ビッグワンガム

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ビッグワンガム (Big-one Gum) は、1978年(昭和53年)からカバヤ食品(本社・岡山県岡山市)が製造販売していたプラスチックスケールモデルキット食玩のシリーズ。おまけのプラ組立てキットの精巧さを追求して成功し、スケールモデル食玩の基礎となる概念で、一つの指針を示した。

概要[編集]

カバヤリーフ(現・カバヤ食品)時代のビッグリーグガムとニューエフワンガム、2つのコンセプトとニューエフワンガムのおまけ(簡易プラ組立てキット)からの商品コンセプトを引き継ぎ、価格を倍の100円にしておまけを精巧なプラスチックスケールモデル組み立てキットとしてグレードアップを図ると同時に文字通りパッケージを大型化した。

ネーミングのBIG.1(ビッグワン)は、原点(カバヤリーフ時代)である主な野球関連食玩頭文字のBIG(ビッグ)等に加え、当時、本塁打世界記録で日本中が沸き立っていた王貞治選手の愛称であるビッグ1を合わせたことに由来する。

プラ組立てキットの金型設計は初期の頃は駄玩(当時の主に駄菓子屋流通の玩具)の技師が担当し、後年はプラモデル等の技師[1] が担当した。ニューエフワンガム同様、素材は主にポリプロピレン系の塗装と接着が困難な軟質プラスチック[2] で、その特徴から接着剤を用いないはめ込み式で児童でも組み立てやすい手軽さがあり[3]、児童の本格的なプラモデルへの登竜門的な役割を果たした。

ガム1枚のおまけという扱いが相応しくないほどの精巧なプラ組立てキットが入っており、当時から「玩具が本体、お菓子がおまけ」と言われ、後の高級食玩の祖となり[4] 、現在の玩具菓子市場の基盤を作った。この成功から各社でも同様のコンセプトの商品が試みられた[5]

プラ組立てキットの種類は軍用民用、新旧問わず、陸海空を網羅しており、果ては拳銃までもがラインナップされた。ニューエフワンガム同様にシールが付属[6]。パッケージ裏に記載されているカタログの番号と小窓から見える中身の番号を照合することで、買う前に中身が何であるか判るようになっており、当時の児童には滅多に買えない様な内容の精巧なプラ組立てキットが100円で買えるとあって人気を博した。既存の商品に存在しない自衛隊の戦闘車両や鉄道車両、コンセプトカーなどもラインナップされていたため高年齢のマニア層にも人気があったという。

後にさらに進化したデラックス ビッグワンガム[7](150円、後に200円)が発売され、低年齢向けのゼンマイギミックやライトギミック付のアクションビッグワンガム(完成品含む)も発売された。ビッグワンガムの派生としてボトムズガムやダグラムガム、トランスフォーマーガムなどのキャラクター物にも進出した。

後年は、ニュー ビッグワンガムとして継続され、2000年以降の晩年はABS樹脂成型の一部塗装済み完成品に移行して国産車シリーズ[8] が発売された後、ビッグワンガムは休止した。

現在もプラ組立てキットにガムが付いた同様のコンセプトの商品はキャラクター物で継続されている[9]

ラインナップ[編集]

〔 〕内の数字またはアルファベットは、発売時の封入模型キットの識別記号の判明分。

BIG・1 GUM(ビッグ・ワンガム)[編集]

DELUXE BIG・1 GUM(デラックスビッグワンガム)[編集]

N(ニュー)ビッグワンガム[編集]

NEW BIG・1 GUM(ニュービッグワンガム)第二期・完成品シリーズ[編集]

一車種ごとに色違いが二種類(赤と銀、青と白など)発売された一部塗装済み完成品の国産車シリーズ。

  • 時代不明 : トヨタセリカ、トヨタMR-S、マツダロードスター、ホンダS2000
  • 時代不明 : 三菱パジェロ、トヨタハイラックスサーフ、トヨタRAV4、ホンダCR-V

時代不明[編集]

  • ファイヤーバードトランザム(red)、スズキGXSX400R HB、ホンダNS250R、トラッククレーン
  • 日産SAURUS、ホンダNS500

アクションビッグワンガム[編集]

  • 2002年平成14年)4月 - : 日産キューブ、スバルレガシィ、トヨタエスティマ、ホンダオデッセイ(ライト点灯)
  • 時代不明 : 作業トラックシリーズなど
  • 時代不明 : 建設車両シリーズなど
  • 時代不明 : 新幹線シリーズなど

復刻版シリーズ[編集]

第1弾 全5種 2002年(平成14年)11月
第2弾 全5種

広告宣伝[編集]

その他[編集]

