ホイッドビー・アイランド級ドック型揚陸艦

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ホイッドビー・アイランド級
ドック型揚陸艦
艦級概観
艦種 ドック型揚陸艦 (LSD)
艦名 歴史上の史跡。一番艦はホイッドビー島に因む。
建造期間 1981年 - 1989年
就役期間 1985年 - 就役中
前級 アンカレッジ級
次級 ハーパーズ・フェリー級
性能諸元
排水量 基準:11,099-11,590 t
満載:15,883-16,568 t
漲水時:29,000 t
全長 185.8 m
全幅 25.60 m
吃水 6.25 m
機関 CODAD方式
コルト-ピルスティク16PC2-5 V400ディーゼルエンジン (定格8,400 bhp / 最大10,400 bhp) 4基
可変ピッチ・プロペラ 2軸
速力 22ノット
航続距離 8,000海里 (18kt巡航時)
電源 F-M 12D38-1/8ディーゼル発電機 (1,300 kW) 4基
乗員 士官21名+曹士289-299名
揚陸部隊: 士官27名+曹士375名
兵装 Mk.38 25mm単装機銃 2基
Mk.15 20mmCIWS 2基
M2 12.7mm単装機銃 8基
RAM近SAM 21連装発射機
※後日装備
2基
C4I SSDS Mk.1 ※後日装備
レーダー AN/SPS-49 対空捜索用 1基
AN/SPS-67(V) 水上捜索用 1基
AN/SPS-64(V)9 航海用 1基
電子戦
対抗手段
AN/SLQ-32(V)1 電波探知装置
Mk.137 6連装デコイ発射機 4基
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ装置

ホイッドビー・アイランド級ドック型揚陸艦(ホイッドビー・アイランドきゅうドックがたようりくかん、英語: Whidbey Island-class dock landing ship)は、アメリカ海軍ドック型揚陸艦の艦級。

同型艦は12隻だが、後期型4隻は舟艇運用能力とバーターに貨物積載能力を増強したサブクラス(Cargo variant)であり、ハーパーズ・フェリー級(LSD-41 CV級)として区別されることもある[1][2]

設計

本級は、先行するアンカレッジ級(LSD-36級)をもとに、主機関をディーゼルエンジンにするとともに、LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇の運用に最適化して改設計したものとなっている[1]

船型は船首楼型で、これと一体化した上部構造物は5層と大型の箱型のものとなっている。主機関は、V型16気筒コルト-ピルスティク16PC2-5 V400ディーゼルエンジン4基で2軸の可変ピッチ・プロペラを駆動するCODAD方式である[1][2]

能力

輸送揚陸機能

ウェルドックは、長さ134.0メートル×15.24メートル、艦の全長の72パーセントを占めており、下記のような各種舟艇・車両を搭載できる[1]

  • LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇であれば4隻
  • LCU-1610級汎用揚陸艇であれば3隻
  • LCM(8)型機動揚陸艇であれば10隻
  • AAV7装甲兵員輸送車であれば64両

また両舷には、バター・ボードなどLCAC-1級の運用を前提にした艤装が施されている[3]ほか、LCAC-1級のガスタービンエンジンの排気換気と、各種船舶の入出渠を考慮して、ヘリコプター甲板の装備位置は高くされている[2]。漲排水のためのバラスト水は12,860トンを搭載して、漲水は15分、排水は30分で行えるとされており、漲水時の水深は、前方では1.8メートル、後方では3.0メートルとなる[1]

ウェルドック上に架するかたちでヘリコプター甲板が設けられている。長さ64.6メートル×幅25.3メートルを確保して、発着スポット2個が設定されており、CH-53Eの運用にも対応できる。ハンガーは備えていないが、JP-5ジェット燃料90トンを搭載している[1]。なお、必要であればここにも上陸用舟艇の搭載が可能であり、15.24メートル型作業艇1隻、LCPL Mk.11人員揚陸艇2隻、LCVP小型揚陸艇1隻を搭載して、上部構造物直後両舷のクレーン(力量60トンと20トン)によって着揚収することができる[1]

ドック前方には1,214 m²の車両搭載スペースが確保されているほか、パレット化された貨物149 m³も搭載できる[3]。揚陸部隊としては、LCAC乗員を含めて、将校27名および下士官兵375名が乗艦できるほか、必要であれば更に将校7名および下士官兵95名を追加できる。なお上陸戦時の負傷兵に対応するため、手術室1室と病床8床が設けられている[1]

個艦防御機能

対空捜索レーダーとしては、当初建造艦はAN/SPS-49(V)1を搭載していたが、5番艦以降は(V)5に更新し、AN/SPS-49(V)1を搭載している艦についてもAN/SPS-49A(V)1にアップグレードされた[1]

新造時の武装は、艦橋構造物上部前後に装備されたファランクスCIWSのみであったが、その後、RAM近接防空ミサイルの21連装発射機が追加装備された[2]。また近距離で水上目標に対して使用するMk.38 25mm単装機銃は、当初は砲側照準式のmod.0ないしmod.1であったが、順次に遠隔操作式のmod.2に換装されている[1]

なお、2004年までに全艦がSSDS Mk.1を装備したほか、Mk.2にアップグレードして、共同交戦能力リンク 16に対応する計画もある[1]

同型艦

艦番号 艦名 建造 発注 起工 進水 就役
LSD-41 ホイッドビー・アイランド
USS Whidbey Island
ロッキード 1981年
2月9日
1981年
8月4日
1983年
6月10日
1985年
2月9日
LSD-42 ジャーマンタウン
USS Germantown
1982年
3月26日
1982年
8月5日
1984年
6月29日
1986年
2月8日
LSD-43 フォート・マクヘンリー
USS Fort McHenry
1983年
1月27日
1983年
6月10日
1986年
2月1日
1987年
8月8日
LSD-44 ガンストン・ホール
USS Gunston Hall
エイボンデール 1983年
11月21日
1986年
5月26日
1987年
6月27日
1989年
4月22日
LSD-45 コムストック
USS Comstock
1984年
11月26日
1986年
10月27日
1988年
1月15日
1990年
2月3日
LSD-46 トーテュガ
USS Tortuga
1987年
3月23日
1988年
9月15日
1990年
11月17日
LSD-47 ラシュモア
USS Rushmore
1985年
12月11日
1987年
11月9日
1989年
5月6日
1991年
6月1日
LSD-48 アシュランド
USS Ashland
1988年
4月4日
1989年
11月11日
1992年
5月9日

参考文献

  1. ^ a b c d e f g h i j k Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. pp. 867-869. ISBN 978-1591149545 
  2. ^ a b c d 「アメリカ揚陸艦史」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、1-135頁、NAID 40015212119 
  3. ^ a b 「アメリカ揚陸艦のメカニズム」『世界の艦船』第669号、海人社、2007年1月、144-151頁、NAID 40015212119 

外部リンク