケモントレーナーが所持する「メガリング[16]」という装置(正確には装置に付けられた「キーストーン」。アニメ版での設定だったが、ゲーム版でもこれが採用され、『オメガルビー・アルファサファイア』ではメガリングに相当する道具にキーストーンが付いている設定(「メガバングル」など)になった。装置はZリングでも代用可能である)が必要であり、1人のトレーナーの所持するポケモンのうち1匹のみが可能であるという制約がある。

例外的にレックウザは専用のメガストーンが無く、代わりに専用技の「ガリョウテンセイ」を習得している事がメガシンカする条件となっている(Zクリスタルを持っているとメガシンカできない)。これは設定上では、レックウザの体内にメガストーンと同質のエネルギーを持つ隕石が蓄積されているため、メガストーンを保持するのと同様の状態になっているためとされる。

なお、ゲーム本編以外の派生作品では上記の条件を満たさない状態でメガシンカをする場合もあり、2013年の映画『神速のゲノセクト ミュウツー覚醒』ではメガミュウツーY[17]へのメガシンカが描かれているが、同作中ではメガストーンに相当する物質・エネルギーおよびキーストーンを所持したトレーナーにあたる人物が確認できず、そのメカニズムも解明されていない。また、『ポケモン超不思議のダンジョン』では人間が直接登場しない設定ではあるが、ダンジョン内で特定の条件を満たすことによってメガシンカが可能となっている。

ポケモンの身体に過剰なエネルギーを注入されて発生する現象は決して自然なものではなく、特にポケモン図鑑では自身に苦痛を与えるほどの高温で爪や尾が溶けかけているヘルガーや顎が砕けてしまうオニゴーリ、メガシンカによるストレスのあまり凶暴化しているとされるギャラドスやプテラ等のようにポケモン自身に多大な負荷がかかっていることを示す記述が多く見られる。

ゲンシカイキ

『オメガルビー・アルファサファイア』にはゲンシカイキというものが登場した。グラードンとカイオーガの超古代ポケモン2種が行うことができる現象で「メガシンカとは似て非なる、太古に失われたもう一つの可能性」とされる。メガシンカが生体エネルギーの増幅で起こるのに対し、ゲンシカイキは膨大な量の自然のエネルギーを取り込むことで起きるもので、原理が異なる。

なお、メガシンカと異なるのはあくまで設定上のものであり、ゲーム中ではメガシンカと同様のシステムとして扱われ、エネルギーを制御する「べにいろのたま(グラードン)」および「あいいろのたま(カイオーガ)」がメガストーンの扱いとなっている。

キズナ現象

アニメ版『XY&Z』にてサトシのゲッコウガにのみ確認されている現象。サトシとのシンクロにより「サトシゲッコウガ」と呼ばれる形態に変化する。劇中ではアランのキーストーンと反応しており、メガシンカと同様にバトル中のみの変化であるが、メガシンカともまた異なる変化である。

ゲームでは『ポケットモンスター サン・ムーン 特別体験版』に登場するゲッコウガが特性「きずなへんげ」を持っており、相手ポケモンを倒す事でアニメ同様に「サトシゲッコウガ」に変化する。

リージョンフォーム

『サン・ムーン』以降では「リージョンフォーム」(「アローラのすがた」「ガラルのすがた」ともいう)という、通常とは異なる姿を持つポケモンが登場した。それぞれの地方の環境に適応するために独自の変化を遂げたものであり、姿だけでなく生態も異なっているため、むしろこちらの方が生物学上の進化に近い。

進化前は通常の個体しかいないが、進化するとリージョンフォームとなるポケモンもいる。ガラルでは通常とは異なる進化系を持つポケモンや、通常のすがたでは進化しないが、ガラルのすがたでは進化するというポケモンも現れた。

『ソード・シールド』が最新作である2020年現在、ニャースのみが2つのリージョンフォームを持っている。

特殊能力

ポケモンごとに、わざ以外で戦闘などに影響を与える能力を持っている。カードゲームでは「特殊能力(ポケパワー・ポケボディー)」として体系付けられていた。後に「とくせい(特性)」として、『ルビー・サファイア』以降のゲーム本編でも表現されるようになった。

カードゲームでは特定のポケモンしか持っていなかったが(同じ種族でも持つものと持たないものがいる)、ゲーム本編では全ポケモンが何らかの「とくせい」を持っている。一部のポケモンは2種類の「とくせい」を持ち、同じポケモンでも個体ごとに「とくせい」が異なる。また、『ブラック・ホワイト』以降では一部のポケモンに「かくれとくせい(隠れ特性)」や「夢特性」と呼ばれる、通常の個体とは異なる「とくせい」が1種類追加されている。この特別な「とくせい」を持つポケモンは、通常の個体と同様には出現せず、『ブラック・ホワイト』では一部のイベントの他、インターネットで「ポケモングローバルリンク」内の「ポケモンドリームワールド」(現在のポケモングローバルリンクでは利用不可能)、『ブラック2・ホワイト2』では隠れ穴や連動する「ポケモンARサーチャー」で手に入れたポケモン、『X・Y』では、群れバトルや殿堂入り後に行けるようになるキナンシティの「フレンドサファリ」、『オメガルビー・アルファサファイア』では「ポケモンサーチ」、『サン・ムーン』では「乱入バトル」、『ソード・シールド』では「マックスレイドバトル」で入手できる。

