ファーストパーソン・シューティングゲーム

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FPSの一例。『S.T.A.L.K.E.R.』のモバイル版(のgif動画)

ファーストパーソン・シューティングゲーム: First-person shooter、略称FPS)とはシューティングゲームの一種で、操作するキャラクターの本人視点(First-person)でゲーム中の世界・空間を任意で移動でき、武器もしくは素手などを用いて戦うコンピュータゲームを指す。基本的に画面に表示されるのはプレイヤーキャラクターの一部(腕など)と武器・道具のみである。

日本で用いられる「ファーストパーソン・シューティングゲーム」とは和製英語であり、英語圏では「First Person Shooterファーストパーソン・シューター)」と表現する。「一人称視点シューティングゲーム」と訳される。プレイヤーキャラクターの姿が見えるシューティングゲームは、サードパーソン・シューティングゲーム: Third-person shooter、略称TPS)と表現し、FPSと区別される。

FPSとは操作するキャラクターの視点(一人称視点、first-person point of view)でゲーム中の世界・空間を任意で移動し、魔法などを用いて戦うシューティングゲームを指す。作品によってはレベルが上がったりストーリーを進めるといったRPGのシステムが添加されているものもあるが、前述した条件を満たせばFPSと言える。ジャンルが確立されるまでの黎明期はFPSという言葉はなく、『DOOM』があまりに普及したため1990年代当時は英語圏ではFPSの事をDOOM Like(『DOOM』のような)ゲームと呼び、日本でもDOOM系、Quake系ゲームなどと呼んでいた。また、『DOOM』は「DOOM酔い」(現在でいう3D酔い)という病気も引き起こし、深刻な社会現象を引き起こしたことでも知られる。世界的に人気があるジャンルであり、オンラインでは常に対戦が行われている。FPSというジャンルの性質上、リアリティを追求する事も目的とするため、先端のCG技術の実験場にもなっている。

種類・分類

さまざまな分類法があるが、

リアル系とスポーツ系

たとえば旧来のFPSの多くは、そのゲーム性から「リアル系FPS」と「スポーツ系FPS」との2つに分けることが出来る。


「リアル系FPS」は実在の武器や戦場など現実を模した世界観設定がされ、キャラクターの身体能力なども現実に近いシビアな設定がされていて、索敵やチーム戦術、一撃必殺の緊張感を売りにした物などが当てはまる。作戦の立案から実行まで、着実に任務を進めていくというリアルな戦闘プロセスを楽しめるような設定がなされている。その性質上、リアル系はキャンペーンに力が入れられているものが多い。

「スポーツ系FPS」は立体的なマップを縦横無尽に立ち回り、ドッジング(緊急回避)、ウォールジャンプ(壁蹴り大ジャンプ)、ロケットジャンプ(爆風を用いた大ジャンプ)に代表される派手なアクションやスピード感を楽しむタイプのもの。 非常にテンポの早い戦闘が繰り広げられ、外見的な特徴として現代の科学水準では到底実現不可能な未来的武器が登場するSFファンタジーを題材にしているものが多い。基本的に対人対戦のマルチプレイこそがこの手のジャンルの真髄で、キャンペーン(一人用のストーリーモード)はオマケ、もしくは全くないという作品も目立つ。

いずれも、激しいスピード感を持ちながら一撃必殺の緊張感を持った物や、特殊な動作も無く移動速度も遅いが一撃のダメージは少ない物など様々である。

また、いつでも「リアル系」「スポーツ系」と単純に線引きができるわけではなく、現代的な世界観やゲーム設定であるのに内容的にはスポーツタイプであったりと、スポーツ系の要素とリアル系の要素を併せ持ったようなものもある。

現在ではこの旧来の系統では分類できないタイプのFPSが非常に増えてきており、スポーツ系、リアル系の括りで語られるものは少なくなってきている。たとえば『Elebits』のように全く独自のシステム・ゲーム性を持ったものなどである。なお、作品によっては車や戦闘機が登場し、軍用車両に実際に乗り込んで戦ったり戦闘機でドッグファイトを楽しめる物もある。どちらの系統を意識してゲームが設計されたかによって、同じ種別の乗り物であっても操作感はまったく異なる。

シングルプレイFPSとオンラインプレイFPS

独りで遊べるシングルプレイFPSと、ネットに接続して遊ぶオンラインプレイFPS、どちらでも可能なFPSに分類することもできる。

オンラインプレイFPSの中でも特に多人数が参加するものをMMOFPS(Massively Multiplay Online FPS)と分類することがあるが、遅延が発生するという致命的な欠点があり普及していない。#MMOFPS

歴史

前史 / 始祖

1973年にアメリカで発表された『Maze War』、1974年に同国で発表された『Spasim』が始祖」とも言われる(ただし『Spasim』は一種のフライトシューティングであって、狭義でのFPSではない)。日本の作品ではシューティングではないがシステムソフトの『SeeNa』などがある。

しかしながら、上記は1985年の『The Eldolon』のような一人称視点搭乗型シューティング、1987年の『Dungeon Master』のような一人称視点のリアルタイムRPG、1990年の『Wing Commander』などの一人称視点宇宙戦闘機ものへと枝分かれする以前のもので、さらに分離発展した形態であるFPSからすると「原点」であり、厳密にはFPSの元祖というよりバーチャルリアリティゲーム全ての元祖といえる。

1990年代
90年代前半のFPS技術で作られている「DOOM」の画面(『FreeDoom』より)。画像処理はテクスチャマッピング止まりで影などはあらかじめテクスチャに焼き込まれている。ポリゴンは垂直面と水平面だけ。視線(カメラ)の高さは固定で向きも水平方向のみ。射撃などの攻撃は方向(x軸)が合っていれば命中扱いになる。モンスター等は一見すると3次元オブジェクトに見えるが、実際はビルボードである。

1991年、id Softwareが自社の迷路ゲームであった『Hovertank3D』(1991年)の技術を発展させた『Catacomb3D』(1991年)は現在のFPSと変わらない仕組を確立しており、この作品が現在のFPSの原型ともいえる。

そしてid Software1992年に発表した『Wolfenstein 3D』によってFPSというジャンルが確立され、そして1993年に同社が発表した『DOOM』の世界的ヒットにより、FPSは一気にゲームジャンルとして定着、その後は「DOOMクローン」と呼ばれる粗雑な(もしくはより素晴らしい)類似品が多数出回るようになる。

『DOOM』(初代と『II』とその同世代のゲームたち)では、主にパソコンの性能の限界のために、マップは水平か垂直な面のみから構成される、事前の処理によるバイナリ空間分割を利用しているためマップの大きな変形に制限がある、敵などの物体はスプライトを用いたビルボード(看板の意)と呼ばれる擬似3D手法で描かれる、マップこそ高低差はあったが視点と視線は立ち位置の正面水平方向に固定、照準に上下方向の概念がなく、敵がどの高さにいようが敵の方向を向いて攻撃すれば弾が命中する、など、制限も多かった(『DOOM』はこういった制限を利用したり、気にならないよう、うまくデザインされていた)。こういった制限はパソコンの弛まない性能向上によりなくなっていった。

1993年、擬似3Dの中でもマウスにより上下左右自在に視点を変えられる3D Realms社の『Duke Nukem 3D』が登場。『Duke Nukem』は殺伐とした殺傷ゲームであったFPSにお笑いの要素を盛り込み、FPSの幅を広げた。『Duke Nukem』のクローンも『Blood』のようなホラーから『レッドネックランページ』のようなギャグFPSなど多岐にわたった。

また、1995年には『Wizardry』で有名なDavid W. BradleyがRPGとFPSの融合を目指し、ストーリー性を重視した『Cybermage』を発表するなど、様々なジャンルで活躍したゲーム開発者が多数FPS開発に参加することでその可能性を広げ、また、その技術をRPGなどに転用するなど、様々なゲームジャンルに革新をもたらすこととなった。

この時期、あまりのブームで粗製濫造され、いい加減な作品もある一方で後々まで語り継がれる名作までPC/AT互換機用に大量のFPSが製作され、MS-DOS時代からWindows95時代までは擬似3DFPSの黄金時代となっていた。

