プロヴィデンスガンダム

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プロヴィデンスガンダム (PROVIDENCE GUNDAM) は、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED』に登場する、モビルスーツ (MS) に分類される架空の有人式人型ロボット兵器のひとつ。スペースコロニー国家「プラント」の軍事組織「ザフト」が開発した試作機でもあり、兄弟機の「フリーダムガンダム」や「ジャスティスガンダム」と同じく核エンジン搭載の高性能機という設定。円盤状の大型バックパックが特徴で、宇宙世紀系作品に登場する「ファンネル」に似た、遠隔操作式ビーム砲「ドラグーン」を多数装備している。メディアや関連商品では「プロヴィデンスガンダム」と公称されるが、『機動戦士ガンダムSEED』作中の設定においては、同作の他のガンダムタイプ同様に「プロヴィデンス」と呼称される。

劇中終盤でザフト指揮官のラウ・ル・クルーゼが搭乗し、主人公のキラ・ヤマトが搭乗するフリーダムと最終決戦を繰り広げる。「プロヴィデンス」は英語で「摂理」、「神意」を意味する。

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、関連作品に登場する派生機についても解説する。

製作エピソード[編集]

『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの設定製作に参加した下村敬治によれば、本機のデザインは早期に完成していたものの、番組への登場が第48話と後半でプラモデルの発売が難しかったことから、隠し玉として雑誌社やバンダイへの提供は後になったという。また、『SEED』にはすでに3機の悪役ガンダムが登場していたため、それらを超えるインパクトが必要という理由もあり、ガンダムシリーズでは定番となっているファンネルの要素を取り入れたデザインになったという[1]

設定解説[編集]

諸元
プロヴィデンスガンダム
PROVIDENCE GUNDAM
型式番号 ZGMF-X13A
分類 ZAFTガンダム目[2]
ドラグーンシステム搭載型対MS戦用MS[3]
建造 プラント・マイウス(三局合同)
全高 18.16m
重量 90.68t
装甲材質 フェイズシフト装甲
動力源 ニュートロンジャマーキャンセラー搭載型核エンジン
武装 MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲×4[4]
MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル
MA-V05A 複合兵装防盾システム
ドラグーン・システム(ビーム砲×43)
特殊装備 ニュートロンジャマーキャンセラー
武装モジュール「ミーティアユニット」(劇中未登場)
搭乗者 ラウ・ル・クルーゼ

ZAFTで開発された最強の兵器[5]。ZGMF-X09A ジャスティスやZGMF-X10A フリーダムと同じZGMF-Xシリーズに位置付けられる機体[2]であり、それら2機より後にリジェネレイトとともにロールアウトされた[6][注 1]

ジャスティスやフリーダムと同様に、ニュートロンジャマーキャンセラーとそれによって動作保証された核エンジンPS装甲、マルチロックオンシステムなどを標準採用[8]。当初の設計では4本のビームサーベルを装備した近接格闘機であったとも言われており[4][注 2]、外観は格闘戦を想定したことにより、全体的に重装甲となっている[4]

しかしながら、豊富な核エネルギーの活用や、パイロットが空間認識能力の高いラウに決まったこともあって、急遽ドラグーン・システム搭載機に変更された[4]。ドラグーン・システムの搭載は機体の基本設計が完了した後に決まったため[9]、重量の増加に伴いスラスターの出力を強化し、機体背面及び腰部側面に、外部ユニットとしてドラグーン・プラットフォームを搭載された[4]。後付けゆえ、本体とドラグーン・プラットフォームを接続する2対のエネルギーケーブル及び1対の量子通信ケーブルが機体腹部側面から露出しているが、そのケーブル部もPS装甲で覆い、弱点となることを防いだ[9]。本体とドラグーン・システムの同調を優先した改良が加えられた結果、運動性は以前よりも低下したとされ、バックパックのスラスター増設によって機動性の確保を図っている[4][注 3]。それゆえに完成度ではZGMF-Xシリーズの他機に劣る[4]が、強力な兵装を搭載した本機の戦闘能力は、CE71年においてすべてのMSの頂点に立つといえる[9]。開発された核機動ガンダムの中では、プラントの最終防衛線において運用されることを想定されている[10]

機体構造[編集]