特性次第では通常は効果がない技も当たるようになる。例えば「はかいこうせん」はゴーストタイプに効果がないが、特性「フェアリースキン」のメガサーナイトや夢特性ニンフィアは特性によって「はかいこうせん」がフェアリータイプ扱いになり、効果普通になる。また、特性「きもったま」のガルーラは本来ゴーストタイプに効果がない「ピヨピヨパンチ」を当てられる。このように特性は大抵バトルを有利にするものだが、中には「なまけ(2ターン連続で技を出すことができず、発動に2ターンかかる技は無条件で失敗する)」のようなデメリットになる特性も存在する。

ダイマックス

『ソード・シールド』より登場。メガシンカとZワザの中間のような物で、ガラル粒子の作用によりポケモンが一定時間巨大化し、能力が上昇。使う技も「ダイマックスわざ」という強化された物になる。また、「ダイマックスバンド」を介することで任意のタイミングでダイマックスを発動させることができる。「ダイマックスバンド」を介してダイマックスする場合、一度ポケモンをモンスターボールに戻す必要がある。

一部の種族かつ特殊な個体は「キョダイマックス」というメガシンカのように姿まで変化し、専用Zワザ同様そのポケモンごとの専用技「キョダイマックスわざ」が発動可能になる。その代わり、キョダイマックスわざとなるタイプのダイマックスわざの使用はできない。ヨロイじまに生えているダイキノコを使用したダイスープ(ウーラオスはそれに加えてダイミツ)を飲む事で通常の個体もキョダイマックスが可能になる。またその逆にキョダイマックスが可能なポケモンをダイマックスに戻す事も可能。

また、ムゲンダイナはガラル粒子の集束によってムゲンダイマックスとよばれる形態に変化する。

なお、ザシアン、ザマゼンタ、ムゲンダイナは通常のダイマックス化は不可能となっている。

分類

ポケモン達は様々な属性で分類されている。既述の「タイプ」、繁殖に影響する「タマゴグループ」、さらに「生息地」、「体の色」といった分類もある。詳細は下記やポケットモンスターのゲームシステム以降を参照。このような情報は、一部の例外を除いて多くの作品で共通している。

生息

この世界の至るところにポケモンは棲んでいる。草原砂漠水辺地中洞窟廃墟、中には人家の周辺や、人の住めないマグマの中や深海を住処とする種族も存在する。

食性

大部分のポケモンは食事によって栄養を摂取している。他のポケモンやそのタマゴ、その他の動植物をはじめとする有機物を主食とする種族が多いが、鉱石などの無機物を摂食したり、あるいは光合成を行う等の摂食自体が不要と考えられているものもいる。さらにポケモン図鑑のピジョンの項目に「餌のタマタマ」、ヒマナッツの項目に「オニスズメに襲われる」、スバメの項目に「ケムッソを捕まえて食べる」などという記述が存在しており、ポケモン同士においても食物連鎖が存在すると考えられる。

「きのみ」類はあらゆるポケモンの傷病や疲労を癒す効果があり、これを原料とした人工飼料としてポロックやポフィンが作られている。そのほかの人工飼料として、サファリゾーンではポケモン共通の「エサ」が使用される。またアニメでは「ポケモンフーズ」と呼ばれるものが登場し、タケシがポケモンの種類に合わせた「ポケモンフーズ」の調合を研究している等の発言もされている。『ソード・シールド』ではポケモンキャンプにて人間と一緒にカレーを食べている。

『ポケモン不思議のダンジョン』シリーズでは、あらゆるポケモンが同じ速度で腹を減らし、食料も共通の植物性のものに限定されているが、これはコンピュータゲームとしての『不思議のダンジョン』シリーズ共通のシステムの都合によるところが大きい。この作品では世界観設定なども一般的なそれとはかけ離れている部分が多い。

繁殖

ポケモンの繁殖については明らかになっていない部分が多い。大部分の種族において雌雄の別が明らかになってはいるが、実際に生殖行動が確認された事例は過去に無いとされる。人工飼育下のつがいを特定の環境に置くと「タマゴ」(これは「卵」ではなく、自然物で作られた保育器のようなものである)が見つかり、やがて中から仔が産まれるのだが、そのつがいが産んだものなのか、他所から持ってきたものなのかすら明らかになっていない[18]。よって、タマゴを得た際には「産卵」ではなく「発見」と称される。ただし生まれた仔はつがいの性質を引き継いでいることが多い。

外見上の性差が表れるポケモンは少なく、生殖器も(少なくとも外見上は)見受けられない[19]雌雄二形が見られる例はあり、ピカチュウの雌雄における尾の形状など微小な違いである場合が多いが、中にはヒポポタスケンホロウなど明確な外見の差異が表れるもの、ニドラン♂ニドラン♀バルビートイルミーゼのように雌雄で性質が大きく異なるものもある。ラッキーガルーラなどオスが未発見のポケモン、これとは逆にケンタロスバルキーなどメスが未発見のポケモン、コイルヤジロンのようにそもそも性別自体が不明なものも存在するなど、同種間での繁殖手段そのものが不明なポケモンもいる。

