ヒヤヒヤ

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ヒヤヒヤ: hear, hear)は、人の発言内容に対して賛意を表す際に聴衆が発声する英語由来の表現で、hear him, hear him の短縮形。英語圏でもしばしば here, here と誤記される[1]

「人の発言を聞け」という当初の命令法としての用法から転じて、オックスフォード英語辞典によるところの「英国議会庶民院における標準賛意表明形式」となる。イントネーションを変えて様々な目的に使われる[2]

hear, hear からの派生句として a hear, hear(賛意)、to hear-hear(〜と言う)、hear-hearer(同じことをする人)等がある[2]

イギリス[編集]

英国議会での使用が一般化した背景には、庶民院および貴族院の議場においては、通常(絶対ではないが)拍手が禁止されている事実がある[3]

17世紀後半にhear him, hear him!(謹聴、謹聴!)という表現が議会で使われ始め、18世紀後半までには hear! または hear, hear! に短縮されて用いられた。動詞 hear欽定訳聖書の中では既に「話を聞け」という意味の命令語として使われていた[2]

日本[編集]

1890年に開設された日本の帝国議会でも、議員たちがこうした英国議会の流儀を導入し、発言への賛意として「ヒヤヒヤ」、反対の表明として「ノウノウ」という声を挙げた[4][5]。たとえば1940年に行われた斎藤隆夫の「反軍演説」の議事録で、発言に対する議場の反応を「(「ヒヤヒヤ」拍手)」と記しているのを見ることができる[6]

脚注[編集]

  1. ^ O'Connell, Pamela LiCalzi (2004年1月15日). “Online Diary: Vive la Différence”. The New York Times: p. 2. http://www.nytimes.com/2004/01/15/technology/circuits/15diar.html 2011年1月22日閲覧. "The situation is dire for some phrases. On the Web, "here here" outpolls the correct "hear hear" [according to the website SpellWeb] 153,000 to 42,000." 
  2. ^ a b c The Mavens' Word of the Day: hear, hear”. Words@Random. ランダムハウス (1998年3月4日). 2011年1月22日閲覧。
  3. ^ “Unique applause at Blair's last PMQs”. Channel 4 News. (2007年6月27日). http://www.channel4.com/news/articles/politics/domestic_politics/unique+applause+at+blairs+last+pmqs/579377 2011年1月22日閲覧。 
  4. ^ 法史の玉手箱 法務史料展示室だより第36号” (pdf). 法務省. 2020年5月15日閲覧。
  5. ^ 宮崎岳志議員の質問中の発言「未成年飲酒禁止法というのは〔…中略…〕衆議院議員を明治、大正に務められた根本正が、二十年以上の歳月をかけて、ほとんど毎議会毎議会同じことを言い続けて成立をさせたという法律でありまして、彼が壇上に立つと大変大きなやじが飛びまして、賛成側はヒヤヒヤ、反対側はノーノー、こう言うんですね。これはイギリス下院の議会のやじでございまして、今も議事録にそう残っているわけでありますが、そういったやじにも歴史と伝統があるということをここで一言触れつつ〔…以下略…〕」第189回国会 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号(平成27年5月28日(木曜日))”. 衆議院. 2020年5月15日閲覧。
  6. ^ 「官報号外 第七十五回衆議院議事速記録 第五号・第六号」、4-10 反軍演説”. 史料に見る日本の近代. 国立国会図書館. 2020年5月15日閲覧。