一方、MACではMacの利用者のマーケットがPC/AT互換機ユーザーと異なる点、またソフトウェア開発メーカー自体が少ないなどの問題から作品数は非常に少なく、完全にFPSのブームから蚊帳の外に置かれていた。しかし、Bungie Softwareが1993年に『Pathway Into the Darkness』、1994年には『Marathon』シリーズを発表。玉石混合のPC/AT互換機と違い、きわめて優良な品質のFPSが登場したため、MACユーザーの間でもFPSの認知度が広まった。しかしながら、あまりに市場が小さいMAC市場ではFPSはその後もほとんど出なかった。しかし、Bungie Softwareの『Marathon』シリーズはPC/AT互換機で多数登場したFPSと比べても非常に優れており、世界的に知られることとなった。

現代的な「完全3D」のFPSが初めて作られたのは、その後の1996年、id Softwareから発売された『Quake』によってだとされる。ただし『Quake』でも一部武器には上下方向のみ自動照準が作動するようになっており、これは当時マウスによる照準の操作が一般的でなく、上下方向の振り向きもキーボードで行っていた人への救済処置である。現在では振り向きはマウスのみで行うのが一般化されており、現代リリースされているFPSで上下に対してのみ自動照準が搭載されているゲームソフトはほとんど存在しない(上下左右で自動照準が作動するものはコンシューマー系に多く存在する)。

1997年、『Quake2』では更なるグラフィックの質が高まっただけでなく、敵がプレーヤーの攻撃をしゃがんでかわそうとするなど、敵キャラクターが攻撃重視の動きからある程度防御もするようになった。しかし、アイデアは画期的だったものの未開拓の技術で、しゃがんだらそのまま攻撃を受けてもしゃがみ続けて動かないなど実際の動作は単純であった。

しかし、1998年Epic Games社から発売された『Unreal』がその画期的な技術で世界に衝撃を与える。GlideによるUNREALエンジンはQuake2エンジンを遥かに越える驚異的なグラフィックの美麗さで、3ヶ月たてばグラフィックが陳腐化されるといわれるほど発展の速いこのジャンルでも、その後1年近くトップランナーであったほど頭一つ抜きん出ていた。さらに、敵キャラクターが銃を向けられたら壁を利用してかわしたり、カンフー映画のようなアクロバティックな動きでプレーヤーを幻惑しながら攻防一体の攻撃するなど、まるで人間が操作しているかのような知的な敵AIは当時としては革新的で、その後のFPSの発展に大きな影響を及ぼした。さらに、一人称視点での広大な惑星の冒険という徹底したリアリティを追及し、「ストーリー」ではなくプレーヤーに「体感」させるという、FPSの本来の目標ともいえるバーチャルリアリティを非常に高いレベルで達成し、世界中で絶賛され、世界中のゲーム賞を総舐めにした。

1998年末に発売されたValve Software社の『Half-Life』は、『UNREAL』とはまた違ったアプローチで成功する。グラフィックはQuake2エンジンをライセンス取得して独自で拡張したGoldsourceエンジンで、すでにQUAKE2エンジンの作品がありふれた中ではさほど目立つ質ではなかった。しかし、敵AIの素晴らしさ、ゲーム性の高さは『UNREAL』と共に当時の最高レベルであり、また、ストーリーにはSF作家でフィリップ・K・ディック賞受賞者のマーク・レイドロー(Marc Laidlaw)を起用し、しっかりとしたストーリー性と緊迫感のあるゲームバランスは当時のFPSの中でも格別に優れており、たちまち同様のゲーム群の中でも抜きん出て高い評価を受けた。映画のようなムービーを間に挟むシネマティックな演出は昔からあったものの、『Half-Life』のストーリー部とムービー部がシームレスで繋がる絶妙さは「体感」しながら映画のように「観て楽しむ」という新しい境地を開いた。また、「主人公=プレーヤー」でありながら、主人公ゴードンを魅力的でインパクトあるキャラクターとする試みも成功している。謎解きも多くのFPSにありがちな「お使い」ではなく、プレーヤーに苦痛を与えないよう見事に考え抜かれており、世界中で高評価を得、各国のゲーム賞を獲得。また、Goldsourceエンジンの汎用性の高さから数多くのMODが登場し、何百回でも楽しめるという『DOOM』時代の伝統もきちんと押さえ大人気となった。

このような理由から、『Quake』、『Unreal』、『Half-Life』の三本は現代のFPSの原型となった「FPS三大作品」として認知されており[1]、それぞれ続編などが作られるシリーズである。

他にもFPSの在り方を変えた存在としてシングルプレーをマルチプレーと同様の物とし、シングルプレーよりマルチプレーをメインとしながらヒット作となった『Unreal Tournament』、『QuakeIII』(共に1999年発売)や、元はHalf-lifeのMODで有りながらゲームシステムを完全に改変した『Counter-Strike』なども挙げられる。

2000年代

2002年には、XBOX用の『HALO』が発売。

2004年には、PS2XBox用にコール オブ デューティ ファイネストアワーが発売。

2004年に、PC版『DOOM3』,『Half-Life2』,『Far Cry』の3作品が登場。これらはプログラマブルシェーダや物理演算を駆使した新規開発のエンジンを搭載し、以前のゲームと比較して格段にリアルな映像を実現するなど画期的な作品だったが、同時にPCスペックに対する要求も格段に厳しくなった。

2005年、PS2用『KILLZONE』、『バトルフィールド2 モダンコンバット』が発売。

2017年、PS VR用『Farpoint』(ファーポイント)とPS VR用シューティングコントローラーが同時発売。入手しやすく安定したコンシューマ機でVR FPSを実現し、FPSの世界に一大革命を起こした。

年表

記事末尾に、「代表的作品のリスト」を発表年とともに、やや年表的に掲載した。

PC版

『OpenArena』のゲーム画面。

GPUに対する需要を牽引するという意味では、GPUに多大な貢献を行っているジャンルでもある。FPSでは3次元空間の探索を最大の特徴としており、そのリアリティ追求のためにPCのスペック(特にGPU)を極限まで酷使するどころか、最高の画質設定ではハイエンドPCの限界を遥かに超えたスペックを要求するソフトが非常に多い。その処理負荷はソフトのリリースと同じ時代のハイエンドPCのベンチマークソフトとしても用いられる程である。但し、カジュアルなFPSではスペックが要求されないこともある。

FPSの黎明期である1990年代、FPSを筆頭とする3次元前提のゲームにおける性能面での需要に応えるために、数多くのGPUのブランド(3dfx VoodooNVIDIA GeForceATI RageS3 Savage等)が登場して凌ぎを削り合った。その激しい競争と共に、GPUの性能は大幅に向上し、安価になり、GPUの市場も大幅な成長を見せた。1990年代2000年代でGPUのコモディティ化が進んだことで、2010年代以降はNVIDIA GeForceAMD Radeonの2ブランドのみが生き残っているが、VR,AR,4K,8K,より高度なシェーダーの実装など、FPSを始めとするゲームにおけるグラフィックの高度化は留まるところを知らず、性能に対する需要の伸びは依然として加速し続けている。

PC版の一般的な操作方法やアクション

作品によって異なるが、大半のFPSでは以下のようなアクションが導入されている。以下に記述するのはFPSとして成立するために最低限必要なアクションであるため、作品によってはさらに複数のアクションが搭載されているのも珍しくは無い。

