ブタナ

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ブタナ
ブタナ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
: エゾコウゾリナ属 Hypochaeris
: ブタナ H. radicata
学名
Hypochaeris radicata L.
和名
ブタナ(豚菜)
英名
Catsear

ブタナ(豚菜、学名:Hypochaeris radicata)は、キク科エゾコウゾリナ属多年草ヨーロッパ原産で、日本では外来種帰化植物)として各地に分布する。

概要[編集]

原産地のフランスではsaladede pore(豚のサラダ)の名で呼ばれることがあり、ヨーロッパでは食用とされ、和名もその名に由来している[1]。現在ではアメリカ大陸オーストラリアニュージーランドなど、世界中に帰化している。日本には昭和初期に入ってきたとされ、全国的に分布している[1]

主に道路脇、空き地、牧草地など明るく乾燥した場所で生育している[1]

開花時期は6〜9月頃。外観はタンポポに似るが、ブタナは30〜60cm程度の花茎が途中で数本に枝分かれし、それぞれの頭に直径3cmほどの黄色い花をつけるのが特徴。また花茎に葉は付いていない。葉はロゼット状で裏にびっしりと毛が生えている[1]。花後はタンポポと同じく冠毛を付けたそう果となる[1]

耕起に弱いため畑や水田で問題となることは少ないが、刈り取りには強く果樹園芝生を生産する畑では強害草として扱われる[1]

類似種に同じくヨーロッパ原産で、より小型のヒメブタナがあるが、ブタナとヒメブタナの雑種も報告されている[1]

名称[編集]

タンポポモドキ (false dandelion)という別名もある[2]。日本で1933年に札幌市で初めて発見された際はタンポポモドキと命名されたのだが、翌年の1934年に兵庫県六甲山で見つかった同種の植物にはブタナと名付けられ、現在はブタナのほうの名称が主流となっている[2]。和名の「ブタナ」は、フランスでの俗名 Salade de porcブタサラダ)を翻訳したものが由来となっている[2]。英名の Catsear は、葉の形がネコ (Cat's ear) に似ているところから命名された。

利用[編集]

全部分が食用に可能で、ヨーロッパでは特に葉をボイルして食用にする[1]。成長しすぎた茎葉部は硬いが、若葉は苦みが少なく、サラダ、茹で野菜、揚げものなどで食される[1]

はタンポポと同様に、コーヒーの代替品として炒ってハーブティーとして飲まれる[1]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 100回記念号”. 農業・食品産業技術総合研究機構. 2023年10月14日閲覧。
  2. ^ a b c 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN 4-7980-1485-0  p.72
2つの花
2つの花

関連項目[編集]