タマゴを得るためのつがいは必ずしも同種である必要はなく、「タマゴグループ」と呼ばれる分類が共通する種族同士ならば可能である。また、メタモンは大部分の種族と雌雄を問わずつがえることが確認されている。

性別の確認されていないポケモンも存在し、ゲーム中では「性別不明」で一括りにされているが、これは「雌雄同体である(ヒトデマン[20]など)」、「性別が存在しない」、「性別が存在するのか未解明、もしくは性別の確認方法がない」など様々な理由で雌雄に分けられないポケモンが混在している。この中でもメタモンとならつがえられてタマゴが発見されるポケモン、タマゴが一切発見されない繁殖方法の不明なポケモンに分けられる。なお、性別不明のポケモンに分類されていても実際には雌雄が存在すると見られる描写のされる作品もある[21]

タマゴグループが共通のポケモンは生物的に近い性質を持っていると考えられるが、『ミュウと波導の勇者 ルカリオ』の宣伝ポスターに掲載されたミュウを根とする系統樹では、このタマゴグループとは明らかに別の分類がされていた。

人間との関係

世界のあらゆる所に潜み、強力な戦闘能力を持つ(後述)ポケモンは潜在的には人類の脅威である。しかし、ポケモンは人間に使役、利用されているものが多く、人間の支配下に置かれていない野生ポケモンも常時捕獲の圧力に晒されていること、逆にポケモンが人間を従えることは極めてまれな例外を除いてないことから、現在の権力構造では概ね人間側が優位に立っているといえる。この権力構造が維持されているのは、人間側の技術力、社会発達度での圧倒的なアドバンテージであると見ることができる。

逆に技術が発展していない時代においては、ポケモンは精霊などのように畏怖された存在であったと思われる記述、描写がゲーム本編やアニメ、漫画などでも見られる(伝説のポケモンの図鑑内容など)。

また、ゲームやアニメでは古代文明がポケモンと協調または力を利用する関係であったと見られる描写もある[22]。文明が進んでいなかった時代では、むしろ人間がポケモンたちから知識や技術を得たという事例も存在している(作中では、コンクリートの製法をローブシンから教わったという記録などがある)。また、あくまで昔話であるが、さらに古い時代では人間とポケモンの区別が存在せず両者間での婚姻なども存在した[23]という表現もあり、前述の他種族間でも繁殖が可能ということを考慮すると人間とポケモンの間においても繁殖が可能であった可能性がある。

ポケモンはその高い戦闘能力ゆえ、一旦服従させれば人間にとって非常に有益な生物であり、自然と使役ポケモンを野生ポケモンに対抗する手段として用いられた。これが発展してポケモンの所有者同士がお互いのポケモンを戦わせる競技が誕生した。ゲームやアニメをはじめとする、作品としての「ポケットモンスター」ではこのような競技バトルが主なテーマとなっている。また更に発展し、ポケモンが犯罪に利用されたり、戦争テロリズムにおける兵器として用いられたりすることもある。『X・Y』では3000年前のカロス地方でポケモンたちが兵士として駆り出されていた長期戦争が起きていた話が登場し、それ以前からもアニメでも、劇場版にて8作目『ミュウと波導の勇者 ルカリオ』や12作目『アルセウス 超克の時空へ』で鎧や兜など防具を装備したポケモンが戦いに駆り出され、そのポケモンに武装した人間が跨って戦闘を行う場面が登場しているなど、戦争の歴史とともに古代から軍事目的で利用されていたことが確認できる。

これらの活動にはポケモンを捕獲し意のままに従わせる者たちの力が必須であり、これを「ポケモントレーナー」と呼ぶ。トレーナーとポケモンの関係は基本的には緩やかな支配、被支配の構造を内包しているが、アニメの主人公サトシとピカチュウのようにほぼ対等に近い関係も存在する。また、トレーナー、ポケモン間の支配、被支配の構造をことさら強調したのがロケット団などである。なお、すべてのポケモントレーナーが戦闘を主眼としてポケモンの飼育、育成を行っているわけではなく、ペットとしてポケモンを飼育する者も多い。育成そのものを目的とした「ブリーダー」と呼ばれる者たちや、「コーディネーター」と呼ばれるポケモンコンテストのためのポケモン育成者も存在している。

