ブロマゼパム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。124.25.196.27 (会話) による 2015年9月21日 (月) 11:24個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (58.1.92.160 (会話) による ID:56201197 の版を取り消し)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

ブロマゼパム
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
胎児危険度分類
法的規制
  • Schedule IV (US)
投与経路 経口
薬物動態データ
生物学的利用能84%
代謝肝臓
半減期10-20 時間
排泄腎臓
識別
CAS番号
1812-30-2
ATCコード N05BA08 (WHO)
PubChem CID: 2441
DrugBank ?
KEGG D01245
化学的データ
化学式C14H10BrN3O
分子量316.2
テンプレートを表示

ブロマゼパム (Bromazepam) は、ベンゾジアゼピン系の緩和精神安定剤抗不安薬の一種。

概要

レキソタン2mg錠剤
セニラン5mg錠剤

日本国内では、中外製薬[1]レキソタン商品名で販売されており、ジェネリック医薬品としては、サンドセニランなどがある(後述のように、レキソタンには坐剤がないため、坐剤に限りセニランが先発薬)。

適用

種類

  • 錠剤:1mg・2mg・5mg(セニランのみ、3mg錠もある)
  • 細粒:1%
  • 坐剤:3mg(セニランのみ。坐剤については、セニランが先発薬扱い)

薬理

にある抑制性のGABAニューロンのシナプス後膜に存在するベンゾジアゼピン受容体アゴニストとして高い親和性で結合し、抑制性の内因性リガンドであるGABA親和性を増大させることにより、神経の興奮性を低下させると考えられている。

副作用

倦怠感頭痛・集中力低下・ふらつき・脱力感など。アルコール(飲酒)や他の向精神薬を同時に摂取すると、副作用が強く出る可能性がある。また大量に使い続けることで薬物依存症が起こる。2週間を超える使用は、離脱症状リバウンド症状の危険性がある。長期間使用した場合、耐性や依存性が生じる[2]

耐性・依存・離脱

他のベンゾジアゼピンと同様に、ブロマゼパムには乱用・誤用・身体依存精神依存のリスクがある[3][4]。 離脱についての調査では、身体的・精神的依存が認められ、4週間の継続使用後にリバウンド不安が見られた。ゆっくりと減薬を行った患者では離脱は起こらなかった[5]

全般性不安障害のためブロマゼパム治療を行われた患者は、不安の悪化などの離脱症状を経験し、急激な断薬時に身体依存が起こった[6]

禁忌

眼圧を上げる作用があるので急性狭隅角緑内障の患者、および症状を悪化させる可能性があるので重症筋無力症の患者に使うことは禁忌とされており使ってはならない。また、過去にこの薬に対して既往歴のある人にも使ってはならない。

注意

呼吸器系の疾患や病気を持つ人、心臓肝臓腎臓に障害を持つ人、脳に障害のある人、高齢者などに投与する時は、障害や疾患を悪化させたり、副作用が強く出る可能性がある。

用量・用法

  • うつ病・神経症の場合
    • 1日6 - 15mgを分割経口投与する。
  • 心身症の場合
    • 1日3 - 6mgを分割投与する。
  • 麻酔前投与薬として用いる場合
    • 手術に5mgを経口投与する。

脚注

  1. ^ かつてはロシュから発売されていた。
  2. ^ Lader M, Tylee A, Donoghue J (2009). “Withdrawing benzodiazepines in primary care”. CNS Drugs 23 (1): 19?34. doi:10.2165/0023210-200923010-00002. PMID 19062773. 
  3. ^ Rastogi RB; Lapierre YD, Singhal RL (1978). “Some neurochemical correlates of "rebound" phenomenon observed during withdrawal after long-term exposure to 1, 4-benzodiazepines”. Prog Neuropsychopharmacol 2 (1): 43?54. doi:10.1016/0364-7722(78)90021-8. PMID 31644. 
  4. ^ Laux G (May 1979). “[A case of Lexotanil dependence. Case report on tranquilizer abuse]”. Nervenarzt 50 (5): 326?7. PMID 37451. 
  5. ^ Fontaine, R; Chouinard, G; Annable, L (Jul 1984). “Rebound anxiety in anxious patients after abrupt withdrawal of benzodiazepine treatment.”. The American journal of psychiatry 141 (7): 848?52. ISSN 0002-953X. PMID 6145363. 
  6. ^ Chouinard G; Labonte A, Fontaine R, Annable L (1983). “New concepts in benzodiazepine therapy: rebound anxiety and new indications for the more potent benzodiazepines”. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 7 (4?6): 669?73. doi:10.1016/0278-5846(83)90043-X. PMID 6141609. 

関連項目