照準の操作
プレイヤーはマウス、もしくはキーボードを用いて照準を操作する。しかし現在ではキーボードで照準を操作する事は前提になっておらず、殆どのソフトでは照準操作の初期設定はマウスのみである。通常、照準は常にキャラクターの視界中心に位置するようになっており、照準を動かすことはすなわち体の向きを変えることになる。なお、照準の操作でキャラクターの位置は移動されない。家庭用ゲーム機の場合、右アナログススティックで操作するのが一般的である。
移動
「W,A,S,D」はFPSで最も多用されるキャラクタ操作に用いられるキーである。
現在地を移動するにはキーボードを用いて操作するのが基本である。キーボードのカーソルキーか「W,A,S,D」もしくは「E,S,D,F」等(左手の人差し指、中指、薬指で操作しやすい位置)のキーが多用される。一般的に移動は体の向きに影響を与えず、左右への入力は正面を向いたままカニ歩き(サイドステップと言う)をする状態、前への入力は前進、後ろへの入力は正面を向いたままの後退である。家庭用ゲーム機の場合、こちらは左スティックに操作が割り当てられている事が多い。
ジャンプ
その場で跳ねる。ジャンプは照準の操作や移動と併用することで足場を上ったり、激しい上下運動で敵の狙撃から逃れることに使われる。当然ながら作品によって飛ぶ高さや挙動は異なる。ちなみにジャンプが導入されていないFPSも極稀にだが存在する。
エイミング
狙いを定める事。照準の操作および現在地の移動を組み合わせて行なう。現在エイミングという言葉はアイアンサイト(照準機)等を覗きこみ、武器の命中率を上げるシステムの名称として利用される傾向にある。誤用ではないが、ゲーム作品によって微妙に意味が異なる点に注意。
銃撃 / 打撃
持っている武器で攻撃する。主にマウスの左クリックや右クリックに割り当てられている。鈍器の場合は殴りつけ、銃器の場合は引き金を引く。作品によっては通常攻撃のほかに近接攻撃ボタンが用意されているものもあり、必ずしも接近戦用の武器を所有していなくても殴ったり蹴ったりできる物もある。また、一つの武器に二つ以上の攻撃方法(プライマリショットセカンダリショット)がある作品も複数見受けられる。打撃や銃撃がシステムとして存在しないゲームは極稀に存在する。家庭用ゲーム機の場合、右手の人差し指や中指で押すR(トリガー)ボタンに操作を割り当てているのが一般的である。
リロード
弾薬やエネルギーを用いて使用する武器の場合、弾薬のリロード(再装填)を行う物もある。殆どの場合、リロードには数秒の時間を待たされる上、リロードをしている間は攻撃できないのが一般的であり、無防備な状態である。特に対戦物のFPSでは互いのリロードタイミングが勝敗の鍵を握る重要な要素の一つである。
かがみ・伏せ
立っている状態から上体を低くする行動。敵の視線や攻撃(銃撃など)を避けるため、また狭い場所をくぐり抜けるために行う。座ることによってそれを行うことを「かがみ」、腹ばいになってそれを行うことを「伏せ」というのが一般的。ゲームによってこの行動そのものがなかったり、「かがみ」だけで「伏せ」がない、両方の行為がとれるものなど様々。射撃においてはこの上体を低くすることによって命中精度が上がる。かがみ、伏せの状態でも移動は可能だが立っている状態よりは移動速度が遅くなるのが一般的。
リーン
上半身を左右に傾けることのできるものもある。これは特に壁などから敵を覗き込む際、キャラクターの体を半分だけ出して狙うことができ、体の露出率を下げて被弾しにくくする事ができる。主に現実世界を題材にした作品に多く見られる操作システムである。
バレットタイム
ゲージなどを消費して画面をスローモーションにし、その間に敵を攻撃したり銃弾を避ける能力の総称。条件を満たすと自動で発動する物もある。ゲームにより名称は様々。昨今のFPSで徐々に普及しつつある機能である。元は映画用語。ほとんどの場合このような機能はシングルプレイのみで、マルチプレイでは使えない(『Killing Floor』のように、全員に効果をかけることでマルチプレイで実現しているゲームも存在する)

MOD機能と不正改造の温床化

PC版ではMODという機能が用意されているが、これが不正な改造の温床になっていて、ネットプレイではそういうことをやる輩と出会ってしまい、不快な思いをするプレーヤー、吐き気を催すような経験をするプレーヤー、あまりの馬鹿馬鹿しさにゲーム自体を全て止めてしまうプレーヤーもいる。不正の温床となり、プレーヤーに不快な体験をさせてしまうようなゲームを世に送り出してもいけないので、ゲーム制作会社の側としても発売するのはできるだけ後回しにする、開発・発売を控えられる場合はできるだけ控える、という結果にもなっている。

FPSに求められるPC性能

FPSだけに限らず、3DCGを用いたPCゲームはより美しい映像であるほど評価が高く、結果としてその映像表現を実現するため、実行するコンピュータで非常に高い性能が要求される。グラフィックの美麗さを求めるあまり、最近ではゲームの発売時に存在しうる、高性能のPCをもってしても、グラフィックの品質を「最高」の設定にして遊ぶのは困難な作品まであり、平均的な性能のPC(ビジネス用途のPCなど)では、グラフィックの品質を「最低」の設定にしてもフレームレートが低く、まともに動作しない作品もある。

最初の「当時の最高スペックのPCでまともに動作しないゲーム」は初代『Unreal』(1998年)と言われている。これは当時のEpicのスタッフ側が最先端の技術を盛り込むことを最重要視しており、開発マシン(スタッフの趣味により一般レベル以上のフルチューンPCであった)で動作すれば良いと考えていたためで、一般消費者の入手しうる高スペックのPCでも動作が重いゲームであった。

「ゲームの質を消費者の基準に合わせて落とす」のではなく、「ゲームの質に消費者がコストをかける」というメーカーの姿勢は当時も今も変わらない。ただし『Unreal』はSavage4TNT2といった当時のDirect3D対応ビデオカードでは非常に重かったものの、Glide対応の3Dfx社のVoodoo2Voodoo3であれば最高画質でも軽く快適に動作するなど、決して消費者を置き去りにしていたわけではなく、ゲーマーの常識的判断でビデオカードをチョイスしていればプレーは問題ないよう考慮されていた。前年発売の『QuakeII』も相当重いゲームであったが、こちらもOpenGL、Direct3D、GlideのAPIが選べるようになっており、ビデオカードの選択次第で重くも軽くもなるように選択の余地が与えられていた。しかし、高性能のCPUとビデオカードを所有していないユーザーは、結局出費を強いられることになる。こういった高性能を要求するFPSは雑誌などで頻繁にベンチマークソフトとして使われており、初期の頃から既にFPSは常に高いコンピューターシステムを必要としていた事が窺える。

また、これらはゲームの発売後により高性能なハードウェアが開発・発売されることを意識して開発され、一種のゲームの延命措置や話題作りの一つとして意図的に行われている側面もある。「現状の性能に不満は無いが、もっと映像クオリティを向上させたいのでコンピュータを新調しよう」という意識をあえて促す、正直なところユーザーには決して優しくない販売手法とも言える。

こういったハイスペックを要求するゲームにおいては、単に「動作する」ことと「快適にゲームができる」ことは同義ではない。特にオンライン対戦型のFPSにおいては、わずかな処理落ちでも照準がずれてしまい、そのコンマ数秒のラグがつく間に倒されたり、決定的な差がついてしまうてしまうからだ。

ベンチマークとしての利用

一方で手軽にこれだけ高負荷をかけられ、簡単に手に入るプログラムはなかなか存在しないため、システム構成が異なる、複数のPCで同じゲームのイベントシーンやマップを用いてフレームレート(実行速度=コンピューターの性能)を測定するベンチマークソフトの代わりに使われることが多い。

3DMarkなどのベンチ専用ソフトとは違い、ゲームのワンシーンを用いて数値を測定するため、実際にゲームプレイ時と同じ状況で出されるスコアはより現実的で参考とできる度合いは高いとされる。しかし、ソフトウェアによっては最適なパーツの組み合わせというものがあり、例えば本来シングルコアプロセッサより高性能のはずのデュアルコアプロセッサ搭載のコンピュータではあまり快適に動作しなかったり、ほぼ同じ性能であっても特定の会社がリリースしているグラフィックボードシリーズだと高スコアが出るように調整されているなどの事例も幾つか見受けられる。

中にはこのベンチマークのスコアを1ポイントでも上げることを楽しみとしている人もおり、そのためだけにコンピュータのパーツを複数用意し、微々たる組み合わせの変更、OSシステムの調整に始まり、究極はコンピューターのパーツを液体窒素で冷やしたり、オーバークロックを試みる事もある。これもまた一種のゲームのプレー方法と考えることもできるが、これはコンピューターゲームの中でも極めて異質な楽しみ方である。ベンチマークとして使われることを意識してか、最初からベンチマーク測定モードが搭載されたゲームソフトもいくつか存在する。

コンピュータ関連企業との結びつき

パソコンパーツの一種、グラフィックボード(GPU)の写真。時期にもよるが、描画性能を追求したものは10万円を超える品もある。

上記のような理由から、FPSで新作が出るたびに新型のパソコンパーツやパソコン本体の需要が高まる。そのため、インテルAMDNVIDIAなど、多くのコンピュータ関連企業がファーストパーソン・シューティングを広めるべく、ゲームの大会にスポンサーとして参加している。有名な大会ではCyberathlete Professional League(CPL)、World Cyber Games(WCG)などがあり、日本からも毎年代表選手が参戦している。

