ピッツバーグ薬物裁判

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ピッツバーグ薬物裁判Pittsburgh drug trials)は、メジャーリーグベースボール(MLB)において、1919年ブラックソックス事件以来の大きな罰則をもたらした。デーブ・パーカーデール・ベラリー・レーシーリー・マジーリジョン・ミルナーロッド・スケリーウィリー・エイキンズバイダ・ブルーティム・レインズキース・ヘルナンデスエノス・カベルジェフリー・レナードロニー・スミスピッツバーグ大陪審に召喚されて証言した。彼らの証言の後、1985年9月5日から20日まで行われたピッツバーグ薬物裁判マスメディアによって大々的に取り上げられ、広く論議を呼んだ[1]。1986年2月28日にピーター・ユベロスコミッショナーコカインの所持や販売に関与した証拠が明確に確認された11人の選手に対して出場停止処分を科した。

評決

1985年5月にカーティス・ストロングら7人の売人がコカインの販売容疑で起訴された[2]

ピッツバーグ大陪審に召喚されたメジャーリーグベースボール(MLB)の選手達は証言する事を条件に起訴を免除された。元ピッツバーグ・パイレーツジョン・ミルナーウィリー・メイズウィリー・スタージェルからアンフェタミンを購入した事や、1980年6月13日の対ヒューストン・アストロズ戦の試合中にスリー・リバース・スタジアムの浴室内の個室でコカイン2gを200ドルで購入したと証言した(メイズとスタージェルは彼のこの主張を否定)[3]モントリオール・エクスポズティム・レインズは「常にズボンの後ろポケットにコカインを入れ、盗塁をする時もガラスバイアルが破損しないようにヘッドスライディングを行っていた」と証言した。ニューヨーク・メッツキース・ヘルナンデスは過去に3年間コカインを使用した事を認め、「メジャーリーグの40%の選手がコカインを使用していると思う」と語った。パイレーツのデール・ベラはウィリー・スタージェルとビル・マドロックがチームメイトにアンフェタミンを提供していた事を主張した[4]

証言によってドラッグの売人がパイレーツのクラブハウスを出入りしていた事が明らかになった。パイレーツのマスコットパイレート・パロット」の中の人物もコカインを購入し、ドラッグ販売に関与していた。

ストロングら7人の売人に11件の罪で有罪判決を下った。ストロングは12年の実刑判決を受けたが、僅か4年の刑期を終えた後に釈放された[2]

関与選手の処罰

1986年2月28日にピーター・ユベロスコミッショナーはコカインを所持または販売に関与した証拠が明確に確認された11人に対して出場停止処分を科した[5]

コカイン販売関与の証拠が確認された以下の7人が1年の出場停止処分。但し、「年俸の10%寄付、100時間の奉仕活動への参加、ランダムの抜き打ちドーピング検査を受ける」という条件をクリアした場合には処罰は免除された[1][5]

コカイン所持の証拠が確認されたが、販売には関与しなかった以下の4人が60日間の出場停止処分。但し、「年俸の5%寄付、50時間の奉仕活動への参加」という条件をクリアした場合には処罰は免除された[1][5]

ユベロスはまた、全選手を対象に抜き打ちの尿検査を導入しようと試みたが、選手会は「経営者と労働者が交渉して決める問題である」と主張してこれに強く反対。仲裁にも敗北し、最終的には導入を断念した。

裁判に召喚された選手のその後

脚注

  1. ^ a b c The Eighties: A terrible time of trial and error” (英語). Pittsburgh Post-Gazette. 2013年12月12日閲覧。
  2. ^ a b United States v. Curtis Strong” (PDF) (英語). Western District of Pennsylvania Federal Court. 2013年11月10日閲覧。
  3. ^ Sport: The Cocaine Agonies Continue” (英語). Time Magazine. 2013年9月12日閲覧。
  4. ^ Baseball's Greatest Scandals, #4: The Pittsburgh Drug Trials” (英語). AZSnakePit.com. 2013年9月12日閲覧。
  5. ^ a b c Ueberroth took action in 1986 cocaine scandal” (英語). USA Today. 2013年9月12日閲覧。