ネクトン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ネクトン (nekton) あるいは遊泳生物 (游泳生物、ゆうえいせいぶつ) は、水生生物の生活型の一つである。遊泳生物の生活様式を遊泳性と呼ぶ。

水生生物の生活型。上から水表生物(Neuston)、浮遊生物(Plankton)、遊泳生物(Nekton)、底生生物(Benthos)。
ヒメツバメウオ科 Monodactylus argenteus の群れ

概要[編集]

プランクトンと共に、水底にも水面にも接さず水中に住み、漂泳生物にまとめられる。漂泳生物のうち水流に逆らって遊泳できるのがネクトン、ないのがプランクトンである。対して水底に住むのはベントス、水面上に住むのはニューストンである。

魚類の大半、海獣類、頭足類の大半と一部の二枚貝甲殻類の一部がネクトンに分類される。プランクトンやベントスと異なり、ネクトンは動物のみである。これらの一部は、成体はネクトンだが幼生の間はプランクトンとなる「一時プランクトン」である。ネクトンでも小型のものは、遊泳能力が比較的低くプランクトンに近い「マイクロネクトン」である。

タコの一部、ホタテガイ類ヒラメ類のように、もっぱら海底に住みながら遊泳能力を持つのは、ネクトンとベントスの中間的なネクトベントスとされる。