また、カリスマ性を持つプレイヤーやチームに対してスポンサー契約を結び、資金やパーツなどを提供する企業も増加しており、多くのプロゲーマーが誕生している。スポンサーにつく企業としては、ゲームソフトメーカーやPC用機器メーカーが多い。これは、前者のゲームメーカーにおいては自社のゲームが大会などで利用されることによる広告効果を狙ったためであり、後者のPCが用機器メーカーにおいては「世界第1位のプレイヤーが愛用するマウス」といった広告を行えることから(自社の製品を練習や大会において使用することを条件に)スポンサーにつくことが多い。特にJohnathan "Fatal1ty" Wendel氏は収入が1億円を超え、世界で一番有名なプロゲーマーともいわれている。

コンシューマー機版

現在、FPSをプレイしている人々のほとんどは、コンシューマ機のユーザーである。

ゲーム開発会社から見ても、近年ではFPSでも家庭用ゲーム機版の売上が圧倒的に多く、数百万売れるというタイトルも多い。 PC版は不正コピーの温床で、PC版を出すと利益を出すどころか、ややもすると大損を作りだす原因となりかねないので、ゲーム制作会社はコンシューマ機を優先するようになった。 [注 1]

家庭用ゲーム機版はPC版と比較してプロテクトが強固であり[注 2] 、ゲーム開発会社は安心して販売することができ、収益を確保でき、そのおかげで新しい版の開発でもコンシューマ機版に予算をしっかり充てることができる、というコンシューマ版の好循環が起きている。

公正なプレイヤー同士で遊べる楽しさ

コンシューマ機版のFPSは、ネット対戦等において、不正な改造を施したアンフェアなプレイヤーと出会って不快な思いをすることが全く無い。コンシューマ機では、公正なFPSゲーム、フェアプレイのFPSゲームを楽しむことができるのである。[注 3]

追加ダウンロードコンテンツの楽しみ

また、コンシューマ機では追加のダウンロードコンテンツ(DLC)を用意するゲーム開発会社は増えており、プレーヤーたちは一通りプレイしてコンプリートした後も、そうした追加コンテンツでさらに楽しむことができる。

歴史

家庭用ゲーム機におけるFPSの歴史は古く、ファミリーコンピュータメガドライブスーパーファミコン等(第3〜4世代)、現在と比較して非常に低機能の機械上でも極少数リリースされていたが、本格的に生産されるようになったのはPlayStationセガサターンNINTENDO64などの3DCGを利用可能なゲーム機が登場した1990年代中盤以降(第5世代)からである。

なお、操作を事実上照準と射撃に限定したガンシューティングは、FPSの登場以前から一定の人気を博していた[注 4][注 5]NINTENDO64用の『ゴールデンアイ 007』、その続編的な『パーフェクトダーク』もヒットした。

大規模に家庭用ゲーム機でFPSが作られるようになったのは第6世代機となる初代Xboxの『Halo: Combat Evolved以降である。この作品は海外ではXboxとロンチで、そして日本では当時売り上げ不調だったXboxのキラータイトルとして大々的に宣伝され、売り上げ本数が世界で500万本を突破するまでに至った。[注 6]

2000年代中盤に入ると、ゲーム機の世代が一つ繰り上がり、Xbox 360PS3等の家庭用ゲーム機が高性能化し、家庭用ゲーム機向けにFPSが移植・開発されるケースが増え始めた。[注 7] ゲーム開発者側からコンシューマー機を見ると、コンシュマー機は(基本的には)性能が完全同一であり、PC版のような「スペックやグラフィックボードなどの違いによる、予想外の不調」ということが起きないので、その意味でPC版よりもはるかに優れている。市販されている筺体を用意して、プレーヤーと同じ環境でテストすることができ、ユーザに提供できるゲームの質が正確に予想できる、というメリットがあり、安心して製品を世に送り出すことができるわけである。プレーヤーにとっても、気持ちよく動くFPSゲームを楽しむことができる。

プレーヤーたちに大人気の、PS4版のコール・オブ・デューティ

特にコンシューマー機の『コール・オブ・デューティシリーズ』および『バトルフィールドシリーズ』は特筆すべき作品である。

コール・オブ・デューティのほうは、4作目(『コール オブ デューティ4 モダン・ウォーフェア』)以降よりコンシュマー版の売り上げが目立って好調になり、後の続編である『モダン・ウォーフェア2』や『ブラックオプス』といった作品が今まで家庭用ゲーム機向けFPSの歴史の中でも類を見ない数百万本、一千万本以上といった大ヒットを挙げるようになり、同シリーズがコンシュマーFPS市場を牽引し、それまで類を見ないほどのFPSゲームが家庭用ゲーム機に流入するようになった。

近年では家庭用ゲーム機版の売上が、FPSゲーム市場のほとんどを占めており、近年ではFPSゲームのプレーヤーのほとんどはコンシューマ機のプレーヤーである。

コンシューマ機用の代表的なFPS

コンシューマ機で(も)展開しているFPSの中でも代表格を以下に挙げる。

など非常に多数なので、詳細はシリーズの記事にて説明。
など多数なのでシリーズの記事にて説明。
  • HALOシリーズ (SF系)
  • DOOMシリーズ(ホラー系FPS)
  • Metroシリーズ
    • メトロ・リダックス Metro: Redux
    • メトロ・エグゾダス Metro: Exodus
PS VR用

コンシューマ機の操作方法

コンシューマ機では、照準操作はアナログスティックジョイスティックなどを使って行う。

コンシューマ機のコントローラには振動システムによるフィードバックが備わっており、非常にリアルな体験ができ、人気である。

コンシューマ機版では、「エイムアシスト」や「オートエイム」といった機能を取り入れて、適切なゲームバランスを実現している。エイムアシストは、攻撃できる対象が照準の付近を通過すればプレーヤーがそれを狙おうとしているのだ、とプログラムが判断してくれる機能である。オートエイムは特定のキーを入力するたびに付近の敵に照準を自動で付けるシステムを指す。これらの機能は、現在では大半のゲームで、「設定」画面で ON / OFFにする事ができる。(かつて ON / OFFができない製品が多い時代があったのだが、それでは不便だった。) [注 8]

特にPS VRのFPSでは、使いやすいシューティングコントローラーもあり、まるで本当にライフルやマシンガンを使っているかのような感覚で使えるので優れている。

なお、コンシューマ機がアナログスティックを備えていなかった時代では問題が多かった[注 9]

FPSのネットワークプレイ

FPSにはネットワークを介した対戦モードが搭載されていることが多い。一回のゲームプレイ時間が他のゲームジャンルと比べて20分〜1時間程度(ゲームのルールによって異なる)と比較的短い[2]上に、ネットワークRPGと違ってレベルを上げたりアイテムを集めるといった作業をしなくても楽しめる(一部FPSでは「アンロックアイテム」という形で経験値入手のアイテムもある)。

一般のゲームではネットに接続しないで1人、もしくは同一ハードを利用した多人数プレイを「オフラインプレイ」、ネット接続での多人数プレイを「オンラインプレイ」というのが一般的である。一方、PCを発祥とするFPSでは、1台のPCで2人以上のプレイができない(一部ゲームではスプリットスクリーンでのプレイも可能だが、ほとんど存在しない)ことや、LANによるオフラインかオンラインかよく分からない状況が存在すること、また本格的にGUIからの多人数プレイをサポートした『Quake』での表記法より、伝統的に1人でストーリーモードをプレイすることを「シングルプレイ」、ネット接続やLANでの多人数でプレイする事を「マルチプレイ」と呼称する。ただし1人でマルチプレイの練習をすることはシングルプレイと呼ばずに「マップを走る」や「BOTを撃つ」などと呼ばれる。

ゲームによってはシングルとマルチで全く別のチューニングを施されているため(例:シングルプレイではリロードが存在、マルチプレイでは存在しない『Quake4』など)、シングルとマルチは単純に同じゲームではない物も多い。

いわゆるボードゲームカードゲームとは違い、運による要素がせいぜい「最初に登場する位置」「復活時に登場する(リスポーン)位置」「アイテムの出現タイミング」程度しかなく(タイトルによって若干異なるが)、プレイヤーの腕前が顕著に出るジャンルである。2007年現在、世界で最も遊ばれているネットワークゲームのジャンルの一つといわれている。