作品を見る限りポケモンの人間社会における使役目的は戦闘目的が主だが、それ以外にも乳や卵を取るための家畜や優れた身体能力を生かした労働力としてポケモンを飼育したり、ポケモンの調査や研究を生業としたりする者もいる。また、ポケモンが食料として狩猟の対象とされていたことをにおわせる神話も伝わっている。現にカモネギは食用のための乱獲で数が減少しており、チェリンボは味が確認されていることから食べている人がいるとされている。また、オドシシアブソルは角を薬や美術品として狩猟された過去があるという設定があり、実際の狩猟と同様に、食料以外のさまざまな物資を目的とした事例も存在している。ゲーム中の具体的な描写ではヤドンの尾は栄養にはならないものの食用になり、実際に「おいしいシッポ」と呼ばれるアイテムが存在するほかロケット団がこの尾を乱獲するエピソードが見られる。これらの活動においても人間とポケモンとの関係は支配、被支配の構造を持つことが伺えるが、オーキド博士などその枠に収まりきらない者も存在している。また、アニメにおいては、ポケモン世界の住人たちは肉や卵を食べず、木の実やホットケーキのようなパン類を食べているという設定も存在する[24](ただし、ホットドッグなど肉料理が登場することもある)。ただしその一方で登場人物がコイキングを食べようとして未遂に終わり、さらにコイキングは食用に向いていない旨が語られるシーンや、クラブは大きさによっては蟹鍋として食用にできることが言及されるシーンが存在する。

この支配関係に対して疑問が提示されることも劇中にあり、中には人間から理不尽に扱われたポケモンが、人間とポケモンとの支配、被支配関係について自覚的、非自覚的問わず敏感になる場合もある。例えば、『ブラック・ホワイト』の登場人物であるN(エヌ)は幼少期から意図的に虐げられたポケモンを見せられてきたため、「人間にポケモンを使役することをやめさせ、ポケモンを開放し自由にすることが平和に繋がる」と信じて行動していた。また、『ミュウツーの逆襲』で描かれた人工ポケモンであるミュウツーの起こした行動は、人間がポケモンを統治するシステムそのものへの反逆へと通じる面を持っていた。

ただし、アニメでは人間がピカチュウの電撃やリザードンの火炎などポケモンの技の直撃を受ける、数十メートルの高さから転落するなどしても平然としていたり、ポケモンの技を素手で弾く、技を再現してのける者すら見られるなどの描写があるほか、ゲームでも上の通りイシツブテを投げることができるものとして紹介されていることや上記のシンオウむかしばなしの存在などから、ポケモン世界では人間もポケモンと大差ない種族であることを伺わせる描写が存在する。

特別なポケモン

作品世界の中で、特別なポケモンとして扱われている種族が存在する。

最初にもらえるポケモン

ゲームを始める上で、プレイヤーに最初に与えられるポケモン。ピカチュウに固定されている『ピカチュウバージョン』『Let's Go! ピカチュウ」、イーブイに固定されている『Let's Go! イーブイ』を除き、くさ・ほのお・みずのタイプを持つ3体から1体選ぶことになる。いずれもレベルアップで2段階に進化し、通常の特性はくさタイプが「しんりょく」、ほのおタイプが「もうか」、みずタイプが「げきりゅう」と決まっている。また、ライバルキャラクターにあたるトレーナーも所持しており、それが1人しかいない作品では主人公の入手したポケモンのタイプの弱点にあたるタイプのポケモンを所持している。これらのポケモンはアニメでは「○○地方の初心者用ポケモン」と呼称される場合が多い。ユーザーから俗に「御三家」と呼ばれることがある[25]

ゲーム中ではこれらのポケモンが野生ポケモンとして登場しないため、自分が入手したもの以外は『X・Y』[26]のようなわずかな例外を除き、他のプレイヤーとの通信交換でしか入手できない。一部の作品では、他作品で最初に入手するポケモンをイベントなどで入手できるが、やはり3体中1体しか選べないことが多い。しかし、これらの性質はあくまで事実上そうなっている(主人公が偶然出会えない)だけであって、いかなるメディアでもこの部類のポケモンの野生個体がまったく存在しないと断言されたことはない(事実、アニメでサトシ一行がゲットするのは野生の個体である場合が多い)。これらのポケモンを初心者に渡すため、一定のレベル(ゲームではレベル5)まで育てる人物さえも登場している。

最初にもらえるポケモンの性別はオス:メス=7:1に固定されている[要出典]

漫画やアニメなどでは主要メンバーとして活躍することが多い。関連商品も多く発売される傾向にあり、一般からの認知度も比較的高い。

個々のポケモンについてはCategory:最初に入手するポケモンの各記事を参照。

絶滅したポケモン

ポケモンの中には絶滅したポケモン[27]も存在する。ラムパルドトリデプス等のように化石から復元される太古のポケモンが一般的だが、設定上では超古代ポケモンであるカイオーガグラードン等も絶滅種とされる(超古代ポケモンを参照)。他にもミカルゲ(このポケモンも道具から変化するポケモンである)のような封印されたポケモン、特別なポケモンや絶滅種ではないがラプラスのように人間に乱獲され、絶滅する恐れのあるポケモンの例もある。化石から純粋な姿で復活したポケモン(オムナイトカブトプテラリリーラアノプスズガイドスタテトプスプロトーガアーケンチゴラスアマルス)は全員共通していわタイプを持っている。一方、2種類の化石を組み合わせたことで不自然な姿で復活したポケモン(パッチラゴンパッチルドンウオノラゴンウオチルドン)はいわタイプを持っていない。また、ゲノセクトも設定上はプラズマ団により化石から復活したポケモンではあるものの、復活と同時に改造を受けた為かいわタイプを持たない例外である。

