バーチャレーシング
ジャンル | レースゲーム |
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対応機種 |
アーケード メガドライブ スーパー32X セガサターン PlayStation 2 |
開発元 |
セガ SS:タイムワーナーインタラクティブ |
発売元 |
セガ SS:タイムワーナーインタラクティブ |
人数 | 1 - 2人(通信対戦可能) |
メディア |
AC:Model1 MD:ロムカセット 32X:ロムカセット SS:CD-ROM PS2:CD-ROM |
発売日 |
AC:1992年 MD:1994年3月18日 32X:1994年12月16日 SS:1995年12月22日 PS2:2004年2月26日 |
デバイス | [PS2]:GT FORCE |
『バーチャレーシング』(Virtua Racing)とは、セガ(後のセガ・インタラクティブ)のAM2研によって開発されたアーケードゲーム。正式名称は『V.R. バーチャレーシング』。
概要
フォーミュラ1をモチーフにしたレースゲームで1992年にMODEL1基板で製作された。MODEL1基板はポリゴンにテクスチャーを貼ることができないなど、見た目のインパクトはお世辞にも高いとはいえなかった。しかし、『映像的なリアリティ』よりも『フォーミュラカーをドライブする感覚』を優先して再現することに成功、「ゲームの上手な人が勝つのではなく、本当に運転技術の優れた人が速く走れるレースゲーム」という本物志向のポリシーのもと、かなりの高インカムを記録した。デザイナーは鈴木裕。
当初、MODEL1のスペック確認のために制作されたものであったが、思いの外、出来が良かったために商用としてリリースされたという経緯を持つ。鈴木は本作を制作中にピットクルーをポリゴン成形し動かすことができたことによって、のちの大ヒット3D格闘ゲーム「バーチャファイター」の製作が可能であるという確信に至ったという。
16:9のワイド画面をアーケードゲームとして初めて採用(デラックス筐体のみ)したことや、サーキット外に観覧車を立てたり路面にタイヤ跡が残るなど、描画性能が低いなりにポリゴンの描写にチャレンジしていることが斬新な印象を与え、成功の要因になっている。
アーケード版のフル筐体には空気圧力によって膨らむギミックが取り入れられており、カーブによって生じるGを再現している。また、バタフライシフトのセミオートマチック(7速)を導入している。当時、全日本F3000に参戦していたドライバーは、バーチャフォーミュラをプレイすることでバタフライシフトに慣れていたため、F1へのステップアップが容易であったという話もある。エディ・アーバインやハインツ=ハラルド・フレンツェンなどはF1に初参戦した際に「ゲームでセミオートマにもサーキットにも慣れていたから、どうってことはなかったね」というコメントを残したこともある。[要出典] なお、セガのレーシングゲームに多く取り入れられていた視点変化機能は本作が元祖となっている。
1993年には、70インチの大画面とほぼ実寸大のフォーミュラカーを模した可動式筐体を採用した『バーチャフォーミュラ』がリリースされている。なお、この機種は、もともと大型店舗への設置を前提としているため、4台通信プレイ仕様(約4800万円)か8台通信プレイ仕様(約9600万円)しか存在しない。 こちらの略称がVFであるため、バーチャファイターの略称がVFTとなったという経緯がある。
この8台通信プレイ仕様は横浜八景島シーパラダイス内のゲームセンターに7台設置されていた時期があった。 一台はライブ映像用と思われる。 ゲームを実況をするスタッフまでいて一回500円という料金にもかかわらず盛況であった。
家庭用ゲーム機への移植
特記がないものはセガ(後のセガゲームス)発売。
- メガドライブ版
- 1994年には不可能とも思われていたメガドライブへの移植を、カートリッジ内にセガバーチャプロセッサと呼ばれるポリゴン描写用のカスタムチップ(描画能力は9000ポリゴン/秒)を搭載することによって成功させている。正式タイトルは『V.R. バーチャレーシングMD』。雑誌誌面上では、たどんのようなタイヤの写真が掲載されるなど発売前におけるユーザーからの期待は低いものであったが、ドライブ感覚の再現度はかなり高く評価された。発売当時にプロモーションビデオが作られており、ナレーションは当時セガのゲームのビデオのナレーションを務めていた細井治が担当した。