対戦ゲームでも基本の操作は変わらない。

最近ではネットワーク対戦モードが搭載されたFPSのほうが多く、シングルプレイヤーに特化したFPSは縮小傾向にある。

FPSの対戦は腕前が顕著に出すぎてしまうという点で、新規プレイヤーが古参プレイヤーに対抗できず、負けがかさんですぐにやめてしまう人も多い。これは、初心者に対する救済措置が少ない作品がほとんどであることも影響しており、強くなるには少しずつでも習熟するしか方法はない。逆にある程度複数のFPSを経験した者は、別の作品の対戦に入り込んでも割と良い戦績を残せる事も珍しくない。

人気のゲームであれば日本国内に置かれているサーバーが多数存在し、サーバー間の距離による応答遅延はさほど感じないプレーが出来るが、国内で正式に発売されていなかったり、マイナーなゲーム、さらにはネットコードがLANに最適化されすぎ、応答遅延やパケットロスに弱いゲームであると、オンライン上ではまともにプレイできないゲームも存在する。また、言葉の壁にぶつかるケースもある。

PCゲームでは細やかな映像オプションが搭載されているため、よほど低性能のPCで高世代のゲームをプレイしようとしない限りはマシンスペックの差異はそこまで極端に発生しないようになっている。そのため、余計に腕前や契約している回線とプロバイダに勝敗が左右されてしまう傾向が強い。クライアントマシンとサーバ間のネットワークのラウンドトリップタイム(以下RTT。使用するユーティリティpingから、若年層のFPSゲーマを中心に、RTTの値を指して俗にping値と呼ばれる)が、決定的な差となる場合が多い。

たとえば日本国内のサーバ・日本国内のプレイヤ同士の場合で、最短と最長の差が50ミリ秒程度になることがある。RTTの短い(俗にpingが低い)環境のプレイヤはRTTの長い(pingが高い)環境のプレイヤの50ミリ秒分の未来を見ていることになり、突き詰めた勝負ではそのコンマ数秒で勝ち負けが決まってしまうこともある。そのため、拮抗した実力を持つプレイヤー同士のプレーになるとネットワーク環境が優れている、もしくは有利な地域から接続しているプレイヤーのほうが有利に働いてしまう傾向にある点は否めない。

この接続環境によるタイムラグを比較的意識させないゲームプログラムの組み方を行っている作品も多く見られ、例えば旧来のゲームでは「実際に敵が見えている位置よりも未来を予測した位置に銃弾を発砲する」必要がある作品も珍しくなかったが、最近では「自分が見ている敵に実際に弾丸が当たっていれば相手の実際の位置に関係なくダメージが通る」というシステムを取り入れている作品も珍しくない。しかし後者のシステムを取り入れたとしても通信ラグは完全に緩和されるわけではなく、例えば自身は完全に壁の裏などに逃げ込んだつもりでも、敵からはまだ壁に向かって走っているように姿が映るため、その状態を撃たれてしまったり、ほぼ同時に撃ち合ったのに自分だけが一方的にダメージを受けて負けてしまうという矛盾した問題が発生する事もある。


不正なゲームプレイやサーバー

ゲームシステムを無理やり改変して、ダメージを受けない無敵チート・壁を突き抜ける弾丸(壁貫通チート)・透視能力(ウォールハック)・通常では不可能な高さの跳躍能力や移動速度を不正に可能にするチート(高速化チート)・敵に自動で照準を合わせたり・発射された弾丸が敵を追尾するチート(オートエイム、ホーミングチート、AIM BOT)・ゲームパッドでしか得られないエイムアシストをマウス操作で有効化するコンバーター・その他不正にプログラムを改変し不正行為を行うユーザーなど、ゲームバランスに大きな悪影響を及ぼすものが多く、問題視されている。

そのためほとんどのゲームがPunkBusterGameGuardに代表されるアンチチートソフトを導入しているが、代替アカウントや無関係のプレイヤーから乗っ取ったアカウント使用していることも多く、いたちごっこのような状態となっている。

近年でも、SNS間でのチートプログラム販売や導入代行などが後を絶たず、根本的な解決には至っていない。

一方、ゲームサーバーによってはそのようなありえないゲームバランスを最初から導入し、その混沌とした様をサーバーに接続した全員、もしくは限られた数人で楽しむプレイスタイルも存在する。

ちなみにゲームサーバーによって加えられたそのような改造は、基本的にはゲームクライアントに不正な改変が加えられるわけではなく、接続したそのサーバーだけに発生する仕組みのものがほとんどである。悪意をもって開設された物でない限りは、ログアウトして他の普通のサーバーに接続すれば、再インストールなどは不要で通常の状態に元に戻るのが大半である。

MMOFPS

FPSのオンラインゲームの中で、特に、多人数が同時に仮想空間を共有するものをMMOFPSと言う。通常のFPSのネットワーク対戦よりもさらに多数のプレイヤー(時に数百人〜数千人規模)が恒常的に展開される仮想空間にいつでも参加してプレイできるタイプのゲームである。これはMMO(Massively Multiplayer Online)と呼ばれる「多人数同時参加型オンライン」の要素を取り入れたFPSであり、オンラインゲームの一ジャンルであるMMORPGのFPS版とも呼べる内容。

ただしMMOFPSは遅延が発生しがちで致命的な問題点となっていて、普及していない。MMO方式は、通常のFPSの少人数によるネットワーク対戦よりもさらに多数のプレイヤー(時に数百人〜数千人規模)が恒常的に接続しサーバはそれだけのプレーヤのデータを同時処理しなければならないので、処理遅延が頻発する。MMORPG系と違い、FPSでは反射神経的なプレイを行うので、ほんの0.5~2秒程度の遅延でもゲームとしては致命的で成立しなくなってしまう、プレーヤは不快な思いをするので、普及していないのである。

FPSの競技化、スポーツ化

エレクトロニック・スポーツ(e-Sports)でFPS競技が最初に行われたのは1993年12月10日のことで、『DOOM』が「マルチプレーヤー・デスマッチ・ゲーム」方式で行われた。1997年には、Cyberathlete Professional League(CPL)で、FPSとして初めて『Quake』(TCP/IPに対応したマルチプレイのゲームの元祖)の競技が行われた。その後、『Quakeシリーズ』や『カウンターストライクシリーズ』、『コール オブ デューティシリーズ』などの多くのFPSがe-Sportsの競技種目となった。

国内ではレッドブルがe-Sportsの大会としてRed Bull 5Gを開催している。FPSの競技タイトルとして『バトルフィールド3』が使用された。また、CyACが『カウンターストライク』や『コール オブ デューティシリーズ』、『Warsow』などのオンライン大会やオフライン大会を定期的に開催している。


ゲームエンジンの開発と利用

初期DOOMエンジンを使って製作されたフリーソフト『Free Doom』のゲーム画像。

FPSゲームは、基本的に基幹部となる「ゲームエンジン(以下「エンジン」)」を最初に構築してから製作される。前述したようにFPSやTPSはリアルな表現や派手なエフェクトの表現を数倍必要としたジャンルであり、ゲームエンジンのデモ作品としては切っても切れない縁となっている。

製作の際、リリースするOSの開発元や、グラフィックボードの開発会社、ゲーム機の販売元等と技術提携して開発を進める場合が多い。最初の例は3dfx社からの技術提携を受けた『Quake』とされており、『Farcry』は元々nVidia社のプレゼンテーションとして製作されていたが、完成度が高いためにそのままゲーム化されたり、『Half-Life2』はそれ自体がATI社の技術デモと言われるなど、特にグラフィックボードメーカーとは密接な関係がある。

ゲームエンジンは「DOOMエンジン」「Quakeエンジン(公式ではあるが愛称。正式名称は「id TECH」エンジン)」「Unrealエンジン」など、最初にそのエンジンを利用して作られたゲームから名前をとられることが多く、新作が公開されてエンジンそのものがバージョンアップすると「Quake3エンジン」、「Unreal Engine3」などナンバリングが変更される場合がある。また、例外もあり『Half-Life』に用いられたエンジンはGoldsource(これは初代Quakeエンジンを大幅に改造した物であり、日本では主にHalf-Life Engineと呼ばれる)、その後継品であるSource Engineや、Lithtech Engineなど、最初期リリースのゲームソフトとはまったく無関係の名称を与えられているケースもある。『コール オブ デューティシリーズ』のように『Return to Castle:Wolfenstein』のエンジンを元にしているが、別にエンジンに名前を付けていないメーカーも存在する(『RtCW』がQ3エンジン改のため、『CoD4』のエンジンもSourceエンジン同様Quake系エンジンではある)。