頭部
額にはイタリア語で11を指す「UNDICI」(ウンディッチ)の文字があるが、これはプラントでMSを実用化した技師がイタリア系であったことにちなむ[11][注 4]
ブレードアンテナ付近には搭乗者のラウ・ル・クルーゼの仮面を模した形状のフェイスカバーが存在する[8]
コクピット
ジャスティスやフリーダムでは胸部に搭載されていたコックピットが本機では腹部に搭載されており、これもドラグーン・システムの搭載による仕様変更だといわれている[8]
コクピット規格はジャスティスやフリーダムと同一[12]。マルチロックオンシステムも搭載する[4]
OS
OSには他のザフト核機動ガンダムと同様、「G.U.N.D.A.M.COMPLEX」を搭載する[13]

武装[編集]

MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲
頭部及び肩部に装備された対空迎撃用機関砲。装備箇所は資料によって頭部[9]、肩部とするものが見られる[11]。尚、『機動戦士ガンダムSEED』作中ではどちらからも発射している。
MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル
肩掛け式の大型ビームライフルドレッドノートのMA-M22Yを大型高出力化した改良型[14]で、系列機のジャスティスやフリーダムのMA-M20より2世代、ゲイツのMA-M21Gより1世代新型である。大型ゆえに取り回しにはやや難があるが、フリーダムのMA-M20ルプスビームライフルを上回る出力をもつ[4][注 5]
ユーディキウムはラテン語で「審判」の意。
2017年に発売されたマスターグレード (MG) のプラモデルでは、銃身先端からグリップにかけた機関部がルプスと共通であるという解釈がなされ、この部分は先行発売された「MG フリーダムガンダムVer.2.0」の金型を流用している(機体の内部フレームの一部も同様)。
MA-V05A 複合兵装防盾システム
対ビームコーティングシールドに大型ビームサーベルとその両脇に2門のビーム砲を内蔵した複合兵装。両脇のビーム砲からビームを発振してビームサーベルとして機能させているシーンも一部存在する[注 6]。左前腕にはめ込む形で装備する[注 7]。連合から強奪したGAT-X207 ブリッツのトリケロスを参考に、先行して開発されたゲイツの装備を発展させたもの[9]
攻防の転換を素早く行える強みを持つ[4]
ドラグーン・システム[11][注 8]
本機の主力兵装。これはニュートロンジャマーに阻害されない量子通信と[8]マルチロックオンシステムの併用によってコントロールされる[4]。MS本体から分離した複数のビーム砲端末を同時に無線誘導し、複数の攻撃目標に対して全周囲からのオールレンジ攻撃を行い、戦闘区域を単機で完全制圧することを可能としている[3]。端末は9門のビーム砲を備えた円錐形大型タイプが3基、2門のビーム砲を装備したスクエア形小型タイプが8基搭載されており、プロヴィデンスはこれだけで計43門ものビーム砲を装備していることになる。なお、このシステムは使用者(パイロット)の超人的な空間認識能力を必要とする[9]。そのため、本機はその対応適性が確認されているラウの専用機となっている[11]
無線制御するビームポッドの大型3基と小型8基の計11基を含めた総砲門数43門のうち、バックパックに装備される小型のドラグーン2基は後継機のレジェンド同様、前方に向けての発砲が可能となっている[4]
2024年発売のアクションフィギュア「METAL BUILD プロヴィデンスガンダム」では、アニメ本編のメカニック作画監督を担当した重田智によるデザイン監修を経て全体のフォルムにアレンジが加えられており、ユーディキウム・ビームライフルについてはFAZZの武装のようにするための展開ギミック、複合兵装防盾システムについてはグリップを追加して脱着可能にしたギミックがそれぞれ追加されているほか、プラットフォームについてもユーザーの望むシチュエーションを再現できるよう、拡大・縮小ギミックが追加されている[17][18]

劇中での活躍[編集]

初登場は第48話。ジェネシス防衛のために第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦へ投入される。世界の破滅を目論むラウ・ル・クルーゼの手足となり、地球連合軍や三隻同盟軍を翻弄する。第49話ではドラグーン・システムの機能をフルに使う有機的戦術によって多数のストライクダガーM1アストレイを撃破し、さらにムウ・ラ・フラガの駆るストライクを退け、ディアッカ・エルスマンバスターを中破させるという絶大な戦闘能力を発揮する。

