ブラウ・ブロ

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ブラウ・ブロ (BRAW BRO) は、テレビアニメ機動戦士ガンダム』に登場する、架空の兵器。

ジオン公国軍の開発したニュータイプ専用モビルアーマー (MA)。

機体解説

諸元
ブラウ・ブロ
BRAW BRO
型式番号 MAN-03
所属 ジオン公国軍
生産形態 試作機
全高 62.4m
本体重量 1735.3t
全備重量 2602.6t
装甲材質 超高張力鋼
出力 74,000kw
推力 1,760,000kg
センサー
有効半径
156,000m
武装 有線制御式連装メガ粒子砲塔×2
同単装砲塔×2
搭乗者 シャリア・ブル
シムス・アル・バハロフ
コワル
ジオン公国軍一般兵

フラナガン機関で開発されていたニュータイプ専用MAの第1号機である。開発者の1人シムス・アル・バハロフ中尉の発言によれば、0079年12月初旬でようやく実用化にこぎつけた段階であった。本機は機体本体から有線で制御されるメガ粒子砲塔(連装2基と単装2基)を射出して攻撃可能(オールレンジ攻撃)である。また、機体も3つのブロックからなり、それぞれ独立行動も可能[1]。この分離/合体機能は戦闘用ではなく、被弾時の緊急脱出用であった。さらに劇中未使用だが、右ブロックと左ブロックにジョイントしたエンジン部も切り離せるので、設定上は5つのブロックからなる。塗装は灰色と紫色。

サイコミュ搭載機であり、サイコミュを活用できるニュータイプであれば1名でも操縦・戦闘が可能である。非ニュータイプ数名の搭乗による運用も行える[1]。テレビ版第33話に登場したときのコクピットはモビルスーツ (MS) に比べてかなり広く3人以上の座席が確認でき、複数のクルーによって運用される戦闘艦艇や攻撃ヘリコプターのような通常兵器のコンセプトを延長した機体である。また、本機は『機動戦士ガンダム』に登場する全MS・MAの中で最大の重量を誇る、ヘビー級の機動兵器でもある。

本機は実質的には単なる小型艦艇であったが、機体周囲に機動バーニア(砲口にも見える孔)が配されており、ガンダムのビームライフルを回避する機動性能が確保されていた。また、MSの胴体とほぼ同じサイズの各メガ粒子砲塔は艦載砲並に強力で、第39話の戦闘ではガンダムのシールドを一撃で砕き、ガンキャノンの両足をもぎとっている。コントロールとエネルギー伝導ケーブルを兼ねるワイヤーの長さは小説版によると1km。ワイヤレス型攻撃端末よりも到達範囲は狭いが、砲のエネルギーは本体から直接供給され、かつ主機自体に余裕があるために速射性が高く、立て続けに発砲することが可能。その他にも、有線であることからビットと違って敵ニュータイプに思念波を察知されづらく[2]、端末が狙撃されにくい[3]との利点もある。

なお、全52話の予定で書かれていたいわゆるトミノメモによると、当初の呼称はゲルググ(ただしMAではなくMS)であった。

劇中での活躍

初登場はテレビ版『機動戦士ガンダム』第33話冒頭、ホワイトベースサイド6に入港する場面である。この時は機能テスト中に故障を起こし、シムス・アル・バハロフ中尉やコワルら技術員数名が機外で修理にあたっていた。Gアーマーと遭遇した際、シムスはやりすごそうとしたが部下が焦って発砲。交戦の末、ビーム・ライフルで撃たれて機体は爆発。シムス達は搭乗していた右ブロックを分離させて逃げる。

その後、第39話に再登場。このときはシャリア・ブル大尉とシムス中尉が搭乗。ギレン・ザビ総帥の命令でキシリア・ザビの軍に合流したのち、シャア・アズナブルの部隊に編入される。出港直後、シムスの隣に技術兵2名が同乗しているシーンがある。本機は地球連邦軍に占領されたソロモンへ、戦闘データ収集を兼ねて攻撃をかけた[4]。その際、迎撃に出たホワイトベース隊と交戦。機体本体のいる位置からは想像もつかないところから攻撃し、また攻撃を受ければニュータイプ専用機ならではの機敏さで回避し、迎撃に出たホワイトベースのMS隊を翻弄する。しかし、ニュータイプの片鱗を見せ始めていたアムロ・レイガンダムの操縦系統をオーバーヒートさせながらもブラウ・ブロにとりつき、機体側面をビーム・ライフルで撃った。本機は爆散し、シャリアとシムスは脱出する間もなく戦死した。

第42話ではア・バオア・クー宙域で1機が背景で登場する。劇場版には登場しない。

関連作品での活躍

富野喜幸が執筆した小説版『機動戦士ガンダムIII』においてもシャリア・ブルが搭乗している。役回りはテレビ版と大きく異なり、シャアの意を汲んで機体に搭載されたサイコミュを通じて最大の敵アムロ・レイへ同盟を呼びかけるという重要任務を帯びてア・バオア・クー宙域へ出撃する。ソーラ・レイの第1射により混乱を極める戦況の中、呼びかけには成功するが、説得に耳を貸さず逆上したアムロが無情に放ったビームライフルがコクピットを直撃、あえなく撃墜された。

オールドタイプ数名による分担操縦でオールレンジ攻撃を実現した例もあり、漫画『機動戦士ガンダム MSジェネレーション』に収載された「FILM.9:WARS…」では、ジオン兵の有志が分乗してソロモン攻略後の連邦軍に対し攻撃を仕掛けた。しかし、瞬時の連携を欠くオールドタイプたちの分担操縦では通常艦艇と大差ない性能しか発揮できず、あえなく捕捉撃墜されている。また、漫画『機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…』では、月面グラナダ宙域防衛用としてグラナダ特戦隊に配備されている。しかし、機体に慣れていなかったために、サラブレッド隊による連携攻撃によって撃墜されている。

メカデザインがアレンジされた例もあり、OVA『GUNDAM EVOLVE../15』では、テレビ版39話を再構成した内容になっており、ブラウ・ブロ自体も有機的なデザインにされている。また、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、2連装メガ粒子砲を十字型に配置した単座式の機体になっている。コクピットも各方向同じ向きになっており、中央にモノアイシステムの索敵カメラを持つ。シャリア・ブルはこれを駆ってテキサスコロニー内部に潜み、シン少尉らのガンキャノン部隊に壊滅的打撃を与えたが、アムロのガンダムには歯が立たず、外部装甲を次々と破壊されてついに撃墜された。なお「MAN-03」は本機でなくシャリア自身のコードネームとなっている。またわずかに量産されており、ア・バオア・クー防衛戦では、シムス中尉率いるニュータイプ部隊として数機が出撃する。が、シムス機はセイラ・マスの重装型ジムと相撃ちになって爆散し、他の機体もシャアのセリフによれば全機撃墜された模様である。

脚注

  1. ^ a b ブラウ・ブロ - 機動戦士ガンダム公式Web
  2. ^ 小説版3巻での描写。
  3. ^ ジオングの有線ビーム砲はアムロに撃ち落とされており、有線端末とはいえ狙撃されないわけではない。
  4. ^ シムスはシャリア・ブルのデータ収集のために同乗し、操縦・戦闘はシャリア・ブル1人で行った。

関連項目