人工のポケモン

ポケモンの中には、劇中世界の人間が人的に創造したもの(人工生命体)も存在する。ポリゴンの系列のように電子工学によって生み出されたロボットやコンピュータに近いものから、ミュウツータイプ:ヌルシルヴァディ)のような生物工学で生み出された有機的なポケモン、マギアナのようなオートマタ的な技術で生み出された機械的なポケモン、ゲノセクトのように化石から復元した存在にサイボーグ的な改造を施した部分的に人工的に要素を持つポケモンなどがある。

これらのポケモンは出生の境遇もあり、アニメなどメディア媒体では特別な存在として扱われることも多い。

伝説のポケモン

特定のバックストーリーを持ち、世界観上、ストーリー上重要な役割を果たしているポケモンは伝説のポケモン[28]と呼ばれる。ゲームソフトのパッケージを飾ることや、劇場版の題材として取り上げられることも多い。総じて強力なポケモンであり、ゲーム中における特定施設での対戦や現実世界における公式大会等ではしばしば使用が禁止、あるいは制限される。このような制限が設けられる種族を狭義的な「特別なポケモン」として扱うことがある。だが、他のポケモンと比べて必ずしも特別強いというわけでもなく、レベルが近い若しくは高かったり、苦手なタイプに出くわすなどすれば、伝説のポケモンと言えど苦戦を強いられることもある。むしろ能力的に伝説のポケモンを上回るポケモンも存在する。

ゲーム本編ではそれぞれ1体ずつしか見られない場合が通常であるが、設定上も「世界に1匹しか存在しない」と明言されているものは少ない。さらにその設定ですらも作品ごとにまちまちである[29]。中には「神」と位置づけられるものもいるが、あくまでも神話の中での話でありポケモン図鑑では「○○地方の神話に登場するポケモン」などと説明されていることが多い[30]

なお、ゲーム本編における出会い方は大きく2種類に分類される。一つは、特定の場所に佇んでおり話しかけると戦闘になるシンボルエンカウントタイプ[31]。もう一つは、各地の草むらを徘徊し戦闘開始後はすぐに逃げ出すタイプである。

また、極めて例外的なケースではあるが、『Pokémon GO』においては伝説のポケモンはいずれも明確に複数個体が存在する。この事は実際にレイドバトルとしてしばしば複数のジムに同時に出現し、これに加えてフィールドリサーチによって実際に複数個体の捕獲が可能である他、各チームリーダーに伝説のポケモンの能力を鑑定してもらう際に通常のポケモン同様に複数の個体が存在することを前提とした台詞(そのポケモンの種族としての相対的な大きさなど)を発する事などから伺える。これらの伝説のポケモンは対戦やジム戦、レイドバトル等には使用できるが、ジム防衛に使用する事はできない。これについては後述の幻のポケモンにも同様の制限がかかる。

個々の伝説のポケモンについてはCategory:伝説のポケモンの各記事を参照。

ウルトラビースト

『サン・ムーン』で登場したカテゴリ。「UB(Ultra Beast)」という略称でも呼ばれる。「ウルトラスペース」という劇中世界とは別の次元に生息するポケモン。

古くからアローラ地方ではウルトラスペース及びそこへの次元の穴である「ウルトラホール」と共に伝承されていた存在であり、ウルトラビーストの一種であるコスモッグを入手したエーテル財団によってその力を使い人為的にウルトラホールを開いてウルトラビーストを呼び寄せる計画が進められていた。タイプ:ヌル(創造当初はタイプ:フル)はそのエーテル財団によって、ウルトラビーストへ対抗するポケモン「BK(ビーストキラー:Beast Killer)」として生み出された経緯を持つ。

国際警察は「UB~」というコードネームを付けているが、コスモッグおよびそれが進化した伝説のポケモンであるソルガレオ/ルナアーラや、ネクロズマは例外。

幻のポケモン

伝説のポケモンよりもさらに特殊な扱いである幻のポケモンも存在する。

ゲームにおいては他のポケモンと厳密に区別され、これらのポケモンは通常のプレイでは入手することができない。ストーリー上では極めて特殊な存在として描かれ、それにまつわる物語が断片的に語られる程度であり、姿を確認することもほとんどできない。実際に入手するためにはゲーム外部のキャンペーンなど特殊な入手方法を必要とする[32]ため、ポケモン図鑑を完成させるために幻のポケモンを登録する必要はない[33]。後に劇場版の公開に伴い存在が公表されるパターンが多くなっており、ゲーム本編の発売直後は存在が明らかにされていないことがほとんどである(中でも、アルセウスゲノセクトボルケニオンはゲームの発売から存在の公表まで実に3年近くを要した)。ただしこれらの種においても「世界で1匹だけの存在」であるどうかについて言及されたことは特に無く、アニメにおいては複数個体が存在する明確な描写がある[34]