第50話(最終話)ではキラ・ヤマトの乗るフリーダム(ミーティアユニット装備)を圧倒する中、フレイ・アルスターの乗る脱出艇を本機に撃墜されたことによりSEEDを覚醒させたキラと、互いの機体各部を破損させ合うほどの激戦を繰り広げる。最後はフリーダムにジェネシス発射口前でコックピットをビームサーベルで貫かれ、ラウが戦死した直後にジェネシスより発射されたガンマ線レーザーを受けた本機はフリーダムをも呑み込む核爆発を起こし、ジェネシスの照準用二次反射ミラーを破壊して爆散する。

高山瑞穂版漫画では撃破シーンが異なっており、負傷したムウがメビウス・ゼロガンバレルのワイヤーで自機ごと本機の動きを封じ、キラがフリーダムのバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲で両機を撃破する。

ゲーム『機動戦士ガンダム EXTREME VS.』では、キラ搭乗のエールストライクと交戦するムービーがある。

『SDガンダム GジェネレーションSEED』ではその形状からウッソ・エヴィンに「ダニもどき」と呼ばれている。

ニクスプロヴィデンスガンダム[編集]

諸元
ニクスプロヴィデンスガンダム
Nix Providence Gundam
型式番号 LN-ZGMF-X13A
全高 18.44m
重量 90.99t
装甲材質 フェイズシフト装甲
武装 MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御用機関砲×4[注 9]
MA-V05A 複合兵装防盾システム
大型ドラグーン×3
小型ドラグーン×8
ドラグーンストライカー
(MA-M221 ユーディキウム・ビームライフル)
搭乗者 プレア・レヴェリー

ライブラリアン」がプロヴィデンスを独自改修・再設計した機体。型式番号冒頭の「LN」は「ライブラリアン・ニクス」の略称で、「ニクス (Nix)」とは「吹雪」を意味しているが、これはプラットフォームの形状が雪の結晶に似ていることとドラグーン一斉操作する様がまるで吹雪のように吹き荒れるように動くために名付けられたものである。

PS装甲起動色は白・青・赤を基調としたトリコロール。ベース機同様のドラグーン・システム搭載機である。頭部には新たに量子通信アンテナが装備されており、ドラグーンの操作性を高めている[19]

ベース機からの改良点は「効率のよいドラグーン・システムの運用」の一点につき、それに伴いドラグーン・プラットフォームのレイアウトは大幅に変更されている。背部のドラグーン・プラットフォームは右肩に移され、大型タイプ1基・小型タイプ2基を搭載。左肩には新たなプラットフォームが増設されて小型タイプ4基を搭載。腰のプラットフォームには両脇に大型タイプ2基、背部に小型タイプ2基が搭載されている。大型のドラグーン・プラットフォームは可動式で、全てが本体の固定砲台としての使用も可能になっている。ドラグーンによる攻撃を基本方針にしているため、携行武器のユーディキウム・ビームライフルや複合兵装防盾システムも残されてはいるが、あくまで予備的な位置づけでしかない。ユーディキウム・ビームライフルは「ドラグーンストライカー」へ、複合兵装防盾システムは左肩の新プラットフォームにショルダーアーマーとして搭載されている。ピクウスもベース機と同様の位置に搭載されているが、頭部2門は新型量子通信アンテナへの影響を考慮して弾倉が空になっており、実際に使用できるのは襟部2門だけである[19]。ベース機からのケーブルの露出は、「本体で戦わない意思表示」に加え、「機体が持つ歴史的特徴」として残されている[19]が量子通信機能はなく本機では単なる飾りとなっている。各部関節の設計の見直しにより機動性はアップしているが、ドラグーン・システムの運用を優先したためにスラスター配置がアンバランスとなり、機動システムが生かされていない[19]。半面、右肩のプラットフォームと複合兵装防盾システムが両肩に移動しているため、防御力はベース機より強化されている。なお、通常は使用されないが複合兵装防盾システムの機能は残されているため、左腕に再装着することによって使用可能となる[19]

ライブラリアンの強化型Gは全機がストライカーシステムに対応しており[注 10]、本機も背部にストライカーパック用接続プラグを有しているため、バックパックは「ドラグーンストライカー」として着脱可能で、他の機体に装着、または別のストライカーを装着することができる。ドラグーンストライカーはそれ自体をドラグーンとして使用可能なため、ドラグーン装備数は全12基に強化されている[注 11]