  • 同様のシリーズとして組み立てパズルを封入した「ビッグリーグガム」、「パズルくんガム」も存在した。「パズルくんガム」はサルをイメージした人形キャラがパッケージに映されている。テレビCMではパズルくんの人形アニメーションで構成し、声は春日三球西川のりおでんでんといったコメディアンが担当、CMラストでは「また寝らんなくなっちゃう」・「ありがとうごじぇーますだ」・「どうだい」といった、担当者のギャグが入っていた。
  • DXビッグワンガムのプラ組立てキット本体の軟質素材と異素材(メッキパーツなど)等の部品を、はめ込む過程で差込穴が硬い場合に備え、ランナー内に軟質な本体の差込穴を広げるためのピン状のドライバーが追加された。後に専用のドライバーを初め、ビッグワンガム専用に特化した工具セットのプレゼントキャンペーンが行われた。
  • 1999年(平成11年)頃当時のカバヤのホームページにはビッグワンガムの一覧表があり、カバヤには多くの当時の資料の一部がないことからリストの画像を募集していた。
  • 2002年(平成14年)に初期商品の復刻版が再発売されたが、当時の時流は、既に無塗装(塗装が困難な軟質樹脂)とシール仕上げが前提の「組み立て簡易模型」から、国外の安い人件費を背景にした付加価値の高い「塗装済・完成品」の食玩が主流になったため、売り上げは芳しくなく第2弾で終了した。

脚注[編集]

  1. ^ ホビージャパンより。ニュービッグワンガムなど。
  2. ^ 透明パーツとメッキパーツはポリスチロール樹脂。1990年代以降はABS樹脂成型のシリーズ(一部を除き主に完成品主体のシリーズ)も存在した。
  3. ^ 当時のプラ組立てキット(一部を除く)は必ず接着剤を必要とした。同時期にプラモデル対象年齢以下の児童向けに、はめ込み式のプラ組立てキットも駄玩を始め各社で開発が試みられていた。
  4. ^ それ以前より駄玩(主に駄菓子屋流通の玩具)で試みられている。
  5. ^ 当時のロッテ等の菓子メーカーやバンダイ等の玩具メーカー(駄玩を含む)の玩具菓子市場参入が相次いだ。
  6. ^ 初期の頃は主に紙製シール、DX以降は主にフィルム状のシール。
  7. ^ パーツの精度と成型等を改良した製品。初期のビッグワンガムのプラ組立てキットは玩具的なオリジナルギミックも持合せていたがDXシリーズ以降は純粋にスケールモデルに特化した。一部にクリアーパーツとメッキパーツを使用。シールはフィルム状に改められた。
  8. ^ 一車種ごとに色違いが二種類(赤と銀、青と白など)発売された一部塗装済み完成品の国産車シリーズ。
  9. ^ カバヤを知るカバヤ食品
  10. ^ ホンダ・フラッシュ
  11. ^ 木製完成品を除き、組立式の量産模型キットとしてはビッグワンガムが、世界中で唯一無二の「XV-15」の商品化である。
  12. ^ 木製完成品を除く組立式の量産模型キットとしてはデラックス第一弾の「XV-15」に続き、ビッグワンガムが、世界中で唯一無二の「S-72」の商品化である。

関連項目[編集]

  • カバヤ食品
  • 食玩
  • エフワンガム - ビッグリーグガムのコンセプトを引き継いだ食玩。エフワンガムの乗物等のおまけをニューエフワンガム以降は簡易プラ組立てキットに発展させた。
  • フルタ製菓 - マイクロモデルシリーズ(一部塗装済みプラ組立てキット)として1990年代に、代表作としてF-117 (航空機)スペースシャトル・ディスカバリーなど全8種類を発売するも、2000年代にはより安価で簡易な一部組立て完成品のチョコエッグシリーズに移行した。
  • トランスフォーマーガム - ビッグワンガムのコンセプトを引継ぎ軟質プラによるプラ組立てキットを発売。近年はABS樹脂成型で再シリーズ化された。
  • 勇者シリーズ(アニメ) - ビッグワンガムのコンセプトを引継ぎ軟質プラによるプラ組立てキットを発売。同シリーズの食玩(ガム・チョコレート)をシリーズ各作品ごとに発売。通常のタカラ(現・タカラトミー)製の玩具等で商品化が見送られたのも意欲的に商品化が試みられた。
  • ナガサキヤ - 同じコンセプトの軟質プラによる実在の車両等のプラ組立てキットを発売。
  • ロッテ - 同じコンセプトの軟質プラによる実在の車両等のプラ組立てキットを発売。
  • 森永製菓 - 同じコンセプトの軟質プラによる実在の車両等のプラ組立てキットを発売。
  • こちら葛飾区亀有公園前派出所 - 単行本200巻に収録されている「懐かしのビッグワンの巻」がある。
  • ミニプラ