フーロックテナガザル

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フーロックテナガザル[1][2]
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: サル目 Primate
亜目 : 真猿亜目 Haplorhini
下目 : 狭鼻下目 Catarrhini
上科 : ヒト上科 Hominoidea
: テナガザル科 Hylobatidae
: フーロックテナガザル属
Hoolock Mootnick & Groves, 2005

フーロックテナガザルは、テナガザル科の霊長類で、2つの種から構成される属である[3]

概要

テナガザルの中ではフクロテナガザルの次に大きく、体サイズ60~90cm、体重9kgにまでなる。オスメスは体サイズはほぼ同じだが、毛色によって識別できる。オスは全体が黒く、額に特徴的な白色の毛を持つ。一方メスの体毛は茶灰色で、胸と首の部分が暗い。目と口の周りの毛は輪状に白く、目出し帽をかぶっているように見える。

テナガザルの中では最も北西部に分布し、インド北部からミャンマーにかけて生息する。また、バングラデシュ東部と中国南西部にも、それぞれ数百個体からなる小集団の存在が確認されている。他のテナガザル同様、昼行性樹上性で、長い腕を使って木々を腕わたりして移動する。一夫一婦のペアで縄張りを防衛しながら暮らす。吠えることによって、家族が互いの位置を確認し、また他のテナガザルが縄張りに侵入するのを防ぐ。主な栄養源は果実、虫、葉である。

妊娠期間は7ヶ月で、産まれたばかりの子の体毛は白いが、およそ6ヶ月後には黒くなる。8~9歳で性成熟し、毛色も完全に成獣のものになる。野生下の平均寿命はおよそ25歳である。

分類

テナガザルの分類法は、近年変わってきている。従来の分類法はフクロテナガザルを属レベルで他と区別し、それ以外のテナガザルを全てHylobates 属としていたが、研究が進むにつれ、Hylobates 属1属の下にSympharangus 亜属(フクロテナガザルの系統)を含む3亜属を置く分類法が一般的になった。その後、フーロック種の系統を他と区別するためにBunopithecus 亜属を設け、1科1属4亜属となった。この4亜属がさらにその後、属に格上げされた。しかし、Bunopithecus 属の基準種Bunopithecus sericus (中国四川地方で発掘されたテナガザル系統の絶滅種)である。フーロック種がB. sericus と近縁でないことが最近の研究でわかったので、フーロック種のために新たにHoolock 属が設けられた。この過程で、フーロック種内の亜種だった2グループが、それぞれ種に格上げされた[1][2][3]

フーロック属には2種が存在する[2][3]

Status

脚注

  1. ^ a b Groves, Colin. Wilson, D. E., and Reeder, D. M.. ed. Mammal Species of the World (3rd edition ed.). Johns Hopkins University Press. pp. 178-179. ISBN 0-801-88221-4 
  2. ^ a b c Mootnick, A.; Groves, C. P. (2005). “A new generic name for the hoolock gibbon (Hylobatidae)”. International Journal of Primatology (26): 971-976. 
  3. ^ a b c 訳注:日本語版Wikipediaの項目・テナガザルは、テナガザル科の全ての種をHylobates1属とする分類法に従っており、この方法では、フーロックテナガザルは1つの種(Hylobates hoolock )である。英語版Wikipediaの対応する項目・Gibbonやテナガザル科各種の記事は、2000年に提案された1科4属の分類法を元に書かれている。また、本項目で扱っているフーロックテナガザルの、属名を変更し亜種を種に格上げする提案がなされたのはさらに最近のことである(参考文献の2.)。評価は定まっておらず、例えばGibbon Systematics and Species Identificationのウェブサイトでは属名変更は受け容れているものの、亜種の種への格上げは採用せず、1種Hoolock hoolockの下に従来通り2亜種を置いている。
  4. ^ Eudey et al (2000). Bunopithecus hoolock. 2006 IUCN Red List of Threatened Species. IUCN 2006. Retrieved on 27 Nov 2006.(IUCNのリストでは上記のH. hoolockH. leuconedysBunopithecus hoolock の亜種としている)

外部リンク