時系列上では過去に当たる『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY B』にも登場し、アストレイノワールの模擬戦の相手を務めている[注 12]

レジェンドガンダム[編集]

当初はガンダムタイプではなく、ザク系の機体として企画されていた。その際のデザインをリライトしたものがMSVのプロヴィデンスザクとなる[20]

諸元
レジェンドガンダム
LEGEND GUNDAM
型式番号 ZGMF-X666S[注 13]
全高 18.66m
重量 86.02t
装甲材質 ヴァリアブルフェイズシフト装甲
動力源 ハイパーデュートリオンエンジン
武装 MMI-GAU26 17.5mmCIWS×2
MA-BAR78F 高エネルギービームライフル
MX2351 ソリドゥス・フルゴールビームシールド発生装置×2
MA-M80S デファイアント改ビームジャベリン×2
ドラグーン・システム
(GDU-X7 突撃ビーム機動砲×2)
(GDU-X5 突撃ビーム機動砲×8)
特殊装備 ニュートロンジャマーキャンセラー
搭乗者 レイ・ザ・バレル
設定解説
ZGMF-X42S デスティニーと同時開発されたザフトの最新鋭サードステージMS[21]。プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルを中心とする開発陣が、デスティニーと同様に、核動力と従来型デュートリオンハイブリッド機関であるハイパーデュートリオンを実装し完成させた[22]
本機は、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で実戦投入されたZGMF-X13A プロヴィデンスの直系の発展機にあたる[22]。プロヴィデンスは仕様変更によってドラグーン・システムを後付けした都合上、完成度に課題を残したが、レジェンドでは当初からドラグーンシステムの搭載を想定し、その能力を追求した[22]。前型機で超人的な空間認識力を必要とされたドラグーンシステムはZGMF-X24S カオスのEQFU-5X 機動兵装ポッド[23]プロヴィデンスザク[22]を経て量子インターフェイスにも改良が加えられており、従来型より比較的容易に運用可能な第2世代ドラグーン・システム[注 14]へと進化を遂げている[注 15]。ドラグーンは量子インターフェースの改善によりプロヴィデンスに比べてレスポンスが大きく向上した改良型[27][28]
全身に搭載されたドラグーン・システムによる全方位同時攻撃を本領とする。背面に巨大なドラグーン・プラットフォームを背負っており、ハイパーデュートリオンから得られる大推力によって加速・機動性も高く[22]重力下での飛行も可能となっている。ドラグーンの無線遠隔操作は重力下では不可能だが、ビームポッドは機体に接続したまま可動砲台として使用することも可能で、その場合の火力も在来機の比ではない[22]。セカンドステージのMSを凌駕する高い性能を誇り[23]、ストライクフリーダム、インフィニットジャスティスといった機体群と同等の性能を誇るハイエンド機である[29]
機体名はプロヴィデンスの搭乗者であるラウ・ル・クルーゼが戦争犯罪者となったことからレジェンドに改変されたとする説があるが、関係当局においては否定されている[30]

武装(レジェンド)[編集]

