バレンシア (スペイン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Rain night (会話 | 投稿記録) による 2016年3月16日 (水) 06:12個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

València / Valencia

  

 バレンシア州
 バレンシア県
面積 134.65 km²
標高 15m
人口 786,424 人 (2014年)
人口密度 5,840.51 人/km²
住民呼称 valencià/-ana
València / Valenciaの位置(スペイン内)
València / Valencia
València / Valencia
スペイン内バレンシア (スペイン)の位置
València / Valenciaの位置(バレンシア県内)
València / Valencia
València / Valencia
バレンシア県内バレンシア (スペイン)の位置

北緯39度28分12秒 西経0度22分36秒 / 北緯39.47000度 西経0.37667度 / 39.47000; -0.37667座標: 北緯39度28分12秒 西経0度22分36秒 / 北緯39.47000度 西経0.37667度 / 39.47000; -0.37667

バレンシアバレンシア語Valènciaカスティーリャ語など:Valencia)は、スペインバレンシア州バレンシア県ムニシピ(基礎自治体)。バレンシア州の州都であり、バレンシア県の県都である。人口は約80万人でスペイン第3位。バレンシア都市圏スペイン語版の人口は173万人である。

地中海に面し、温暖な地中海性気候で雨量も少ない。観光地としては世界遺産に登録されているラ・ロンハや国立陶器博物館、カテドラルなどがあり、3月に開催される火祭り(ファジェス)で知られている。パエリア発祥の地でもある。

歴史

それまでは「エデタニアスペイン語版」(Edetania)と呼ばれていた土地を、紀元前137年にローマ人が植民したことによって植民都市が建設され、「ワレンティアスペイン語版」(ウァレンティア Valentia 、強さ・活力の意)と名付けられた。紀元前75年にポンペイウスセルトリウスの争いによって破壊されたが、再建された。

バレンシアは西ゴート王国、次いでイスラム教徒(ウマイヤ朝後ウマイヤ朝、バレンシアのタイファ)に支配された。1094年、エル・シッドに征服されたが、彼が死ぬとムラービト朝に奪回された。1238年、アラゴン王ハイメ1世がこの地を征服し、以降はキリスト教国の領土となった。ハイメ1世が建てたバレンシア王国は、アラゴン王国の一部を構成した。

15世紀から16世紀には、バレンシアは地中海でもっとも重要な都市の一つであった。ローマ教皇カリストゥス3世アレクサンデル6世を輩出したボルジア家はバレンシアの出身である。チェーザレ・ボルジアは17歳でバレンシア大司教に任命されている。

18世紀のスペイン継承戦争では、バレンシアはオーストリアの推すカール大公の側についた。1706年、イギリス軍がバレンシアに入城したが、アルマンサの戦いでフランス・スペイン軍が勝つと、イギリス軍は撤退しバレンシアは自治権を失った。

スペイン内戦では、共和国政府はバレンシアを臨時の首都としたが、フランコ軍により包囲された。フランコ時代にはバレンシア語の会話・教育が禁じられた。スペインの民主化後、1982年に自治州としてのバレンシア州が成立した。現在では、バレンシア語の教育が義務化されている。

1957年、市内を流れるトゥリア川が大洪水を起こした。このため川の流路を市の南側に変える工事が行われ、排水された旧トゥリア川の跡は7kmにわたる公園となった。1996年には旧トゥリア川跡に芸術科学都市が建てられた。

2006年7月、バレンシア地下鉄脱線事故が発生した。

経済

バレンシアはここ数十年高い経済成長を遂げており、おもに観光や建設業に刺激されている。

バレンシアは地中海でもっとも物流の多い港の一つであり、スペインの輸出の20%を担っている。おもな輸出品は食料品、家具、陶器タイル、織物、鉄製品である。バレンシアの工業は、金属、化学、繊維、造船、醸造などからなる。失業率はスペインの平均よりも低い。中小の工場も地域の産業では重要な位置を占めている。世界的な大手企業ではADCDACなどの設計、製造を手がける半導体メーカー アナログデバイセズ社の設計開発センターが存在する。

