ヘビーガン
ヘビーガン(HEAVY GUN)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器で、有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」(MS)の一つ。初出は、1991年公開の劇場用アニメ『機動戦士ガンダムF91』。
作中の軍事勢力の一つ「地球連邦軍」の量産機。『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から登場する量産機「ジェガン」の後継機という位置づけで、従来機よりも機体を小型化することで、機動性の向上と運用の効率化が図られている。しかし、メーカー側の努力不足もあって性能面では中途半端なものとなり、敵勢力である「クロスボーン・バンガード」の小型MSに苦戦を強いられる。劇中では、連邦軍パイロットである「ビルギット・ピリヨ」が搭乗し、主人公「シーブック・アノー」が搭乗する「ガンダムF91」と共闘する。
『F91』から30年後の時代である『機動戦士Vガンダム』では、改修型の「マケドニア仕様機」が登場するが、多くが退役間近の旧式機であるため、敵の「ザンスカール帝国軍」のMSに蹂躙される場面しか登場しない。
機体解説
ヘビーガン HEAVY GUN | |
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型式番号 | RGM-109 |
全高 | 15.8m |
本体重量 | 9.5t |
全備重量 | 23.5t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
出力 | 2,870kW |
推力 | 21,250kg×2 9,940kg×4 (総推力)82,260kg |
武装 | バルカン砲×2 ビーム・サーベル×2 ビーム・ライフル 4連グレネードラック×2 |
搭乗者 | ビルギット・ピリヨ 他 |
その他 | アポジモーター×59 |
機動歩兵的な兵器に端を発したMSは恐竜的に進化し、その過程で単機ですべて解決できるような能力・汎用性を実現しようとしたため、性能に比例するかのように機体のサイズが大きくなっていった。
黎明期のMSの平均全高は17-18メートル程度であったが、その後世代を重ねるにつれて22-25メートル前後、さらには30メートルを超える機体も珍しくなくなっていた。しかし、大型化に伴って整備施設の規模も大掛かりなものとなり、シャアの反乱やマフティー動乱以降の非戦時下の平和な時代では、設備の維持に莫大な予算がかかる状態となってしまっていた。このまま進化を続けた場合、予算が逼迫するのは明白であり、その流れを是正するために連邦政府は外郭団体であるサナリィに解決策を要求した。その結果、サナリィで提案されたのは設備規模縮小のためにMSのサイズを見直し、原点に立ち返る意味も込めてMSが生まれた当初の平均全高をさらに下回るサイズに統一するという、「MS小型化計画」であった。
軍事費削減のためにMSの小型化要求を受けたアナハイム・エレクトロニクス社によって開発された本機は、従来の主力MSジェガンをほぼそのままに小型化した機体といってもよく、ジェネレーター出力などの基本性能はジェガンと大差ないが、軽量化により出力に余裕が生じたことで機動性や運動性は向上している。また、特筆すべき点として、RGM系量産機には珍しくガンダリウム合金が装甲材に採用されたことが挙げられる。しかし、後の機体で必要不可欠な装備となるビームシールドなどの新技術は、本機にはまだ搭載されていない。
本機は設計自体が従来の焼き直し的なものであったため、連邦軍が要求した性能には達していなかった。そのため、小型化計画の提言を行ったサナリィは連邦軍との蜜月の関係を続け、技術向上に努めなかったアナハイム社に見切りをつけることとなる。本件をきっかけに、コンサルティング会社としての趣が強かったサナリィは方針を転換して独自にMSを開発する道を模索し、後にF90シリーズやガンダムF91などの小型高性能MSを開発することとなる。
これらの経緯から、本機は主力MSとして採用されたものの、あくまでも更に高性能な小型MSが完成するまでのつなぎとして量産された。宇宙世紀0120年頃より後継機が登場すると徐々に退役していったが、宇宙世紀0133年頃までは制式機として運用されている。一部の機体は改修を受け、開発から約40年後においても現役で稼動している。
武装は頭部バルカン砲、ビーム・ライフル、ビーム・サーベル、ハンドグレネード。
- 劇中の活躍
- 映画『機動戦士ガンダムF91』(宇宙世紀0123年)では、数機が登場。フロンティアコロニー守備軍所属の正規軍人ビルギット・ピリヨが搭乗する24番機は、ジェガンやGキャノンと違い連邦軍機では劇中において唯一活躍し、F91やビギナ・ギナ、ダギ・イルスなどと共にスペース・アークの戦力として用いられるが、劇中終盤に登場する殺人兵器バグの集中攻撃により機体の手足を切断されて撃墜されるなど、最終的に機体はビルギットと共に凄惨な最期を迎えている。なお、『F91』の世界より数十年後が舞台のテレビアニメ『機動戦士Vガンダム』(宇宙世紀0153年頃)でも一部の機体が現役で稼動しており、サイド2の独立国家マケドニアコロニーの独自戦力として登場している。
- 漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム』では、連邦軍側の主力MSとして多数が登場している。
- テレビアニメ『∀ガンダム』では、同名の機体がウィル・ゲイム搭乗機として登場するとして準備稿などに記載されていたが、本編ではキャノン・イルフートに差し替えられている。
バリエーション
ヘビーガンパワードウェポン(ヘビーガン重装攻撃型)
ヘビーガンパワードウェポン HEAVY GUN POWERED WEAPON | |
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型式番号 | RGM-109 |
全高 | 15.8m |
重量 | 9.5t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
推進機関 | アポジモーター×59 |
出力 | 2,870kW |
推力 | 82,260kg |
武装 | ビーム・サーベル ビーム・ライフル バルカン砲×2 4連グレネード・ラック ダブル・ビーム・ガン 9連装ミサイルポッド 4連マシンキャノン 2連電磁レールガン バズーカ |
『F91-MSV』に登場。「重装攻撃型」とも呼ばれる。中長距離支援を想定し、ヘビーガンに運用できる限界までの量の武装を追加で施したタイプ。
ヘビーガン(マケドニア仕様)
ヘビーガン(マケドニア仕様) HEAVY GUN(MACEDONIA USE) | |
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型式番号 | RGM-109-M5 |
全高 | 15.6m |
本体重量 | 8.9t |
全備重量 | 22.3t |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
推進機関 | アポジモーター×20 |
出力 | 3,075kW |
推力 | 21,110kg×2 10,050×4 |
武装 | ビーム・サーベル ビーム・ライフル |
テレビアニメ『機動戦士Vガンダム』に登場。サイド2の独立国家の1つ「マケドニアコロニー」が自国の防衛用に配備していた。連邦軍の正規の仕様ではなく、マケドニア政府軍による独自改修型である。ジェネレーター出力及びスラスター推力が向上しているが、この年代においてもビームシールド等の近代化改修は一切行われていない。既に旧式化が進んでいた地球連邦軍のジェムズガンやジャベリンよりも更に旧世代の機体であり、ザンスカール帝国軍のMSとの交戦時にはまともな抵抗すらできずに一方的に撃破された(この交戦はカテジナ・ルースのザンスカール兵としての「デビュー戦」でもあった)。
同作中に登場する他MSと同様、作画の手間を考慮してディテールは『F91』でのデザイン画より簡略化されている。