MMI-GAU26 17.5mmCIWS
側頭部に内蔵された近接防御火器。デスティニーと共通の武装。ゲイツの“ピクウス”など、従来モデルよりも小口径化されている。
頭部のアンテナは4本に増強され、情報収集能力も向上した[22]
MA-BAR78F 高エネルギービームライフル
プロヴィデンスの「ユーディキウム」を改良した専用ビームライフル。通常のビームライフルを上回る出力を保ちつつ、連射性能の向上や若干の小型化等を実現している。不使用時はバックパックに縦にマウントされる。
MX-2351 ソリドゥス・フルゴールビームシールド発生装置
両手の甲に篭手のように装備されている光学防御兵器。ビームを盾として展開し、大出力ビーム砲の直撃さえ防ぎきる。展開中でも内側からの攻撃は素通りし、攻撃と防御を同時に行うことができる。ビームの出力を調整することでシールドの形状を変形させ機体全体を保護することに加え、ビームガンやビームサーベルとして使用することもできる。従来の実体式シールドに比べ、ビーム攻撃に対する防御機能は遥かに向上し、同時に総重量の軽減にも一役買っている。
MA-M80S デファイアント改ビームジャベリン
近接格闘用のビームサーベル系装備。ブラストインパルスに装備されていた同名のビームジャベリンの発展型かは不明。非使用時には分離させて両脚の側面に収納されている。ラケルタ系ビームサーベルのように、柄尻を連結させた「アンビデクストラス・ハルバード」形状のビームサーベルとして運用するのが標準とされ、基本的に分離状態での運用はオプション的な意味合いが強い。ビーム刃の発振技術等を応用し、手を離してもビームの刃を保持できる。ジャベリンとは「投げ槍」の意である。
ドラグーン・システム
本機の主兵装。EQFU-5X機動兵装ポッドを経て量子インターフェイスにも改良が加えられた第2世代ドラグーンであり、以前の物より比較的容易に運用が可能となっている。ドラグーンプラットフォームは背部に装着されており、初めから搭載前提で設計されているため、プロヴィデンスの様なケーブルはない。また、プラットフォームは先代プロヴィデンスと異なり可変機構が設けられ、これによってカタパルト発進時の折り畳みや後述の砲撃姿勢を取ることが可能となっている[22]
プラモデル(HGや1/100)ではプラットフォームと本体との接続はインパルスのシルエットシステムプラグと共通規格となっており、各シルエットを取り付けることができる。劇中では換装などはしていないため、実際にシルエット規格を使用しているのかは不明。
GDU-X7 突撃ビーム機動砲
背部プラットフォーム最上端に2基装備される大型ドラグーン。1基につき5門のビーム砲を内蔵する他、砲自体から小型のビームスパイクを形成し、直接打撃を与えることも可能[31]。また、本体への連結時はそのままデバイス中央部のビームが発射可能である[30]ほか、プラットフォームごと前方に90度倒した砲撃姿勢を取ることも可能である[注 16]
GDU-X5 突撃ビーム機動砲
背部プラットフォーム側面及び腰部に合計8基装備される小型ドラグーン。2門のビーム砲を内蔵し、ドラグーン本来の分離式のビーム攻撃端末としての機能の他、機体との連結時は可動式砲台としても使用できる。この場合、前方に砲口を集中させ面制圧攻撃に用いることが多い。また、背面に撃つことで死角を補い、奇襲的に扱うことも可能。これは特に、ドラグーンを独立稼動させられない大気圏内戦闘において使用される。

劇中での活躍(レジェンド)[編集]

デスティニーと共にミネルバ配備された当初はアスラン・ザラが受領することになっていたが、彼がメイリン・ホークと共にグフイグナイテッドへ搭乗してザフトを脱走したため、レイ・ザ・バレルが本機へ搭乗してシン・アスカが駆るデスティニーと共にアスランたちを追撃する。その後、レイは正式に本機の専任パイロットとして搭乗することになる。

ザフトのヘブンズベース侵攻の際には単機で1機、インパルスと共に1機、デスティニーやインパルスと共同で1機、合計3機のデストロイを撃墜し、ザフトの勝利に大きく貢献した。なお、この際にソードインパルスから対艦刀「エクスカリバー」を借用している。また、『スペシャルエディション3』ではレイダー制式仕様を一瞬で葬っている。

オーブ侵攻の際にはデスティニーとの連携でキラ・ヤマトの駆るストライクフリーダムを追い詰めるが、アスランの駆るインフィニットジャスティスの参戦で撃破には至らず、どちらにもダメージを与えられないまま撤退した。

レクイエム攻略戦の際にはデスティニーと共に陽動を務め、ドラグーンによるオールレンジ攻撃を駆使して数機のウィンダムザムザザー、デストロイ、そしてロゴスの黒幕ロード・ジブリール搭乗の戦艦ガーティ・ルーを撃沈する。

