ファンキーハットの快男児

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ファンキーハットの快男児
Vigilante with a Funky Hat
Man with the Funky Hat
監督 深作欣二
脚本 田辺虎男
池田雄一
出演者 千葉真一
中原ひとみ
岡本四郎
音楽 三保敬太郎
撮影 内田安夫
編集 長沢嘉樹
製作会社 ニュー東映
配給 東映
公開 日本の旗 1961年8月5日
上映時間 53分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
次作 ファンキーハットの快男児 二千万円の腕
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ファンキーハットの快男児』(ファンキーハットのかいだんじ、Vigilante with a Funky Hat or Man with The Funky Hat[1])は、1961年日本映画主演千葉真一監督深作欣二製作ニュー東映モノクロ東映スコープ、53分。『ファンキーハットの快男児シリーズ』の第一作。

ニュー東映のホープとして躍り出ていた千葉真一が、『風来坊探偵シリーズ』に続き、深作欣二とコンビを組んだ第二弾[1][2]ヒロインには中原ひとみを迎えた。誘拐官製談合インサイダー取引が入り乱れる混沌とした事件に若き探偵が挑み活躍する姿を描いており、スリルとサスペンスユーモアを織り交ぜ、謎解きが展開されていく青春痛快活劇となっている[1][2]

ストーリー[編集]

天下一郎は天下探偵事務所の所長・清助の息子だが、アルバイト自動車セールスよりもナンパに精を出す、お気楽な学生だ。今日も相棒の茂とオープンカーでガールハントしていたが、なかなか相手にされない。一郎は茂を「後ろで横になってろ」と追いやってから、しばらく走らすと美しい令嬢を発見。「ジャズを聴きに行こう」と誘うと、すぐ助手席に乗ってきた。ジャズ喫茶で停めた一郎は、茂に待っているよう言い、自分はその令嬢と店に入っていた。ついていこうとした茂だがクルマをどかせと周囲から迫られ、仕方なく二人と別れて一人で運転しだす。しかし一郎の相手・境野みどりは株式投資の話に夢中で、一郎もとんでもない娘に声かけたと困惑していた。

同じ頃、木暮家では女中のルメが、「彼女の弟が上京している」とサングラスを掛けた桜井とも子から電話を受けていた。ルメは嬉しくなり、雇い主の木暮ひさえに無断で外出してしまう。その姿を見ていた桜井は、一人息子・木暮靖幸が幼稚園の送迎バスから降りてきた時に巧みに声をかけ、誘拐した。ルメはに向かう途中で茂にナンパされたものの、そのまま駅まで送らせて弟を迎えに行く。ところが見当たらず、ルメは訝しげに思いながら茂に木暮家まで送ってもらった。ルメが不在時の木暮家には、身代金500万円の要求が桜井から電話が入っていた。ひさえの夫・木暮は国産省の局長を務めており、産業会館建設入札の決定権を握っていたことから、日の丸建設と大下組は木暮の接待合戦をしていた。そんな矢先の誘拐事件であり、ひさえは夫に連絡し、茂を通して天下探偵事務所に救出を依頼する。みどりから日の丸建設と大下組の株価上昇を聞いていた一郎だが、この時は誘拐事件を解決するために父を手伝う気が全く無かった。

みどりは汚職疑惑のある木暮をゆすって、大型工事を落札予定の建設会社の情報を手に入れようとし、木暮を呼び出したみどりは、身代金を受け取りに来た誘拐犯に間違われて、待ち伏せしていた清助と天下探偵事務所のスタッフに確保される。本物の犯人である桜井は木暮邸に再び電話して、ルメに大金を持たせて公園に来るよう指示。清助らも変装して張り込むが、桜井は現場に現れなかった。数日後、靖幸はひとりで自宅に帰ってくる。靖幸は国産省の職員が襟につけるバッジを持ち帰っていた。一連の経緯を不審に感じた一郎は、茂・みどりとともに誘拐犯探しに乗り出す。

ある日みどりは、自身が狙っていた建設会社・日の丸建設の株を大量に購入する桜井を目撃し、尾行するが、何者かに襲われて姿を消す。桜井の原資は工事の落札が「内定」した日の丸建設社長・宇賀神からゆすり取った現金であった。桜井は木暮の秘書・白石と恋仲なので協力し、木暮が溜め込んだ賄賂を横取りしようと誘拐を計画・実行したものの、宇賀神の金で株を手に入れたために靖幸を解放したのだった。桜井の素性を疑った宇賀神は木暮に一部始終を報告し、国産省の内部に犯人がいることを確信する。

一郎は白石が保釈の虎に日の丸建設の株券を受け渡す現場を目撃する。一郎は虎を追い詰めて痛めつけ、誘拐犯の正体と居場所を聞き出す。桜井の住むマンションにはみどりが監禁されていた。一郎は虎の仲間のふりをしてみどりの救出に成功する。一方、靖幸の持ち帰ったバッジから計画が割れた白石は木暮・宇賀神に拉致され、汚職の秘密を闇に葬るために消されようとしていた。そこへ一郎が現れ、木暮らが雇ったヤクザたちを一網打尽にする。みどりが呼んだ警官隊が到着し、木暮らは逮捕される。天下探偵事務所の評判は世間にとどろき、依頼者でごった返すようになった。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

製作[編集]

コミカルに遊び盛りの坊ちゃん探偵・天下一郎を演じている千葉真一だが、学生時代に器械体操で培った筋骨隆々な肉体美を大車輪で披露しているほか、終盤の工事現場での大乱闘でも飛んだり跳ねたりダイナミックに動き、カーチェイスも行うなど、吹き替えなしでスタントをこなしている。深作は一郎を現代的な若者に演出し、内田安夫にはシーンにより手持ちで撮影させ、映画音楽にはジャズを全編に流し、勢いのある映像に仕上げた[3]。同シリーズは1966年の映画『カミカゼ野郎 真昼の決斗』や、1968年から1973年に放送されたテレビドラマキイハンター』の原型にもなっている[3][4]

主なロケーション撮影には渋谷区杉並区高井戸駅などで行われ、身代金を手渡す場は横浜駅横須賀線プラットホーム、一郎が保釈の虎を追い駆けるシーンの一部は渋谷駅前、京王井の頭線渋谷駅と山手線銀座線渋谷駅を結ぶ連絡通路、東急百貨店東横店西館にて実施された。

ネット配信[編集]

2022年6月24日から同年7月1日まで、YouTubeの「toei Xstream theater」から無料配信が行われた。

脚注[編集]

  1. ^ a b c ファンキーハットの快男児 - 日本映画製作者連盟
  2. ^ a b ファンキーハットの快男児”. 東映チャンネル. 2013年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月13日閲覧。
  3. ^ a b JJサニー千葉『千葉流 サムライへの道』ぶんか社、2010年、140 - 141頁。ISBN 4821142694 
  4. ^ 菅原文太、ほか「映画監督 深作欣二の軌跡」『キネマ旬報 臨時増刊』第1380号、キネマ旬報社、2003年、154頁。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]