最近ではそれらゲームエンジンシステムを用いて作られた作品は「○○エンジン使用」と宣伝するのが通常であり、どのゲームエンジンを用いてそのソフトが製作されたのかという事は、そのゲームのデザインやシステムと同等の注目度となっている。しかし、たとえどのようなゲームエンジンを使っていようが、結局はその作品が真に楽しめるものでなければ売り上げに直結する要素とはなりえない。実際「有名エンジン使用!」と宣伝したが本数が出なかったソフトは多数存在する。

基本概念

ゲームエンジンは「映像処理」「音声処理」「データ管理」「入力・出力方法」「物理処理」「ネットワーク処理」「AI」といったゲーム製作に必要な骨組みが整備された一種のミドルウェアである。ゲームエンジンはそのエンジンの規則にしたがって作られたプログラム(スクリプト)や3Dモデル、グラフィック、音声といったデータを読み込み、ゲームとして動作させる。当然ながらエンジンの種類によって映像処理法やデータの管理方法、その他の機能には違いがある。同じグラフィックデータや音声データを用いてゲームを製作しても、エンジンによって見た目は大きく変わる。また、人間の表情を高度に表現できるエンジン、大量のオブジェクトの表示に特化したエンジンなど、それぞれに特色がある。

物理演算エンジン(画像はODE)を用いて作られたデモ映像。FPS用に作られたエンジンではない。
同種のエンジン(エンジン自体は上記のと異なる)を用いて作られた爆風のデモ映像。

こうしたエンジンを利用すれば、ゲーム基幹部の開発にかける開発費や時間・労力を節約できる。このため、エンジン開発を行ったゲームの続編や拡張パックの製作に利用されたり、他社がエンジン利用のライセンスを購入して元のゲームとはまったく関係のないゲームを開発・販売する事がある。続編や拡張パックの開発であれば、ライセンス料すら必要なく(自社の財産であるため)開発費・開発期間を削減できるというメリットがある。エンジンのライセンスを購入するゲームソフト会社にしてみても、ライセンスの取得に初期投資は若干かかるものの、プログラムを一から作るよりは数段低い開発リスクでゲーム製作ができるというメリットがある。ただ、近年ではこのエンジン自体の開発が遅れたり、エンジン自体に問題がある、契約内容に問題があるなどで、訴訟問題に発展することもある。

最近では、エンジンの販売を重要な目的と位置づけ、ゲーム自体の販売による利益はもちろんだが、エンジンの性能をアピールするための広告塔としてゲームを開発し発売する、といった方法を取る企業が増えている。パソコンや家庭用ゲーム機間の移植性の高さ(クロスプラットフォームと言う)をアピールするエンジンも多く、実際、パソコン版として発売されたタイトルが家庭用ゲーム機に移植されたり(その逆のパターンもある)、多機種で同時発売されることも多い。

FPS用ゲームエンジンの応用

こうしたエンジンは本来FPS用に製作されたものだが、TPSをはじめ、パズルゲームやフライトシミュレーター、ロールプレイング、リアルタイムストラテジー、レースゲームなど、知識と応用しだいでジャンルに関係なく様々なゲームを製作することができる。エンジン利用のメリットがあるかは別として、2Dゲームを作ることも可能であるし、極論を言えば(そのエンジンが高機能ならば)ゲームとはまったく無関係のワープロソフト等を作ることも可能である。

場合によってはエンジンの内容を一部書き換えてバージョンアップしたり、オリジナルのコードを書き加えて改造する事もある。こうしたエンジンのソースコードは、機能ごとに高度に分離されていることが多く、グラフィック部分のみを強化したり、ネットワークコードのみを製作中のゲームに最適化したり、ということが容易にできるようになっている。

また、あまり3DCGに関する知識を有していなくても、比較的簡単に3DCGを使ったコンテンツを製作することが出来る点から、これらエンジンはコンピューターソフトウェアに限らない用途にも利用されている。具体例としては、ゲームの素材を利用してCG映画を作るマシニマ(Machinima)などが挙げられる。海外では大学の卒業研究の題材としてFPSのエンジンを用いた映像製作やゲーム製作に取り組んだ例もある。

マシニマにおける特に有名な作品例として、海外の『レッドvsブルー』(Red vs.Blue)というものがある。この作品はマシニマのエンジン(母体)である『ヘイロー・シリーズ』の開発元であるバンジースタジオ公認の存在で、海外ではかなりの知名度を誇る。また、『Halo 2』の特典DVDにおいて彼らの活動記録が収録されており、ゲームを用いたムービー、つまりマシニマの存在がより有名になった理由のひとつと言えるかもしれない。

マシニマに似た物としてフラグムービーと呼ばれる物がある。これは一般スポーツのスーパープレー特集に似た物であり、高難易度のフラグシーンをまとめ、音楽と併せてムービー化する物である。

Modの作成

ゲームエンジンの一部もしくはそのすべての仕様や、開発用のツールキット(SDK)が一般に公開されている場合は、それを利用してModを製作する事ができる。それらを用いれば、開発元の会社とは一切無関係な一般的なゲームユーザーがマップやキャラクター(スキン)を追加したり、ゲームの内容そのものをまるきり変更してしまうこともできる。

現在フリー化している『Quake III:Arena』のゲームエンジンを用いて製作された『OpenArena』のスクリーンショット。

特に『Half-Life』(Goldsource)では改造Modが他のタイトルよりも多く出回り、その中でも『Counter-Strike』と呼ばれるModはゲームシステムを根本から改変した物として有名で、各界も含めてModの代名詞的な作品として認知されている。

これらModはユーザーにとってゲーム自体をいじって楽しめるし、開発側にとっては発売後もユーザーの手によって拡張され続けることでゲームの陳腐化の速度が遅くなるというメリットがある。ただし開発側は相応に変更しやすいようシステムを構築しておかねばならず、その手間だけはデメリットの一つと言える。

大会をスムーズに進行させる為に作られたMOD(通称CompMOD)には、半分オフィシャルとなっている物も多くある。例えばid Software主催で行われるQuakeCon 2007内で行われたオフィシャルイベント「Quake Quad Damage Tournament」では『QuakeII』で『OSP』、『QuakeIII:Arena』で『CPMA』、『Quake4』で『Q4MAX』が使われた。

このシステムは、ゲーム製作に興味がある(才能のある)一般ユーザーをゲーム業界に引き入れる、一種の人材育成機能ともなっている。例えば、EPIC GAMES社の社員の3割はMODコミュニティ出身であるという[3]。現在Valve名義で発売されている『Team Fortress Classic』のスタッフは、元々初代『Quake』のMODとして『Team Fortress』を製作した人たちであったが、そのゲーム性にValve社長であるゲイブ・ニューウェルが惚れ込み、Valveにスカウトされたと言う実績もある。同じような事例は卒業研究としてSourceエンジンを使って作られたゲームをリファインし、『Portal』として発売した例もある。また、『Red Orchestra: Ostfront 41-45』を発売しているTripwire Interactive社に至っては、EPIC GAMES主催のUnreal Tournament 2004 MODコンテストで優勝し、賞金とエンジン使用権を得たことをきっかけとして会社が設立されている。

また、製作用のツールが公開されていない場合でも個人の有志が勝手に編集ツールを開発して強制的にModを製作するというケースもある。ただし製品の利用規約によってはゲームシステムの改造(リバースエンジニアリング)を禁止しているケースもある。ただしこれは利用規約上の制約であって、基本的に違法性は無い。

また、そうした「認められていないMod製作」を規約上は禁止していても、摘発や警告には無駄な労力が伴うし、上記のように法的拘束力はあまり望めず、また「器の小さな企業」などというイメージ定着等の要素から、ほとんどは黙認状態になっている。

FPSのパズルシーン

FPSでは単に敵が出てきて銃撃を繰り返すだけではなく、特定の場所を狙撃してスイッチを作動させたり、箱などを引きずってきてそれを足場に普通届かないところにジャンプするといった、アクションパズルのシーンが含まれているものもある。