中でも、『赤・緑』から存在するミュウが有名である。当初は雑誌の抽選でのみ配布されていたが、わずか20名の枠に対し7万8000通の応募があったという。それと前後しバグを使って強引に出現させる「裏技」が有名になり、当時の小中学生を中心に真偽入り乱れて飛び交っていた(→都市伝説)。一連の盛り上がりがポケットモンスター自体の知名度上昇に大きく貢献したと言っても過言ではない。

変則的な例も存在し、ルギアホウオウは、『金・銀・クリスタル』と『ハートゴールド・ソウルシルバー』以降の作品では伝説のポケモン扱いであるが、『ルビー・サファイア・エメラルド』から『ダイヤモンド・パール・プラチナ』の間は幻のポケモン扱いであった。デオキシスは幻のポケモンだが、『オメガルビー・アルファサファイア』でゲーム中に入手できるようになった。セレビィは幻のポケモンだが、バーチャルコンソール版『クリスタル』でゲーム中に入手できる。ケルディオは幻のポケモンだが、『ソード・シールド』でゲーム中に入手できるようになった。この5匹以外は、今のところゲーム本編で自由に入手できるようになったことがない[35]

また、幻のポケモンではないのに通常のプレイでは入手できないポケモン[36]や入手しなくても図鑑が完成する[37]特殊なポケモンも登場した。

Pokémon GO』においては2020年10月現在ミュウ、セレビィ、ジラーチ、ビクティニ、メルタン(メルメタル)の5系統6種が実装されており、いずれも通常のプレイでは1匹だけが入手できる。ただし各チームリーダーの鑑定ではやはり通常のポケモン同様に相対的な大きさについて言及されるため、実際には複数個体が存在する可能性もある。また、この中でメルタンのみは明確に複数個体が存在する描写があり、そのためか進化形のメルメタル共々幻のポケモンとしては例外的にジムの防衛も可能となっている。

個々の幻のポケモンについてはCategory:幻のポケモンの各記事を参照。

色違いのポケモン

ポケモンの種類を問わず[38]、非常に低い確率で本来とは異なる体色を持つ個体が発見される。

ゲームでは『金・銀』以降で取り入れられた要素であり、登場時にキラキラと光を伴うエフェクトから光るポケモンとも呼ばれる。『サン・ムーン』では登場時に星が出るように変わった。ゲームでは外見以外に特別な性質は持たないが、アニメやカードでは特殊な能力や効果を持っている場合がある。色違いの個体が進化しても色違いのままである。

本来ならば野生で出現したとき、またはタマゴから生まれた時に非常に低い確率でランダムに発生するのみであるが、ごく一部のポケモンはゲーム中のイベントで入手することができる。『金・銀・クリスタル』および『ハートゴールド・ソウルシルバー』の「いかりのみずうみ」に出現するギャラドスと、『ブラック2・ホワイト2』の「サンギタウン」で貰えるフカマルまたはミニリュウ、「自然保護区」に出現するオノノクスがそれに該当する。また、公式大会の参加賞などとして色違いのポケモンが配布されるケースもある。

ゲームシステムにおいては内部パラメータによって色違いであるか否かが判定され[要出典]、データ上は伝説ポケモンを含めた全てのポケモンに色違いの設定が存在する。配布で直接受け取るのみの幻のポケモンの場合、「色違いの個体を配布」というイベントでない限り必ず通常色の個体だが、ゲーム内で野生で出現する幻でない伝説ポケモンや、幻ではあるが「イベントアイテムの配布→それを持っているデータでのみ野生遭遇可能」と言う流れの幻のポケモンならば、一般のポケモンと同様に色違いが出現する可能性がある。現在のところこの例から外れるのは、『ブラック・ホワイト』のレシラムゼクロムビクティニと、ゼルネアスイベルタルジガルデなど『X・Y』で遭遇出来る伝説のポケモンが該当する。これらのポケモンは普通に野生遭遇できる(ビクティニは配信イベントアイテムが必要)が、色違いになる条件を満たすときに条件を満たさないように内部パラメータを変えるプロテクトが存在するため、色違いが出現しない[要出典]

アニメでも時々登場し、初登場はサトシがゲットしたバタフリーと共に旅立っていったピンク色のバタフリー[39]。ゲットされた初めての色違いのポケモンはサトシのヨルノズクである。これはゲームと同様登場時に光るエフェクトがあったが、それ以降に登場する色違いのポケモンにはそのエフェクトがない[40]

なお、ここまでに述べた色違いとは別の意味で、個体ごとに色が異なるポケモンも存在し、トリトドンブルンゲルなどがその代表例である。ブルンゲルやカバルドンなどはオスとメスで色が異なるので雌雄間の違いと言えるが、トリトドンやバスラオなどはオスメスの違いとは別に複数の色パターンで分かれる。ほとんどの場合、色が違うと外見上の差異も伴う(例えばトリトドンは色が違うと頭部の形状が少し違う)。 これらの色パターンを持つポケモンは、それぞれの色パターン全てにおいて色違いが存在するため、色パターンだけでもかなりの種類にのぼる。

