パーフェクトブルー

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パーフェクトブルー
PERFECT BLUE
監督 今敏
脚本 村井さだゆき
原作 竹内義和
『パーフェクト・ブルー 完全変態』
製作総指揮 鷲谷健
出演者 岩男潤子
音楽 幾見雅博
撮影 白井久男
製作会社 マッドハウス
配給 レックスエンテイメント
公開 カナダの旗 1997年7月 (ファンタジア)
日本の旗 1998年2月28日
上映時間 81分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 ¥3,000,000
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パーフェクトブルー』(PERFECT BLUE)は、1997年日本アニメ映画。国内でのレイティングはR-15指定、その他ほとんどの国では18禁。

特色

  • 世紀末」という言葉が横行したこの時代に、ストーカーインターネットをいち早く取り入れ、「本当の自分」について現代的な視点で捉えた作品でもある。
  • 原作の小説版とアニメ映画版とでは、設定や話の展開が全くと言っていいほど異なっている。監督自身原作は読まず、忠実なシナリオを読むに留まっている。「アイドル」「ホラー」「熱烈なアイドルのファン」を出せば監督の好きなように変えていいと原作者からも言われたという。
  • 劇中劇の「ダブルバインド」はニッポン放送でラジオドラマ化され、後にドラマCD化された。
  • 当初は実写映画で制作される予定だったという。
  • ダーレン・アロノフスキーによる映画『レクイエム・フォー・ドリーム』に本作の一部シーンのオマージュが用いられている。監督の今敏とアロノフスキーは2001年に対談しており、オマージュであることが今本人に直接伝えられている。
  • アイドルグループのダンスは実際にプロダンサーが踊ったものをビデオ撮影しロトスコープしたものを使用。

受賞歴

  • FANT-ASIA'97 PUBLIC PRIZE THE BEST (グランプリ)受賞
  • ファンタスボルト'98 ベストアニメーション受賞

あらすじ

アイドルグループの「チャム」に所属する霧越未麻(きりごえ みま)は突如グループ脱退を宣言し、女優への転身を計る。

未麻は事務所の方針に流されつつも、かつてのアイドルからの脱却を目指すと自分を納得させる。初出演のドラマはセリフが一言だけの端役から始まり、続いてレイプシーンを演じることとなる。さらにはヘアヌード写真集のオファーが来るなど、アイドル時代からは考えられなかったような仕事をこなしてゆく未麻。「チャム」以来のファンたちは未麻の厳しい現状を嘆くが、彼女の女優生活は次第に軌道に乗り始める。

しかし、人気とは裏腹に未麻は現状への不満を募らせ、アイドル時代の自分の幻影さえ見るようになる。レイプシーンやヘアヌードは本当の自分の姿なのか。自分が望んだことなのか。そんな疑問を抱く中、インターネット上に未麻になりすました何者かがウェブサイトを開設。しかしその内容は虚実を織り交ぜつつも、まるで未麻本人が書いたかのように詳細を極めていた。未麻はストーカーに監視されていたのだった。「アイドルとしての未麻」が更新を続けるウェブサイトを見て、精神的に追い詰められる未麻。また、未麻の事務所に手紙爆弾が送りつけられたり、関係者が次々と殺される事件が発生する。

登場人物

霧越未麻(きりごえ みま)
- 岩男潤子
主人公。人気アイドルだったが、事務所の意向で女優へ路線転向する。しかし現状への不満やストーカーへの恐怖などから、精神的に追い詰められていく。
ルミ
声 - 松本梨香
未麻のマネージャー。自らも元アイドルであるが、見る影もなく肥満している。未麻が女優に転身する事に反対する。
田所(たどころ)
声 - 辻親八
未麻の所属事務所社長。未麻を積極的に女優として売り出していく。少々強引な営業でルミと何度か口論するが、根は悪人ではない。
内田守(うちだ まもる)
声 - 大倉正章
屈強なストーカー。コンサート会場の警備アルバイトを務め、未麻に異常なほど執着している。劇中では最後まで名前が明かされなかった。
手嶋(てじま)
声 - 秋元羊介
渋谷貴雄(しぶや たかお)
声 - 塩屋翼
脚本家。未麻が出演するテレビドラマ『ダブルバインド』の脚本を手がける。
桜木(さくらぎ)
声 - 堀秀行
恵理(えり)
声 - 篠原恵美
村野(むらの)
声 - 江原正士
未麻のグラビア撮影を担当したカメラマン。「脱がせ専門」と噂されている。
監督
声 - 梁田清之
矢田(やた)
声 - 古澤徹
雪子(ゆきこ)、レイ
声 - 古川恵実子(雪子)、新山志保(レイ)
共に未麻とアイドルグループ「チャム」を組んでいた。未麻の脱退後も二人で「チャム」を続けている。
土居正(どい ただし)
声 - 陶山章央
冒頭、「チャム」のライブを妨害した不良チームの一人。内田とは逆にスタッフロールでは役名は出てこないが、劇中の新聞記事に「土居正」という名前が出てくる。