これは隠しアイテムを手に入れたり、隠しステージへ行くための手段としてそのようなパズルシーンが仕込まれていたり、ゲーム本編そのもので、謎を解かなければ先に進めないといった物もある(初代『QUAKE』が良い例である)。しかしパズルシーンはゲームのテンポを停滞させることもあり、嫌う人も多い。一方で、ここ最近ではそのパズルを解くという事だけを純粋に求めた作品なども登場している(『Portal』)。


日本とFPS

日本製のFPS

ほとんどが欧米製だが、『コーデッドアームズ』など純日本製の作品が一部にある。また、日本製の場合FPSに近い視点の物はロボットアクションゲームに多い。

以下は日本製FPSまたは、FPSに近い視点の日本製ゲーム。

日本のFPSプロゲーマー

日本で初めてゲームを職業にするプロチームを輩出したジャンルとも言われている。詳しくはプロゲーマーを参照。

日本での人気

日本の銃規制の厳しさや軍人(陸軍)人口の少なさ[注 10]、マイルドな表現や前述のアニメ調のデザインを好み、グロテスクな表現やリアル調のデザインを好まない日本人の嗜好、日本でのPCゲームやマニア向けゲームの人気の低さ、FPSのノウハウを持つ日本のゲームメーカーが少ない等の影響があってか日本でのFPSの知名度はいま一つとなっている。特に家庭用FPSがほとんどなかった1990年代が顕著で、1997年に発売され、当時としては日本で最も売れたFPSである『ゴールデンアイ 007』(NINTENDO64版)でさえ3万本程度しか売れていなかった。

しかし、時代の流れとともに日本でのFPSの知名度は上昇しており、2000年の『パーフェクトダーク』は10万本近くを売り上げており、近年では特に『コール オブ デューティシリーズ』が40万~50万本程度売れるようになっている。それでも、世界最大のFPS市場を誇る北米と比較しても日本のFPS市場は小さいままである。


FPSの軍事利用

FPSはプログラムの方法によっては訓練シミュレーターとしても有効であり、一部では訓練用プログラムの一部としてこのジャンルのソフトウェアを取り入れている国や軍隊も存在する[4]

1985年に創業したNovaLogic社はパソコン黎明期よりリアリティ重視のアーミー・FPSやフライト・戦車シミュレーションで有名であるが、単なるアーミーオタクの創業したメーカーではなく、創業者が元軍人である。その実績から1999年にはアメリカ軍から発注するためのNovaLogic Systems Inc.という別会社を立ち上げ、兵士のための訓練用模擬シミュレータを提供している。


FPSが脳に与える影響

2017年8月8日Molecular Psychiatry英語版誌に掲載された研究によるとFPSゲーマーは記憶に関与する海馬体萎縮が顕著だということが明らかになった[5]


代表的作品のリスト

FPSというジャンルに大きな影響を与えたFPSの代表的作品を表記する。

なお、FPSは単体で発展したものではなく、3D RPG、ロボット・飛行機・戦車搭乗シミュレーション、サード・パーソン・アドヴェンチャーなどと相互発展しており、FPS以外からも大きな影響を受けているが、それについてはここには挙げない。

1990年代

Catacomb 3-D
1991年、id softwareの作品。FPSの原型となった。地下墓地内で死霊やゾンビと戦うホラーFPS。武器(聖なる光を発する自分の手)がゲーム中央に示され、下段には顔が表示されている。ダメージを受けると顔がだんだん骸骨になるなど、『Wolfenstein 3D』から『QUAKE』までの要素がすでに確立されている。
Wolfenstein 3D
1992年、id softwareの作品。FPSの始祖といわれる原初のFPS。連合軍最強の兵士となり、ナチス兵、改造人間たちと戦う。軍用犬と戦うこともあり、犬を撃つことが残酷であるとして動物愛護団体から訴えられるなど当時から議論をかもした。インターネット普及以前の作品ながら電話回線を使って通信対戦も出来るなど、全てが画期的であった。映画『ザ・インターネット』 (The Net)でも登場した。
DOOM
1993年、id softwareの作品。FPSの知名度を上げた始祖的作品の一つ。インターネットの普及していなかった日本ではフロッピーディスク、CDによるリリースだったが、インターネットの普及していた国々では、ダウンロード販売という画期的な販売方法で爆発的人気を得た。3DCGの技術研究がさかんになるきっかけになった[6]
Duke Nukem 3D
1996年、3drealms社の代表作。FPSにギャグ、パロディをちりばめ、1996年の最高傑作FPSとして世界的大ヒットとなった。『DOOM』では考えられなかった上下左右の動きを実現。また、起爆装置つき爆弾などの「罠」も仕掛けることが出来るなど、シューティングだけではない戦略性も生み出し、後続のFPSが生まれる原動力ともなった。絶妙なゲームバランスと超巨大ボスキャラなど、後のFPSに大きな影響を与えた。
Quake
1996年、id softwareの作品。三大FPSの一つ、『DOOMシリーズ』の後継作品であり現代3D FPSの始祖。ゲームエンジンは3Dfx社の協力を得て開発された。
ゴールデンアイ 007
家庭用専用、日本でFPSの知名度を上げた作品の一つ。
Rainbow Six
1998年、トム・クランシー原作の小説、およびビデオゲーム作品。小説と各ゲームシリーズでは、世界・設定は共通するがオムニバス形式での物語的繋がりが薄い物が多い。また現在では小説よりも、多くのシリーズ化・機種展開を果たしたゲーム版の知名度が高く、単に"Rainbow Six"と言った場合にはゲーム版を指すことが多い。ゲーム版は、Windows専用ソフトとしてシリーズ第一作が1998年に小説と同時に発売され、日本国内向けに様々な代理店から日本語マニュアル付き英語版として発売された。その後各種コンシューマに移植されるなど人気シリーズとなった。
Delta Force
1998年、NovaLogic社。現実の現代の戦争を扱ったミリタリーFPSの嚆矢。1985年から戦車や戦闘ヘリのフライトシミュレーターなどのミリタリーゲームで評判の高かった同社だが、人間が活躍するFPSは本作が初めての発表となる。独自のゲームエンジンvoxel based rendering systemはビデオチップのハードウェアレンダリングを使用しないため比較的低性能のビデオチップでも描画可能だが、逆に高性能ビデオチップでも描画速度はあまり変わらず全体的にややもっさりした動作が特徴。また、画質も同時期のゲームと比べ美麗とはいえず、銃声などにもリアル感を求めている為、非常に地味である。リアル志向の同社らしく、各ミッション中のセーブは出来ない。さらに敵の放つたった一発の銃弾でも当たり所が悪いと即死する。後の『メダル・オブ・オナー』、『バトルフィールド1942』等の近代戦争、現代戦争ものFPSの開発ラッシュの起爆剤となった。
Unreal
1998年、Epic MegaGames、Digital Extremes、GT Interactiveの作品。三大FPSの一つ。未知の異星を冒険していくバーチャルリアリティFPSの名作。後継の『Unreal Tournament』は完全なスポーツ系FPSであり、その系統の代表的作品となった。
SiN
1998年、Ritual Entertainmentの作品。Quake2エンジンを使い、『HALF-LIFE』に先駆けて映画のようなストーリーとアドベンチャー・ゲーム的要素も盛り込んだ事で発売前から大変な話題作であった。戦闘時、敵の防弾服からむき出しの部分を狙わないと大きなダメージを与えられないなど、当時としては画期的なシステムを導入している。ゲーム自体の評価は非常に高かったが、開発が遅れに遅れ、初期版はバグが多いなど不遇を囲った作品。
HALF-LIFE
1998年、Valve Software。三大FPSの一つ。FPSにストーリー性を持たせた金字塔的作品。
Thief
1999年、アイドス社。ステルス系FPSの元祖的存在。過去のSiN等の作品にもステルスが重視されるステージはあったが、本作では主人公がファンタジー世界の盗賊ということから、全編ステルスという当時としては画期的な作品。後の『The Operative: No One Lives Forever』などのスパイものの原点になった。