他にも、『ポケモンスタジアム』等では通常のポケモンもニックネームで各個体ごとに色が微妙に異なっているのが確認できる。これも当然、一般的に言う「色違い」の扱いはされないし、近作ではそもそもこの設定はあまり生かされていない。

脚注

  1. ^ 複数の姿(主にフォルムと呼称される)を持つもの(デオキシスギラティナ等)や、個体ごとに姿や特徴が異なるもの(アンノーンミノマダム等)、メガシンカやゲンシカイキ、リージョンフォーム、キョダイマックス等を細かく分けた場合はさらに多い。
  2. ^ 事件(ポケモンショック)や訴訟(ユリ・ゲラー)に関わったポケモンであっても同様である。
  3. ^ 『ソード・シールド』では、後のアップデートで、ガラル図鑑に含まれないポケモンも登場するようになった
  4. ^ 例として、初期の図鑑には「インド象」や「東京タワー」といった現実世界の生物・建造物を比較対象に挙げている記述がある。ただし、これらはプレイヤーの認識に合わせたメタ的記述の可能性もある。
  5. ^ アニメにおいては、無印第7話で水槽の中に普通のが泳いでいたり、第20話でゴースマングースに変身しているなど。ただし、AG以降ポケモンの世界であることを強調するためか、現実世界の動物の描写はなくなっている。
  6. ^ アニメにおいて、設定上はポケモン以外の動物に分類される生物を筆頭とする生物は存在し、生態系はゲームと共通である。しかし特に動物等がポケモンと同族とされないための配慮として、アニメではそういった描写が主流となっている。
  7. ^ アニメ『ポケットモンスター』第二期エンディングテーマ『ニャースのうた』の歌詞中にはポケモンではない昆虫の存在を示唆するフレーズが存在する。
  8. ^ アニメではサトシがヨーギラスを持ち上げたり、漫画『ポケットモンスターSPECIAL』ではサファイアがココドラを肩にのせているなど
  9. ^ ただしアニメやコミックの描写ではポケモン世界の人間は現実世界の人間よりはるかに強靭な肉体を持っていることが伺える。そもそも通常の生物とは比較にならない強力な能力を持つポケモンが跋扈する世界において、それを使役する立場である人間も相応に強靭なのでこのような描写でも矛盾しない、とファンの間で考察されている(アニメ版の主人公であるサトシを指して「スーパーマサラ人」と通称される)。
  10. ^ メガチルタリスはドラゴンタイプてあると同時にフェアリータイプでもあるため。ドラゴンタイプの技はフェアリータイプには効果がない。
  11. ^ 首藤剛志による小説『ポケットモンスター The Animation』では「“進化”という表現は適切ではないが、表現するのに便利なので使用している」と解釈されている。
  12. ^ 穴久保版『ポケットモンスター』、『ポケモンカードになったワケ』など。
  13. ^ ポケモン図鑑では、「ヤドランは尻尾のシェルダーが外れるとヤドンに退化する」という設定が語られているが、ゲーム内でそのようなことが実際に起こるわけではなく、あくまでも図鑑等で語られているのみである。
  14. ^ ただし、『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア 公式ガイドブック 完全ぜんこく図鑑完成ガイド』では、この現象に対してフォルムチェンジの呼称を使用していない
  15. ^ 初登場となったゲームボーイアドバンスの頃においてはシステムが異なり、バージョンごとに異なるフォルムが用意され自動で変化するというものだった。
  16. ^ 『X・Y』の主人公の場合。装置の名称はキャラによって異なる
  17. ^ 映画公開当時はメガシンカのシステムが未公表であり、パンフレット等では「覚醒したミュウツー」という呼称が用いられていた
    『ポケモン』完全新作アニメ『ミュウツー~覚醒への序章(プロローグ)~』がテレビ東京系列にて放送決定!”. ファミ通.com (2013年6月15日). 2015年1月9日閲覧。
  18. ^ 『ポケットモンスター金銀 ポケモン図鑑 任天堂公式ガイドブック』内の物語では、調査をした研究員がトイレに行っている間、プリンの調査の際には子守唄で眠ってしまった後にタマゴができていた。
  19. ^ 育児嚢を持つガルーラや乳房を持つミルタンクなど、性別特有の器官を持つポケモンは一部存在する。ただし、これらのポケモンはもう片方の性別(この場合はオス)が発見されていないため同種間での性差比較ができず、明確に性別特有の器官なのかは不明である。
  20. ^ 元々はゲームで各種のポケモンごとに雌雄が設定されていなかった時代にアニメ版で設定された要素であり、それに準じてゲームでは性別不明に分類された。
  21. ^ 例えば『ポケモン不思議のダンジョン 時・闇の探検隊』におけるエムリットセレビィは表示では性別不明となっているものの、会話やイベントシーンでは完全に女性(メス)口調であり、セレビィに関してはオスのポケモンであるジュプトルへの恋愛感情を抱いていた。
