ニュージーランド王国

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ニュージーランド

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ニュージーランド王国(ニュージーランドおうこく、: Realm of New Zealand[1]は、ニュージーランド国王国家元首とする地域の全体を指す。ニュージーランド王国(Realm)は、ニュージーランドクック諸島ニウエトケラウおよび南極ロス海属領から構成され[2]、1983年ニュージーランド総督職設置特許状によって定義されている[3]

総督

ニュージーランド総督は、ニュージーランド王国内において、国家元首(ニュージーランド女王としてのエリザベス2世)の代理を務める。基本的に、総督は、国家元首の有するあらゆる地位と留保された政治的権限英語版を引き受ける。2014年現在の総督は、サージェリー・マテパラエである。

ニュージーランド王国内における主権

ニュージーランド王国の地図

クック諸島とニウエ

クック諸島とニウエは、共にニュージーランドと自由連合の関係にある自治領域であるとされる。ニュージーランド議会はこれらの国に関しては一方的に法律を制定する権限を有しない。外交関係および国防上の問題については、ニュージーランドがこれらの国のために行動するが、当該国の助言および承認を要する。

総督はニュージーランドに常駐するため、クック諸島憲法は独自の女王名代英語版を定めている。女王名代はニュージーランド総督の部下ではなく、ニュージーランド女王の現地における代理人として行動する。2011年現在、クック諸島の女王名代はサー・フレデリック・グッドウィンである。この仕組みによって、クック諸島は、その内政とその外交のほとんどにおいて事実上独立した活動を行うことが、現に可能となっている。

1974年ニウエ憲法によれば、ニュージーランド総督が女王の代理人として行動する。

クック諸島とニウエにおいては、ニュージーランド高等弁務官がニュージーランドの外交代表である。ジョン・カーター英語版が駐クック諸島・ニュージーランド高等弁務官である。2009年現在、アントン・オジャラが駐ニウエ・ニュージーランド高等弁務官である。

ニュージーランドとは緊密な関係を有するものの、クック諸島とニウエはいずれも自己の名において一定の外交関係を保持している。いずれの国も、ニュージーランドにおいて高等弁務官を駐在させ、自国の首都にニュージーランド高等弁務官を常駐させている。イギリス連邦の慣例として、高等弁務官は、国家元首ではなく政府の代表である。

ニュージーランド

ニュージーランドは以下の諸島によって構成されている。

トケラウ

トケラウは、クック諸島およびニウエと比べると法的な独立性のレベルは低いが、自由連合の地位へと近づいてきている。トケラウにおけるニュージーランドの代表はトケラウ行政官英語版であり、トケラウの議会(the General Fono)の決定を覆す権限を有している。トケラウの国民は、国際連合の要請を受けニュージーランドによって実施された数回の住民投票を通じて、ニウエおよびクック諸島と同等の権限を持つ統治体制を受け入れることを一般的に拒絶している[要出典]

ロス海属領

ロス海属領は、憲法上、ニュージーランドの一部である[4]。ニュージーランド総督は、ロス海属領の知事でもある。ロス海属領には米国の運営するマクマード基地があるが、米国はロス海属領に対するニュージーランドの主権を承認していない。また、属領内における主権の適用は、南極条約の規定により凍結されている。

概要

地域 女王の代理人 政府の長 立法府 首都/主都 人口 面積
ニュージーランド 総督 首相(Prime Minister) House of Representatives ウェリントン 4,107,883 268,680 km²
クック諸島 女王名代(en:Queen's Representative 首相(Prime Minister) クック諸島議会en:Parliament of the Cook Islands アバルア 21,388 236 km²
ニウエ 女王代理(ニュージーランド総督) 首相Premier ニウエ議会en:Niue Assembly アロフィ 2,145 260 km²
トケラウ 政府行政官en:Administrator of the Government Ulu-o-Tokelau トケラウ議会(General Fono なし 1,405 10 km²
ロス海属領 知事(Governor) 行政長官(Chief Executive) なし スコット基地 スコット基地: 10–80;
マクマード基地: 200–1000(季節による)
450,000 km²

王国の将来

ニュージーランドには、ニュージーランド共和国英語版への支持が一部存在する[5][6]。仮にニュージーランドが共和制に移行すると、ニュージーランドはロス海属領とトケラウは属領として保持することとなるため、ニュージーランド王国は、ニュージーランド、ロス海属領およびトケラウを欠いた状態で存続することになる[7]。このことは、ニュージーランド共和国それ自体への法的な障害ではないだろうし、また、英連邦王国が国家元首を共通にするのと同様に、ニュージーランドがその国家元首をクック諸島およびニウエと共通にするのであれば、クック諸島とニウエはニュージーランドとの自由連合の地位を維持することとなろう。しかしながら、ニュージーランド共和国は、クック諸島とニウエに対して独立という問題を提示することとなろう。 したがって、ニュージーランドが共和国となった場合におけるニュージーランド王国の将来については、いくつもの選択肢がある。

  • クック諸島とニウエはニュージーランドと自由連合を維持するが、ニュージーランド女王をその国家元首として維持する。
  • クック諸島とニウエは新たに共和制の国家元首を有する独立国家となる。
  • クック諸島とニウエは独自の国家元首を有するが、ニュージーランドとの自由連合の地位を維持する。[7]

脚注

  1. ^ 「ニュージーランド王国」との訳語は、国立国会図書館調査及び立法考査局「諸外国の憲法事情―ニュージーランド」同『諸外国の憲法事情3―中国・韓国・インドネシア・オーストラリア・ニュージーランド・付・台 湾』(2003年12月)140頁より。
  2. ^ New Zealand government. “New Zealand's Constitution”. 2011年11月30日閲覧。
  3. ^ Letters Patent Constituting the Office of Governor-General of New Zealand (SR 1983/225)”. New Zealand Parliamentary Counsel Office. 2011年11月30日閲覧。
  4. ^ ニュージーランド外務・貿易省. “New Zealand and Antarctica”. 2011年12月1日閲覧。
  5. ^ 2005年7月に行われた調査では「あなたはニュージーランドが共和制となるのを支持しますか?」という質問に対して27%が賛成、67%が反対の意見を示した。
  6. ^ 2006年1月20日に発表されたSunday Star-Timesによる調査では、47%がニュージーランド共和国を支持し、47%が君主制を支持したと述べられている。
  7. ^ a b Townend, Andrew (2003). The Strange Death of the Realm of New Zealand: The Implications of a New Zealand Republic for the Cook Islands and Niue. Victoria University of Wellington Law Review. http://www.austlii.edu.au/au/journals/VUWLRev/2003/34.html 

関連項目

外部リンク