2000年代

Serious Sam
2001年、Croteam。幻想的で美麗な古代文明のグラフィック、『Duke Nukem』を髣髴させるマッチョなサムのキャラクターも話題となった。広大なステージの中、画面に溢れんばかりに登場する膨大な数の敵を豪快にひたすら撃ちまくる、爽快感を重視したFPSの原点に戻った作品。既存メーカーがストレスが溜まるばかりになったFPSを反省し、原点に帰るきっかけとなった。『Painkiller』、『Will Rock』など同系統の作品も数多く生まれる元になった。
HALF-LIFE 2
ゲーム全般のグラフィックス品位を大きく引き上げた作品の一つ。
Counter-Strike
元々は『HALF-LIFE』のMOD。あらゆるジャンルで世界で最もプレイヤーの多かった対戦ゲームとしても有名。
Crysis
高度なグラフィックスでゲームの映像品位を引き上げた作品の一つ。
Halo:_Combat_Evolved
所有できる武器の数を2つまでに制限、体力の自動回復など、現在の多くのFPSの基礎となるシステムを作り上げた作品。
PC版もリリースされている。家庭用ゲーム機向けFPSの火付け役ともなった。
Call of Dutyシリーズ
元はPC向けタイトルだったが、家庭用FPSの牽引役になった作品。近年の作品は売上1000万本を突破したものも多い。
Battlefieldシリーズ
FPSとして特に知名度の高い作品の一つ。初心者でも兵器の修理や味方の支援等の行為でチームに貢献できるシステムが人気を博し、ライトユーザー向けFPSの牽引役となった。

脚注

注釈

  1. ^ PC版というのは、不正ダウンロードの温床で、不正ダウンロードが数十万や数百万になったという統計もあり、こんな不法行為が行われてはビジネスが成立しない。ゲームの開発というのは、多数の人々が長期間に渡って従事しなければならず巨額の人件費がかかるものである。コストも計算してゲーム製品の価格も設定していて、それをプレーヤーたちが購入しているおかげで、ゲーム市場というのは健全に発展してゆく。ところがPC版プレーヤーというのは、不正コピーをする者が多い。PC版のプレーヤーは、自分の眼先の利益だけしか考えず、違法ダウンロードや違法コピーばかりを繰り返す、つまり窃盗行為を繰したりPC版プレーヤ同士で情報を広めたりしていて、PC版の世界は言ってみれば泥棒の巣窟のような状態になっている、ということが分かっており、ゲーム開発会社もそんなPC版プレーヤを相手にしても損するばかりなので、コンシューマ機を優先するようになった。[要出典]
  2. ^ 不正コピーを動作させるにはゲーム機本体に対して大きな改造を必要とするリスクがあり、機材や故障などの危険を冒す必要があるため比較的難易度が高いので、不正コピーをするような輩を排除するのに役立っている。
  3. ^ PC版ではMODという機能があるが、これが不正な改造の温床になっていて、ネットプレイではそういうことをやる輩と出会ってしまい、不快な思いをするプレーヤー、吐き気を催すような経験をするプレーヤー、あまりの馬鹿馬鹿しさにゲーム自体を全て止めてしまうプレーヤーもいたわけだが、コンシューマ機ではそういった不快な経験をしなくてすむ、という良さがある。なおコンシューマ機でも『Halo3』にて「フォージ」と呼ばれる自作カスタムマップが制作可能になったり、PlayStation 3版『Unreal Tournament3』ではUSBメモリからMODデータをハードディスクへ導入する事が可能になるなど(日本版ではこの機能はカットされている)様々なアプローチが行われた。 第7世代機中で発売されたソフトでは、そうした改変プログラムやゲームシステムを導入した作品の存在の方が珍しい部類である。ゲームというのは公正なルールのもとにするからこそ楽しいのであって、公正さが大切なのである。
  4. ^ なお、日本のローカルの話で、FPSの良さが分からない人々の話でしかないが、この時期からFPSあるいはFPSに近い主観視点の日本製ゲームソフトも少なからず制作されはじめるようになる。しかしこれらはあまり受け入れられなかった。「ゲームバランス」の調整ができていなかったのである。いつの時代でも、プレーヤーの立場に立って開発されていないゲームというのは、概して評価が低い。
  5. ^ これもまた日本のローカルの話で、しかもFPSの良さが分からなかった人々のネガティブな話で、ここで紹介する必要も無い話だが、「FPSのほとんどは西洋製だ」とかいうものの捉え方をする日本人がいたらしい。当時のアニメ趣味の日本人は、リアルな体験を重視するFPSを理解できるほどには成長していなかったらしい。
  6. ^ またまた日本のローカルの話で、FPSの良さが分からなかった人々のネガティブな話でしかないが、日本での売り上げは他のゲームハードで同時期に発売されたソフトと比較してもあまり良くなく(そもそもXbox自体が日本で常に劣勢を強いられていたのも起因する)、この時点で直ちにFPSがゲーム機市場に大きな一石を投じるほどの影響力は発生しなかった。また、第6世代のゲーム機においても同作シリーズ以外に目だって好調な売り上げ成績を収めたFPSがリリースされる事はあまり無かった。
  7. ^ この頃になるとコンピュータパーツの性能発展も比較的緩やかになっており、解像度やフレームレート等を除けばPC版とさほど遜色の無い出来でゲームをプレーできるようになった事も要因の一つである。そうこうするうちに、PS4やXbox Oneの世代に進み、コンシューマ機のほうが機能的に上を行くケースも増えていった。
  8. ^ すでに古い情報だが、WiiリモコンやPS3やPS4のMoveコントローラー、Xbox 360のキネクトなどボタン以外にもコントローラーや身体を振って入力したり、画面に直接照準を合わせることが可能なデバイスが導入されたのは、その時点での進歩だった。
  9. ^ すでにかなり古い話だが、家庭用ゲーム機版FPSの製作が始まったころに課題となったのは操作方法だった。 それまでコンピューターでリリースされてきたFPSは、マウスで素早く首を振り(縦軸の移動)、キーボードで歩く(平面の移動)ように作られており、スムーズな操作を可能としていた。一方の家庭用ゲーム機のコントローラーは、FPSを意識して作られたわけでは無かった故に、従来から多く見られた単に平面的な動きのゲームには抜群の操作性を誇っていても、FPSではボタン数が足りないという問題や、配置が適していないといった問題があった。これにより、かつては家庭用ゲーム機ではスムーズに操作できない、という時代が、かつてはあった。 特に問題とされたのは照準の操作についてである。マウスでは操作量によって照準の移動の大胆さと精密さを操作でき、動かした際のスピードが直感的に反映される。一方ゲームコントローラーにとりつけられたボタンアナログスティックでは動かすスピードが限られる上に精密な操作がしづらいという問題点があった。しかも現在主流であるアナログスティックが2本装備されたゲームコントローラが登場したのは初代PlayStationの中盤以降であり、根本として照準と移動を同時に操作する事が事実上不可能な状態でもあった。事実北米では家庭用ゲーム機の第5世代機時代(PlayStation、セガサターン、NINTENDO64)に日本以上に多くのFPSが発売されたが、同様の理由から、PC版のプレーヤーから高い評価を受けたものは極めて少ない。だが、何事もそうだが、最初からコンシューマ機に慣れていれば、どうということは無い。 この様な状況で、日本国内では『ガングリフォンシリーズ』や『機動戦士ガンダム外伝シリーズ』など、ロボットを題材とすることで「操作」するよりも「操縦」する楽しみへ昇華させたものもあったが、一般化するには至らなかった。また、それらはロボットアクションという別ジャンルのゲームとして認知されているのが通常である。 「FPSはマウスでプレーするのがそのゲームシステムの都合上絶対的に有利であり、直感的だ」と、PC版ばかりでプレーしている古参・ハードコア層は言う、という。 また、コンシューマ機とPC版では、当たり前のことだが、バランス調節は異なる。『Unreal Tournament3』ではコンシューマ機版ではPC版に比べ速度を低下させたり、コール・オブ・デューティ等ではリーンをオミットしている。
  10. ^ 在日米軍を除く。

出典

  1. ^ GAME Watch『PCゲームレビュー「Unreal Tournament 2003」』、2002年10月23日
  2. ^ 中嶋謙互 『オンラインゲームを支える技術』 技術評論社、2011年、p207。ISBN 978-4774145808
  3. ^ 4Gamer.net 「Unreal Engine 3は次世代ゲームを支えるか?」、2006年9月24日。
  4. ^ GAME Watch『PCゲームレビュー 「America's Army Operations 'Recon'」』、2002年7月15日
  5. ^ National Public Radio『Video Games May Affect The Brain Differently, Depending On What You Play』、2017年8月9日
  6. ^ 「コンテンツ産業の展望 第5章 ゲーム産業」みずほ銀行 産業調査部

関連項目

外部リンク