  22. ^ 古代遺跡のパズルを解くとアンノーンが出てくる、文様つきの巨大なゲンガーとフーディンがモンスターボールらしきものに入っていた、など。
  23. ^ 『ダイヤモンド・パール・プラチナ』の作中に登場する書籍「シンオウ むかしばなし」その3の記述による
  24. ^ 【ポケモンセンターに聞きました】ポケモンの肉は食べられるのか?、ガジェット通信
  25. ^ 「ポケモン」最新作は「ポケットモンスター X・Y」 2013年10月に世界同時発売 新たな“御三家”ポケモンの姿も明らかにIT Media ニュース
  26. ^ 自分が選ばなかったポケモンが、NPCとの通信交換やフレンドサファリで手に入る。しかし、後者は登録したフレンドコードによってランダムに決まる不確定なものである。
  27. ^ プテラの図鑑解説では恐竜等の生物の存在も明らかになっている。また、『劇場版ポケットモンスター 結晶塔の帝王 ENTEI』の本作以前に首藤が半年をかけて作ったプロット、もう一つの劇場版ポケットモンスター第3作(正確には幻の第3作)の存在があり、物語は、人間とポケモン以外の動物がいないはずのアニメポケモンの世界で、ティラノサウルスの化石が発見されるという事件から始まるという設定がある。
  28. ^ ポケモン図鑑ではウインディが「でんせつポケモン」に分類されているが、少なくともゲーム内では特別に扱われることはない。
  29. ^ アニメ版では、伝説のポケモンも複数個体が存在することが明確に描写されている。初めてその対象となったルギアの場合、無印期のテレビ版に登場するルギアは劇場版『ルギア爆誕』に登場したものと別個体であり(登場人物のセリフから劇場版の後日談と明言されている)、さらにそのルギアの子供と見られる小型の幼生ルギアを連れて登場しており、アニメ世界においてルギアは最低でも3匹は存在していることが確認される。ラティオスラティアス(映画劇中で複数の個体が確認でき、アニメ版でも複数のトレーナーが使用)など他の伝説のポケモンも同様の事例がある。これとは逆に、アニメ版のミュウツーは「遺伝子操作を加えたミュウのクローン」であり、製造された一個体しか存在していない。
  30. ^ 例えば、ホウエン地方において伝説のポケモンであるグラードンカイオーガによる創造神話は語り継がれているが、サウンドトラック付属のブックレットに書かれた開発スタッフの解説によると、これは2匹の驚異的な力を目にした古代人の創造であり、2匹の決戦も架空であると説明されている。ゲーム中では、『プラチナ』にてシロナがシンオウ地方のカンナギタウンの壁画に描かれた「ディアルガパルキアギラティナの3匹を生み出し従えた何者か(後のアルセウス)」を解説した際、ディアルガたちの強大な力に対する畏敬の念を伝えたものがシンオウ地方の創造神話だろうという研究結果を出している。シリーズでは伝説が事実であったことを髣髴とさせるイベントがクライマックスとして用意されるがそれはあくまでゲームイベントとしての「実現」であり、伝説を事実と断定しない姿勢はシリーズにおいて徹底されている。
  31. ^ なお、『ダイヤモンド・パール』以降の作品では、話しかけた時に特徴的な鳴き声(台詞)を発するものが多いが、ゲームフリークの松宮稔展曰く「伝説のポケモンは、捕まえたらそれっきりで一度も連れていかない可能性があるため、あえて変な鳴き声にすることでインパクトを残そうとしている」とのこと。
    (参考:「ポケットモンスターブラック・ホワイト」のつくりかた 2:ゲームフリークスタッフボイス・2013年1月14日時点のアーカイブ
  32. ^ かつては公式大会などの雑誌の企画が多かったが、現在では映画関連(前売券の特典や劇場での配布)またはWi-Fiコネクションでの配信が多くなっている。
  33. ^ 幻のポケモンも全て集めて真の図鑑完成となるが、成し遂げることは大変困難である。
  34. ^ 劇場版「神速のゲノセクト ミュウツー覚醒」でゲノセクトが、劇場版「セレビィ 時を超えた遭遇セレビィが同時に複数個体で登場する。
  35. ^ ミュウとフィオネが『みんなのポケモン牧場』で入手でき、データを削除してやり直せば理論上は複数回の入手も可能であるなど、特殊な例もある。
  36. ^ ギザみみピチュー(『ハートゴールド・ソウルシルバー』)、ゾロアゾロアーク(『ブラック・ホワイト』)
  37. ^ ランドロスキュレム(ブラック・ホワイト)
  38. ^ 第4世代では「店員から直接受け取る配布ポケモン」には決して色違いにならない設定がなされている(色違いのポケモンとして配布される場合は除く)。その他、ビクティニや、『ブラック・ホワイト』以降の一部の伝説のポケモンに限って色違いにならない設定がある。このため該当するポケモンの色違いは不正データしかあり得ないことになる。[要出典]
  39. ^ 放映当時は『金・銀』発売以前の物語であるためゲーム公式設定ではなく後付け設定によるもの。ゲームでの色違いのバタフリーはピンク色ではない。
  40. ^ ダイヤモンド&パール』でギンガ団のサターンが所持しているドクロッグがボールから出された時にはエフェクトが出なかった。

関連項目