郊外にはフォードの工場があり、2003年からマツダが自動車の生産を開始している。

気候

暑い夏を特徴とするバレンシアはステップ気候の影響を受けた地中海性気候である(ケッペンの気候区分ではCsa)[1]

バレンシアの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 16.1
(61)
17.2
(63)
18.7
(65.7)
20.2
(68.4)
22.8
(73)
26.2
(79.2)
29.1
(84.4)
29.6
(85.3)
27.6
(81.7)
23.6
(74.5)
19.5
(67.1)
16.8
(62.2)
22.3
(72.1)
日平均気温 °C°F 11.5
(52.7)
12.6
(54.7)
13.9
(57)
15.5
(59.9)
18.4
(65.1)
22.1
(71.8)
24.9
(76.8)
25.5
(77.9)
23.1
(73.6)
19.1
(66.4)
14.9
(58.8)
12.4
(54.3)
17.8
(64)
平均最低気温 °C°F 7.0
(44.6)
7.9
(46.2)
9.0
(48.2)
10.8
(51.4)
14.1
(57.4)
17.9
(64.2)
20.8
(69.4)
21.4
(70.5)
18.6
(65.5)
14.5
(58.1)
10.4
(50.7)
8.1
(46.6)
13.4
(56.1)
降水量 mm (inch) 36
(1.42)
32
(1.26)
35
(1.38)
37
(1.46)
34
(1.34)
23
(0.91)
9
(0.35)
19
(0.75)
51
(2.01)
74
(2.91)
51
(2.01)
52
(2.05)
454
(17.87)
平均降水日数 (≥1 mm) 4 3 4 5 5 3 1 2 4 5 4 5 44
平均月間日照時間 169 169 212 229 256 271 314 285 237 201 167 150 2,660
出典:世界気象機関 (国際連合),[2] Agencia Estatal de Meteorología[3]

名所

文化

祝祭

火祭りの様子

毎年3月に行われる火祭りはバレンシア伝統の春の訪れを告げる祭りであり、スペイン3大祭りのひとつである。3月はじめから行われる祭りでは、広場や通りをファジャと呼ばれる張子人形で飾り、オフレンダと言われる民族衣装を纏った大規模な献花パレード等も行われる。最終日である19日(聖ヨセフの日)には、飾られていた人形に点火、ほぼ全てのファジャが炎に包まれて花火とともに祭りが終わる。

スポーツ

サッカークラブとしては、リーガ・エスパニョーラバレンシアCFレバンテUDが本拠地を構える。バスケットボールクラブとしてはバレンシア・バスケットクラブが本拠地を構える。

2007年にはヨット競技の第32回アメリカスカップが開催され、2010年の第33回大会もバレンシアで開催された。

1999年からロードレース世界選手権バレンシアグランプリバレンシア・サーキットで開催されている。2008年から2012年までF1ヨーロッパグランプリバレンシア市街地コースにて開催された。

プロテニスのATPツアーであるバレンシア・オープン500が開催されている。

交通

バルセロナマドリードサラゴサなどの都市とは、特急列車や高速バスで結ばれている。

市内外の交通機関として、4路線134kmからなる都市鉄道のメトロバレンシアが走っている。郊外では地上を走る通勤路線となっており、1路線は市電になっている。

また市内と郊外を結ぶ交通機関としてセルカニアス バレンシアレンフェにより運行されている。

バレンシア出身の著名人

姉妹都市

バレンシアを舞台とする作品

脚注

  1. ^ M. Kottek; J. Grieser, C. Beck, B. Rudolf, and F. Rubel (2006). “World Map of the Köppen-Geiger climate classification updated”. Meteorol. Z. 15: 259–263. doi:10.1127/0941-2948/2006/0130. http://koeppen-geiger.vu-wien.ac.at/pics/kottek_et_al_2006.gif 2009年4月22日閲覧。. 
  2. ^ Weather Information for Valencia”. 2011年9月3日閲覧。
  3. ^ "aemet.es"”. 2011年9月3日閲覧。

外部リンク

公式
観光