スタッフ

  • 原作:「パーフェクト・ブルー 完全変態」竹内義和
    • アニメ映画公開時期に「パーフェクトブルー1998」のタイトルで再版。
    • 2002年に実写映画『PERFECT BLUE 夢なら醒めて……』(監督・サトウトシキ)が公開されており、こちらは同じく竹内義和の小説「夢なら醒めて......美少女アイドルホラー」[1]を原作にしているが、両者に内容的な繋がりはない。
  • 監督・キャラクターデザイン:今敏
  • 企画:岡本晃一・竹内義和 
  • 企画協力:大友克洋・樋口敏雄・内藤篤
  • プロデューサー:中垣ひとみ・石原恵久・東郷豊・丸山正雄井上博明
  • 脚本:村井さだゆき
  • キャラクター原案:江口寿史
  • 演出:松尾衡
  • 作画監督・キャラクターデザイン:濱州英喜
  • 色彩設計:橋本賢
  • 美術監督:池信孝
  • 撮影監督:白井久男
  • 音楽:幾見雅博
  • 音楽プロデューサー:斎藤徹
  • 音楽A&Rプロデューサー:堀 正明
  • 音響監督:三間雅文
  • 協力:寿精版印刷株式会社・朝日放送株式会社・株式会社ファングス
  • 製作総指揮:鷲谷健
  • アニメーション制作:マッドハウス
  • 制作:ONIRO
  • 制作・配給:レックスエンテイメント

主題歌

エンディングテーマ
『season』(歌:M-VOICE/作詞:小竹正人/作曲・編曲:PIPELINE PROJECT)
挿入歌
『愛の天使』(歌:MISA・古川恵実子・清水美恵/作詞:今井希子/作曲・編曲:幾見雅博)
『一人でも平気』(歌:古川恵実子・清水美恵/作詞:六ッ見純代/作曲:三井誠/編曲:幾見雅博)
『想い出に抱かれて今は』(歌:MISA/作詞・作曲:This Time/編曲:幾見雅博)

出版物

書籍
  • 『パーフェクト・ブルー 完全変態』竹内義和 メタモル出版 1991年3月 ISBN 4895950220
    • 『パーフェクト・ブルー 1998』竹内義和 メタモル出版 1998年3月 ISBN 4895951928
  • 『アナザー・サイド・オブ・パーフェクトブルー「ロンドは終わらない」』 ぶんか社 1998年5月
DVD
  • 『PERFECT BLUE』パイオニアLDC 1998年12月22日 ASIN B00005FXE7
    • 『PERFECT BLUE』ジェネオンエンタテインメント 2003年12月21日 ASIN B0000V4O38
    • 『パーフェクトブルー』 【通常版】ジェネオンエンタテインメント 2008年2月29日 ASIN B0011FNDTI
    • 『パーフェクトブルー』 【初回限定版】ジェネオンエンタテインメント2008年2月29日 ASIN B0011FNDT8
Blu-ray
  • 『パーフェクトブルー』【通常版】ジェネオンエンタテインメント 2008年2月29日 ASIN B0011FNDV6
    • 『パーフェクトブルー』【初回限定版】ジェネオンエンタテインメント2008年2月29日 ASIN B0011FNDUM

関連項目

  • 悪夢解離性同一性障害 - 作中での重要なエッセンスとなっている。
  • ブラック・スワン
  • マッキントッシュ・パフォーマ(Macintosh Performa) - 未麻はこれを使いインターネットにアクセスした。作品公開当時販売されていたオールインワン・デスクトップPC。初心者でも簡単にインターネット接続できる構成で販売され、作中での利用法もそれに適った使い方である。

脚注

  1. ^ 後に映画と同じタイトルで再版

外部リンク