レクイエム・メサイア攻防戦の際にはストライクフリーダムと激戦を展開するが、最終的には大半のドラグーンを連続して撃墜され、その直後に本体もハイマット・フルバーストの直撃を受けて戦闘不能に陥る。その後、メサイアに向かう姿までは画面で確認されているが、メサイア陥落後の行方は不明。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 資料によってこの機体とリジェネレイトの完成はアラスカ攻防戦と同時期としているため[7]、ロールアウトはCE71年5月5日頃ということになる。
  2. ^ ドラグーンシステムが本体設計後の後付けとする設定は2004年発売の『HG 1/144 プロヴィデンスガンダム』の説明書を初出としている。その後、2004年発売のゲームソフト『機動戦士ガンダムSEED 終わらない明日へ』収録のMSV編OPでは、冒頭において背部にビームサーベルを4本装備したプロヴィデンスの姿がみられた。
  3. ^ アニメーション作中において大気圏内での戦闘場面はないが、一部ゲームではフリーダムやジャスティス同様に大気圏内飛行能力を有している。
  4. ^ 「9」を現すジャスティスや「10」を現すフリーダムとは異なり、プロヴィデンスは型式番号とは一致しない数字となる
  5. ^ ジンに装備されたバルルス改特化重粒子砲と同威力とした資料も見られる[15]
  6. ^ HDリマスターFINAL-PHASEでこれによってミーティアからのミサイルを切り払っている。
  7. ^ 作中ではHDリマスターPHASE-47にてこの装備を取り外した姿が確認できるが、その直後のカットでは再び装着している。
  8. ^ 同装備を「ファンネル」と記述した資料も存在した[16]
  9. ^ 実際に使用できるのは襟部2門のみ。
  10. ^ アストレイ ミラージュフレームは対応していない。
  11. ^ 右肩のプラットフォームもドラグーンとしての使用が可能であるため、実質的には13基。
  12. ^ 先に発表された「EXTRA BATTLEアストレイノワール」ではプロヴィデンスであったとされている。
  13. ^ 額にはイタリア語で66を指す「SESSANTASEI」(セッサンタセーイ)の文字がある。
  14. ^ この呼称は森田繁による『DESTINY MSV』ジオラマストーリーによるもの[24]
  15. ^ 第二世代ドラグーン・システムにおいては機械的な動作補助による簡易化が可能となっているが、その際の動作性能は第一世代ドラグーンに劣る結果となった[25]。一方, ドラグーンは後世に入るほど、精度と性能が向上したという資料も存在する。[26]
  16. ^ 劇中では未使用だったが、ゲーム『Gジェネレーション ウォーズ』ではこの砲撃姿勢を見ることができる。

出典[編集]

  1. ^ 下村敬治(サンライズ)『機動戦士ガンダムSEED RGB ILUSTRATIONS』角川書店、2004年8月、61頁。ISBN 4-04-853763-6
  2. ^ a b 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月15日初版発行、2頁。(ISBN 978-4-7580-1126-6)
  3. ^ a b 『電撃データコレクション 機動戦士ガンダムSEED 下巻』メディアワークス、2004年11月15日初版発行、60-61頁。(ISBN 4-8402-2867-1)
  4. ^ a b c d e f g h i j k l 『機動戦士ガンダムSEED MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年7月1日初版発行、55-59頁。(ISBN 978-4-7580-1108-2)
  5. ^ ROBOT魂 〈SIDE MS〉 プロヴィデンスガンダム商品裏面、製品説明 2016年1月
  6. ^ 『電撃データコレクション 機動戦士ガンダムSEED外伝2』メディアワークス、2008年4月15日初版発行、77頁。(ISBN 978-4-8402-4202-8)
  7. ^ 『電撃データコレクション 機動戦士ガンダムSEED外伝』メディアワークス、2007年8月15日初版発行、80頁。(ISBN 978-4-8402-3907-3)
  8. ^ a b c d 『機動戦士ガンダムSEED メカニック&ワールド』双葉社、2012年11月28日初版発行、130-131頁。(ISBN 978-4-575-46469-6)
  9. ^ a b c d e f 『1/144 HG プロヴィデンスガンダム』バンダイ、2004年3月発売、取扱説明書。
  10. ^ 『グレートメカニック11』双葉社、2003年12月、8-15頁。ISBN 978-4575464191
  11. ^ a b c d 『機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル メカ編vol.4』講談社、2003年11月27日初版発行、8-9頁。(ISBN 4-06-334808-3)
  12. ^ 『機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル メカ編vol.4』講談社、2003年11月27日初版発行、11頁。(ISBN 4-06-334808-3)
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  14. ^ 『1/144HGドレッドノートガンダム』バンダイ、2004年10月発売、付属解説書。
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  28. ^ PERFECT ARCHIVE SERIES 5 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 2006 (ISBN 4-8124-2687-1) 33頁
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  30. ^ a b 『機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデル VOL.2 DESTINY MSV編』ホビージャパン、2006年3月31日初版発行、127頁。(ISBN 4-89425-415-8)
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関連項目[編集]