フユアオイ

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フユアオイ
フユアオイの花
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Magnoliophyta
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : アオイ群 Malvidae
: アオイ目 Malvales
: アオイ科 Malvaceae
: ゼニアオイ属 Malva
: フユアオイ M. verticillata
学名
Malva verticillata L.
和名
フユアオイ(冬葵)

フユアオイ(冬葵、Malva verticillata)は、アオイ科の一~二年草。中国原産。日本には食用、薬用とするために古く導入され、現在ではあまり利用されていないが、海岸等に野生化している。

名称[編集]

冬葵の名は、でも枯れない、あるいは冬でもが咲くためとされる。

アオイ(葵)という名は、少なくとも近世以降はタチアオイを意味するが、元はフユアオイを指し、「仰(あおぐ)日(ひ)」の意味で、葉に向日性があるためという[1]。ただし『万葉集』の時代にはすでにタチアオイの意味だったとの説もある[2]

特徴[編集]

は掌状で浅く切れ込む。花は径1cmほどで白または淡紅色、葉腋に固まってつき、通常はからまで咲く。

利用[編集]

生薬および野菜として利用される。種子は生薬「冬葵子(とうきし)」として用いられとして飲用もされる。また葉を茹でて食べることができ、中国等では現在でも野菜としてよく利用されている。

中国や日本では変種のオカノリ(陸海苔、M. verticillata var. crispa)の葉を食用にするため栽培される。オカノリはヨーロッパ原産で、江戸時代中期に日本に渡来し「冬葵」(フユアオイ)として記録が残されている[3]。「陸海苔」(オカノリ)の名前の由来は、葉を乾燥してあぶると海苔のように使えるということから名付けられた[3]。食材としてのの時期は晩春から初夏(4月 - 7月ごろ)で、軸は固いため葉を摘んで食べる[3]。葉は茹でてお浸し味噌汁天ぷら炒め物などの料理に使われ、茹でることで少しぬめりが出る[3]カルシウム鉄分ミネラルが豊富で栄養価が高い[3]

脚注[編集]

  1. ^ 牧野新日本植物図鑑(北隆館、1996年)
  2. ^ 牧野富太郎選集 2』東京美術、1970、「万葉集巻一の草木解釈 万葉歌のアオイは蜀葵である」
  3. ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 15.

参考文献[編集]

  • 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、15頁。ISBN 978-4-415-30997-2