- ゲームライターの渡辺浩弐は当時の雑誌記事で「すっかり気に入ってしまった」と述べており、画面がショボくなったことで逆に操作感覚や動きのリアルさという重点が強調され、独特の「味」が醸し出されたと論じた[1]。
- また、メガドライブ版のみに発生している固有の問題として内蔵電解コンデンサの劣化がある。経年劣化によって起動しない個体が少なくない。
- スーパー32X版
- 同年、スーパー32Xでも『バーチャレーシングデラックス』として移植されている。ハードウェアスペックの向上により、20fps,20000ポリゴン/秒の美麗な描写になりプレイしやすくなった。高地と砂漠の2つのコースと、レーシングカーと挙動や速度の異なるストックカーとプロトタイプカーの二台の車、さらに音楽がいくつか追加され、既存の音楽も一部編集されている。メガドライブ版と同様、運転感覚の再現度が良いため、全移植の中でもっとも移植度が高いともいえる。
- セガサターン版
- 1995年にはセガサターンへタイムワーナーインタラクティブによって『バーチャレーシング サターン』として移植されたものの、コースに大幅な改変が行われているなど再現度は低く、またセガサターン版であるにもかかわらず、メガドライブ版よりもフレームレートが不安定なため、評価も高くはない。
- PlayStation 2版
- 2004年にセガエイジス2500シリーズとして、PlayStation 2用にも移植された。『V.R. バーチャレーシング -FlatOut-』が正式タイトル。鈴木裕が監修を行っている。フレームレートが60フレームになっていて、スピード感がアップしているが、移植版の中で最も操作性が変更されている。アーケード版の3コースに加え、新たに3つのコースが追加されている。また、マシンも4台追加された。GT FORCE対応。
トリビア
- 1988年に発表されたナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)の『ウイニングラン』に強い影響を受け、より高性能・低コストを目標に開発された[2]。
- ゲーム中の車両デザインはフォーミュラカーを模していることは一目瞭然であるが、実はゲームの設定自体では特定のレースカテゴリを主張していないため、米国などではインディカー/チャンプカーのイベントでスポンサーの装飾を施して使われることもあった。
- デラックスタイプの筐体は、前述のようにエアバッグでGを再現する試みがなされているが、エアバッグの耐久性があまりなく(摩擦で破れることが多い)、作動していないことが多い。ステアリングの反力機構とシートの前後スライドも空気圧である。発売時は通信機能が省かれており、後日通信プレイ用の改造キットがリリースされた。ちなみに筐体価格は約500万円。
- ツインタイプの筐体は、技術の過渡期の製品であるためか、座席が両方のプレイヤーのシートが繋がった固定式のベンチシート状態であり、かなり特異なデザインである。シートとステアリングの距離も相当離れており、日本人の体格には合っていなかった。こちらは、ステアリングの機構は、オーソドックスな電動モーター(センタリングはスプリング)式である。またモニターはオーソドックスな4:3比率となっている。筐体価格は約330万円。
- オプション製品として、通信プレイ中にネットワーク内のゲームプレイの映像を、テレビのライブ中継のように演出して表示する、ライブ中継モニタが存在した。ただし、ゲームの基板そのものを内蔵していて高価なため、ほとんど見かけることがなかった。
- 通信機能は、最大8人まで同時プレイ可能である。この際、デラックスタイプとツインタイプの筐体を混在させてもよい。ただし、ライブモニターも接続台数に含まれる(例:ライブモニターを1台使う場合は、最大プレイ人数は7人まで)ので、注意が必要。
- 基板そのものは、デラックスタイプ、ツインタイプ、ライブモニターともに共通で、設定で動作を切り替えている。したがって、ツインタイプやデラックスタイプをライブモニターとして稼働させることも可能(ただし、その席ではプレイできなくなってしまう)。
- 視点変化によりタイムが異なるという事象があった。視点1(コックピット視点)から視点4(上空からの空撮視点)へ視点が引いていくたびに走行タイムが早くなっていた。ただし、視点4でのプレイは細かい操作がやりづらいため、実際にプレイして早かったのは視点3であり、ゲーム雑誌のハイスコアランキングでも視点3でタイムが申請されていた。
- 実車の運転感覚を忠実に再現したバージョンが開発中に存在したが、普通にプレイすることが困難なほどに難しいため、お蔵入りとなった。しかしデザイナーの鈴木裕は、実はそのバージョンが一番面白いと語っている。